スマートフォン向けの『ドラゴンクエスト』シリーズ最新作として話題の、『ドラゴンクエスト チャンピオンズ』(以下、『DQ チャンピオンズ』)。
2023年1月18日に配信されたスクウェア・エニックス公式番組“「ドラゴンクエスト」シリーズ新作スマートフォンタイトル発表会”でその内容が発表され、2023年2月6日から2月13日までのあいだ、ベータテスト体験会が開催されることが明らかになった。
このベータテスト体験会はiOS/Androidユーザーを対象に、事前抽選に当選した2万人もの参加者で実施される大規模なもの。今回、筆者もこの体験会に参加させてもらえたので、約12時間ほどどっぷりと本作をプレイした。
本稿では、ベータテスト体験会でできる範囲の最大までプレイして見えてきたもの、そして本作の率直な感想を書き連ねていきたいと思う。
パーティとモンスターが入り乱れる新しい『DQ』!
ベータテストではストーリーモードの第3章までと、複数のプレイヤーが参加する“大会”モードが体験できる。
ゲームを始めてからしばらくは、とてもスタンダードな『DQ』という印象。チュートリアルとなるストーリーの序盤を進めながら操作を学び、スタミナを消費してクエストを受注したら、立体的かつ限定的なフィールドでモンスターを討伐。そうして経験値を溜め、キャラクターを成長させていく。
また、クエストのクリアーやログインボーナスなどで手に入るジェムで“ふくびき”に挑戦できる。ふくびきも、ランク付けされた武器や防具を入手するというオーソドックスなもの。
武器を強化してそれぞれに紐付いたさまざまなスキルや能力を習得したり、モンスターを倒したときに手に入る“エンブレム”を装備して、キャラクターの能力を底上げすることになる。詳細は後述するが、バトル自体の手触りとしては、『ドラゴンクエストウォーク』のバトルと成長システムに近い。
フィールドの操作フィーリングも、『DQXI 過ぎ去りし時を求めて』のような3Dのシンボルエンカウント方式を採用しているので、『DQ』的な手触りとなっている。移動のほかに“ジャンプ”や“ダッシュ”、“アタック”、“まんたん”、“スキル/どうぐ”といったアクションが可能。
後述する大会モードでは、草むらなどに“かくれる”、扉や宝箱などを“開ける”、手に入れたアイテムを取捨選択する“せんりひん”というコマンドも用意されている。
特筆すべきは、モンスターやほかプレイヤーの背後から接触すると、“ふいうち”となって確実に先制攻撃できることだ。さらに、ふいうちの成功時には、職業ごとに最初の攻撃に“かいしん率アップ”や“じゅもん攻撃ダメージアップ”などの特殊効果が得られる。
このメリットはなかなか大きいので、バトルを有利に進めたいなら最低でもシンボルの背後から接触、あわよくばアタックのヒットを狙うというのがセオリーになる。
しばらくチュートリアルのストーリーを進めると、いよいよ主人公たちのパーティが“勇者武闘大会”のビギナーズ大会に出るという展開に……。そう、ここからが本作の本番だ。
そもそも本作は、公式から事前に“乱戦コマンドバトル”という説明がされていたのだが、いまいちピンと来ていなかった。ただ、実際にプレイした筆者の感想であり、もっとも伝わりやすい言葉で言うならば“バトロワ風”のシステムを併せ持つ『DQ』だ。
この大会というのが、いわゆるプレイヤーどうしで行う対戦に該当するのだが、大会の流れをざっくり説明してみよう。
- 進んでいく船の上から、3つの目標地点のうちのいずれかに向かってルーラで飛ぶ
- いい感じの場所を見つけたら、そこへ着陸
- 家の中にある宝箱を開けたり、ツボを割ったりしてアイテムを集める
- ライバルのパーティやモンスターを倒していく
- “魔瘴(ましょう)”によってフィールドが縮小していくので、安全地帯の中を移動してライバルを減らしていく
- 最後まで生き残れば、キミが“チャンピオン”に!
そして、モンスターやライバルとのバトルが、『DQ』らしいコマンドバトルになっている点が本作ならではのポイントとなっている。
なお、コマンドバトル中も大会時間は刻一刻と進んでいくため、魔瘴の近くでバトルをしていると戦闘中でも双方が魔瘴のダメージを受ける……なんていうことも起こり得る。つまり、バトルフィールドの縮小を気にしながら戦うという醍醐味も、しっかりと踏襲されているのだ。
そして、本作最大の特徴が、このバトルを最大50人のプレイヤーでできるという点。ただし、ストーリーを進める際に参加する勇者武闘大会は、どうやらライバルのパーティをCPUが操作しているようなので、実際にプレイヤーどうしが戦えるのは“大会”モードのみだと思われる。大会のマッチング時間は最大で2分少々の設定になっているようだったが、それを待つことなくプレイできるほど快速だったので、待ち時間のストレスはなさそうだ。
ただし、筆者のケースでは、大会モードで順調に最後まで残ったときにかかった時間は17~18分程度。かなりガッツリと戦うことになるので、しっかり時間が取れるタイミングかつ、充電も万端でないと泣きを見てしまうことになるかも……。
本作を成立させた大発明の“”成長玉“
そもそも『DQ』はRPGなので、レベルを上げ、装備を充実させればそれだけ強くなるのが基本だ。そのシステムが根幹にある以上、大会と言っても「強い者が勝つ、それだけじゃないか!」というご意見もあるかと思う。もちろん、自身の成長具合や装備の充実度は戦力に影響してくるが、それだけではないのが本作の醍醐味だ。
大会中は、“成長玉”というアイテムがフィールドのそこかしこに落ちている。成長玉には赤い“こうげき玉”と青い“しゅび玉”のふたつがあり、それらを拾うとその大会中にパーティメンバーの能力が一時的に上昇する。拾えば拾うほどその上昇幅が上がっていくので、ある程度のレベル差や装備差は、成長玉の獲得量次第でひっくり返すことができるようになるという寸法だ。これがなかなかの大発明!
こうげき玉としゅび玉は、フィールドに落ちているものを拾うほかに、ライバルのパーティやモンスターを倒しても、その強さに応じた量を獲得することが可能。移動しながら成長玉を拾うよりも時間がかかるうえ、ダメージを受けたりMPが減ったりするリスクもある。
しかし、そのぶんバトルでは多くの成長玉を獲得できるので、リスクとリターンのバランスが取れていると感じた。
また、成長玉とは異なる一時的な能力上昇に関わる要素として、 “きのみのせいれい”というモンスターが登場する。このモンスターを倒せば、パーティメンバーのHPとMPがみるみる増えていくのだ。状況によっては成長玉の獲得よりも重要なので、きのみのせいれいは見つけ次第、倒しておくことも重要となるだろう。
成長玉やきのみのせいれいの効果でしっかりと強化してからライバルに戦いを挑めば、ふつうなら勝てないレベルや装備を持つ相手でも勝利できる可能性が生まれるというわけだ。『DQ』らしさをしっかりと残したコマンドバトルでありながら、全体の流れと自分の置かれた状況を読むチカラも重要になってくるのは、本作らしい部分だと感じられた。
非常に駆け足ではあるが、バトルの説明はこんな感じ。ほかにもフィールドにギミックが用意されている気配はムンムンだ(後に追加される可能性すらある)。
成長要素は盛りだくさん! エンブレム集めはハマるかも?
本作には多彩な成長要素が用意されているため、豊富にジェムやゴールドをもらえるベータテスト体験会のバージョンでも、最強に至る道はまったく先が見えないレベルだ。具体的にどんな要素があるのかというと……。
- キャラクターの職業レベル
- 装備品のレア度・レベル
- 装備品の限界突破(4段階)
- エンブレムのグレード・合成
キャラクターの職業レベルは言わずもがな。現時点では、戦士、僧侶、魔法使い、武闘家、盗賊という5つの職業が用意されており、それぞれにレベルがある。『DQウォーク』のように、ゆくゆくは上級職のようなものも追加されるかもしれない(筆者の想像です)。
装備品には★3~5のレア度が設定されており、★が多くなるほど強いスキルを持っていたり、そもそもの能力上昇効果が高い。さらに装備品レベルの上限も高いものの、なかなか入手しづらいため限界突破がしにくく、一時的には★3~4の装備品のほうが強くなるという状況も生まれたりする。
本作では、装備品の強化状況がダイレクトに戦力へ影響するため、装備品の強化は必須。この強化が楽しくもあり、頭を悩ませる事態にもつながるのだ。
これは筆者のケースだが、ふくびきではなかなか僧侶の得意武器であるヤリを引けず……。HPを回復できる僧侶をパーティから外す勇気もなく、魔法使いの得意武器である杖を装備させることにした。スキルの多くが武器に紐付いている以上、レア度の高い得意武器を装備できるか否かは非常に重要。
また、★5で獲得できた武器が“まじゅうのツメ”だったため、戦士から早々に武闘家へ転職することにしたが、すべての職業ですべての武器を使えるので、装備の面から見ると転職は必須ということではない。
しかし、やはり対人戦もあるとなると、得意武器を装備したときのパラメータアップはどうしても欲しくなる。なので、武器に依存した職業の編成にするか、あまり考えずに好きな装備と職業でパーティを編成するか……そこは大いに悩んでほしい。
さらに、モンスターを倒すとまれに手に入るエンブレムでも、かなりパラメータを底上げできる。エンブレムのグレードにはSからDの5段階があり、ときには1発でSランクのエンブレムを落してくれることもある。エンブレムはメンバーひとりにつき3つ装備が可能で、装備するためのコストはプレイヤーのランクを上げれば上限値も上がっていく仕組みだ。
このエンブレムを強化するために、狙うモンスターが生息するクエストを周回するというのもゲームフローのひとつになっているのだが、グレードSのエンブレムを手に入れるのはなかなかたいへん。そのぶん、グレードSには特殊効果が付くなどのメリットはあるので、率先して集めたい。
また、本作には“レアモンスター”が登場することもある。レアモンスター討伐時にもエンブレムが手に入るので、見慣れぬモンスターが出現する可能性があるクエストには何度も足を運んでみるとよさそうだ。
また、エンブレムは同系統のものを合わせて装備することで、ボーナス効果が追加されるケースもある。「単体ではいまひとつでもボーナスを合算するとアリ」な組み合わせも存在するので、悩みながらベストを探るのも楽しいだろう。
というわけで、育成という視点でも『DQ』感、そしてRPGにおける王道的なものが楽しめるだろう。当然ながら、本プレイヤーのひとつの目標となるのが”大会でいい結果を残す”ことではあるが、そこに目標を置かず、ぼんやりと自分のキャラクターを育てていく楽しさを追い求めることも可能となっている。
正直、最初は『DQ』らしいコマンドバトルを導入した“乱戦”というものがどんなゲームになるのか、想像ができなかったことを告白しよう。だが、実際に遊んでみれば、きっと皆さんも「ああ、これは楽しいじゃん!」と思えるくらい、しっかりとしたゲーム性を持っていることがわかるはずだ。
というか、本作は「バトロワっぽいゲームは好きだけれど、アクション自体はあまり得意ではない」という人の受け皿として、『DQ』ファン以外の方にも喜ばれる可能性があるゲームになり得るのではないだろうか? そんな気がしてならない。
なお、公式サイトではゲーム要素を端的に解説するショート動画“大会の書”が公開されているので、詳細を知りたい人はチェックを!
『ドラゴンクエスト チャンピオンズ』公式サイトに「#大会の書」全25本が追加されました
大会の書は、本作のゲーム要素1つ1つを短い動画で分かりやすくまとめています❗️
#DQチャンプ がどんなゲームか気になる方はぜひ全動画… https://t.co/jR4lD7ImPk
— ドラゴンクエスト チャンピオンズ公式 (@DQ_Champ)
2023-02-06 12:05:07