エレクトロニック・アーツから2023年4月28日にプレイステーション5/Xbox Series X|S/PCで発売されるアクションアドベンチャーゲーム、『Star Wars ジェダイ:サバイバー』。本作のプレイステーション5のレビュー版をプレイしたので、その内容をご紹介しよう。
《物語》暗黒の時代をジェダイの生存者(サバイバー)として生き延びろ
本作の舞台となるのは、映画で言うとスター・ウォーズ映画のエピソード3から4の間、ジェダイ抹殺計画“オーダー66”が実行された後の暗黒の時代だ。
前作『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』では、オーダー66を生き延びた主人公カル・ケスティスが宇宙船マンティス号のクルーとともにジェダイ復興を目指して冒険した。
それから5年後。カルは仲間たちと別れ、新たな部隊を結成して活動していた。そんな彼がコルサントで囚われている所から本作の新たな物語が始まる。
帝国の力が日に日に強大になっていくなか、ジェダイの生存者(サバイバー)としてフォース感応者や帝国に追われる人々のための新たな希望を見つけることができるのか? その過程でマンティス号の面々が再び集うことになる。
《ゲームシステム》すべてが圧倒的にスケールアップ
ゲームの構造は基本的に前作同様。新たな移動アクションや謎解き用ツールを手に入れるごとに行動範囲を広げていく“メトロイドヴァニア”系の要素に、ライトセーバーとフォース能力を使った戦闘アクションがメインの3D探索アクションアドベンチャーだ。
そこに敵の攻撃のパリー(弾き返し)で体勢を崩す『SEKIRO』的な要素や、『ダークソウル』の篝火的なセーブポイントシステムなどが入ってくるというのも同じ。しかしすべてが前作からスケールアップし、充実している。
《戦闘》序盤からライトセーバー二刀流も両刃もアリアリ。さらにブラスターも登場
まずは戦闘システムから掘り下げていこう。本作のプレビューイベントのリポートでもお伝えしたように、本作ではアクションゲームシリーズでありがちな“作品ごとに能力がリセットされる”ような形を取っていない(クリエイティブディレクターのスティグ・アスムッセン氏いわく、ちゃんと「SWのカノン(正史)のキャラクター」として扱うため)。
なので前作で真のジェダイへと成長したカルは、冒頭のチュートリアル部分からちゃんとライトセーバーと基本的なフォース能力を維持したジェダイ戦士として戦う。しかもライトセーバーは2本持っていて、デュアルブレード(二刀流)もダース・モールのようなダブルブレード(両刃)も使いこなせるのだ。
シーンによってはメリンや新たな相棒のボードの攻撃アシストを受けることもできる。フィニッシュ攻撃などもツープラトン(合体)攻撃になったりするのでアツい。
戦闘スタイルは全部で5つあり、ゲーム中では常時2つのスタイルを装備可能(入れ替えはセーブポイントである瞑想ポイントで行う)。装備中のスタイルは任意のタイミングで切替可能だ。
- シングルブレード
- 1本剣のベーシックなスタイル
- デュアルブレード
- 二刀流で舞うように斬りつけ、素早い連撃を加える
- ダブルブレード
- 両刃のブレードを回転させながら戦う、集団戦の対応に長けたスタイル
- ブラスター(中盤で入手)
- 1本のライトセーバーとブラスターを使うスタイル
- ライトセーバーはフェンシングのように使い、攻撃がヒットするとブラスターの弾丸が回復する
- クロスガード(中盤で入手)
- カイロ・レンのように柄の先から左右にブレードが出た十字型のライトセーバーを使う
- スイングスピードが遅い代わりに強力な一撃をくり出せる
《強化》自分の得意なスタイルを作り込め
デュアルやダブルは前作でも可能だったが、今作ではこれらがひとつのスタイルとして昇華されているのがポイントと言えるだろう。
各スタイルはそれぞれ長所・短所があり、異なるスキルツリーを持っているので、気に入ったスタイルを見つけて強化し、長所を伸ばしたり短所をカバーするようなムーブを見つけ出していくのが楽しい。
さらに今作には特定のアクションにボーナスを得たりする“パーク”システムもあり、冒険で入手したさまざまなパークチップをスロットに装填して強化することで、自分の得意なスタイルや立ち回りを作り込んでいける。
ちなみに、スキルツリーは初回のみノーコストでリセット可能。以降は1スキルポイントを失うのと引き換えに行う形となる。あまり頻繁に行うわけにはいかないが、探索をしっかりやっていれば終盤はスキルポイントがチョイあまり気味になるぐらいなので、「やっぱコッチの方向試したいな」と思えばそんなに悩まずに切り替えられるだろう。
《探索》マップが超広くてパズルも多彩! 時間が溶ける
さて、本作のマップの大きさと作り込みは本当に驚いた部分だ。メインの攻略ルートの脇などには移動アクションや謎解き用のツールを使うことでたどり着けるサイドエリアやシークレットなどが配置されているのだが、そのサイズも量も前作とは比較にならないレベルだ。
特に冒険の拠点となる惑星“コーボー”はめちゃくちゃ広く、セミオープンワールド的になっている中心部から広がる各地域それぞれが一個のダンジョンとしてガッツリ作り込まれている(砂の惑星ジェダなども結構大きいが、サイズと密度はコーボーにかなわない)。
それぞれの惑星には、メインミッションの中盤以降で手に入るギミックを使わなければ行けないサイドエリアもかなりあるので、立ち寄るたびに「あ、さっき手に入れたアレ使えば確かあそこ行けるぞ!」と探索が楽しい。
マップの大型化にともなって、セーブポイント間のファストトラベルが可能になっていたり、陸空の動物に乗れるようになっているのも強化部分と言えるだろう。後者はカルだけでは届かない場所に行けたりもするので、パズルを解く移動アクションにもなっている。
動物という点では、ちっちゃくてモフモフなボグリングを撫でられるようになっているのも嬉しい点だ(コーボーに帰ってくるたびについモフってしまう)。
またサイドコンテンツ自体の種類や、そこで手に入るものの幅も広がっている。たとえば強化関係では、体力やフォース量やスティム(回復)個数のアップに加え、スキルポイントアップなども存在。さすがにサイドボスや強雑魚複数体などの強力な敵が守っていたりするけど、しっかり報われるなら倒してやろうという気分にもなる。
そしてこれはまだ序の口。何人かのNPCの商人キャラと取引するのに使う専用アイテム(キャラそれぞれに存在する)をまとまった数集めると、パークスロットの上限追加などのレア報酬が手に入ったりもするのだ。
それらの取引用アイテムは外見カスタマイズ用のパーツなどとともに全土に散らばっているのだが、サイドコンテンツのさらにシークレットとして隠されていたりするぐらいめちゃくちゃ仕込まれているので、中盤ぐらいまではちょっと探索すると何かは必ず見つかるという状態なのである。ヤバい。
《サイドコンテンツ》ハードな連戦やジェダイ力が求められるパズルダンジョンなども登場
サイドコンテンツでは、強力なレジェンダリー版のクリーチャーや賞金首キャラが変わった場所に出てきたかと思えば、フォースを使ったパズルを解かなくてはならないジェダイの試練場や、別空間で大量の敵との連戦や移動アクションを駆使した踏破が求められる“フォース・ティア”なども存在。
レビューはそれなりに限られた期間でプレイしなければいけなかったので、どう考えても横道にそれずに一目散にクリアー優先でプレイした方がいいのだが、脇道でこれらのコンテンツを見つけてしまうと、つい何度かミスりながらムキになってやってしまう。
ユニークな所では、コーボーにある本拠地の村で、仲間や村の住人を対戦相手にして“ホロタクティクス”(原作に出てくる“ホロチェス”的な戦術ゲーム)をプレイできるようになる。
これは与えられたコスト内でさまざまなコマ(倒した敵をBD-1でスキャンするとアンロックされる)を配置して戦わせるオートバトルゲームなのだが、対戦相手を撃破すると、これまた前述の取引用アイテムやカスタマイズアイテムが手に入るという仕組みだ。
人々を呼び集めて村を育て、彼らが語る“噂”の真相を探れ!
先にちょっと書いてしまったが、各地では困っているNPCを発見することがあり、彼らのミニクエストなどをクリアーすることでコーボーの村に呼び寄せられる。
コーボーにいるNPCが増えると仲間のグリーズが運営するバーが人でいっぱいになっていって達成感が得られるし、彼らがサイドコンテンツに繋がる“噂”を教えてくれることもあるので、できるだけ発見したいところ。
ちなみにホロタクティクスをアンロックするにはとあるNPCを救出しないといけないのだが、恥ずかしながら筆者はかなり探索したつもりなのに見逃していて、同じくレビュー版をプレイしていた知り合いのライターに教えてもらった次第。まぁこのエピソードも本作の探索のディープぶりのあらわれと考えていただきたい。
冒険にほとんど影響しないサブ要素としては、ガーデニングやアクアリウムへの魚収集などもある。これらもまた探索と紐づいており、より細かく探索するとたくさん集まるという形になっている。
つまりまぁ、探索しまくれば強くなるし、強敵とも戦えるし、追加のパズルやチャレンジコンテンツも遊べるし、村が賑わって楽しいという、SW世界の探索が王様のゲームなのだ。
《外見カスタマイズ》より細かいパーツやカラー指定が可能に
服装やライトセーバーのブレードのカラーなどの外見カスタマイズは前作にもあった要素だが、今作ではそれらがさらに細かくなっている。これらはすべて探索や取引で入手していくことになる。
- カルの外見 髪型やヒゲ、上下の服装を変更可能
- ライトセーバー・ブラスター 各所のパーツや素材感・カラーなどを変更可能。ライトセーバーはブレードカラーも変えられる
- BD-1 各パーツとカラーリングを変更可能
まぁ悪く言ってしまえば探索報酬の水増しなんだろうし、ライトセーバーの細かいパーツなんてプレイ中に判別つくわけもないのだが、個人的にはこういうのが結構好きなので自己満足で結構。ちょっと気分転換したい時にでもどんなオプションを手に入れてたか確認してみるといいだろう。
気になる所もないわけではないが、全体的には大満足
そのほか、EAの最近のタイトルらしくアクセシビリティ系の機能も色々揃っていて、オートロックやQTE連打のオートクリアー、視覚障害者向けのサウンドでの誘導機能といったもののほか、クモ系の敵のグラフィックを置き換える“アラクノフォビア安全モード”(ただし甲虫系は変わらない)や、人間キャラの切断表現のオンオフなどもある。
クリアー後のニューゲーム+モードなども用意されていて至れり尽くせりといった感じで、前作は今作を作るための序章だったのではないかというぐらいの正当進化になっていると感じた。参考までに、クリアーまではそれなりに探索をして26時間といったところ(もちろん探索具合やパズルにかかった時間、やられた回数によってかなり変わるので、あくまで目安)。
しかし気になった所もないわけではない。ひとつはストーリー面だ。ド派手な展開やサプライズなどは十分楽しんだのだが、とある鍵となるキャラクターの動機がいまいちわかりづらかったり、序盤から死亡イベントを作るために死んでいるようなキャラがいたりして、ちょっと興ざめな部分があったのは否めない。あっさり死ぬ時は死ぬのはスター・ウォーズのお決まりなのかもしれないが……。
もうひとつはローカライズで、何かのミスで初期の仮テキストが残ってしまったのか、「訓練する」が「列車」(どちらもTrain)になっているなど、どう考えても直訳されている箇所がいくつか見受けられた(ハイ・リパブリックが高共和国となっているのもあった)。発売日バージョンで修正されているのでなければ、早めにアップデートで修正対応されるよう願いたい。
またプレイしたバージョンではパフォーマンスにも少し問題があり、ゲームをパフォーマンスモード(プレイ環境は1080p)でプレイしているにも関わらず不安定な部分があった。とはいえ、これについては発売前のパッチの対応事項に挙がっているようなので、ローンチでは改善が見られるだろうと思う。