国民的キャラクターのドラえもんが、人気ゲームシリーズ『牧場物語』の世界に登場する 『ドラえもん のび太の牧場物語』。その最新作となる『ドラえもん のび太の牧場物語 大自然の王国とみんなの家』(対応ハード:Nintendo Switch、プレイステーション5、Steam)が、2022年9月15日~9月18日に千葉県・幕張メッセで開催される東京ゲームショウ2022に出展が決定。それに先駆けて、バンダイナムコエンターテインメントにてプレス向け先行体験会が行われた。東京ゲームショウ2022に出展されるものと同じ設定の試遊機をプレイレビューするとともに、プロデューサーの中島光司氏にインタビューを決行した。
【プレイレビュー】ワイワイ賑やかなルームシェア生活がとにかく楽しい
今回の試遊で体験できたのは、ゲーム開始から数日経過した“はるの月”のとある日。メインのキャラクターは登場済みで、牧場作業に必要な道具類もある程度なら揃っている状態のセーブデータだ。プレイヤーが操作するのび太は、すでにイリマ星の牧場にてルームシェア生活をスタートさせている。
ゲームタイトルに“みんなの家”とあるように、ルームシェアは本作を象徴する生活スタイルだ。朝目覚めると、すぐにルームシェアメンバーがダイニングに集まってブレックファースト。朝からこんなにワイワイしていることに、驚きを隠せない。なにせ前作はのび太が広い牧場でひとり暮らしをしており、少し哀愁すら漂っていたので、そのギャップはかなりのもの。筆者は、ワイワイ賑やかなルームシェア生活を素直に嬉しく感じた。これは楽しい牧場生活になりそう!
朝食後は自由時間だ。ドラえもんに話しかけると“いっしょに行く”というメニュー表示がポップアップ。これは“助っ人”というバディシステムで、ふたりいっしょに行動してくれる。それではさっそく、ドラえもんといっしょに行くことにしよう!
牧場に出てみると、すでにカブと果樹が植えられている状態だった。のび太が行動を起こす前に、同行していたドラえもんが手際よくカブに水やりをしてくれる。“助っ人”はこちらが何も指示しなくても、積極的に牧場作業を手伝ってくれるようだ。これは便利だし、嬉しい。ちなみに、“助っ人”はいつでも解除して別行動にもできる。
カバンの持ち物を使って、少し農作業をしてみる。“ひみつ道具”のケロンパスや畑のレストランを所持していたので、さっそく使ってみることにした。畑のレストランは、土に植えると料理が入っている実が育つらしい。今日は種まきだけだから、実がなるのは数日後。おいしく育てよ~。
ここから先はどうしようかな、とメインメニューを開いて確認。序盤に何をしたらいいのかわからない、『牧場物語』初心者あるあるに陥ってしまったプレイヤーは、メインメニューに“やることメモ”があるので迷うことはなさそう。とくに“重要”の項目は最優先のようだ。この項目をつぶしていけば、きっとメインストーリーも進んでいくに違いない。
続いてミニマップを開いて、イリマ星の行けそうなエリアを確認。どのエリアにどのキャラクターがいるのか一目瞭然なのも便利だ。とりあえず、このマップを頼りにイリマ星を歩き回ってみよう。
前作を踏襲した水彩画タッチのグラフィックは、光や風といった自然エフェクトの追加でさらに美しく進化。まるで絵本の世界にいるような感覚で没入できて、どこを歩いても癒される。とくに絶景のビュースポットは、背景レイヤーを数枚重ねたような不思議な奥行き表現が凝っていて見入ってしまう。写真よりも実際のゲーム画面で見たほうが数倍美しいので、試遊版や体験版でぜひ見てほしい。
散歩しているうちに、出会いの広場に到着。ここはショップが立ち並び、イリマ星でいちばん賑わっているエリアと言える。各種ショップではイリマ星の人々が働いているので、みんなに挨拶して回ることに。イベントシーンはフルボイスで再生され、ワイプのキャラクター表情差分も種類が多く、感情表現が豊かだ。アニメと同じとまではいかなくとも、かなりテンポよくイベントシーンが進む印象を受けた。出会うキャラクターみんなにサブストーリーが用意されているので、製品版でまた会いに行くとしよう。
夕方になりシェアハウスに戻ると、みんなが夕食をとっていた。夕食の時間がだいたい決まっているらしく、この時間に帰ってくるとみんなで夕食を食べられる。なにか、みんなといっしょに食べるっていいね。ほっこりする。この世界の一日が終わろうとしている、現実世界に戻りたくない……。
ちなみに試遊時間は40分ほどだったが、「あれ? もうそんなに時間経ったの?」と驚いた。体感時間が短く感じるほどの没入感はかなりのもの。本作が発売されたら、早くイリマ星に帰りたいです。
【インタビュー】ルームシェアは、キャラクターが身近に感じられる
中島光司氏(なかじまこうじ)
バンダイナムコエンターテインメント プロデューサー
――『ドラえもん』が『牧場物語』の世界に登場する本作ですが、どのような相乗効果を期待して開発されたのでしょうか?
中島本作の企画を立ち上げた僕自身が、幼少期に『ドラえもん』で育ってきました。『ドラえもん』は、ちょっと抜けているのび太が何かを目標にがんばろうとすると、それを仲間たちが応援してくれるところが魅力だと思っています。一方で、僕はゲームの『牧場物語』シリーズもずっと遊んでいました。『牧場物語』は、自分が努力すると町のみんなが幸せになっていくところがすごく楽しくて……。
双方の作品は共通点があって、とても平和的な優しい世界です。 『ドラえもん のび太の牧場物語』として、プレイヤーがのび太くんになれるゲームがあったら、ユーザーにとっても楽しいんじゃないかなと。そういう思いからスタートして、本作が生まれました。
――本作のコンセプトは「確実に人の心を打つ、人にとって大事なテーマが詰まった“ドラえもん体験”を楽しめる、ハートフルほのぼの生活ゲーム」とのことですが、その現実のために注力したポイントを教えてください。
中島『ドラえもん のび太の牧場物語』シリーズの大きな特徴は、一本筋が通ったメインシナリオがちゃんとあるところです。その物語の中で、さきほど言ったようなコンセプトを体現できるようにしています。
――メインシナリオありきというのは最初の企画段階から固まっていたんですか?
中島本作には『ドラえもん』のキャラクターが登場して、かつプレイヤーがのび太を操作するゲームなので、物語の始まりと終わりがあることを意識してシナリオには力を入れました。一方で、『牧場物語』シリーズにはメインシナリオはありませんでしたから、そのへんが本作との大きな違いですね。
――シナリオ制作はすんなり進みましたか?
中島『ドラえもん』は原作がありますので、版権元様にもご協力いただいてアイデアをもらいながら作っていきました。メインシナリオとは別に、キャラクターを深掘りするサブシナリオもあります。メインでこのキャラクターを登場させるには、サブでこの人の背景を掘り下げなきゃいけないな……などと調整をしていったら、当初想定していたボリュームを突き破って、どんどん膨れてしまいました。
――サブシナリオにも力が入っているんですね。とくに注目のキャラクターを中島さんが選ぶとしたら、どの子でしょうか?
中島苦渋の選択ですね(笑)。ルアナというペンギンの女の子がいるのですが、優しいけれど頭がよくて……ツンデレなんです。ちょっとトゲトゲ、でも優しいというギャップが魅力ですね。
――ルアナですか! 彼女はのび太たちとルームシェアをしているメンバーですね。試遊でルームシェアを体験しましたが、ワイワイ賑やかな雰囲気がとてもいいです。
中島ルームシェアは、キャラクターが身近に感じられると思います。すごく何気ないことでも、このキャラクターといっしょにいると思えるだけで、ひとつひとつのゲーム体験が変わってくる。“誰かのために何かをしてあげる”というテーマが本作の根幹にあるんですよ。
――確かに! ルームシェアは、そのテーマがわかりやすい形で体現できると感じました。
中島ルームシェアのメンバーで記念日を設定できて、記念日にみんなでお出かけすることもできます。そういった思い出がどんどん積みあがっていくことで、キャラクターに愛着が沸いてくると思います。
――みんなでお出かけといえば、マップのグラフィックがとても美しかったです。本作の見どころも教えていただけますでしょうか?
中島前作でもご好評いただいたグラフィックや世界観は、パワーアップしています。前作のテイストは残しつつ、太陽光や風の音などリアルな表現を加えることで、より美しい世界を体験できるようになっています。
――とくに、ビュースポットの絶景には感動しました。
中島ビュースポットはこだわっていて、遠景を眺めるような感覚に近いです。たとえば、かがやきの岬にずっといると、朝は太陽が昇り夕方には沈んでいく。一日の中で、時間経過で景色が変わっていくんです。さらに、春夏秋冬の四季が流れていきますので、一度行っておしまいではなくて景色の移り変わりを楽しんでください。
――とくに、ここの表現はこだわったという部分はありますか?
中島細かいこだわりはまだまだあります。夜になるとライトで暗がりを照らしながら歩くことができるんです。子どものころの懐中電灯で暗闇を探索するワクワク感、そういった体験をゲームでも再現しました。このような小さなこだわりも大事かなと。
――ゲームシステムについてもお伺いします。『牧場物語』という確固たるシステムがあるので、そこに『ドラえもん』らしさを入れるのは苦労があったのではないでしょうか?
中島全体のバランスをとるのがすごく難しかったです。『牧場物語』は、基本的には自分で作業をするゲームで、一方『ドラえもん』には“ひみつ道具”があります。あまりにも便利な“ひみつ道具”が登場すると、『牧場物語』らしい作業がなくなってしまうかもしれません。自分でやった成果を実感できることが大事なので“ひみつ道具”を使うと作業がちょっと便利になる、というバランスは間違えないように意識しています。
――確かに、“ひみつ道具”は便利になりすぎてもダメなんですね。
中島“ひみつ道具”を使って楽をするというよりも、少し便利になる、できなかったことができるようになる、という意識で味付けをしています。
――東京ゲームショウ2022に出展されますが、遊びどころを教えてください。
中島今回は体験版という形で試遊をご用意しています。ゲームの冒頭から少し進んだ段階のセーブデータをご用意しているので、スッっと遊べるようにしています。ある程度の資材がそろっていて、ゲーム要素もオープンになっているので、すぐに楽しんでいただけますよ。
――使える“ひみつ道具”も用意されていますか?
中島もちろん“ひみつ道具”もお試しできますし、主要の登場キャラクターも出ている状態です。
――本作の発売を楽しみにしているファンの方に向けてメッセージを。
中島前作はたくさんのユーザー様に遊んでいただき、その中でいろんなご意見を頂戴しました。本作を作るうえで、そのご意見を参考にしながらゲームを作っています。新しいシステムやグラフィックの強化はもちろんですが、UIの操作性やゲームバランスなどを見直しました。TGSにお越しのお客様は、ぜひその部分を体験版で見てもらいたいです。
今後は、メインストーリーのことやゲームの情報を出していきますので、ぜひ楽しみにしていてください。ゲームショウ会場に行けなかったユーザー様のために、今回とは別に体験版を配信する予定がありますので、そちらも楽しみにお待ちください。