2022年9月15日~18日に千葉県・幕張メッセにて開催の東京ゲームショウ2022。会期2日目の9月16日には、“KONAMIアクション&シューティングゲームコンテスト”アワードセレモニーが行なわれ、『ガリウスの迷宮リメイク』が大賞作として発表された。
同企画を応募したのは“ならむら”こと楢村匠氏。インディーゲーム界隈では『LA-MULANA』シリーズの作者として広く知られる有名人である。セレモニーのステージに上がった同コンテスト担当プロデューサー・上野亮作氏をして「企画書の“圧”がすごかった」と言わしめるほどの“ガリウス愛”を表現しきった楢村氏に、セレモニー後に話を伺った。
『LA-MULANA』シリーズとは、また違ったアプローチがある
――応募した段階で、楢村さんの“素性”は割れていたのでしょうか?
楢村おそらくそうでしょうね。コンテストに応募するには集英社ゲームクリエイターズCAMPへのクリエイター登録が必要だったのですが、その際に経歴を書く必要があるので。いざ制作するとなった時のメンバー(楢村氏が代表を務めるゲーム制作チーム・NIGOROのスタッフ)もリンクで繋がっているので、アピールしなくても伝わっていたと思います。
――『ガリウスの迷宮』(※KONAMIが1987年に発売したMSX用アクションロールプレイングゲーム。正式タイトルは『魔城伝説II ガリウスの迷宮』)への思いは『LA-MULANA』で表現し尽くしていたと思っていたので、このタイトルセレクトは正直意外でした。
楢村本当にその通りなんですよ。当時『ガリウスの迷宮』を楽しんだ俺たちが作るならこうする、との思いで作ったのが『LA-MULANA』だったので。ただ『LA-MULANA』シリーズは“2Dゲームが3Dゲームに取って代わられることなく順当に進化していったらこうなるに違いない”というコンセプトで制作していましたが、また違ったアプローチもあるのかなと。
――というと?
楢村『ガリウスの迷宮』を当時制作していたスタッフが、「本当はこう作りたかったけどハードの制限などによって断念せざるを得なかった要素を実現したらどうなるか?」という形であれば、同じことのくり返しにはなりません。一次審査の時点では『LA-MULANA』のエンジンを使い回して作ればいいかと思っていたのですが、二次審査の時点でいちから作る必要性を強く感じました。
――かつて自虐的におっしゃっていた、ワンオフの制作体制に戻ってしまう?
楢村そうなるかもしれませんね(笑)。
――受賞したばかりのタイミングで伺うのも恐縮ですが、企画の実現度についてはいかがでしょうか?
楢村企画書は1ページ目に“ガリウスは誰にも渡さない”という脅迫文めいたこと書いたりと、作りたい思いの強さを前面に出しましたが、具体的な内容についてはこれからですね。いざ制作開始となるまでは、メンバーとああしたい、こうしたいと妄想を語り合う、一番楽しい時間を送ることができそうです。