バンダイナムコエンターテインメントより、テーマパークマネージメントシミュレーションゲーム『Park Beyond(パークビヨンド)』が、プレイステーション5、Xbox Series X|S、Steamにて、2023年に発売される。
本作はモジュールを駆使して現実ではあり得ないユニークなアトラクションを作り、テーマパークを建設できるシミュレーションゲームだ。ジャンプ台や大砲で飛ぶジェットコースターなど、ゲームだからこそできる独創的なアトラクションが魅力となっている。
そんな本作の開発状況や目指しているコンセプトについて、開発を担当するLimbic Entertainmentで本作のプロデューサーを務めるマルコ・フパート氏に話を聞いた。
Marco Huppertz(マルコ・フパート)
『toropico』シリーズなどを手掛けるLimbic Entertainmentに所属。『Park Beyond』のプロデューサーを務める。文中ではマルコ。
PC、コンソールどちらでも遊べる操作性にこだわった一作
――まずは、日本のゲームファンに、Limbic Entertainmentがどんなスタジオなのか、簡単に教えてください。
マルコLimbic Entertainmentは今年で20年目のディベロッパー会社です。これまで『トロピコ 6』などのゲームを手掛けてきて、現在は『Park Beyond』をPC、コンソール向けに開発しています。開発メンバーは全部で86人で、16ヵ国のメンバーが集まりました。
――本作を開発するにあたり、『トロピコ 6』での経験が活きた部分はありますか?
マルコ『トロピコ 6』で学んだのは、ナラティブなストーリーラインを活用していくことでした。ストーリーを通じてゲームの遊びかたをユーザーに伝える、いわゆるチュートリアルの役割を果たすということですね。
複雑なゲームシステムをまとめて伝えても難しくなり理解できず、ゲームから離脱する原因になってしまいます。しかし、ストーリーを通じて少しずつ学んでいけばより多くの人に楽しんでもらえるということを、『トロピコ 6』から学びました。
――複雑なシステムのゲームも、ストーリーを通じて学べば誰でも遊べるようになるということですね。
マルコその通りです。すでにデモ版をプレイして理解していただいたと思いますが、キャンペーンモードを進めることで(テーマパークを)簡単に作れるようになりますよね。デモ版はジェットコースターを作って終わりでしたが、本編ではキャンペーンを進めることで、テーマパークの経営や、どんなパークを作っていけるのかを学んでいけます。
キャンペーンモードでチュートリアルをやりながら、プレイヤーには本作のキーワードとなっている“Impossification(インポシフィケーション)”について知ってほしいのです。
――“Impossification”は本作の造語でしたね。こちらについても、詳しく教えてください。
マルコ『Park Beyond』の開発を始める際、子どもがテーマパークを訪れてさまざまなアトラクションで遊ぶことを想像しました。そのアトラクションを、よりおもしろい、つぎのレベルに上げてみることにしたんです。
たとえばジェットコースターをロケットで飛ばしたらクールですよね。本来は危険や安全性、コストといった問題が発生しますが、それを気にせず想像力を働かしてアトラクションを作る、不可能を可能にするという意味で“Impossification”という言葉を作りました。
――開発にあたってもっとも心がけた点をお教えください。
マルコ意識した点のひとつとして、テーマパーク構築というゲーム性に、まったく新しいユニークなものを提供したいという思いがありました。また、最初からPCだけと限定せずコンソール向けに出すことも決めていたので、操作性にもこだわっています。
キーボード&マウス、コントローラー、どちらでも使いやすく、わかりやすい形式で提供できるようにしました。コンソール市場は大きいですし、クリエイティブなプレイヤーも多いのでたくさんの方に遊んでほしいですね。
――2023年リリース予定とのことですが、現在の開発状況をお聞かせください。
マルコ現在は多くのパーツを改善して、よりクオリティを上げることにフォーカスしています。段階を踏んで調整していますが、まだまだやることは多いですね。PC、コンソールで同時に販売するため、皆さんが期待しているクオリティに仕上げることが何よりも重要だと考えています。そのため、クオリティアップのためにも2023年発売としました。
――キャンペーンモードでは、どのようなストーリーが展開されていくのでしょうか?
マルコキャンペーンの最初のミッションとして、フィルという設計者に出会いテーマパークを作っていくように頼まれます。ストーリーを進めることでテーマパークは過去の栄光を取り戻し、外部・内部からさまざまな依頼を受けていくことになります。
その中で、新たな要素が解放されたり、モジュールが使えるようになっていくのです。こんなテーマパークを作りたいという、ビジョンを持った設計者として“Impossification”を働かしてください。
――キャンペーンではただアトラクションを作るだけでなく、予算管理などさまざまな要素が絡んでくると思いますが、難易度設定などはあるのでしょうか?
マルコ難易度設定は可能で、キャンペーンモードの中でプレイヤーが自由に選べます。マネジメントに興味がなく、パーク作りに専念したいという人もいますし、逆に集客やテーマパーク運営にこだわりたい人もいますよね。ですので、それらを自由にセッティングできるようにしました。
――難易度設定があるのはありがたいですね! 多くの人が最初にキャンペーンモードを遊ぶと思いますが、クリアーまでおおよそどの程度の時間が必要になりますか?
マルコ約30時間程度というところですね。
――キャンペーンとはべつに、自由にテーマパークを作れるようなモードは存在しますか?
マルコ資金などを気にせず遊べる“サンドボックスモード”があります。また、そちらでも予算管理をしてアチーブメントを獲得したり、集客する遊びかたも可能です。
――今回プレイしたデモ版で、街中にジェットコースターを作っていくのが斬新でした。ああいったロケーションはほかにもあるのでしょうか?
マルコデモ版は特別なロケーションで、街以外のテーマが登場するというわけではありません。ただ、“サンドボックスモード”では街をはじめ、さまざまなロケーションを作ることが可能です。
――現実では体験不可能なモジュールがいくつか確認できましたが、その中でもとくにおすすめの見てほしいモジュールはありますか?
マルコ“Impossification”というコンセプトは、アトラクションだけにとどまらずさまざまな要素に適応しています。固定式のライドや、キービジュアルにも映っているタコなどが登場しますが、それだけではありません。
テーマパーク内のショップからスタッフまで、ふつうではあり得ないことが可能ですので、プレイヤーにはぜひそれらを発見・想像してほしいです。
――テーマパーク運用ではマネジメントやメンテナンスも重要になってくると思いますが、そこにもImpossificationは適応されるということでしょうか?
マルコたとえばアトラクションは非現実的な要素を取り入れることで複雑になり、メンテナンスが必要になります。ほかにも、たとえばショップの場合はビーコンを使って目立つようにして集客率をアップしたり、スタッフもやりかた次第で掃除の効率がよくなったりと、工夫を凝らす場面は豊富にあります。
アトラクションには特定の年代や客層にターゲット層を絞って作る、フックシステムというものを用意しました。どんなお客さんに遊んでほしいか、それを想像してテーマパークを作ってみてください。
――テラフォーミングやフリーフォーム機能も充実しているようですが、開発スタッフが作ったユニークなオブジェクトなどがあれば教えてください。
マルコすでにデモで街を見てもらっていると思いますが、これらはすべてチームが手作りしたものです。各マップもすべて我々が作ってきました。プレイヤーにはまったく新しいものを1から作りたいという人もいれば、ある程度テンプレートを利用して遊びたいという人もいると思います。
たとえばショップも初期時点ではプレハブ小屋にしてあるので、そこからデコレーションして理想のお店を作れますよ。テーマに沿って作ったり、最初からすべて自分の手でテーマパークを作り上げることができます。
――自分の作ったテーマパークは、そのままオンライン上で全プレイヤーに共有できるという認識でよろしいでしょうか?
マルコサンドボックスモードで作ったコンテンツをシェアすることは大切だと我々は考えています。ですので、クロスプラットフォームで共有を可能にしました。
――最後に、『Park Beyond』が気になっているゲームファンにメッセージをお願いします。
マルコ『Park Beyond』で皆さんがどういったテーマパークを作ってくれるのか、それを見れる日が待ちきれません。自由に、不可能を可能にして作れるというのが本作のコアな部分になりますので、独創性のあるテーマパークを作ってくれる日を楽しみに待っています。