戦場はオンラインへ──シリーズに新たな方向性を見出した野心作
いまから11年前の2012年（平成24年）1月26日は、プレイステーション3とXbox 360で『アーマード・コアV』が発売された日。
5つ目のナンバリングタイトルとしてリリースされた本作。『アーマード・コア』（以下『AC』）はナンバリングが更新されるたびにまったく新しいプレイ感覚を提供してくれる野心的なシリーズですが、オンライン要素を前提とした本作の切り口には多くのファンが驚かされました。
本作では、1対1のバトルのみならず、最大5人（プレイヤー4人＋オペレーター1人）で出撃するチームバトルも実現。プレイヤーの活動は基本的にすべてチーム単位であり、仲間とともに戦うプレイヤーも、ひとりでプレイする孤高のソロプレイヤーでも、すべてがどこかのチームに所属して活動するシステムとなっていました（ソロプレイヤーは自分でチームを作成して活動する）。チームプレイのモチベーションは“領地”の奪い合いにあり、プレイヤーたちは数少ない領地を奪い合い、しのぎを削るという独特のプレイ感が持ち味となっています。
『AC』シリーズといえば、自分だけのメカをアセンブルする楽しみも大きな魅力ですが、本作はオンライン要素を盛り込んだことで、このアセンブルの概念も一新。過去作でいう肩武器や背中武器といったバックユニットを廃し、基本的には腕に装備したユニット武器（＋持ち変え可能なハンガーユニット）のみで戦うことになりました。
超強力な威力を誇る規格外の武器“オーバードウェポン”も実装され、どちらかといえば“小さなダメージで削り合う”ことが多かった『AC』の対戦に一撃必殺の要素が盛り込まれたのも新鮮でした。オーバードウェポンはどれも取り回しがピーキーなので、簡単に扱えるシロモノではなかった記憶がありますけど（笑）。とはいえ、そこはチーム戦ということで、誰かが囮となってオーバードウェポン持ちのところへ敵を引きつけ、満を持して一気にダメージを与える……なんて戦略も存在しました。
ブーストの仕様も大きく変更され、機体の加速や高度上昇にも大きな変化が盛り込まれたのも印象的。最大の変化は、ブーストのみでは高度をほとんど確保できないところにあります。どんな軽量機体でも、ブーストのみでビルの上に登るといった軽快な動きはできないようになっており、戦場では“ブーストドライブ”と呼ばれる壁蹴り（ブーストしながら壁にキックし、その反動で高く上昇していく）を駆使して高所へ移動することになりました。チーム戦ということで、考えなしにビルに登ったら敵が待ち構えていて集中攻撃を浴びる……といった局面もあり、高所の制圧を含め、いかにして有利な戦局を作り出せるかがアツかった記憶！
ちなみにこのブーストドライブは移動のみならず攻撃手段として機能し、過去シリーズで言う“ブレード使い”のように立ち回る“キック使い”の猛者たちも存在しました。動き回る敵に向かってブーストで突進し、相手の動きを読みながらキックで大ダメージを狙うなんて簡単なことではないはずですが、トドメはキックでというこだわりを持ったプレイヤーさんもいたんですよね。実際、僕なんかは何度もキックで撃墜されましたし。実力の高いエース格と遭遇し、味方チームが続々と落とされていく絶望感はハンパじゃなかったです……（汗）。
なお、上でサラリと書きましたが、領地の奪い合いという概念も新鮮でおもしろく、夢中になったファンも多かったかと。領地戦はシーズン制で、正直なところ高位の領地は一部の上位チームが権勢を誇っていたような印象もあるのですが……。ちょっと記憶が曖昧な部分もありつつ、ここらへん、ある意味現実世界と似てるなあって気がします。
ちなみに自分が所属していた弱小チームはランクの低い下位の領地を奪ったり奪われたりする程度ではありましたが、あのてんやわんや感はとても楽しかったです。仲間と時間を合わせてログインし、ボイスチャットをしながら戦場に出撃するというのは、まさに“チームバトル”の醍醐味でしたね。
プレイステーション3、Xbox 360という旧ハードの作品であり、何より最大のウリであったオンラインサービスがすでに終了していることもあって、当時の魅力そのままにプレイすることは難しい作品となったこの『V』。つい先日、満を持して発表された『アーマード・コアVI』にその血脈は受け継がれることになるのか？ いまから気になって仕方ないファンも多いことと思います。
かくいう自分もそのひとり。『VI』でまたチームバトルが楽しめるというなら、久しぶりにかつての仲間たちに連絡をとるのもオツなものかもしれません（笑）。それでは、今回はこのへんで！
