Valveが『Dota 2』で4万以上のチーター(不正ツール利用者)を摘発し、バン(アクセス禁止処分)したことを発表している。

 この摘発は、いわゆるハニーポット戦略で行われたもの。今回ターゲットとなったチートの手法がわかったことでその動作を逆手に取り、チーターだけが誘引されるハニーポットとして「ゲームクライアント内にあり、通常のゲームプレイ中には読み込まれないが、悪用により読み込みが可能なデータセクション」(Valveの声明より)を設けて監視。そのエリアにアクセスが確認できたアカウントに対して一斉バンを行ったのだという。

チーターにだけ見える“幻覚”プレイヤーを出現させる忍術的手法も

 このようにチートツールの挙動を逆手に取って検出に役立てる方法はさまざまあり、たとえば来月にサンフランシスコで行われるGDC 2023では、チーターだけに見える“幻覚”プレイヤーを作り出す手法について発表が行われる予定だ。

 スタンフォード大学の研究者と『コール オブ デューティ』シリーズなどを開発・運営するアクティビジョンのセキュリティ研究者の共同発表によるこの講演では、通常のプレイヤーには見えないがデータ上は存在する偽プレイヤーを出現させ、チートツールに対応させるよう仕向ける方法の実装解説が行われるとのこと。“幻覚”のパターンを変化させることでツール開発者の対応を難しくするという策もあるようだ。

『Destiny 2』ではチート販売会社が敗訴

 オンラインの対戦要素があるゲーム、特に長期の運営が続くライブサービス型のゲームではチートビジネスが大きな悩みのタネとなっているのは御存知の通り。

 そんな中、チート販売会社等に対して積極的に訴訟に持ち込んでいるのが『Destiny 2』のBungie。その中のひとつAimJunkiesに対して、訴訟費用も含めて合計で440万ドルを支払わせる調停に至ったことが業界誌のGame Developerなどによって報じられている(実際の文書は非営利団体によるデータベース“Court Listener”でも確認できる)。

 Bungieによる訴訟はこれだけでなく、Kunal Bansalに対する670万ドル規模の訴訟ではすでに傘下プラットフォームLavicheatsでのチート販売の中止に至っているほか、対戦FPS『Valorant』のRiot Gamesと共同でチート開発者を訴えていることなどがわかっている。