2022年9月15日～18日に千葉県・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2022。会期初日にあたる9月15日には、マイクロソフトによる配信番組 “Xbox ストリーム”が放送されたのはご存じの通り。同配信では、日本メーカーを中心としたXbox Series X|S向けタイトルが明らかにされ、ファンを喜ばせた。
そんな東京ゲームショウ2022に合わせる形で、Xboxの顔とも言うべきマイクロソフト ゲーミング CEOのフィル・スペンサー氏が来日を果たした。ファミ通では、フィル・スペンサー氏にインタビューをする機会を得たので、その模様をお届けしよう。
インタビューにあたって、フィル・スペンサー氏の口から、“まずはお伝えしたいこと”として、以下の言葉が口にされた。
「また、東京ゲームショウにもどってくることができてたいへんうれしく思います。
東京ゲームショウ2022では、基調講演となる“Xboxストリーム”を配信させていただいて光栄でした。
今回の来日に合わせて、パブリッシャーやゲームスタジオなど、多くのXboxのパートナーさんとお会いさせていただいているのですが、お話をしているとみなさんイノベーティブでありクリエイティブで、パワーをいただいています。
日本はXboxにとって、とても重要な市場です。Xbox Series XとXbox Series Sが日本でも受け入れられていることをうれしく思います。
Xbox Series X|Sはローンチから最初の2年間で強いパフォーマンスを発揮してきました。Xboxでプレイできる日本メーカーのタイトルも増えてきています。今後、この勢いをさらに加速させたいと思っています。Xbox Game PassやXbox Cloud Gaming、Xbox Design Labといったサービスを、日本市場でもお届けできていることをうれしく思います」
言ってみれば、フィル・スペンサー氏からの日本のゲームファンやクリエイターに向けての感謝のコメントといったところだろうか。
フィル・スペンサー氏
マイクロソフト ゲーミング CEO
Xbox Series Sはいまの時世に合ったいいハードだと思っている
――Xbox Series X|Sがローンチされてから約2年となりますが、手応えを教えてください。
フィルXbox Series XとXbox Series Sという、ふたつのハードには非常に手応えを感じています。ただ、Xbox Series Xの供給面に関しては、最初に見込んでいたよりも課題になっています。
大きな手応えを感じているのは、新規ユーザー数がかなり増えているところです。とくにXbox Series Sに関しては、購入者の大半が初めてXboxプラットフォームを使う方になっています。Xbox Series Sで初めてXboxを体験する人たちが増えているんですね。
――Xbox Series Sに関しては、当初の想定よりも手応えを感じていますか？
フィル当初の想定通りかどうかというご質問にお答えするのは難しいですね。私たち自身、かなり高い目標を立てていましたので。
ただ、いま経済的な不明確さが世の中にあって、そうなると、家族でどのハードを購入するかで議論するときに、リーズナブルなXbox Series Sが選ばれやすいということはあるようです。家庭用ゲーム機でも最高水準の1台であり、比較的安価に購入できるということで、Xbox Series Sはいまの時世に合ったいいハードだと思っています。
――今後は、よりXbox Series Sに比重を置いた戦略を取る？
フィル私たちとしては、ふたつのコンソールに変わらずフォーカスし続けていきます。Xbox Series Xは、家庭用ゲーム機の市場おいて、もっともパワフルなマシンだと自負しています。一方で、高性能なマシンを比較的安価に購入できるXbox Series Sがあります。Xboxというコンソールが長期的に成長していくためには、両方とも必要であるという認識でいます。
――さきほど、Xbox Series Xの供給面が課題だとおっしゃっていましたが、今後は整っていくのですか？
フィル2023年にかけて、どこかのタイミングでXbox Series Xの供給が改善されると思っています。一方で、いま過去最高といえる需要だったりもするんです。初代Xbox、Xbox 360、Xbox Oneという歴代のハードと比較しても、Xbox Series X|Sは売れています。これは日本だけではなくて、世界中で同様です。とはいえ、今後Xbox Series X|Sの供給は改善していきたいです。
最終的には、「自分たちがどのようにプレイしたいのか」というユーザー自身が自由に選べる選択肢を提供することが、Xboxのビジョンの基板になっています。
Xbox Game Passは、よりユーザーが楽しめるゲームを
――Xbox Game Passは、Xbox Series X|Sを牽引するサービスになっていますね。
フィルはい。Xbox Game Passは強力なサービスであり、他プラットフォームとの大きな差別化ともなっています。Xbox Game Passがあることで、Xboxを遊んでくださっているユーザーさんも多いです。
日本のクリエイターさんも、Xbox Game Pass を、自分たちのゲームを提供する場所のひとつだと見てくださっているようです。すでに100以上の日本のタイトルがXbox Game Passにあります。今後ほかのクリエイターさんとも、そういった機会について話していきたいと思っています。
――Xbox Game Passにラインアップされることを望むメーカーさんも多そうですね。セレクトがたいへんそう。
フィルXbox Game Passにユーザーさんが期待していることのひとつとして、“Xbox Game Passのタイトルはクオリティーが高い”ということがあります。ご存じのとおり、Xbox Game Passにラインアップされるタイトルに関しては私たちも厳正に選択しています。必ずしも希望するすべてのゲームがラインアップされるというわけではありません。
いま私たちは、いろいろな人たちと会話をしておりまして、2023年以降もXbox Game Passに素晴らしいタイトルをしっかりとラインアップできるということで自信を持っています。選択の基準は高いままで、より皆さんが楽しんでいただけるゲームをXbox Game Passにラインアップできると思います。
――Xbox Game Passは順調に成長している？
フィルそうですね。とはいえ、もっとたくさんの人にプレイしていただきたいですし、さらに利用できる地域を増やしていきたいですね。
2023年はXbox Game Studiosの豊富なラインアップに期待できる
――ファーストパーティータイトルのことも教えてください。現状の手応えはいかがですか？
フィルファーストパーティーチームに関しては、すばらしい仕事をしていると思っています。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、ゲームの制作に遅延が生じており、一時期あまりリリースできないという状況がありました。2023年以降は、強力なラインアップをお届けできると思っています。個々のクリエイティブの多様性なども含めて期待してください。
――Xbox Game Studiosは、23のスタジオを擁していますが、2023年以降はたくさんのタイトルを期待していいのですね？
フィルイエス！
――Xbox Game Studiosと言えば、6月に小島秀夫監督のコジマプロダクションとの提携が発表されましたね。
フィル小島さんと私は長年の知り合いです。彼はゲーム体験に関する斬新なアイデアを持っていて、私たちは私たちのプラットフォームでそれを実現したいということで提携することになりました。
本日コジマプロダクションを訪問してきて、初期の段階のものを見させていただいたのですが、とても興奮しました。
――Xboxにタイトルをリリースする日本のメーカーが増えているとのことですが、日本のゲームメーカーとの関係性も良好なようですね。
フィル日本でゲームを作っている知り合いや友人がたくさんいます。お付き合いが長い人たちも多いのですが、「私たちのプラットフォームに必要なことは何か？」ということで、日本のゲームクリエイターの方々の意見に耳を傾けて、フィードバックをいただいてきました。それを改善して……ということが信頼につながって、Xboxでゲームをリリースしてくれることにつながっているのだと思います。
そのフィードバックループによって、日本のゲームが今後さらにたくさん増えてくるのではないかと思いますし、この流れをうれしく思います。
――いい循環ですね。
フィルXbox Game Passも大きかったと思います。たとえば、以前Xboxで展開していなかったフランチャイズをXbox Game Passにラインアップできないかということでご提案したところ、世界的に好評をいただいたんですね。そうなると、パブリッシャーもクリエイターさんも手応えを感じて、引き続きXboxでリリースしてくれるという流れになっています。そうなると、Xboxプラットフォームでそのフランチャイズのファンベースも増えて、そのファンが新作も購入してくれて……という好循環ですね。
あと、私たちは、日本のデベロッパーをサポートするチームにも力を入れています。そのチームに対しても誇りに思っています。
――最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
フィル日本のXboxユーザーには感謝しています。日本市場で、Xbox Series X|Sが好調なのはうれしく思います。日本のゲームコミュニティーの方々からの熱心なフィードバックや継続的なサポートなしにはここまでくることはできませんでした。これからもよろしくお願いします！
