ウクライナ国防省が、ゲームデザイナーのVolodymyr Yezhov氏(Vladimir Yezhov表記のことも)が同国の激戦地であるバフムト戦線で戦死したことを公表した。

 これに合わせて、かつて同氏が勤務していたGSC Game World(FPS『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズほか)やFrogwares(探偵ADVシャーロック・ホームズシリーズほか)などのウクライナ系ゲームスタジオが追悼の辞を公開している。現勤務先であった釣りゲーム『Fishing Planet』公式によると、亡くなったのは現地12月22日とのこと。

現地の大手ゲームスタジオで20年近く活躍

 同氏がLinkedInに掲載していた経歴によると、2000年代前半よりウクライナのGSC Game WorldでQAテスター兼レベルデザイナーとしてゲーム開発のキャリアをスタートし、RTS『コサックス』シリーズのほか、FPS『S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky』にゲームデザインやレベルデザインで参加。一説によると第3作『S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat』のNPCであるLokiの顔のベースにもなっている模様。

 その後同氏はFrogwaresでコミュニティマネージメントやローカライズなどにも協力しつつ、『シャーロック・ホームズ 罪と罰』や『シャーロック・ホームズ 悪魔の娘』、『コール・オブ・クトゥルフ』といった国内展開もされた作品に関わっている。Fishing Planetでは2020年10月からフルタイムのゲームデザイナーとして勤務してきたが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まるとともに従軍志願を行ない、これまで戦ってきたようだ。2児の父であったという。

ウクライナゲーム業界と戦争

 Frogwaresの『シャーロック・ホームズ チャプター・ワン』でのグローバルな自主パブリッシング進出や、2022年4月に発売を控えていたGSC Game Worldの最新作『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』など、一層の飛躍を見せようとしていたウクライナゲーム業界だが、2022年2月のロシアによる侵攻により大きく状況が変化。発売延期や開発計画の変更などを余儀なくされている。

 なお、両スタジオはTwitter等で戦火に晒されるなかでの日常の様子を投稿しているので、気になる人はぜひそちらにも目を通して欲しい。