絶望のサイレンがふたたび鳴り響く
いまから17年前の2006年(平成18年)2月9日は、プレイステーション2用ソフト『SIREN2』がソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)から発売された日。
日本の土着の文化が育んだ特有の恐怖を題材にした3Dアクションゲーム『SIREN』。その続編となる本作は、前作から2年後、日本近海の孤島“夜見島(やみじま)”が舞台となっています。
独自の因習を守る閉鎖的な島だったものの、時代の変化とともに建造物や移住者の増加など、急速な発展を遂げていった夜見島。そんな島である日、原因不明の海底ケーブル切断による大停電が発生し、全島民が失踪するという不可解な事件が起こります。本作の舞台となるのは、その29年後。島に伝わる因習を調べに来た雑誌編集者やエンジントラブルで島に不時着した自衛隊員などが夜見島に集うところから幕を開けます。
『SIREN』と同様にさまざまな人物の視点で物語が描かれる本作。どのキャラクターも印象的ですが、筆者がいちばん好きなのはピエール瀧さんが演じている陸上自衛官の三沢岳明。怪異の中でも動じることなく対処する彼は、じつは2年前の羽生蛇村での災害救助作業中に異界の念に触れてしまい、幻覚や悪夢に悩まされていたのです。服用している薬の作用や極限状態の興奮から、どんどん狂気を帯びていく姿は鬼気迫るものがありました。「頭に弾丸ぶちこんでみるか?」、「夢なら暖かい布団で目が覚める もし夢じゃなかったら…それでおわり」と虚ろに語るシーンは、苦しい胸の内を誰にも相談できずにひとりで抱える彼の心情が表れていました。
その後、“闇人”となってキャラクターたちの前に姿を現すことになる三沢ですが、部下の永井頼人との決戦は本当に名シーンで、永井が「健康優良日本男児をなめんなよ… 神風見せてやるよ!」と立ち向かっていく姿は格好よすぎて震えました。そんな永井のエンディングはとても衝撃的。どうしてそうなったのか、ゲーム内の“アーカイブ”を集めて考察していくとおもしろいのですが、最初はその映像のインパクトに、ただ、ただ、驚きました。
敵やほかの人間の視界を盗み見る“視界ジャック”は前作から引き継いで登場。視界をジャックしながら移動ができたり、過去の出来事を見ることができたりと、バリエーションが増加していました。システム面では前作にはなかった地図の搭載や、ステージごとに難易度を選択できるなど、さらに快適に。
敵も前作からバリエーションが豊かになり、人間の死体に屍霊が憑依した“屍人”や、闇霊が乗り移った“闇人”が登場。闇人は“闇人零式”のほかに、下半身が巨大な顔に変化した“闇人甲式”、四つん這いで移動する“闇人乙式”も。前述の三沢を含め、闇人となったキャラクターたちとの再会はトラウマものです……。
永井や三沢のほかにもほかにもいろいろなキャラクターが登場する『SIREN2』。ファンがうれしかったのはSDKの登場でしょう。SDKとは『SIREN』の主人公であり、本作の隠しシナリオに登場する須田恭也が使うハドルネーム。『SIREN2』のクレジットには須田恭也ではなくSDKと表記されている点が、またいいですね。前作で不死身となった彼を操作して、つぎつぎと敵をなぎ倒していくモードで流れるハードなヘビメタ『The Buster!』も最高でした。
『SIREN2』はアーカイブスで配信されているので、プレイステーション3でも遊べます。遊んだことがない人はぜひプレイしてみてください。
余談ですが……。『SIREN』と言えば、2022年7月15日から8月21日までナンジャタウンでコラボレーションイベントが開催されていたのも記憶に新しいです。筆者も趣味で遊びに行って、屍人といっしょに写真を撮ったりしました。
『GRAVITY DAZE』も11周年!
2月9日は『SIREN』シリーズを手掛ける外山圭一郎さんがディレクターを務める『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』の発売日でもあります。2012年(平成24年)2月9日にプレイステーション Vitaで発売され、本日で11周年を迎えました。
“重力姫”こと、キトゥンの活躍を描く作品で、重力を操る多彩なアクションが魅力の作品。こちらも傑作で、『SIREN』シリーズといっしょにプレイすれば外山さんの作風やアイデアの多さに驚くと思います。いまならプレイステーション4でリマスター版も発売されているのでぜひ!