バンダイナムコエンターテインメントよりプレイステーション5、Xbox Series X|S、PC(Steam)で発売予定の、3D対戦格闘ゲーム『鉄拳8』(発売日は未定)。
本作は全世界累計販売本数5400万本を突破する『鉄拳』シリーズの完全新作。アーケードにて2015年に稼動開始した前作『鉄拳7』から数えて約8年ぶりの新作発表となり、喜んだファンも多いだろう。
本記事ではメディア体験会を踏まえての、開発陣へのインタビューをお届け。
安田直矢氏(やすだ なおや)
『鉄拳』シリーズ マーケティングプロデューサー。
バンダイナムコエンターテインメントのeスポーツの旗振り役としても活躍しており、『鉄拳』シリーズでは“TEKKEN World Tour”なども仕掛ける。その際の通り名は“安田イースポーツ”。
池田幸平氏(いけだ こうへい)
『鉄拳8』開発プロデューサー兼ゲームディレクター。
『鉄拳7』よりゲームディレクターとしてバトルシステムなどのゲームデザイン全般を担当。元プレイヤーで、通称“ナカツ”としても知られている。
ゼロベースで制作中の『鉄拳8』
――今回ゲームを遊ばせていただいた感想を交えながら、いろいろとお聞きしていきます。まず、グラフィックの進化にはやはり驚きました。綺麗でありながらも、対戦格闘ゲームらしくスピーディーかつスムーズなゲームを構築するのは、たいへんだったのではないでしょうか。
池田実際とてもたいへんでした。今回の『鉄拳8』は、背景はもちろんのことキャラクターのモデルから、さらにキャラクターたちを動かすために必要な、骨のような存在である“リグ”という部分まで、ほぼゼロの状態から作っています。
何もないところから“次世代の『鉄拳』を作る”ことを目標に、絵作りを進めていきました。本作は“Unreal Engine(アンリアルエンジン)5”を採用していることから、綺麗なグラフィックを出すのは比較的楽にできました。ただ、ライティングには苦労したところで、光の加減を少し変えるだけで見えかた大きく変わってしまったりと、いろいろと試行錯誤を重ねました。
それだけではなく、本作は対戦格闘ゲームですから、プレイヤーの戦いやすさも重要です。見た目をリッチにすること、そして戦いやすさを担保することは、デザイナーチームとバトルチームのせめぎ合いで決めていきました。
――また、技などの画面エフェクトがこれまで以上に派手になっていて、しかもキャラクターそれぞれの個性につながっているように感じました。そこはキャラクター性を強めるために、エフェクトに個性付けをしたのでしょうか?
池田本作のテーマのひとつが“アグレッシブ”です。見た目もゲーム性もアグレッシブにしようということで、エフェクトも派手にしています。ド派手で気持ちよく、そしてキャラクターらしさも感じられるエフェクトはどんなものがいいだろうか? といろいろと試しながら作っていきましたね。
ただ、すでにPVなどでご覧になった一部ユーザーからは「まぶしい」、「みづらい」などの意見があることは把握しています。そういった意見は取り入れながら調整しつつ、プレイヤーの皆さんのほうで調整できるような機能を実装などを検討しています。
――具体的にはどのような?
池田たとえばエフェクトの明るさなどを調整できる機能ですとか、単純にエフェクトの光り具合を抑えたり、ですね。現在開発中のものはベータバージョンよりもかなり先のバージョンになるのですが、すでにエフェクトを調整したりしています。ド派手で爽快なエフェクトを実現しつつも、遊びにくさにつながってしまう部分でもあるので、そこはしっかり調整を重ねたいです。
安田難しいところですが、当然開発チーム内のみで見てきた絵作りですので、どうしても皆さんによりよく見てもらうために“見栄え”を優先しているのは、事実かと思います。チューニングについては、ここからの仕事になるのかなと。
――そこへ、さらにeスポーツ的な視点も混じってしまうと、なかなか難しいところに見えますね。
安田競技シーンに特化した意識をしてしまうと、エフェクトはもはやなしのほうがよく、ヒットしたかしてないかの確認エフェクトが出るくらいの地味さがベストになってしまいます(笑)。僕たちが作っているのは競技ではなく、“ゲーム”なんです。遊んでいて気持ちよくなってほしいですし、感動してほしいです。とはいえ、対戦格闘ゲームとしての重要な部分も把握しているつもりです。そこの落としどころは、今後も課題になるでしょう。
池田いきなり地味なところからスタートしてしまうと「このゲームなんか地味だな」という印象になってしまいますから、まずはド派手なところから、今後いい塩梅のところに合わせていければなと思います。
――キャラクター選択画面では、キャラを選択するとリアルタイムレンダリングの3Dモデルが表示されて驚きました。
安田気付いていただいてありがとうございます。本作はプレイステーション5、Xbox Series X|S、PCと現行機のみの展開に絞ってますが、2D画像やプリレンダリングムービーではなくリアルタイムレンダリングでこうやって表示できるんだ、と最初見たときは自分も感動しました。
――『鉄拳7』では、プレイヤーから「対戦前のローディングが長い」という声が多く挙がっていたかと思います。今回試遊させていただいたバージョンは『鉄拳7』ほどではないですが、5秒くらいはローディングがあったように感じました。製品版ではもっと早くなったりしますか?
池田試遊していただいたバージョンはそのあたりの最適化はされておらず、製品を仕上げて行く中でチューニングされていく部分です。プレイヤーの皆さんは早く対戦したいと思うでしょうし、僕個人としても対戦にはいち早く臨みたいので、そこはしっかりと改善していきます。
操作と細かなシステムについて
――ビジュアルの発表からこれまでのPVなどを見ていて、少し気にしていたのは、操作感までガラリと変わっているかもしれないことでした。「もしかしたら“山ステ”などのテクニックも消えているのでは?」と。ですが触ってみて安心したのは、本作が『鉄拳』であることでした。
安田そこは本当にすごく大事にしました。
池田とてもいいことを言っていただいて、ありがとうございます。『鉄拳』の“鉄拳らしさ”は人それぞれあると思いますが、僕がとくに大事にしたのは操作感です。動かしているだけでとにかく気持ちいい、プレイフィールの部分でいう“鉄拳らしさ”は重視しています。
ただそれを実現するだけでは、『鉄拳7』と変わらないことになってしまいます。そこで新作感を出すところには、地味ながらに苦労しました。変わってないことだらけになると、「いままでと何もかわらない」とも思われてしまいますから。そこはかなり時間を掛けて、要素として取り入れています。
――新要素のスペシャルスタイルは遊びやすくも、駆け引きの基本が学べる&手軽に出せて、とてもいいシステムに見えました。
池田まず初心者向けの操作方法を作るときに考えたのが、右手だけで『鉄拳』の駆け引きを、気持ちよく味わえるシステムでした。どうすればそれが実現できるのか考えて割り当てたたのが、中段と下段で敵のガードを崩す、二択の駆け引きができるボタン。そしてボタンを連打するだけで『鉄拳』の醍醐味である空中コンボがくり出せるボタン。そして新システムの“ヒート”にまつわるボタンです。これで、初心者の人もカジュアルに『鉄拳』が楽しめます。
ただ、スペシャルスタイルのスタートは初心者向けの操作でしたが、最終的には中級者、上級者にも恩恵があるものになりました。たとえば一般的なプレイヤーの場合、メインとしているキャラクターの技は把握していると思いますが、それでもせいぜい1~3キャラクターくらいでしょう。ポールは使えるけど、キングは使えない。でもちょっとキングのことが知りたい、となったときにスペシャルスタイルで触ってもらえば「ああ、こういうキャラなんだ」と取っ掛かりを知ることができます。
スペシャルスタイルはバトル中いつでも切り替えることができますから、スペシャルスタイルで「ああ、こういうキャラクターなんだ」と把握してから、通常操作である“アーケードスタイル”で確認できるわけです。ほかのキャラクターを触ってみるハードルが、ひとつ下がる効果が出たと思っています。
――また、バトル中いつでも切り替えられるおかげで、上級者も「ここのコンボは絶対に失敗したくない!」といったときに使えそうですよね。
池田そうなんです。決められた技しか出ませんが、ワンボタンで確実に技が出せます。コンボミスをしたくないここぞというときや、最後のトドメの一撃を当てたいとき。絶対に“レイジアーツ”を当てたい場面などでも使えます。全ユーザーに恩恵があるシステムにすることは、とても意識していました。アーケードスタイル、スペシャルスタイル、それらすべてを合わせたシステムが、『鉄拳8』の操作方法なんです。
安田やはり『鉄拳』シリーズは操作が難しい、というイメージを持っている人は多いと思います。そういった方々にも、『鉄拳』ならではの、本質的な駆け引きをすぐに味わってもらえるので、とてもいい操作になったかと思います。また、誰でもすぐにキャラクターが使えるようになるのもいいですよね。社内でも、いろいろなキャラクターを使ってワイワイ対戦したりしていますよ。
――割り当てられている技も、キャラクターを代表するかのような技がポンと出せたりして、気持ちよかったです。たとえば三島一八なら、出すのが難しい代表的な“最速風神拳”が出たり。
池田そうですね。そのキャラクターを使うにあたって、今後も使っていきたい派手でカッコイイ技を選定しています。ただ上級者の方々が気にされるのは、きっと「最速風神拳がワンボタンで出ていいのか? 強すぎないか?」ということだと思います。
アーケードスタイルで、本当に最速入力で出した最速風神拳のほうが圧倒的に早く、スペシャルスタイルで出す最速風神拳は少し遅めに出るように調整しています。ですので、スペシャルスタイルはバランス面も考慮したシステムになっています。
――ああ、技の属性としては最速風神拳なんですが、いわゆる技の発生フレームは遅くしていると。たしかに触って「ちょっと遅いな」と思っていました。
池田はい。本当の意味での最速ではありません。そこは最速風神拳の体験版のようなものだと考えてもらえれば。これで実際に自分で出したくなったら、練習あるのみです(笑)。
――スペシャルスタイルは打撃がメインで、投げ技の得意なキングはどうするんだろう? と思っていたら、打撃ヒット派生の投げ技が自動で出るものが選定されていて、「なるほど!」と思いました(笑)。
池田キングを調整しているスタッフがそこをしっかりと意識してやってくれたので、きっとそれを聞いて喜ぶかと思います(笑)。頭を悩ませつつも、キャラクターたちの醍醐味をどう味わってもらうのか、しっかりと技選びをしています。
――わかりました。新要素のヒートシステムは一見複雑そうに見えるのですが、どのように覚えていくのがベストでしょうか?
池田1から10まで、最初から覚え切ってほしいとは思っていません。ヒートは、一定時間自分がパワーアップできるシステムです。『鉄拳』は、いろいろな技の中から使えそうな技を自分で決めて、攻めていくのが基本です。ただ、自分がいつ攻めるタイミングなのかというのは、いまいちわかりにくいところでした。
ヒートが発動すると、自分がパワーアップしますから、自分の攻めどきだとわかりやすくなっています。また、“ヒートスマッシュ”という、『鉄拳7』におけるレイジドライブのような超強力な技がくり出せます。
ですので、まずは“ヒートスマッシュ”を当てることだけを意識してほしいです。たとえば使うヒートスマッシュが中段攻撃だったら、ほかの下段攻撃さえ覚えてしまえば、あとは下段と中段の二択を、パワーアップ状態で迫ることができます。
安田ヒートシステムで最初に覚えるべきなのは、ヒートが絶対に発動する攻撃“ヒートバースト”を出して、それからヒートスマッシュを狙うことです。まずはそこだけ考えて、習得するのがオススメです。
――なるほど。一度に全部使いこなすのではなく、ふたつのシステムだけまず覚えればいいと。
池田はい。スペシャルスタイルはそういったシステムを覚えてもらうためにも、使えるかと思います。Youtubeで公開したゲームシステム解説動画からも「システムが複雑なのでは?」という懸念する声は聞いていますが、あれはゲームの奥行き部分をすべて見せているからです。
ですので、固有技でヒートが発動できる”ヒート発動技”、技をキャンセルしてダッシュができる“ヒートダッシュ”、“ヒートエナジー”の概念などは、あくまでやり込み要素となっていて、上級者向けとして用意している部分です。
――固有のヒート発動技は、当たると突然ヒートになるので、ちょっと驚いてしまう部分もありました。どのような狙いがあるのでしょうか。
池田まず固有技に紐づいた”ヒート発動技”は、そのキャラクターの代表的な技となっているので、それを覚えるだけでヒートを絡めた立ち回りができるように設定しました。
強制的にヒートが発動するのは、その技を当てた時点で絶対的な有利な状況になっている点と、ヒート中の強化要素が使えるようになるため、攻めたほうが絶対にお得なんですよね。そこで攻めれば試合の流れが自分に傾くかもしれません。それを後押しするために、強制的に発動するようにしました。
――『鉄拳7』では極まってしまうと、とにかく攻めずに睨み合いが続くシーンも少なくなかったです。そこを打破するために攻め重視のシステムにしたのでしょうか?
安田いえ、「『鉄拳7』ではこうだったので、このシステムを入れました」というデザインにはしていません。ゼロから『鉄拳』シリーズらしさを考えた結果、“アグレッシブ”をコンセプトにしようと決めて生まれたシステムです。『鉄拳7』での極まった立ち回りも、それはそれで完成形のひとつだと思っています。
池田基本は攻め側が得をするシステムではありますが、防御重視の立ち回りも可能です。そこは『鉄拳』の幅広さとして残っています。相手の攻撃を受け止めながら攻撃できる“パワークラッシュ”は、より防御重視の性能にもなっています。
――そうだったんですね。“回復可能ゲージ”の攻防は、おそらくかなりマニアックで、上級者向けの要素ですよね?
池田超上級者向けです。基本的には、回復可能ゲージは見なくていいと思います。というか、最初は目に入ってこないと思います(笑)。攻めていれば利益があるんだなくらいの認識でよくて、回復したり相手のゲージを削ったりするのは、すべてをマスターしてから覚えればいいことかと。
キャラクターについて
――今回、多くのキャラクターがこれまで以上にいままでのビジュアルよりも、個性がより強められたように思います。
池田新作であり、現世代機で描くからこそ、新規感を出したかったんです。もちろんこれまで通りのイメージのままのキャラクターもいますが、情報量が増えていたり、密度の高いビジュアルを目指しました。とはいえ、あまりに変えすぎてパッと見て「これ誰?」とはなってほしくなくて。
――たしかに、ポールはトレードマークだった縦長の髪型ではないですが、しっかりポールと認識できます。『鉄拳4』のビジュアルを知っているからかもしれませんが。
池田ポールは『鉄拳4』で髪を下ろしていましたし、逆にトレードマークの髪型を変更するほうが、新しいポール像を作れると思ったので、今回の髪型になりました。『鉄拳』シリーズの4の倍数のナンバリングと4がつくときは、ポールが髪を下ろすというお決まりを今回作りましたので、たとえば“鉄拳12”のときにもポールは髪を下ろしているでしょうし、鉄拳40以降はすべて髪を下すはずです(笑)。
とはいえ、やっぱり好きなのはいつもの髪型ですよね。カスタマイズであの髪型にもできるので、そこはご安心ください。
――カスタマイズ、というと『鉄拳7』くらいのキャラクターのコスチュームカスタマイズ要素があると思っていいのでしょうか?
安田イメージとしては、そんな感じです。ただシステムとして、どういったものが変えられるのかなど、具体的なカスタマイズ要素については、今後の続報をお待ちください。
――わかりました。あとジャック8は、もう見た目からして歴代でいちばん作るのがたいへんそうなジャックに見えました。外側だけじゃなく、腕の内部の動きなどもよりリッチになっていて驚きました。
池田『鉄拳7』のジャック 7は量産型のロボットでしたが、ジャック 8はワンオフの一機しかない究極のジャックシリーズです。かなりギミックにもこだわっていて、バリアやレールガンなどを駆使する、とんでもないロボットに仕上がりました。キャッチコピーが“アルティメットマシーン”であるように、コンセプトは究極のジャックを作ることでした。
ただ、最強のロボットを作りたいわけではなく、あくまで作るのはジャックシリーズです。ちょっとコミカルなところもジャックのよさなので、そこも忘れずに取り入れています。たとえばレイジアーツで、レーザーを撃ったあとに自分まで吹き飛んでしまうジャック8の姿などは、参戦PVにもありますのでぜひ見てみてください。
――また、マーシャル・ロウがヌンチャクを武器に、ニーナが二丁拳銃を武器にした技があります。これまで、吉光がそもそも刀を使ってますし、チェーンソーだのを振り回す人もいますし、カスタマイズアイテムもあったので違和感には思いません。ただ、意識的に武器を使う人を増やしたように思います。そこはキャラクターの個性をより強めるために採用されたのでしょうか?
池田「このキャラクターはこうだよね」というイメージが、プレイヤーの皆さんそれぞれにあると思います。たとえばニーナは、暗殺格闘術の使い手です。“サイレントアサシン”というように、クールに戦う女性だと思います。そこから個性を伸ばそう、というときに暗殺者の部分を伸ばしたところ、クールに二丁拳銃を使ったアクションで魅せるキャラクターになりました。
ロウも過去にヌンチャクを持っていたことがあったので、だったらヌンチャクが使えるアクションが使えるようにしようじゃないかと。武器を使わせよう、というよりは「このキャラクターを使ってみたい」と思ってほしくて、それぞれの個性を伸ばした形です。
――ちなみにニーナのレイジアーツの技名は、PS2で発売されていたニーナが主人公のスピンオフタイトル『デス バイ ディグリーズ』と同じものですよね。あと、一部の技に『デス バイ ディグリーズ』にあった頭蓋骨や肋骨を折る“内部破壊”システムを彷彿とさせる暗転エフェクトが発生していましたが……。
池田じつはセルフオマージュとして取り入れています。ただのエフェクトというわけではなく、じつはバトルにも意味があります。そのエフェクトが発生する技をヒットさせると、相手の体力に残っている回復可能ゲージを消し去ることができます。
――ゲームの効果としても取り入れられていると!
池田ちなみにそういった効果のある技は、レイジアーツを除き一部のキャラクターのみが持っています。
――10キャラクターすべて触って思ったのは、風間準がいちばん変わったように思いました。プレイアブルでは『鉄拳タッグトーナメント 2』以来ですが。
池田準はナンバリングで言うと『鉄拳2』以来のメインストーリーに登場というところで、ものすごく皆さんの期待感も高いかと思います。ちょっとした変化だけでは喜ばれないだろうということで、彼女の持つスピリチュアルな力をフィーチャーして、いままでにない準のアクションに仕上がりました。
そういった部分からも、「なぜ準はこんな力が使えるんだろう?」などと、彼女のバックボーンが見えてきます。キャラクター性を立てながらも、体力を回復できたり体力を消費して発動したりと、さまざまなアクションを用意しています。ここまで発表されている10キャラクターの中でも、準はとくに気合いを入れて作っています。
――あと個人的にプロレス好きなんですが、キングはこれまで以上にモーションや技の印象が素晴らしかったです。ビジュアルの見た目的には、そこまで変わらないのに。
安田キングのPVは社内的な評価もメチャクチャ高くて(笑)。
池田僕も含めてなんですが、『鉄拳』チームはプロレス好きが多いんですよ(笑)。「こんな技にできないか!?」とか、会議してるときがいちばん楽しかったです。
――キングは基本鳴き声だけですし、プロレスラーだからこそ、キャラクター性を強めるというコンセプトでいくと、プロレスに振り切った感じなんでしょうか。
池田そうですね。また、性能としてもその要素を強めています。キングはヒート状態ですと、一部の投げ技を決めるとヒートゲージが回復します。また、一部の投げ技には投げ抜け不可となっていて、しゃがみ投げなども投げ抜け不可です。そのため、これまで以上に投げ技を狙うメリット、そして強みを持っています。
――上級者帯では気軽に投げ抜けされるゲームだったので、ちゃんと投げが機能するのはいいことですね。
池田今回はしっかりと選択肢のひとつとして使えるでしょう。
――また、風間仁と一八の特別な掛け合いなど、演出もこれまで以上に進化している印象です。
池田シリーズ史上でもいちばん作り込んでいると思います。特定の組み合わせの掛け合いもそうですし、ラウンド開始前にも演出を入れていて、じつはラウンドで有利を取っている側がアクションをしたり、ラウンドが同数になったときに専用のアクションをしたりと、細かい部分もこだわりました。とにかく情報量を増やすために、とんでもない物量を入れ込んでいるので、ぜひ細部まで注目してほしいです。
――ちなみにニューヨークのステージにリロイ・スミスの像が立っていましたが、つまりリロイは参戦確定ですか……?
池田銅像が立っているのは、『鉄拳7』参戦時に語られたストーリーに由来します。リロイは、混乱に包まれギャングがはびこるニューヨークに乗り込み、ギャングを撲滅してニューヨークを救ったんです。その功績を称えて、リロイ像やリロイをモチーフにしたお店がたくさん作られました。それが『鉄拳8』でのステージ内で確認できるようになっています。ですので、銅像があるからと言って参戦が決まっているわけではありません。
鉄拳8取材班:とよまん、西川くん、ベックス