2023年3月17日にNintendo Switchにて任天堂から発売となったアクションアドベンチャー『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』(以下、『セレッサと迷子の悪魔』。開発はプラチナゲームズが手掛けている。

 本作は『ベヨネッタ』シリーズのスピンオフ的作品で、最強の魔女・ベヨネッタが、まだ幼き見習い魔女“セレッサ”だったころを描いた作品。骨太で過激なアクションが特徴の本編とはまったく異なるゲーム性で、老若男女問わず楽しめるタイトルだ。

 本記事では、『セレッサと迷子の悪魔』の制作陣へインタビュー。徹底的にこだわり抜かれた絵本の世界についてや、同時にふたりを操作する新感覚の遊びを実現した開発秘話など、さまざまなことをお聞きした。

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ティナリ・アビビ 氏

プラチナゲームズ所属。本作ではディレクターを担当。(文中は ティナリ)

田中孝治 氏(たなか こうじ)

プラチナゲームズ所属。本作では、プラチナゲームズ側のプロデューサーを担当。(文中は 田中)

西井智子 氏(にしい ともこ)

プラチナゲームズ所属。本作ではアートディレクターを担当。(文中は 西井)

神谷英樹 氏(かみや ひでき)

プラチナゲームズ所属。本作ではスーパーバイジングディレクターを担当。(文中は 神谷)

岡崎 真 氏(おかざき まこと)

任天堂所属。本作では、任天堂側のプロデューサーを担当。(文中は 岡崎)

香田 瞳 氏(こうだ ひとみ)

任天堂所属。本作では、コーディネーターを担当。(文中は 香田)

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

物語に沿って作られた世界観とシステム

――まずは本作の開発経緯を教えてください。

神谷きっかけは、『ベヨネッタ3』について任天堂さんとお話ししていたときのことです。『ベヨネッタ3』を発売するにあたり、なにか特典を付けたいという話し合いをしていて。いろいろなアイデアを出していく中で、任天堂さんから「ベヨネッタの前日譚をミニゲームで出せないか」という案が出てきました。

 じつはそれ以前から稲葉(敦志氏。プラチナゲームズの代表取締役社長)と、「ベヨネッタの昔の話を作りたい」と雑談レベルの話はしていたんですよ。その任天堂さんのアイデアを稲葉が見逃さず「やるのであればミニゲームではなく、本格的なプロジェクトにしましょう」とお願いをして、動き始めました。

岡崎実際にプロジェクト化するとなった際、『べヨネッタ3』とは別方向で『ベヨネッタ』シリーズを盛り上げていきたい気持ちがありました。シリーズ作を知らない人や、初代『ベヨネッタ』は遊んだけれどシリーズ作からは離れてしまった人などにも『ベヨネッタ』シリーズを見てほしい。そんな気持ちを込めて本作の制作が決まりました。

――雑談レベルで構想はあった、ということですが、初代『ベヨネッタ』の時点でそういったものを考えていたのでしょうか?

神谷僕は野望をたくさん持っていて、たとえばジャンヌ(ベヨネッタの幼馴染で、シリーズ作品に欠かせない存在)を主人公にしたゲームを作りたいということも、よく言っています。あくまで、“妄想”ですが(笑)。

 そういったスタッフ間での妄想話の中で、「『ベヨネッタ』の対戦格闘ゲームを作りたいよね。だったらセレッサも登場させたいよね」みたいな話もしていたんですよ。

 「対戦格闘ゲームになったら、セレッサは闘えなくない?」、「いやいや、チェシャのぬいぐるみが何かの力を宿してたりすれば、セレッサも闘えるでしょ!」みたいな話をしていて(笑)。そんな雑談レベルですが、『ベヨネッタ』のキャラクターたちにほかの活躍の場を与えたい、という思いはずっとありました。

――ではプロジェクトがスタートしてからは、どんなふうに本作の内容を固めていったのですか?

神谷まずはゲームの企画を起こしてみる前に、誰にディレクターを任せるのかを、社内企画コンペで決めました。企画マン3人に、“ベヨネッタの幼少期を描く”というテーマでゲームデザインをしてもらったんです。その候補の中のひとりが、ティナリでした。

ティナリそのときは、神谷さんが提示したちょっとしたプロットのほかに、じつはテーマ曲がすでにありました。僕はすごく変わったゲームが好きなので、テーマ曲を聴きながら、変わったゲーム性でセレッサとチェシャの関係性を描こう、と具体的なゲームの内容を決めていったのを覚えています。

神谷じつは正式なプロジェクトとして走り出す前に、稲葉と話をしてテーマ曲を先行して制作したんです。テーマ曲があったほうが、いろいろと話が進みやすいだろうということで。

――2022年10月28日発売の『ベヨネッタ3』から、ほぼ間隔を空けずに発売されます。ということは、開発は同時進行でしたか?

岡崎はい。『ベヨネッタ3』は2017年に発表されましたが、すでにあの時点で本作のプロジェクトも動いていました。そこから約5年の時を経て、ようやく発表できたわけです。長いあいだ発表できなかったので、プラチナゲームズの皆さんには、もどかしい思いもさせてしまったかもしれません。

神谷どのタイトルでもそうですが、プロジェクトが発表されたら何かしらユーザーから期待の声が挙がると思います。その声が開発のモチベーションにつながることも多いのですが、本作はそれがなく黙々と裏で作り続けていたので、開発スタッフたちはたいへんだっただろうと思います。

 ちなみに、愚痴を言いたいワケではないのですが、『セレッサと迷子の悪魔』と『ベヨネッタ3』のどちらが先に発売されるのかは、途中まで僕たちも知らなくて(笑)。

岡崎任天堂としては、どちらを先に発売したほうが、『ベヨネッタ』シリーズ全体をより盛り上げられるのか、開発状況を見ながら検討を重ねました。最終的には既存のファンの方々が待望している『ベヨネッタ3』をまず届けたうえで、新作である本作の発表・発売へとつなげることにしました。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――開発が同時進行ということは、開発チームは完全に別チームだったのでしょうか?

田中そうです。ただ、内部では情報共有をして、どのようなゲームになるのか、ストーリー展開などはお互いに把握していました。

神谷同時に作っているからこそ、世界観には密接な関係があります。どちらも遊べば、より深い体験が味わえるでしょう。当然『セレッサと迷子の悪魔』だけでも楽しめますよ。

――ちなみに、『ベヨネッタ3』には本作のデモ版が隠し要素として登場しましたよね。遊んだときには「これ何なの!? 次回作の構想!? オマケ要素!?」と非常に驚かされましたが、どういった狙いで登場させたのでしょうか。

田中まさに、そういった反応でユーザーさんに驚いていただきたくて取り入れた要素です。やはり開発は同時進行だったので、お互いのプロデューサー、ディレクターが相談して「2作品が連動する要素を何か入れたいね」という話になりまして。そして、どちらから先に遊んでも驚かせられる要素を入れようということで、『ベヨネッタ3』に『セレッサと迷子の悪魔』のデモ版を登場させました。

岡崎同じシリーズタイトルを同時進行で開発するというのはなかなかないことです。そのチャンスを生かしつつ、お客様をより驚かせたかったんです。またデモ版が遊べることや、それが『セレッサと迷子の悪魔』であることは、公式側からは語りませんでした。『セレッサと迷子の悪魔』発表時に「アレはこのゲームのことだったのか!」と答え合わせになるだろうと。驚いてくれた方々が多くてうれしかったですね。

――ティナリさんが初ディレクター、西井さんも初アートディレクターです。ゲームに新しい風を吹かせるために、あえて抜擢したのでしょうか?

ティナリ僕がディレクターになった後、アートの企画コンペもしたんですよ。そこで、西井のアートが『セレッサと迷子の悪魔』にマッチしていたので、西井に任せました。

西井その時点からテーマが“絵本”になった感じですね。じつは私は、以前に『ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン』や、スクウェア・エニックスさんの『ニーア オートマタ』(開発:プラチナゲームズ)でも、絵本に関するパートに関わっていました。それもあって、今回ゲーム全体を絵本で作り切ることになったのには、とても感慨深い思いがありましたね。

神谷ですので、僕のほうからゲームに“新しい風を吹かせたい”と無理をして若手スタッフを抜擢したというわけではなく、ふたりとも自分の実力で勝ち取った座なのです。

岡崎その一方で、任天堂としてはその“新しい風”のような狙いもあり、香田に参加してもらいました。香田は『ベヨネッタ3』にも少し関わっていましたが、『ベヨネッタ』シリーズのことは正直詳しくありませんでした。あえて詳しくないスタッフを入れて意見をもらうことで、『ベヨネッタ』シリーズを遊んだことがない人にも、新たな魅力をお届けできるのではと。

香田私は本作の存在を知ったとき、西井さんの描く絵本のようなアートを見て、このゲームの世界観にグッと引き込まれたんです。そこで当時の上司にお願いして、本作の制作に関わらせてもらえることになりました。

――香田さんはコーディネーターとのことですが、具体的にはどのような役割だったのでしょうか?

香田岡崎が言ったように、シリーズ作に詳しくないからこその視点で意見を出す立場でした。たとえば、本作は絵本の世界観で描かれる物語なのでナレーションも存在します。そうすると、プレイヤーがお話を聞くだけの時間が長くなりがちだったりしました。

 そこでプラチナゲームズさんと相談して、イベントシーンのあいだに操作可能なシーンを増やしたり、絵本のページめくりを自分好みのペースで行えるように複数の選択肢を用意したりすることで、心地よく読み進められるように調整していただきました。

 また、昨今は5分や10分で楽しめるコンテンツが多いですよね。本作はスローなテンポで進んでいくゲームですので、ゲームをほどよい時間で進められるように、セーブポイントを細かく追加してもらったりもしました。

ティナリ香田さんがいてくれたからこそ生まれた要素がたくさんあります。本作にはもっと幅広い層に『ベヨネッタ』シリーズを知ってほしいという想いを込めていますので、香田さんには、アクションゲームをあまり遊んでない人にとってはどうなのか、このストーリーはシリーズを知らなくても楽しめるようになっているのか、などの意見をもらいました。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

絵本のような世界観の構築

――では、本作で目指したコンセプトがどんなものか、改めて教えてください。

神谷本作の始まりは『ベヨネッタ』シリーズの世界観を補強することでしたが、かと言ってゲームそのものを『ベヨネッタ』に寄せる考えはありませんでした。ゲームとしては、イチから新作を作るつもりでいましたから。セレッサとチェシャの物語を描くうえで、最適な世界観とシステムは何なのか。それをティナリが考えてくれました。

 本作のニュースに触れて、ファンからもいろいろな声が挙がっていることは把握しています。「ハードなアクションが特徴の『ベヨネッタ』なのに、こんな雰囲気で本当に楽しめるの?」という声も聞きますが、逆に僕としてはちょっと驚きというか、戸惑いを感じていまして。『ベヨネッタ』の名は付いていますが、あくまで本作は『セレッサと迷子の悪魔』という、まったく新しいゲームなんです。

――なるほど。本作は絵本のような雰囲気で進んでいくのが特徴ですが、なぜ絵本をテーマにしたのですか?

ティナリ絵本は西井のアイデアですが、僕がディレクターとして絵本をモチーフに統一しようと決めたのは、絵本が好きだったからですね。じつは、僕が日本語の勉強を始めたとき、絵本を読んで勉強していたんですよ。絵本はとてもわかりやすい言葉で作られていて、かつ美術的な魅力もあります。

 また絵本は、誰もが共感できるテーマで描かれていることも多いです。セレッサとチェシャの関係性は誰もが共感できるテーマですから、“絵本”は体験させたい要素とマッチしているなと思いました。

西井私が絵本のアイデアを出したのは、『ベヨネッタ』シリーズのスピンオフ作品であるからこそ、シリーズ本編では絶対にやらないことをやりたかったのが理由のひとつです。また、ティナリが語ったように、プロットを読んだら「これは絵本っぽいストーリーだな」とも感じました。

  そして、本作のセレッサは見習い魔女ですから、基本的にアクションや動きの幅などの面でできることが少ないので、本編と同じようにリアルタイムなイベントシーンで描くとおもしろい絵にはならないと考えました。そこから「自分だったらこんな作品がいいな」と思って絵本にしてみたら、ティナリが絶賛してくれたという感じです。

――セレッサには大人のベヨネッタという姿があり、そして初代『ベヨネッタ』に登場したセレッサの姿があります。そういった部分でのデザインやアートの落としどころは、どのように決めていったのでしょうか。

神谷初代『ベヨネッタ』に登場するセレッサは4歳前後のイメージで描きましたが、本作でそのセレッサをそのまま登場させるとあまりにも小さすぎて、ゲーム的にも物語的にも成立しにくいと言いますか。それにせっかく描くのだったら、あのころからもう少し成長した姿も見てみたいですよね。

ティナリそこから西井が、成長したセレッサの姿のコンセプトアートをたくさん描いてくれました。そのときは17歳前後のセレッサだったのですが、神谷さんが「もっと少女がいい」と言いまして。

西井初期から神谷さんの頭の中には、本作の少しだけ成長した少女・セレッサ像があったんだと思います。

神谷17歳くらいまでいってしまうと、もうしっかり自我が芽生えていて、心身ともに大人に近づいている最中です。それよりもまだ未熟で弱々しい姿のほうが、強くてハードなベヨネッタとの対比にもなるのかなと、なんとなく思っていました。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――ちなみに『ベヨネッタ』といえば、シリーズを通して島崎麻里さんがデザインを担当されています。島崎麻里さんはとくに本作には関わっていないのですか?

神谷ほぼ関わっていません。

西井最初期だけ「見ていただいたほうがいいですか?」とお声掛けさせていただきましたが、「むしろ私は見ないほうがいい。好きにやって!」と言っていただきました。

神谷あれ? 僕が最初に構想を話したときには、島崎は「私がやりたい!」って言っていましたね(笑)。島崎は島崎で、もちろん愛情を持ってデザインしたキャラクターなので、その幼少期の物語には関わりたかったと思いますが、僕のほうから「今回は新しいスタッフたちの感性に任せたい」という話をしまして。その後、少しだけ進捗したものを見せたりはしたんですが、それを見て彼女も、任せてみようと納得したんじゃないかと思います。

西井ああ、自分の気持ちを押し殺して……私は島崎さんに気を遣っていただいていたんですね。

神谷本作は世界観を『ベヨネッタ』シリーズと共有しているとはいえ、本編とは舞台の時間がものすごく離れています。まったく違う時代の話ですし、まったく新しいゲームを作りたいこともあったので、新しいデザイナーに担当してほしいという想いが最初からありました。

――そういった神谷さんの抱くセレッサ像を、西井さんがデザインする際に、苦労などはありましたか?

西井神谷さんの持つセレッサ像には、私もまさにその通りだなと共感していました。ですので、神谷さんの持つイメージとの擦り合わせには、とくに苦労はしなかったです。多くのファンが抱いているベヨネッタのイメージは苛烈な部分だと思いますが、個人的には、彼女は過去の記憶を失っていたからこそ攻撃的に振舞っていた側面もあると感じていましたので、少女セレッサならこういう感じなのかなと。

神谷ベヨネッタって、ちょっと人を選ぶアクションゲームだと思うのですが、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズに出させていただいたのをきっかけに、ターゲットとは違うユーザー層にもキャラクターの知名度が広がったと思います。ただ、遊んだことがある人はまだまだ少なくて。そのルックスだけで、“ハードなお姉さん”という印象を抱いている人も多いんじゃないでしょうか。

 たしかに見た目は近寄りがたい女性ですが、僕としてはこれまで『ベヨネッタ』シリーズの物語を描いてきて、心の中は人間味溢れるキャラクターとして表現してきたつもりです。アクションゲームですからド派手なアクションもしますし、挑発的な仕草やセリフを披露したりもします。ですが、人間としての本当の彼女というのは、思いやりがあるやさしい女性なんです。ですからベヨネッタの幼少期は、子どもとして純粋でかわいらしい女の子だっただろうと思っていました。

――具体的に、本作におけるセレッサの見た目のデザインは、どのように考えられたのでしょうか?

西井まずモチーフが絵本だと決まったとき、単に子供向けの絵本のイメージに近づけるのは、『ベヨネッタ』シリーズらしくないと言いますか、『ベヨネッタ』の名が付いているのだから、オシャレであるべきだと思いました。

 ひと目でとにかくカワイくて、それでいてオシャレな見た目を目指してデザインしています。ただオシャレすぎると、オシャレに興味がない人にとっては取っ付きづらい要素になってしまうので、オシャレながらにキャッチーな要素を取り入れています。たとえば、絵心がない人でもラクガキできてしまうようなシンプルさも取り入れていますね。

田中会議などでゲームの構造を説明するときに、セレッサのラクガキを添えて説明するスタッフも多くて(笑)。ラクガキしやすいデザインというのは、西井の狙い通りでしたね。

西井細かな要素はかわいらしさを重視しましたが、ゲームは遠目からセレッサを見ることのほうが多いので、シルエットだけでもセレッサと分かるように気を付けたりもしています。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――なるほど。また、セレッサは動きやセリフがかわいらしさ満点で、そのすべてからとてもこだわりを感じました。

ティナリありがとうございます。本作はセレッサとチェシャが成長していく物語です。その成長が感じられるように、さまざまな仕掛けを入れています。たとえば、セーブポイントである“魔女の隠れ家”で休んだときの動きなど、システムの演出用のモーションは3パターン用意されていて、成長するにつれて変わっていきます。

 これは本来なら1パターンでもいいものなのですが、そこにはこだわりを持ってコストを掛けました。ちなみにセレッサのボイスも、最初はビクビクした少女の声ですが、成長に合わせて少しずつ自信が付いたような声に変わっていきますよ。

――ちなみにストーリーは神谷さんがすべて手掛けられたのですか?

神谷簡単なプロットは考えましたが、ストーリーは僕がすべて考えたわけではなく、ティナリや西井など、スタッフたちと相談しながら作っていきました。まず、プロットをもとに、ティナリとプランナーがステージ進行に合わせたゲームのシナリオとして組み立ててくれて。それをベースに何度もミーティングをして話し合い、「ここはこうしたいよね」とアイデアを出し合ってさらに演出やエピソードを盛っていって、最後に僕が全体をリライトしました。完成したものはとてもいいお話になったと思いますが、僕の手柄として言うつもりはなく、スタッフみんなの思いが詰まった物語だと思っています。

岡崎「成長がテーマである」ことは、重要なところでした。じつは開発中、物語とゲームの遊びがうまくリンクしない時期がありまして。そこで大事にしたのが、“成長”です。それはセレッサ自身もそうですし、セレッサとチェシャの関係性の成長もそうです。そして、プレイヤー自身の成長でもあります。

田中“成長がテーマである”というのは、言ってしまうとありきたりなものなので、ピンと来ないかもしれません。ですが、ものすごくいろいろな場所に成長を感じられる要素がちりばめられているので、そこはぜひ注目してほしいポイントです。

神谷シナリオの面でも、“成長”という部分はとくにティナリと話し合いを重ねました。「ここはまだ関係性が浅いからこういうセリフになるのでは?」などと、セレッサとチェシャの心情の動きや変化は、ティナリもものすごく大事にしていましたね。そこが物語の核心に触れる部分でもあるので、現時点では詳しくお話しすることはできないのですが、ふたりの言葉や心情の変化は、ユーザーの心に刺さるものになったと思っています。

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ふたりを操作する絶妙な気持ちよさ

――“ふたりを同時に操作する”という独特のゲーム性にした経緯を教えてください。

ティナリゲームのアイデアとしては、僕が変わった操作性が好きだったのもあり、左右のコントローラをそれぞれ別のキャラクターに割り振ったら、プレイヤーの脳とキャラクターがリンクするだろうと考えたのがきっかけです。

 右手と左手で別々の動きをしたら、ちょっと“脳が痒い”ですが、達成すれば気持ちがいいということは知っていました。きっかけは、Joy-Conでゲームを遊んでいるときに、わざと手をクロスさせて左右逆になるように持って操作したりして遊んでいたことです。ときにはポーズをとりながらゲームを遊んでいましたね。

神谷えっ、そんなことしてたの(笑)。

ティナリそれがアイデアの根幹です(笑)。そこから、テーマである“成長”の要素につなげました。最初はどうしてもうまくできないと思いますが、それはセレッサとチェシャの関係がまだぎこちないということでもあります。そこをプレイヤーが乗り越えてスムーズに操作できるようになれば、ふたりの連携がうまくいき、ふたりの関係性も成長したようにも感じられるでしょう。本作は、その感覚を味わってもらうために、ふたりをひとりで操作するシステムにしたのです。

――“脳が痒い”という感覚、遊んでいてよくありました(笑)。そんなふたりの操作の調整は、とてもたいへんだったのではと予想しますが……。

ティナリとてもとてもたいへんでした。実際にふたりをひとりで扱おうとすると、人間の脳はすぐに限界に達してしまうんですよ。開発中にも「難しすぎる」、「これはおもしろくない」と議論しながら、試作を重ねました。

香田私も、開発途中の操作方法はあまりにも難しすぎて「もうチェシャはオート操作のほうがいいのでは?」と意見したことがありました。

――それでも、ひとりでふたりを操作することにこだわり抜いたんですね。

ティナリはい。それが本作の物語になっているからです。試行錯誤をくり返す中で大きかったのは、あるときチーム全員を集めて、ふたり操作のアクションの定義をふたつ説明したことです。それは“餅つき式”と“ナイフ&フォーク式”です。

 餅つき式は、“餅をつく”と“餅を返す”の、ふたりが交互の動きで協力する形。協力はしているのですが、じつは動き自体は交互なので、正確には同時に動いているわけではありません。

 ナイフ&フォーク式は、フォークを持つ手で肉を押さえて、もう片方のナイフを持つ手で、肉をキコキコと切る形です。これは両手を同時に動かしていますが、フォークを持つ手は止まっている。ナイフを持つ手は、動いています。人間、これくらいの同時操作なら混乱せずにこなせます。

 両方とも、本当の意味でふたつ同時に動いているわけではなく、必ず片方が止まっている瞬間がありますが、それでいてふたつがしっかり協力しています。これなら、ふたりをうまく操作している感覚を、脳が混乱せずに味わえます。この定義を明確にした結果、遊びのアイデアがチームからたくさん出てきて、ゲームの柱になりました。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――なるほど。そのおかげで、プレイヤーが同時にふたりを操っているかのように、ある意味自然に錯覚をすることができるんですね。

神谷ただ、そういうゲームのルールを構築していくには、まずセレッサやチェシャの能力の定義付けから必要なんですよ。僕はチームの外から客観的に見ていて、開発初期のころはそこにティナリたちがとても苦労しているように思いました。開発の途中段階では、セレッサがもっとアグレッシブに戦っているバージョンもありましたし、チェシャの能力がぜんぜん違った時期もあったりして。

 オリジナルゲームを作るときによく思うのですが、“タイムマシンで未来に行って、このゲームの完成品を遊んでみたい”となるんですよ(笑)。それくらい、ゲームデザインの答えを出すのってすごく難しいんです。

田中じつは僕は、プロジェクトに途中から参加しました。参加した直後は、ティナリが言っていた分かりやすいアクションの定義がまだ存在していなくて、チームとイメージがうまく共有できていないなと感じていました。そこからティナリが“餅つき式”など、さまざまな言葉を発明したおかげで、チーム全体も「なるほど!」となり、多彩なアイデアが生まれていったと思います。

香田私が合流したときは、まさにふたりの操作に迷われている最中で、遊ぶたびに難しかったり、カンタンすぎたバージョンもありました。それでもティナリさんはひとりでふたりを操作するシステムにこだわり続けていって、それが突然、すごくおもしろくなった瞬間があって。そこからゲーム全体に1本の大きな柱が立ったように感じました。

ティナリゲーム開発者あるあるで、開発者は触り続けているのでゲームがうまくなってしまいます。僕自身、もうセレッサもチェシャも、完全に同時操作で別々の行動を取らせるのがカンタンにできるようになってしまいました。ですので、香田さんなどの意見はすごく助かりました。

――セレッサとチェシャがいっしょに行動する“ハグモード”の存在も、脳の箸休め的な感じがあって、いい要素だと思いました。

ティナリまさに“脳の休憩”のために用意された要素ですが、そこからさらに細かな発明の連続があったのも大事なことでした。ハグモード自体も左右のスティックで操作するものでありながらも、セレッサひとりを移動させる要素であり、アイテム収集などにもつながっています。また、戦闘システムにも組み込まれていますね。1個の要素から、副産物としてさまざまなシステムにつなげられました。

――移動もスティックだけの操作でありながら、ジャンプしたり、よっこらしょと乗り越えたり、細かく小気味よくアクションしてくれるあたりにプラチナゲームズらしさを感じました。

ティナリそこはアニメーターたちの努力のおかげです。たとえばチェシャの攻撃モーションも、通常のコンボ攻撃のほかに、スティックを後ろに入れながらボタンを押すだけで振り向き攻撃などが出るようになっていたりします。攻撃手段を多くするのではなく、無意識にでも狙った敵の方向へすぐに攻撃ができるように、ということにはこだわりました。

田中本作はアクション要素もありますが、アドベンチャーゲームでもあります。これまでプラチナゲームズが培ってきたアクション性とは違って、ゲームテンポもスローで、移動もゆっくりです。ですが移動が遅いと間延びもしてしまいます。その中で、少しの段差を登ったり、ギミックで乗り越えるフィールドを作ったりですとか、とにかく移動の中にも気持ちよさを取り入れています。複雑な操作をした後のストレス解消パートでもあるわけです。

――操作についてですが、セレッサはプレイヤーの左手で操作し、チェシャはプレイヤーの右手で操作するように割り振った理由や、ボタン配置の理由について教えてください。

ティナリ左がセレッサなのは、ハグモードもあり主人公としておもに操作するキャラクターだからです。

 また、メインのアクションはすべて押しやすいL系ボタンとR系ボタンに集約させています。方向ボタンとABXYボタンはアイテム使用や属性変更に使用する形にしていますが、これらのボタンはスティックから1度指を離さないと押せないので、限られた場面だけで使うボタンにしたかったのです。

岡崎左をセレッサ、右をチェシャに、というのはティナリさんの強いこだわりでしたね。ゲームのギミックとしても、基本はそうなるように配置が徹底されています。

ティナリただボタン配置にはとても苦労しました。「ああ……ボタンがもっとあれば!」と(笑)。LとRの両方に、もうひとつボタンが存在すれば、こんな苦労はしなかったのですが……。

 ちなみに属性変更のボタンですが、ABXYボタンのどれにどの属性を割り振るかは正直どれでもよくて、決める基準はありませんでした。そのときふと、各属性がスーパーファミコンのコントローラのボタンカラーと同じことに気づいて。ですので、じつはスーパーファミコンのボタンと同じ色の配置になっています。

神谷そうなんだ(笑)。えっ、でもティナリってカナダ出身だから、遊んでいたのはSNESでしょ? 日本のスーパーファミコンのボタンの色では遊んでないよね?

ティナリはい。日本通だけに伝わる小ネタです(笑)。※

※……海外版スーパーファミコンであるスーパー・ニンテンドー・エンターテインメント・システム(SNES)のコントローラのボタンカラーは、薄紫と紫。

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遊びと遊びやすさをたっぷりと詰め込んだ

――細かなシステムについてお聞きしていきます。遊びの詰め込みかたは、まさに『ベヨネッタ』シリーズらしさ、プラチナゲームズらしさにあふれていました。

田中プラチナゲームズは、細かい遊びを絶対に入れます。そして、それが得意な会社だと思っています。ティナリも「脇道で遊びを入れてください」と言うと、やはりみんな細かな遊びをどんどん取り入れてくれました。

ティナリチームのスタッフには「リアリティーはどうでもいいから、とにかく気持ちよくしてください」とお願いしました。たとえばモノを引っ張るギミックがあるのですが、そのときコルクを抜く“ポンッ”という感じをギミックのひとつとして採用しています。そういった気持ちのいいことだけに、とことんこだわりました。

――引っ張るギミックに、サヤエンドウのギミックがありますよね。理由はわからないですが、あれがすごく気持ちよくて(笑)。

田中それもスタッフが遊びを追加した中で生まれたものですね。最初に見たときは衝撃的でした(笑)。

西井たしか引っ張りを使ったギミックを作ってほしいと言われて生まれた要素だったと思います。気づいたら、なぜかサヤエンドウになっていて……(笑)。もともとは禍々しいオブジェクトだったのですが、それが進化していって、現在の綺麗で気持ちのいいものになりました。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー
『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――そうだったんですね。収集要素のひとつに“思い出のしおり”という、イラスト背景を集める要素がありますが、あれはなぜ取り入れたのですか?

ティナリそれは、絵本がモチーフなのだから、ふたりの冒険を通して、またもう1冊の絵本を作っていくような体験をしてもらいたかったからです。ただ、すべてにイラストがあるので、西井には苦労を掛けました……。

西井たいへんでした(笑)。ただ、もとから本作は絵になる背景が揃っているので、背景を集められたらいいね、と話していました。

ティナリ絵本がモチーフだからこそのこだわりは開発が進むにつれてチームにも浸透して、スタッフが自主的にUIやマップ表示などのデザインにもどんどんアイデアを盛り込んでくれるようになりました。

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――テキスト面では、各漢字にふりがなが振られていたのが印象的でした。オプション回りのやさしい言葉遣いであったり。

ティナリそれは神谷さんのオーダーでした。とても口酸っぱく言われていましたので。

神谷それ、愚痴じゃないよね?(笑)。

田中(笑)。年齢の低い層に遊んでほしいという気持ちもあるのですが、どちらかというと“絵本”が理由です。日本語の絵本は、基本的には漢字にふりがなが振ってあって、ひらがなさえわかれば読めることがほとんどです。絵本をモチーフにしているのだから「ふりがなは必須」と神谷さんが言っていましたね。最初は一部のふりがなだけだったのですが、最終的には全部にふりがなを振りました。

岡崎開発終盤にどんどんふりがなが増えていってドキドキしていました。ふりがなが間違っていないかという確認もデバッグのひとつになりますからね(笑)。ですが大切なコンセプトですから、そこもしっかりとチェックさせていただきました。

神谷ゲームの完成度が上がってくると、そういうところにこだわりたくなるんですよ(笑)。子どもに理解してもらう、という面ではシナリオでも苦労しました。子どもに向けたお話、子どもに向けたゲームを作るというのは、僕としても経験がなくて。それでいて、『ベヨネッタ』の世界観ですから。“魔導術”と言って、それが何なのか伝わるのか? 使ってしまえばお話を簡潔にできるけど、本当にその単語を使っていいのか? などと考えながら慎重に言葉選びをしていきました。

 それもあって、オプションでも“設定”みたいな無機質な言葉を使うのではなく、子どもが理解しやすい言いかたにしたほうがいいのでは? とアドバイスしたのを覚えています。

ティナリ神谷さんのアドバイスもありますが、絵本の世界にこだわり始めると、スタッフのみんなが“絵本じゃない場所”に修正を入れたくなるんですよ。「それなら、言葉はもっとこうしたほうがいいだろう」と全部の文言から“絵本じゃない”要素を少なくしていきました。

西井スタッフの共通認識として、ゲームのすべてを“絵本”にする気持ちでいました。ただ、タイトル画面だけは違います。あそこは本の表紙の部分なので、あそこだけはリアリティーのあるグラフィックになっていて、絵本の世界じゃないんですよ。ゲームを始める=本を読み始めるイメージになって、すごくよかったです。それ以外は絵本に徹底していますね。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――オプションの幅広さも驚きました。

ティナリこれは僕のアクションゲームの考えかたなのですが、いちばんハードなレベルデザインは、“失敗すればすぐ敵に倒されてリスタート”というパターンです。もうひとつハードルを下げると、カンタンには倒されはしませんが、ランクが表示されて自分の評価が決まるという『ベヨネッタ』シリーズにもある要素です。

 それらはプレイヤーが腕前を上げていけば達成感を得られるのが特徴です。ただ僕は、そこでゲームの楽しさを味わってもらうのではなく、さらにハードルを下げて、とにかく操作していることが楽しいゲームにしたかったんです。敵にやられてほしいわけでもなく、プレイの評価をしたいわけでもありません。ただただ、ふたりの冒険を楽しんでもらうことに力を入れました。

 そこで難しいのは、プレイヤーの腕前によって、その体験の楽しさは変わることです。そのために、プレイヤーそれぞれが遊びやすさをカスタマイズできるようにしようというのは最初期から考えていました。極端な要素として“ダメージを受けない”という設定にできるようにもしています。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――ナレーション入りのセリフ作りはいかがでしたか? これまでの『ベヨネッタ』シリーズのように、カットシーンの表情などで魅せる方法とはまったく違ったのではないかと思いますが。

神谷大人向けのコンテンツやアニメーション豊かな表現手法であれば、キャラクターの表情や仕草からその人の感情や気持ちを察してください、という演出もできます。ただ、子どもでも読める絵本をテーマにするのであれば、「この人はこう考えているんだよ」と語ってあげたほうが物語を楽しめると思うんです。ナレーション入りのシナリオは初めて書きましたが、「これ、すごい楽だな!」とある意味病み付きになりました(笑)。

西井やはり絵本だから、地の文章をナレーションとして入れたいというのは、最初の段階から話していましたね。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー

――最後に読者にメッセージをお願いします。できれば『ベヨネッタ』シリーズの今後の展望や、野望なども教えていただけるとうれしいです……!

神谷勝手に言ってしまうと、本作を新たなシリーズ作品として、世界観をどんどん広げていきたいです! その準備もありますし、ティナリと「こんなことがやりたいよね」ってお話もしています。……まだ任天堂さんには、その話をしていないんですけれども……。

岡崎(笑)。今後について、具体的にお伝えできることは現状ありませんが、もちろん私個人としても、これで終わりとは思っていません。本作を遊んでいただいたみなさんの意見を聞いて、今後の展望を考えていければと思っています。

ティナリまずは、本作をぜひ遊んでみてください。『ベヨネッタ』ファンの皆さんにお伝えしたいのは、今回はゲーム性がガラリと違いますが、チーム全体でセレッサ愛をすごく詰め込みましたので、新たな活躍をぜひ体験してほしいということです。また『ベヨネッタ』シリーズに触れたことがない人にも、本作は非常にユニークなゲームになっているのでオススメしたいです。

 正直言って本作は、最初は慣れるまでが難しいです。でも、あえてそうしました。そこを乗り越えた先の体験が、絶対に楽しいものだからです。そのために、敵からダメージを一切受けないようにするなど、どなたでもクリアーできるような豊富なオプション設定も作りました。

岡崎“難しい”という言葉を誤解してほしくないのは、本作の“難しい”と感じる要素は魅力の一要素だと考えているからなんです。最初の“難しい”が本作のテーマである成長につながっています。とはいえ、アクションが苦手な人でも問題なく遊べますので、そこは怖がらずに少しでも雰囲気が気になったら、この独特の世界をぜひ体験してほしいです。

神谷“敵からダメージを受けない”に設定できるのは、ビックリしましたね。往年のゲーマーとしては、そんなことがあっていいのかと。いやもう、新時代を感じました。

ティナリふたりをひとりで操作することにこだわりましたが、難度の高い操作を味わってほしいから入れたわけではありません。これが必ず唯一無二の気持ちよさになると、信じていたからです。セレッサとチェシャが、プレイヤーといっしょに成長していく物語を、ぜひとも味わってみてください。

田中本作は絵本が大事なテーマなので、本棚に本が並んでいくように、この世界にはまだ広がりの余地があると感じていますし、皆さんにもそう感じていただける作品になっていると思います。『ベヨネッタ』本編につながるまでのあいだのエピソードはまだまだあるはずで、私自身いちファンとして、それも将来見てみたいな、あわよくば自分がその開発に関わりたいな、と思ったりしています(笑)。そういった瞬間に今回の作品がつながる、まさに“オリジンズ”(原点)となればいいなと思っています。

西井今回描きたかったけれど描けなかった子たちにチャレンジする機会がもらえたらうれしいですね。まったく新しいキャラクターや敵のデザインにもまだ挑戦したいです。セレッサにもっといろいろなお洋服も着せたい……! そのためにも、まずはたくさんの人に遊んでほしいです。

香田私は『ベヨネッタ』シリーズの初心者でしたが、本作のシナリオを読んで、セレッサのお話ではあるのですが、誰もが子ども時代に抱えたことのある恐怖や寂しさに対して、チェシャと出会ってふたりで立ち向かっていく姿に心を打たれました。ぜひ、不思議で美しい絵本の世界を体験していただけるとうれしいです。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』開発者インタビュー
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