「リアルな戦場に立って、ブラザーたちと協力しながら緊張感のある銃撃戦がしたい!」

 そんなミリタリー・シューティングゲーム好きである兵士諸君の夢を叶えてくれるのが、プレイステーション VR2(以下、PS VR2)向けに2023年に発売予定のFPSタイトル『Firewall Ultra』(ファイアウォールウルトラ)です。

『Firewall Ultra』 告知トレーラー

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VR向けFPS『Firewall』シリーズが次世代機でパワーアップ!

 『Firewall Ultra』は、2018年にPS VR向けに発売されたタクティカルFPS『Firewall Zero Hour』シリーズの続編。プレイヤーはひとりの傭兵となり、4人チームからなる攻撃側と防衛側に分かれて、アサルトライフルやショットガンといった銃とグレネードなどを駆使して戦っていきます。

 攻撃側は、マップに設置されたノートPCを見つけ出してハッキングを完了する、もしくは防衛側を全滅させれば勝利。防衛側は、敵のハッキングを制限時間まで阻止するか、もしくは攻撃側を全滅させれば勝利となります。

 前作から変更になった点もあり、本作では交互に陣営が入れ替わるラウンド制へ変更。2ラウンドを先に取ったチームが、そのゲームの勝利チームとなります。これにより、前ラウンドの反省を活かしてつぎのラウンドに臨めるのは、戦略性が増したという点でもうれしいポイントでしょう。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ

 基本的なゲーム制は前作を踏襲していますが、PS VR2の機能をフル活用したゲームへの没入感、銃での撃ち合いの気持ちよさはピカイチ。

 ここからは、発売に先がけて開発スタッフとメディアを交えてPvP(対人)モードをプレイさせてもらったので、筆者が体験して驚いた点や興味を惹かれたポイントを紹介します。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ

圧倒的な没入感、ミリタリー好きにはたまらない細かな作り込み!

 ゲームを起動してまず目を引かれたのは“高解像度なグラフィックで描かれる『Firewall』の世界”。本作は、PS VR2の4K HDRディスプレイといった次世代機の機能をフル活用しつつ、“Unreal Engine 5”で開発されているタイトルで、VRゲームの醍醐味である没入感がとにかくすごい。

 まずは操作のレクチャーを受けるため、ロビー的な場所である“セーフルーム”に案内されたのですが、そこはアクション映画でよく見かける怪しげな雰囲気がプンプンする特殊部隊の秘密基地。PS VR2を装着してすぐ、「あれ? 気づいたら傭兵になっているんだが?」と深く入り込んでしまうほど、目の前に広がる光景が鮮明でリアルな空間が広がっていることに度肝を抜かれました。

 レクチャーを受けつつセーフルームを見わたすと、空の弾倉が散らばる射撃場、作戦表が敷かれたテーブル、壁には銃が飾られていたりとミリタリー好きの筆者はすでにテンションはマックスに! このあたりの細かいディティールの作り込みもあって没入感が高まります。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ

 ひと通り操作を覚えたらすぐ戦場へ。各マップも戦略的に行動するのに必要なポイントが散りばられつつ、場所よってはかなり視界も悪かったりと、セーフルーム同様かなりの作り込みよう。筆者はふだんよくFPSをするので、戦場に入る前は「VRとはいえ余裕だろう」と意気込んでいたのですが、つねに油断のできない緊張感とVRによるから没入感からゲームであることを忘れ、実際にサバゲ―をプレイしているかのような気分に。そして、いざ撃ち合いが始まると鳴り響く銃声音や飛び交う銃弾にパニックになっていました。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ
PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ

 ちなみに、自分ではわからなかったのですが、同席したカメラマンから「めっちゃビビッてましたね、体のけぞってましたよ」と言われれるくらいビビり散らかしていました。それくらいリアルな銃撃戦が楽しめます。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ
平然と振舞っているように見えますが、内心は敵の射撃にビクビクしてます。

ゲームであることを忘れるほどのリアルな射撃。近未来感に感動

 今回プレイして、とくに感動したのは視線トラッキングを駆使したシステムです。まずは射撃についてですが、本作では目線を合わせたところに照準がビタっと定まって銃を撃つことができます。一般的なFPSでは敵が視界に入る→手操作での視点移動でレティクル(照準)を合わせる→射撃となるので、弾を撃つまでわずかながらラグがありますが、このシステムにより敵を補足した瞬時に弾を撃ち込むことができるのです。

 片目を閉じればサイトを覗いた精密射撃に切り替わったり、通常ならフラッシュを食らってしまうと画面が数秒間真っ白になってしまうのですが、瞬時にまぶたを閉じればPS VR2がそれを検知し、画面は白くならず無効化もできます。これらも相まって、かなりリアルな射撃が味わえるのです。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ

 コントローラーやマウスでの操作とは違ったものなので、最初はふだんFPSをプレイするようにスティックの移動で照準を無理やり合わせたりと感覚的な違いに苦戦しましたが、プレイしている内にすぐ慣れることができ、スムーズに敵を狙えるのでかなり気持ちがいいです。より精密な射撃をするためにも、PS VR2の視線トラッキングの設定は入念に調整しておくとよいでしょう。

 この視線トラッキングを駆使したシステムはほかの部分にも活用されているのですが、個人的に気に入ったのが“武器の切り替え”。右手のトリガーを押し込むと装備タブスクリーンが画面(空中)に現れ、持ち替えたいウェポンに視線を合わせると切り替えができるという仕組みになっています。
 
 わかりやすく言うなら、近未来のゲームや異世界を題材にした作品でよくある“ステータスなどが表示されたタブを出して装備を切り替える”といったあれに近い感じ。これには筆者の中二心がくすぐられました。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ
左腕で味方のヘルスを確認でき、武器横には残弾数も表示されます。この近未来感ががあるUI(ユーザーインターフェイス)もかっこいい。

どのように動くべきか……仲間との協力や瞬時の判断が必要不可欠

 FPSと言えば、どのように情報を集めて戦局を有利に進めるかが攻略のカギとなりますが、本作はミニマップなどの表示がなく、基本的には目視での索敵で徐々に敵の場所やハッキング対象の位置を見つけ出していくことになります。

 もちろん、作戦なしではうまくいかないように設計されています。たとえば、見晴らしのいい2階のポジションで敵の索敵する部隊と1階で敵の進行を食い止める部隊に分かれたり、2方向から敵を挟撃するといった戦術が必要です。その場の状況をみながらのチームとしてどのように動くのか、ヒリついた戦場で瞬時に判断していくのがおもしろいポイントです。

 また、HPが0になるとダウン状態になり、そのプレイヤーに駆け寄って蘇生すれば戦場に復帰が可能。蘇生中は無防備になるので、その際は、仲間が射撃をして敵を遠ざけるといったことが求められます。ちなみに、各ラウンドで倒されたとしても、定点カメラに視点が切り替わり、敵を索敵してサポートできます。

 本作でのコミュニケーション方法は、ボイスチャットと手信号がおもな方法となります。

 ラウンド開始時に戦略をすり合わせるのはもちろん、「あそこに敵がいる」、「ひとりダウンさせた」、「敵の背後を狙ってくる」といった細かなコミュニケーションもかなり重要でした。しかし、いざ銃弾が飛び交えば、てんやわんやでうまく言葉が出るわけもなく……。だからこそ、みごと戦術が噛み合ってラウンドに勝利したときはかなりの達成感があります。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ
PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ
コントローラーの握りによってグッドや指差しといったハンドサインができる。

『Firewall Ultra』でしか味合わないリアルな銃撃戦を!

 今回プレイしてみて、次世代機だからできる表現の幅に驚きつつ、VR向けFPSだから味わえるスリリングな戦場や射撃体験は、ふだんFPSをよくプレイしているだけにより新鮮みを感じました。銃を撃つ感覚が本当にリアルで気持ちいいんですよ。

 『Firewall Ultra』は2023年に配信予定。すこしでも気になった方は傭兵デビューしてみてはいかがでしょうか。

開発スタッフインタビュー:次世代機だからできた表現や気になるパワーアップした要素は?

 体験後には、First Contact Entertainmentのストラテジックコミュニケーションマネージャーを務めるデビッド・ジャグノー氏へ、合同メディアインタビューを実施。前作からパワーアップした点、次世代機だからこそできた表現などを伺った。

デビッド・ジャグノー

First Contact Entertainment ストラテジックコミュニケーションマネージャー。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ

――前作から約5年ぶりの新作となります。前作をプレイされたファンから新作を臨む声は多かったのでしょうか?

デビッドオンラインのコミュニティーから新作を望む声は多かったです。前作の良かった点を今回に活かし、次世代機ならではのポイントを活かした制作ができたと思っております。

――本作はグラフィックの進化を実際に体験して感じました。実際にプレイヤーに注目してほしい点はどこでしょう?

デビッド“Unreal Engine 5”によりグラフィックが向上し、より没入感のあるものになっていると思っています。とくにライティングのビジュアルは力を入れたポイントです。ダイナミックライトを採用し、懐中電灯の灯りや暗い場所の表現などをリアルに表現しています。

――PS VR2に移行して変わったシステムを教えていただきたいです。

デビッドPS VR2の“視線トラッキング”システムは、本作において大きなポイントです。目を閉じるとフラッシュの影響が受けなくなるといった機能が実装されています。

 また、エイムをしているときに、片目を閉じるとスコープシステムが起動してエイムがよくなるといった効果、倒されてしまったときに、視線トラッキングで敵を補足すると、味方に敵を映して場所を知らせるといった効果もあります。

 ほかには指検知センサーがあります。これにより、トリガーを引いたときに、銃ごとに異なるテイクフィードバックを受けることができるようになっています。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ

――前作のよさを引き継ぎつつ、逆に刷新した点はありますか?

デビッド大きな変更点は専用のサーバーを使っている点で、接続が安定するという意味で、これはプレイヤーにとってかなりの利点かと思います。また、今回は3マッチシステムに変更しており、PvEモード(プレイヤー対CPU)モードも新たに搭載しております。最大4人で協力プレイができるので、ぜひ楽しんでほしいです。

 もちろんPS5もPS VR2進化を遂げているハードウェアですが、コントラクター、武器、マップまですべてが進化していていて、新しいゲームとなっています。

――武器や装備のカスタマイズでパワーアップした点を教えてください。

デビッド銃やコントラクターなどすべてのカテゴリーが新しくなっています。実際にゲームの世界は前作から5年進んでいるという時間軸になっていまして、一部のマップもそれにあわせて進化してしています。

――PS VR2での快適なプレイを提供すために意識されている点はどこでしょうか?

デビッドこれは難しいポイントです。というのも感じかたには個人差があるからです。“Unreal Engine 5”やPS5の機能を使って、安定したフレームレートでの快適なプレイが実現できるよう気を付けています。

 本作では、カメラがなめらかに動いていく“スムーズターン”、段階ごとに角度を変える“スナップターン”を用意しています。これらを切り替えても酔いを感じる場合は、視界を閉じてくれる“ビネットモード”もあるので活用してください。

――試合間でロードアウトの変更は可能でしょうか? また、武器のカスタマイズについてもお聞かせください。

デビッド試合が始まっても武器の変更は可能です。攻撃・防衛チームどちらもふたつのロードアウトを装備した状態で試合に臨めます。

 また、ロードアウトのカスタマイズができ、マガジンやグリップ、スコープ、カモフラージュのペイントなどの銃自体はもちろん、コントラクターも含めて自由にカスタムできます。なお、カスタマイズアイテムは、マッチ後にクリプト(ゲーム内通貨)を獲得することができるので、集めたクリプトでアンロックしていく仕組みになっています。

――PS VR2を開発者視点で見て、これは新しいと感じた点はどこでしょうか?

デビッドVR業界に2015年から関わってきましたが、視線トラッキングがここまでうまく働いているのはPS VR2が初めてではないかと感じています。このシステムが飾りではなく、ゲームをより楽しむために組み込まれていて、よりゲームに没入できるものに仕上がっていると思います。

――『Firewall Ultra』を届けたい層は、シューティングゲームを純粋に楽しむライト層なのか、eスポーツ系のコアな層なのかお聞きしたいです。

デビッドこれについては「その両方」と答えさせてください。リロード動作を例に挙げると、複雑なモーションではなく、ボタンひとつでできたりと、VRゲームをプレイしたことがないユーザーでも簡単に遊べるゲームにしています。

 とは言え、本作は非常にチームでコミュニケーションを取り、戦略的にプレイしなければならないゲーム性となっています。前作でもトーナメントがありましたが、本作でもそのように発展していくことを祈っております。

――リリース後にアップデートなどの展開は予定していますか?

デビッド新シーズンの情報はまだ発表できませんが、我々は新シーズンを“オペレーション”と呼んでいて、ローンチ後も“オペレーション”をアップデートを出してサポートし続けたいと思ってます。それには、無料と有料コンテンツもありますし、銃やコントラクター、セーフハウスなどをアップデートしていく予定です。

――現在の開発状況を教えていただけますでしょうか?

デビッドリリースはまもなく開始できると思います。ですので、もう少々お待ちください。

――最後に本作を楽しみにしている方に向けてコメントをお願いします。

デビッドPvPモードでは友だちと遊べるのはもちろん、新たなプレイヤーと仲良くなる機会もあります。そして新たにPvEモードやトレーニングモードも用意していて、さまざまな楽しみかたができるゲームとなってますので、ぜひプレイしてみてください。

PS VR2『Firewall Ultra』先行レビュー。目線の先に照準が定まるリアルすぎる射撃に感動。VR向けFPSが次世代機で大幅にパワーアップ