家庭用ゲーム機もポリゴン時代に突入
1993年(平成5年)2月21日は、スーパーファミコン版の初代『スターフォックス』が発売された日。本日で『スターフォックス』シリーズが誕生してから30周年という大きな節目を迎えたことになる。
『スターフォックス』は、任天堂から発売された3Dシューティングゲーム。当時の家庭用ゲーム機では革命だったポリゴンを使用した3D表現でゲームファンたちに衝撃を与えた作品だ。
本作以前にも3D表現の作品は多々あったが、いずれも擬似的な3D表現を用いたもの。ポリゴンを使った作品はアーケードゲームやPCゲームばかりで、家庭用ゲーマーたちは羨望の眼差しで見ているだけであった。
そんな時期に登場したのが、この『スターフォックス』。ロムカセット内に“スーパーFXチップ”と呼ばれる演算処理を高める回路を搭載していて、スーパーファミコン単体では実現不可能だったポリゴンの高速描画を実現。家庭用ゲーム機の3Dグラフィックスにおける新たな時代の幕開けを感じさせてくれた。
立体的な空間内を、立体的な機体が飛び交うというただそれだけのことに筆者などは大いに感銘を受けたものだった。トンネルやゲートをくぐり抜けたり、高層ビル群と思しきオブジェクトのあいだをすり抜けたりしては感嘆の声を漏らしていたのを覚えている。
いま見ると主人公のフォックスが搭乗するアーウィンはパーツが少ないし、建物などにテクスチャーマッピングは施されておらずのっぺりしているのだが、これはこれで3D黎明期の雰囲気を感じられて味がある。
ゲームはアーウィンがすべて映し出されるコックピットより後方からの視点(地上ステージ)、あるいは主観視点(宙域ステージ。視点変更も可能)で展開。つねに前方(画面の奥方向)へ向かって飛行する強制スクロールとなっている。L、Rボタンを押して機体を傾ければ翼を地面に対して垂直にすることも可能。狭い場所をすり抜けて飛行するなんて芸当もできてカッコよかった。敵の放つ弾をローリングで弾き返せるところも斬新だったように思う。
プレイヤーは恒星ライアット系に侵攻してきたアンドルフ皇帝の軍勢に抵抗するため、キツネのフォックスが乗るアーウィンを操るのだが、ほかにもタカのファルコやウサギのペッピー、カエルのスリッピーらの僚機が登場。合計4機のチーム編成で戦っていく点も『スターフォックス』ならではの要素となっている。このあたりのシステムは続編シリーズにも継承されているので知っている人も多いだろう。
頻繁に仲間からの通信が入り、共闘感を高めてくれるところも熱い仕掛け。映画などの影響かもしれないが掛け合いが、入るとドッグファイトをしている感覚がグンと強くなる。ただ、スリッピーやペッピーがいつも敵に追いかけられていて、毎回フォローさせられるのがタイヘンだったような記憶もある。
ステージの最後には巨大なボスが出現して激闘が始まる。砲台などの弱点をピンポイントで狙い撃ったり、船体パーツを脱落させたりする要素もあって、こういった部分はポリゴン描画ならではの迫力があった。多種多様なボスの中でも忘れられないインパクトだったのは巨大な顔だけのラスボス“アンドルフ”。『ゼビウス』のバキュラのような壁を、口から吐き出したり吸い込んだりするのが印象的だった。
1997年4月27日にニンテンドウ64版『スターフォックス64』が発売されてシリーズ化。以降、新しいハードが登場するたびにさまざまな新作が発売されていった。
近年、新作が発売されていないのは残念だが、“Nintendo Switch Online”や“Nintendo Switch Online + 追加パック”を利用すれば初代『スターフォックス』や『スターフォックス64』、『スターフォックス2』といったタイトルで遊ぶことが可能。いまのうちにこれらを体験しておくのもいいだろう。