2023年1月26日に日本一ソフトウェアよりNintendo Switch、PS5、PS4向けに発売された『魔界戦記ディスガイア7』(以下、『ディスガイア7』)。
本作は、ケタ違いなやり込み要素で知られる『ディスガイア』シリーズの最新作。魔界を舞台にした濃密なストーリーもシリーズの魅力のひとつだが、本記事では『7』のストーリーを彩るキャラクターを紹介しつつ、その魅力について語っていく。ネタバレは極力避けているので、未プレイの人も安心して読んでほしい。
ちなみに、『ディスガイア』シリーズは世界観を共有しているものの、ストーリーは作品ごとに独立しているため、前作のシリーズを遊んでいなくても十分に楽しめるようになっている。
- フジ(声:石川界人):悪魔らしい悪魔なのに主人公らしさもたっぷり
- ピリリカ(声:新田ひより):お母さんか上司になってください
- アオ(声:今泉りおな):なんでも破壊するが健気なところが愛らしい
- ウェイヤス(声:寺島拓篤):そのバカさに救われる。主人公一行の空気清浄機
- シーフォー(声:北川里奈):見た目はゆるふわ系なのに火薬狂い!?
- スイセン(声:河瀬茉希):流されやすいところが母性をくすぐる頭脳系
- 彼岸絶勝斎(声:近藤唯):強すぎて自分にデバフをかける最凶剣士(槍使い)
- ピーちゃん(声:堀内賢雄):悪魔なのに超有能な仕事人
- ニトラ(声:白雪 巴):天使だけどどこか怪しげな女の子
- オープナー(声:堀内賢雄):武士道を“デストロイ”した張本人
- 過去作ファンにも未プレイの人にもオススメ
フジ(声:石川界人):悪魔らしい悪魔なのに主人公らしさもたっぷり
“日ノ本魔界群”に暮らす悪魔で、主人公のひとり。外道、守銭奴、怠惰と三拍子揃った悪魔らしい性格だ。魔界においては倫理観などが我々の世界と逆転しており、たとえば、魔界で拾ったお金を懐に忍ばせることは、こちらの世界で拾ったお金を交番に届けるのと同じくらい偉いこととされている。つまり、外道、守銭奴、怠惰は、魔界の価値観で考えればとても偉いことなのだ。
そんな“偉い”悪魔のフジだが、ストーリーではツッコミ役の常識人ポジション。過剰な性善説を唱える相棒のピリリカや、彼女の有能(?)な秘書であるピーちゃんといったほかのメンバーが悪魔として異端すぎるためだ。本人はいたって正常な悪魔なのに、型破りなピリリカたちに振り回されるというギャップが見ていておもしろい。
彼は自称“人情アレルギー”であり、少しでも愛情や友情を感じたセリフを言うと、拒否反応が出て吐血してしまう。プレイを進めていると、吐血したフジを見たピリリカの「フジさぁぁん!?」というセリフを聞きなれてしまうほど吐血する。
ここまでコミカルな面ばかり紹介してきたが、どこか儚さを感じる表情や、自身の過去を隠しているなど、影がある点も魅力。筆者としては、人情アレルギーを持っているにもかかわらず、仲間の信念に基づいた行動には最終的に手を貸すという、主人公らしい一面もたまらなく好きだ。
ピリリカ(声:新田ひより):お母さんか上司になってください
ピリリカはフジとともに旅をするもうひとりの主人公。“ワヘイ魔界”からきた天然お嬢様で、重度の日ノ本魔界群オタクだ。超が付くほどの性善説主義者であり、悪人であろうとも「何か理由があって悪に染まったに違いない!」と言って寄り添う。
アパレル会社の社長でお金持ちなので、何かあるたびにお金を無心されるのだが、目的のためなら嫌な顔せず気持ちよく身銭を切る姿がかっこいい。でも、かわいそう。
悪魔であるにもかかわらず、性善説を唱え続ける善人。妄想の果てに勝手に相手に憐れみを感じ、同情するというぶっ飛んだ思考の持ち主でもある。その行き過ぎた性善説は我々の常識とはかけ離れているので、ある意味悪魔らしいと言えるかもしれない。
天然お嬢様でお金持ち、そして悪人にも同情するほどの善人。こうして並べるといわゆるバカキャラのようだが、芯がしっかりしていて折れない信念を持っているので、不思議とかっこよく見えてしまう。みんなの考えに肯定するやさしさから、母性を感じてしまう人もいるだろう。筆者がそのひとりだ。ピリリカさん、お母さんになってくれませんか?
魔界シップ(拠点)の社員たち全員から好かれていて、ピリリカの人望がわかるので、拠点での社員との会話もぜひ楽しんでほしいところだ。社員にもなりたい。
アオ(声:今泉りおな):なんでも破壊するが健気なところが愛らしい
フジを「お父さん」と呼び慕う、謎めいた少女。フジには子どもらしく甘える一方で、フジ以外の者には容赦がなく、自分の邪魔をする者は圧倒的な力でグチャグチャに“破壊”する。
実際、物語の途中で何の前触れもなく突然現れて、城を破壊してしまう。その素性に関しては、記事1本かけるほど熱く語りたいところだが、大きくネタバレを含んでしまうため本記事では割愛する。
アオの最大の魅力と言えば、なんといっても健気なところ。「お父さんのために」、「お父さんが喜ぶなら」と、行動理念は“すべてフジのためになるかどうか”である。話で聞けばかわいいものだが、問題はあまりに強大な力を持っているため、姿を見たものからは恐れられている。
周囲にひたすら迷惑をかけている一方で、フジはアオの行動に対して、なぜか嫌がっている表情は見せていない。フジとアオのストーリーは本作の中でも屈指のポイントとなっており、筆者のオススメのパートのひとつである。ぜひ本作をプレイしてチェックしてほしい。
ウェイヤス(声:寺島拓篤):そのバカさに救われる。主人公一行の空気清浄機
愛すべきバカ。ウェイヤスというキャラクターを見たらほとんどの人はこう思うはずだ。彼はビビりでヘタレでナルシストな大穢戸幕腐のお飾り将軍。女好きで、金で雇った舞妓をはべらせては日々宴会に興じている。
絵に描いたようなバカキャラだが、嫌悪感を抱くようなバカではなく、フジ一行によくないことがあって全員が落ち込んでいるときでも、明るく振る舞って周囲の陰気を払ってくれる。彼の“バカ”は自信家で周りに気を使えるという長所でもあるのだ。さらに、物語の中ではかっこいい一面も見られる。
かつて日ノ本魔界を統治していた名家“エドガワ”家の生まれなので、血筋はかなり強い。選ばれたものにしか扱えない始祖の七振りのひとつ“神杖・説革天下(トクガワテンゲ)”に選ばれており、秘めた力はあるはず……?
シーフォー(声:北川里奈):見た目はゆるふわ系なのに火薬狂い!?
日ノ本魔界にその名を轟かせる“界盗義賊マウス★ガール”の正体で、“魔改神器”を狙って活動している。武具や爆発を見たり、火薬のニオイを嗅いだりすると人が変わる火薬&武具マニアで、長期間火薬のニオイを嗅がないと体調が悪くなってしまう。
好きな武具のことを“推し”と呼んでいるほか、謎の粉を鼻から吸い、「火ィーー破ァーーー!!」とテンションを上げる、ちょっと怖い人でもある。たれ目でおっとりとした顔つきなのに、悪魔の中でもかなりクセ者な爆弾魔だ。
一部の悪魔しか知らない情報を知っていたり、“イワシ魔界”の人たちにやさしい一面を見せたりと、謎の多い女の子だ。クセモノぞろいのフジ一行の中で、意見をまとめたり、みんなをたしなめたり、士気を上げたりする、地味に重要な役割を担うこともある。
ゆるふわでかわいい外見と、テンションが上がったときの盛り上がりっぷりのギャップは、一見の価値あり。ちなみに、ゲーム中、イラストや3Dで顔の仮面を付けたり、外したりできるため、好みの外見を選べる。
スイセン(声:河瀬茉希):流されやすいところが母性をくすぐる頭脳系
“幕腐”の重鎮“予知奉行”であり機械仕掛けの身体をもつ少年。見た目は幼いが戦闘能力は高く、情報処理能力で未来を予知して戦う。ふだんはロボットじみた淡泊な口調だが、ときには見た目通りの子どもらしい発言をすることもある。
幕腐とは、簡単に言うとフジたちの敵で、“○○奉行”という幹部たちが存在する。スイセンはそのひとりである。しかも、他の奉行たちと比べて戦闘能力がかなり高いことがフジたちの会話からわかる。
筆者が思うスイセンの魅力は、データに基づいて話す頭脳系のキャラクターでありながら、フジたちの突拍子もない会話や展開に流されてしまう、ちょっとかわいそうなところ。筆者は男だが、存在しない母性がくすぐられてしまう。
また、ピリリカのとぼけた発言に対し、真面目に返答することから、根は悪くなさそうなところが伝わってくる。
数々の奉行を倒し、悪名高いフジたちを前にして、まったく物怖じせず、それどころか負ける要素が限りなくゼロに近いとまで豪語している。
そこまで強いスイセンがどうして幕腐で使役されているのか、その理由もストーリーの中で語られる。淡白なキャラクターが自分をさらけ出す姿が嫌いな人はいないのではないだろうか?
彼岸絶勝斎(声:近藤唯):強すぎて自分にデバフをかける最凶剣士(槍使い)
彼岸絶勝斎(ひがんぜっしょうさい)は日ノ本最強の剣豪であることを示す“絶勝斎”の称号を持つ女性。フジに剣を教えた師匠であり、彼いわく「日ノ本でいちばん強くてえげつない、最凶最悪の剣士」。
剣豪であるため、本来は剣を扱うのだが、剣を使うと強すぎて戦いにならないため、いまは槍を極めている最中。初登場の際、剣の武器熟練度が圧倒的に高い状態で現れ、絶大なインパクトを残す。しかし使用武器は槍である。
筋が通っていないことが嫌いで、物事を勝負で決めようとする節がある。あまりに強すぎるため、日ノ本の悪魔から恐れられているが、じつは温情深く、姉御肌の人物。
彼女が使う固有技はどれもド迫力で、使っていて気持ちよさすらある。ちなみに、強すぎるあまり自分に枷をかけている点はゲームプレイの面でもしっかりと表現されており、みずからにデバフをかける能力がある。物語だけではなく、能力でも個性が演出されているのがおもしろい。
フジの元師匠という関係から、フジは彼岸絶勝斎に対して理解があることが会話から伝わってくる。フジが「師匠は○○だから……」と半ば諦めかけている掛け合いは、ストーリーの見どころのひとつである。
ピーちゃん(声:堀内賢雄):悪魔なのに超有能な仕事人
ピリリカが幼いころから彼女に仕えている、特別製秘書プリニー。プリニーとは、魔界にあふれかえっているもっとも位の低い悪魔のこと。シリーズでは一貫して不遇な扱いを受け続けているのだが、ピーちゃんは秘書としての有能さからか、ピリリカから信頼されている。
かわいらしい見た目に反して、かなりビジネスライクな会話をする。リスクヘッジや交渉など、優秀な仕事ぶりでピリリカをサポートするが、いざピリリカが危険に陥ると、仕事とは関係ないと自分は真っ先に撤退する。
拠点となる魔界シップでつねに待機しているキャラクターで、拠点に立ち寄ると会話を楽しめる。メインストーリーに大きくかかわることはないが、とある理由でプレイヤーをかなり驚かせる存在でもある。
ときには武闘会の実況を務めるなど、優秀な仕事ぶりはジャンルを選ばない。物語が進んだら、真っ先に話しかけたくなるという、プレイヤーの癒しでもある存在だ。
ニトラ(声:白雪 巴):天使だけどどこか怪しげな女の子
幕腐に襲われていたところをフジに助けられた、物腰柔らかな天使。天使の彼女がなぜ魔界にいるのか、彼女の目的は何なのか、その行動には謎が多い。『ディスガイア』シリーズでは、天使と悪魔が登場するのが通例となっており、本作では彼女が天使として登場している。
自分の考えはあまり曲げない、ちょっと面倒くさい系の性格をしている。ネタバレになってしまうのであまり多くは語れないのだが、謎が解けた後の展開は、フジとアオの物語に負けず劣らずの熱いものが待ち受けているので、ぜひ自分の目で確かめてほしい。
オープナー(声:堀内賢雄):武士道を“デストロイ”した張本人
訓練された悪魔で構成される軍事組織“界軍”のトップで、フジたちが掲げる目標の終着点にいる人物。日ノ本魔界群を支配下に置き、武士道を重んじる伝統的な価値観を大きく捻じ曲げた。始祖の七振りのひとつ“神拳”を持ち、その圧倒的な武力で武士たちを支配している。
もともとは日ノ本魔界群の生まれではなかったが、軍事組織“界軍”を率いて、現在の日ノ本魔界群を統治している。魔提督という立場上、ニトラ同様、多くのネタバレを含むキャラクターである。全宇宙の悪魔の解放を目論んでいるという清々しいまでの悪役だが、物語を進めると彼のバックボーンも描かれるので注目だ。
過去作ファンにも未プレイの人にもオススメ
さて、ここまで紹介してきたように、超個性的なキャラクターたちは本作の大きな魅力。過去作に負けず劣らずのユニークなメンバーが揃っているので、まだ手が出せていないシリーズファンにも強くオススメしたい。
また、「シミュレーションゲームが苦手で遊びにくい」、「やりこみ系ゲームと聞くと、プレイ時間が気になって遊べない」という人もご安心を。しっかりヘルプ機能が実装されているため、シミュレーションゲーム初心者でもわからないところはすぐに調べられるようになっている。ぜひ本作で推しを見つけ、最凶に育成してほしい。ついでに言うと、クリアー後の感想も見てみたい。フジとアオ、いいですよ。
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