2023年2月24日にスクウェア・エニックスから発売予定のNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Steam用ソフト『OCTOPATH TRAVELER II』(以下、『オクトパストラベラー2』)。本作は、2018年に発売され、全世界出荷+ダウンロードが300万本を突破したRPG『オクトパストラベラー』の続編にあたる新作だ。今回は“ソリスティア”と呼ばれる新たな大地で、新たな時代の、新たな8人が旅に出る。
※Steam版は2月25日配信予定
今回は、記事担当ライターによる『オクトパストラベラー2』のプレビューをお届け。8人のキャラクターそれぞれの旅立つ理由が語られる、第1章をプレイした感想をお伝えする。ストーリーのネタバレには十分配慮しているので、安心して最後まで読み進めてほしい。なお、筆者はPS4版でプレイしている。
進化してますます美しくなった“HD-2D”のグラフィック
『オクトパストラベラー』シリーズの最大の特徴と言えば、“HD-2D”で表現される美しい世界。“HD-2D”は、ドット絵に3DCGと独自の画面効果を加えた映像表現で、懐かしくも新しいグラフィックを実現している。
本作では、この“HD-2D”のグラフィックがさらなる進化を遂げたと宣伝されていたが、ゲームをプレイしてすぐに進化の度合いを体感できた。いちばん驚かされたのは、前作でも十分に美しいと感じたドット絵がより精彩になっていたこと。キャラクターの頭身が上がったこともあって、細部まで丁寧に描かれており、そこで暮らす人々の生活感を存分に感じられた。また、カメラワークによる演出が加わったのも見どころ。イベントの状況に合わせてカメラワークが切り換わることによって、シーンがより立体的に、印象的になり、登場人物たちの感情が感じやすかった。
さらに本作では、フィールドの昼夜を切り換えられるシステムを導入。ワンボタンで気軽に切り換え可能で、昼と夜とでNPCたちの配置やセリフも変わる。また、昼夜が変わると使えるフィールドコマンドが変化するほか、同じ景色を別の視点で見られることによって、旅の楽しさが増すというメリットも。音楽もシームレスに切り換わり、昼夜でアレンジが異なる曲が楽しめるのもうれしい。ちなみに本作の音楽は、前作から引き続き西木康智氏が担当している。本作の音楽も冒険心を刺激してくれる良曲揃いなので、こちらも乞うご期待!
フィールドコマンドは、町の住人に仕掛けられる、キャラクター独自のアクション。たとえば剣士ヒカリは、昼は“試合”でバトルを申し込むことができ、夜は町の人々を “買収”して情報を得られるのだ。前作でひとりの旅人につきひとつだったフィールドコマンドが、本作ではふたつに。8人の旅人を全員仲間にすれば、16ものフィールドコマンドが使用できる。前作でもフィールドコマンドを使った寄り道は新たな発見が多くて楽しかったが、本作では寄り道のボリュームがますますアップ! フィールドコマンドを駆使して解決するサブストーリーもふんだんに用意されており、本作でも時間を忘れて寄り道に熱中しそうだ。
また、陸上の冒険に加えて、カヌーや船を使った水上の冒険が楽しめるようになったのも本作のポイント。今回プレイした範囲では、定期船を使って西と東の大陸間を移動できたほか、カヌーを使った探索が堪能できた。とくに後者は、フィールド探索の密度を高めてくれるうれしい要素。この川の先に何があるのか。気になってつい足を伸ばしてしまう。宝箱が見つかったときはもちろん、得も言われぬ絶景に出会えたときの感動もひとしおだ。
ドラマティックに描かれる8人の旅人たちのストーリー
HD-2Dで表現されたソリスティアの大地を旅するのは、年齢も素性も異なる8人の旅人(主人公)たち。彼らの旅の目的もバラバラで、個別に用意されたストーリーではキャラクターによってまったく異なる“旅”が楽しめる。
主人公になるのは、最初に選んだひとりの旅人だけだが、旅は道連れ。大陸の各地を巡りながらほかのキャラクターを仲間にでき、加入後はその人物のストーリーも体験可能。前作と同じく、1周のプレイで8人全員の旅が体験できる。
“盗む”が大好きな筆者は、主人公に盗賊ソローネを選択。前作の経験を踏まえて、「回復魔法が使える神官と、攻撃魔法のエキスパートである学者は早めに仲間にしておきたい!」と考え、東の大地を北上。神官テメノスと学者オズバルドを仲間に加えた。
その後、東の大地の南に位置するトト・ハハ島の定期船を発見し、この島に暮らす狩人オーシュットのもとへ。彼女をパーティーに迎えて、トト・ハハ島から定期船で西の大地に移動。新天地で薬師キャスティ、剣士ヒカリ、踊子アグネアを順々に仲間にし、8人の旅人を揃えた。
もちろん、筆者の冒険は旅の一例にすぎない。最初に誰を主人公に選ぶか。どのような順番で旅人を仲間に加えるかは、すべてプレイヤーの自由。今回のプレビューでは、プレイ可能範囲が各キャラクターの第1章(※オズバルドのみ第2章)までだったこともあり、旅人をまんべんなく仲間にしたが、気になるキャラクターだけを仲間にして、ストーリーを集中して進めるといったことも可能(仲間が少ない分、苦労はするかもしれないが……)。プレイヤーが思い思いに、自分だけの旅路をたどっていけるのだ。
ちなみに、8人の旅人とも第1章での掴みはバッチリ。ネタバレになるので詳細は割愛するが、それぞれ序盤から衝撃的な展開が用意されているうえ、数々の謎が散りばめられており、続きが気になるストーリーに仕上がっている。いちばん興味を惹かれたのは、ミステリー小説のような神官テメノスのストーリー。異端審問官として、飄々と仕事をこなしていたテメノスは、ある日、聖火教会の大きな事件に巻き込まれていく。事件を推理する姿が名探偵のようで、非常に頼もしい。事件の犯人が誰なのか。真実が明らかになるのも楽しみだ。
また、“復讐を誓う”、“祖国を取り戻す”など、重ためのストーリーが多い中で、スターを夢見て田舎町を旅立つ踊子アグネアのストーリーは一服の清涼剤に。明るくて元気なアグネアはもちろん、彼女の妹パーラもいい味を出しており、ふたりのやり取りを見ていると自然と顔がほころんでしまう。とくに印象的なシーンがコチラ。
なんだかオヤジっぽいことを言うパーラと、初心な反応のアグネアが微笑ましい。都会に出るため、ふだんは標準語をしゃべっているのに、焦って訛りが出ているアグネアの素の姿も筆者的に高ポイント。訛りのある女の子はかわいいと思うだべよ!
ほかの旅人たちのストーリーも、魅力的なNPCが多数登場する。先述の通り、1周のプレイですべての旅人のストーリーが堪能できるので、主人公選択で悩みすぎる必要はない。まずは気になるキャラクターから始めよう。この記事きっかけで本作に興味を持った、という人は、ぜひテメノスかアグネアを選んでみてほしい。
前作の戦闘システムをベースに新要素が加わりバトルも進化
『オクトパストラベラー』の戦闘システムは、RPGでおなじみのターン制のコマンドバトルをベースに、BP(ブーストポイント。ターン経過で溜まる)を使って攻撃などを強化する“ブースト”や、敵の弱点を突いて行動不能にする“ブレイク”といったオリジナル要素を導入。そこにジョブとアビリティの要素が加わることで奥深いバトルが堪能できた。
この従来の戦闘システムは本作でも健在。敵の弱点を見つけて敵をブレイクさせるのは気分爽快だし、ブーストを使うベストなタイミングを考えるのは非常におもしろい。さらにストーリーを進めれば、“ベースジョブ”と“バトルジョブ”の組み合わせや、サポートアビリティの効果的な組み合わせを考える楽しみも。
そして本作では、“底力”と呼ばれる新システムが新たに実装されている。底力は、専用のゲージを最大まで溜めると発動可能になる“切り札”。発動時の効果はキャラクターごとに異なるが、SP消費なしで大ダメージを与える技をくり出したり、本来は対象がひとりであるアビリティを全体化できたり、BPを最大まで溜められたりと、いずれも非常に強力。とくに強敵とのバトルでは、この底力をいつ使うかも重要に。タイミングよく使えば形勢逆転も可能で、前作以上に戦略の幅が増していると感じた。
バトルにおいても、カメラワークが適宜変わる表現が追加されたことで、見応えが大幅にアップ。ブーストを最大まで溜めてアビリティを使うと、カメラワークが切り換わり、ド派手な演出が挿入されるようになった。
また、強敵との戦いでは戦闘中に会話イベントが発生し、バトルをさらに盛り上げてくれるほか、敵をブレイクさせたときに味方が褒めてくれるなど、パーティーメンバーの絆がより強く感じられるようになったのもうれしい。
今回は第1章までのプレイだったが、ストーリー、フィールド探索、バトルのいたるところから、『オクトパストラベラー』の進化が感じられた。前作をプレイした人はもちろん、本作から遊ぶ人も、シリーズの魅力を存分に堪能できるはずだ。「本作への興味が増した!」という人は、まずはぜひ体験版に触れてみてほしい。