“どうあがいても絶望”のキャッチコピーで知られるホラーゲーム
いまから19年前の2003年(平成15年)11月6日は、PS2用ソフト『SIREN』が発売された日。
『SIREN』はソニー・インタラクティブエンタテインメント(当時はソニー・コンピュータエンタテインメント)から発売されたホラーゲーム。ゲーム内で8月3日に“異界入り”という出来事が発生するため、この日はファンが大きく盛り上がるのですが、知らない人はトレンドに入っているハッシュタグの“異界入り”に驚くかもしれません。
ちなみに、今年(2022年)のプレイステーション公式のTwitterがコチラ。7月15日から8月21日までバンダイナムコアミューズメントが運営する“NAMJATOWN(ナンジャタウン)”でコラボイベント“SIREN in NAMJATOWN”が開催されていたこともあり、現地の模様がわかる映像とともに“異界入り”のツイートがされました。
2022年8月3日 0:00
今年は「SIREN in NAMJATOWN」から、異界入りをお知らせします。
#SIREN #SIREN2022 #異界入り #異界入り2022 #SDK https://t.co/uCmknGey8x
— プレイステーション公式 (@PlayStation_jp)
2022-08-03 00:00:02
『SIREN』は昭和78年の日本の寒村を舞台にしたジャパニーズホラー。(昭和64年以上まであるのは『SIREN』の世界では昭和の年号が引き継がれているからです)
自分がとくに印象に残っているのは、キャッチコピーの“どうあがいても、絶望”。一度見たら忘れられない言葉で、めちゃくちゃセンスがいいですよね。
また、当時話題になったものといえばテレビCM。なんと、怖すぎるという理由で予定よりも早く放送を取り止めたという経緯がありました。確かに子どもが起きている時間に流すにはショックすぎる内容でしたね……。
物語の舞台は、“羽生蛇(はにゅうだ)村”という集落。プレイヤーは“赤い水”によって“屍人(しびと)”という異形の化物になってしまった村人から隠れながらマップを移動し、シナリオを進めていくことになります。
荒廃した羽生蛇村を探索する中で、目から赤い涙を流す屍人に鉢合わせると、かなりビビります。彼らは生前の行動をくり返しているため、ふだんは農作業などをしているのですが、プレイヤーを見つけると襲いかかってきます。
シナリオによってプレイアブルキャラクターは変わりますが、武器を持っていない人物を操作しているときは逃げるしかありません。敵に見つからないように進むのが基本ですが、見つかっても強引に突っ切ったり、武器を使って倒しながら進むのが最善策の場合も。
特徴的なのは“幻視(視界ジャック)”という、屍人の視点を乗っ取ることができるシステム。この能力を使うことで屍人がどこにいるのか、どこを向いているのかを把握することができます。最大4体まで視界ジャックが可能で、対応するボタンで視界を切り替えることができますが、視界ジャック中は無防備になってしまうため、屍人に見つかって攻撃を受ける危険もあります。
視界ジャックは視覚だけでなく聴覚も共有。屍人の声は不気味ですが、その声に攻略のヒントになるワードがあることも……。
システム自体は斬新でおもしろいのですが、ゲーム自体の難度はシビアです。自分も何度も心が折れそうになりました。ちなみに続編の『SIREN2』はシナリオ開始時にヒントが表示されたり難易度選択が実装され、ライトユーザーも遊びやすい仕様に。やはり、難しいというユーザーの声が多かったのでしょうか。
本作はキャラクターとストーリーも魅力的です。メインとなる主人公は高校生の須田恭也、民俗学者の竹内多聞、村の求導師である牧野慶など。それ以外にも多彩なキャラクターが登場し、多角的な視点で物語を進めていくことに。あるキャラクターの行動が、ほかのキャラクターのシナリオに影響するというザッピングシナリオを搭載しており、深く練り込まれた構成をしています。
また、ステージに隠された“アーカイブ”には屍人になった人物の過去などの資料が掲載されており、このアーカイブを見つけることでさらに世界観の理解が深まるという仕掛けも。アーカイブは100種類もあるため、資料は膨大です。
おもしろいのはすべてのストーリーを体験し、すべてのアーカイブを集めても、なお考察する余地が残っているということ。難解なストーリー構成と謎を残したまま終わるエンディングのおかげで、ファンによる考察や意見交換が盛んに行われて発売後も盛り上がりました。
その後にシリーズは、PS2で廃墟となった島“夜見島(やみじま)”を舞台にした『SIREN2』、PS3で『1』を再構築した『SIREN:New Translation』が発売されました。また、本シリーズを題材にした映画『サイレン ~FORBIDDEN SIREN~』もあり、こちらは『TRICK』や『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』で知られる堤幸彦氏が監督を務めました。
『SIREN』はゲームアーカイブスで配信もされているので、プレイしたことがない人はぜひプレイしてみてもらいたいです。なお、LINEスタンプも配信中で、何気に使い勝手がいいものが揃っているのでオススメです。
※本記事は、2021年11月6日にアップした記事を再編集したものです。