仕事は疲れます
当然でしょう。
僕、つくね伯爵はファミ通の編集者としてふだんは記事の執筆や編集をしています。記事制作に付随して発生するのがコミュニケーションです。
たとえば記事の仕上がりを少しでもよくしたいなと思うと、編集部内で相談したり外部の方とやり取りする必要があります。さらに、コミュニケーションを円滑に進めるには発言のタイミングや言葉遣いも重要。
要するにめんどくさい。
通常の記事づくりと、コミュニケーションが必要な場面が深夜まで盛りだくさんな最高の一日がありました。
しかも、夕方にはAmazonで買った棚が到着。棚は便利ですが、組み立てないとものすごく邪魔。糞タイミングに届いた棚を呪い、無理やり棚を組み立てて就寝しました。
明くる日、ドロドロに疲弊した僕の心と身体に『メイド イン ワリオ』のプチゲームが染み渡りましたというレポートです。2023年3月21日で『メイド イン ワリオ』が20周年のタイミングにかこつけてお届けしております。
存在は知ってたけど未プレイ
“ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online”は“Nintendo Switch Online + 追加パック”の加入者向けのサービスで、『スーパーマリオアドバンス4』や『ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし』などがプレイできます。
そこで、何気なく起動したのは『メイド イン ワリオ』。アラサーの僕が小学生のころいちばん遊んだゲーム機はゲームボーイアドバンスです。もちろん『メイド イン ワリオ』やその後のシリーズ作の存在自体は知っていましたが、未プレイでした。当時の僕は“指を鼻に突っ込む”ワリオの下品なゲームというイメージしかなく、イマイチプレイする気にはなれなかったのです。
しかし、プレイヤー名がランダムで決まるふざけたシステムにクスッとしつつ、プレイしはじめると、音が気持ちよくて、プチゲームが異様に楽しい。ひとりなのにワーキャー言いながらストーリークリアーまで一気に遊んでしまいました。
どんなゲームかを簡単に説明すると、シンプルなプチゲームをひたすらプレイするという作品です。各ステージで異なる音楽やグラフィックを楽しみつつ、数秒で終わるゲームで遊びます。
疲れているから面倒なことはしたくないけどゲームは楽しみたい。そんな僕にブッ刺さりました。
プチゲームはアクションや脳トレ系などさまざまなジャンルから用意されています。初見のゲームへの対応力も必要なので、お気軽だけど緊張感もあります。僕が気に入ったプチゲームを紹介します。
クリアーするごとに流れる「Oh nice!」「Oh come on good!」「Come on,Come on,Oh yhea!」という英語のボイスも小気味よく、ちっちゃな成功体験をたくさん味わえます。プチゲームをクリアーし続けると、テンポアップやレベルアップして難度が高くなるのもポイント。
ゲームのバカバカしさもあってか、失敗しても「あーームズいーーミスったー!」とからりと笑えて、ストレスが溜まるなんてこともありません。テンポよくサクサクとコンテンツを楽しむTikTokなどのショート動画のようで、かなり今風なゲーム体験な気もします。
このサクサクプレイに貢献したのはNintendo Switch Onlineの巻き戻し機能。ゲームがめちゃくちゃ下手っぴなので、この要素はデカいです。難度が上がったゲームやボス戦はわりと歯応えがあります。巻き戻しなしではどこかでつまずいてほっぽり投げていました。たぶん。巻き戻しを大いに活用して1時間半でストーリーをクリアー。いまは各ステージで高スコアを目指して遊んでいます。当時挫けた方も今回の配信を機にプレイしてみては?
めっちゃオサレ
これには驚きました。本作が発売したのは2003年。ガラケーやラジカセ、セリフの言い回しなどから当時の雰囲気を感じ取れます。懐かしさもありますが、カルチャーをゲームに反映させるセンスが随所に感じ取れました。ゲームボーイアドバンスではオーソドックスなRPGしかやっていなかったので、ドット絵表現の凝ったムービーシーンを観たときに思わず声を上げました。
モナがバイトの出勤時間に間に合わせるために警察とカーチェイスをくり広げるムービー。バカバカしい手の込んだ演出。最高です。
ドリブル&スピッツのステージはタクシーの車内です。ラジオから流れてくる『声の漂う波間まで』はボーカル付きの歌謡曲!? まったく知らなかったので「えっ人の歌声が聞こえる!」と驚きました。テンポが変わると曲の雰囲気も変化する不思議な魅力を持った楽曲です。楽しいプチゲームと、哀愁溢れる雰囲が絶妙にマッチしてます。大好きなステージです。
音楽やファッション、カルチャーの感度が高くてセンス抜群な人たちが、遊び心たっぷりに仕上げたゲームでした。下品なゲームと勝手に先入観を抱いていましたが、こんなにオサレなゲームだったとは。ほんとうにすいません。完全に食わず嫌いはよくないですね。大げさかもしれませんが、もし小学生の僕がこれをプレイしていたら、音楽やファッションへの趣味が変わってまったく別の人生を送っていたかも、なんて思ってしまいました。
プレイ動画を観るだけでは味わえない、自分がプレイすることで得られる快感が溢れているゲームなので、未プレイで気になった方はぜひ遊んでみてください。