「セガの看板キャラクターであるソニックが、オープンフィールド的な作品になった!」と話題の、2022年11月8日に発売される『ソニックフロンティア』(対応機種はNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC<Steam>)。いち早く同作を先行プレイできる機会に恵まれたので、本稿では「具体的にどんなゲームなのか」、「どんな手触りになっているのか」といった部分を、筆者の主観的を交えて解説していく。
大量の謎が散りばめられたフィールドの探索が楽しい!
まずは、大まかなゲームの流れから説明しよう。本作は、ソニックがある事情で古代遺跡が多数残るスターフォール諸島のクロノス島に辿り着くことになる。序盤では、さまざまなことが伏せられているので、「とりあえず島を冒険してみるか」的な感じで、島内を探索することになるわけだ。
この島がいわゆるオープンフィールド的な作りになっており、封鎖されている場所やソニック能力では物理的に進めない場所を除けば、自由に探索可能。担当者に軽く話を聞いたところ、島の大半の場所には何の制限もなく進めるということだった。
また、いわゆるRPGのように敵と頻繁に出会うという感じではなかったのは印象的。ウエイトとしては探索の比重が重めで、要所にザコ敵やでっかい強敵がいるという感じだった。だからといって、歯応えがないかと言えば……そんなことはない。敵それぞれで倒しかたを考えさせられる感じで、とくに強敵は「どうやればこの敵にダメージを与えられるのだろう?」と頭をひねることに。力押しだけで解決するタイプのゲームではないところも、本作の特徴のひとつとして挙げるべきかと思う。
ほかにも豊富に謎解きは用意されている。謎を解くことでマップが解放されたり、ソニックを強化するアイテムが入手できるようになるのだが、筆者がとくに重要と感じたのはマップの解放だ。仕掛けをクリアーすることで一定範囲のマップが解放されるのだが、隣接したふたつのマップを解放すると、ふつうに移動するより明らかに高速で隣のエリアに移動できる“古代レール”が解放される。広大な島を探索するにはこれがかなり便利! まずはマップをフル解放する方向でプレイを進めるのもよさそうな気がした。
また、島はひとつだけではなく、複数存在する。今回は緑が映えるクロノス島のほかに、砂漠が広がるアレス島という場所でも遊ばせてもらうことができた。どうやら、いくつかの特色ある島を探索してゲームを進めていく……という形になるのだろう。
自由度は高いが、ゲームを進めていくための流れはシッカリ!
島を探索するとザックリ言ったものの、何も目標がわけではない。プレイした限りでは “島にいる仲間を集めたアイテムを消費して助ける”、“電脳空間でキーアイテムを手に入れる”などの目標が用意されていた。
まず、“島にいる仲間の救助”について言及しよう。クロノス島ではエミーが捕らえられており、彼女を解放するにはアイテムが必要になる。そのアイテムは、島に大量に配置されている“ギミック ”をクリアーしたり、“サイループ”という本作独自のアクションでアイテムを見つけ出すことで集められるので、「島を探索してアイテムを見つけなきゃな」、という流れになるわけだ。さて、少し脱線気味にはなるが、ここで登場したギミックとサイループは本作を遊ぶうえで非常に重要な要素になりそうなので、その詳細について説明していこう。
ここで言うギミックとは、これまでの『ソニック』シリーズのステージで楽しめたちょっとしたアトラクションのようなもの。レールを滑ったり、ジャンプをしたり、高台に上ったりしながらリングを集め、最終地点まで辿り着くと仲間を解放するアイテムやソニックを強化するアイテムが手に入るケースが多い。そんなギミックは凄まじい数が用意されており、マップを解放すれば未クリアーのものがマップにも表示されるようになるのだが……なかには「あれ? このギミックはどこから始めるといいのだろう?」みたいな場所も。正直、これを制覇するのがエンドコンテンツなのではないかと思うくらいの数があり、これらがまさに“オープンゾーン”なんだなという印象を受けた。
続いてはサイループの解説に移ろう。サイループはゲームを始めるとすぐにソニックが習得するスキルのひとつで、ボタンを押し続けているあいだ、ソニックの動きに応じた光の軌跡が表示されるようになる。この軌跡で敵を囲んだり、特定のエリアを囲むと、“何か”が起きるという寸法だ。謎解きに使用したり、ふつうには倒せない敵を倒すためのきっかけ作りに使用したりと、かなり使用頻度は高そう。ちなみに、何も起きないような場所で使ってもリングが出現したので、強敵に挑む前の準備などにも使えそうだ。
懐かしの“ソニック感”が味わえる電脳空間
本作の大きな目標に直接影響してくるのが“電脳空間でキーアイテムを手に入れる”という目標だ。電脳空間とは、ソニックが探索するスターフォール諸島の島々とはまったく違った謎の空間。島を探索してアイテムを集め、古代遺跡を解放するとプレイできるようになる、ひとつのアクションステージだと思っていただければいいだろう。この電脳空間は、画面的な演出こそ立体的になっているが、ゲーム性や手触りは“決められたコース(途中で任意にルート選択も可)をゴールまで駆け抜ける”という、横スクロールアクションに近いものになっている。筆者の個人的な印象で言うと“令和仕様の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』”というような感覚だ。
なお、電脳空間には、“1.ゴールに到達する”、“2.指定されたSランクタイムでクリアーする”、“3.指定された個数以上のリングを持ってクリアーする”、“4,レッドスターリングをすべて見つけてクリアーする”というクリアー目標が用意されている。これひとつを達成するごとにキーアイテムを獲得できるという寸法だ。
島には電脳空間にアクセスできる場所が複数あり、それぞれでキーアイテムが複数入手可能ということから推察するに……物語を進めるためには複数のキーアイテムが必要になることだろう。つまり電脳空間を一定以上の成績でクリアーすることもゲームを進めるうえで不可欠になりそうなのだが、プレイした限り“指定されたSランクタイムでクリアーする”はかなり難しめ。すべての電脳空間をパーフェクトクリアーするというのも、本作のエンドコンテンツのひとつになるかもしれない。
スピード感は抜群! 難易度もほどよく、達成感はあちこちで感じられる
本作は、ひとつひとつの島はかなり広大なため、必然的にダッシュを使って移動することになる。ただし、会敵するタイミングもやたら多いわけではなく、さらに逃げることも自由。なので、「快速のソニックを操って広大な世界を旅しているなあ」という感覚は、プレイした人の多くが持つのではないかと思う。そう言う意味では、「ソニック×オープンワールド」という印象を裏切ることはないはずだ。
それに加えて、あちこちにあるギミックや電脳空間などでは、局地的に相当なスピード感が得られる。もちろんおなじみのループも各地に点在。そういった作りになっているので、筆者としては「速度の面での“ソニックらしさ”も十分に踏襲しているなあ」という感覚だ。
そして、先にも述べたが、本作の謎解きやバトルで“閃き力”を要求されるという部分が個人的にかなり好みだった。初見でプレイしているなかで解法がわかったとき、敵にダメージを与える手段を閃いたときの……言わば頭脳面で得られる爽快感といったものは、相当気持ちがいい! こういった「謎解きが多い」という部分も、シリーズでは『ソニックアドベンチャー』などからの流れと言ってもいいかもしれない。
とくに今回のプレイでは、簡単に倒せそうにない巨大な敵(中ボスっぽいもので、その大きさは軽くソニック20人分以上はあった)すらも、“どうすればいいのか”さえ思い付ければ、わりとイージーに倒すことができた。ソニックは成長によっていくつかのスキルを習得できるが、倒すための攻略法はスキルの有無にはあまり関係ないようで、倒しかたを思い付けるかどうかが重要なのかもしれない。もちろん、先に進めばどうなるかはわからないが、少なくとも序盤はそんな感じだった。
筆者はクロノス島やアレス島の序盤だけプレイしているだけなので、最後まで同じ感想を持ち続けられるかどうかはわからないのだが(もちろん難易度設定は用意されている)、難しさはそこそこでありながら、達成感は随所で得られるようなゲーム設計になっていると感じた。とくに、「遊び手の腕前に関わらずゲームを楽しませよう」という開発陣のサービス精神は、端々から伝わって来た気がする。
3Dのゲームなのでいわゆる“ゲーム酔い”の心配はあるが、それさえ大丈夫なら本作は比較的幅広い層が楽しめるであろう作品に仕上がっている。『ソニック』ファンならずとも、機会があれば一度触れてみることをおすすめしたい。