サイゲームスより配信中のゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、『ウマ娘』)。明日、2022年8月24日からは待望の育成シナリオ“つなげ、照らせ、ひかれ。私たちのグランドライブ”(以下、グランドライブ編)が登場! 今回はメディア向けに開催された先行体験会より、本シナリオの先行レビューをお届けします。

センターに立てないウマ娘はどんな想いでライブに臨むのか

 これまで『ウマ娘』の育成シナリオでは、トレセン学園の花形レースである“トゥインクル・シリーズ”を皮切りに、“URAファイナルズ”、“アオハル杯”、“トゥインクルスタークライマックス”と、さまざまなレースに挑むウマ娘たちの姿が描かれてきました。ひたすら己を磨き上げ、ライバルに打ち勝ち、栄冠をつかむ──そんなウマ娘たちの熱いドラマが見られるのは本作の醍醐味であり、また、そんなレースと表裏一体の存在としてそこにあるのが“ウイニングライブ”です。

 スポットライトが当たるのは好成績を残したウマ娘だけで、負けたウマ娘たちはバックダンサーとしてそれを盛り立てる。これが当たり前の光景でした。このようにウマ娘とは切っても切り離せない存在のライブですが、その舞台裏については断片的な描写に留まっていたため、「彼女たちはふだんどんな想いでどのようにライブの練習に励んでいるのだろう? そして、勝負に勝てなかったウマ娘はどんな気持ちでステージに立っているのだろう?」と気になっていたトレーナーも多いのではないでしょうか。

 そんなこれまであまり描かれてこなかった領域に踏み込んだのが今回実装されるグランドライブ編のシナリオです。これまでとはひと味違った角度から、ウマ娘たちの本質に迫るドラマがくり広げられていきます。

『ウマ娘』新育成シナリオ“つなげ、照らせ、ひかれ。私たちのグランドライブ”先行レビュー。センターに立てないウマ娘はどんな想いでライブに臨むのか? 新要素満載の育成も見逃せない!

 そもそも育成シナリオのタイトルにもなっているグランドライブとはどういった存在なのでしょうか?

 ざっくりと説明するならば、グランドライブはかつて1年に1回開催されていたイベントで、トレセン学園に所属するすべてのウマ娘がステージに参加して自身のファンに向けて感謝の想いを歌っていたライブのこと。「すべてのウマ娘が参加とか物理的に大丈夫なの!?」と思う方も多いでしょうが、こちらはトゥインクル・シリーズがまだ大きくなる前の段階で、なおかつウマ娘たちがレースと並行する形で独自に行なっていたからこそ成しえていたイベント。

 トゥインクル・シリーズが大きくなるにつれて当然、構造的にムリが生じるようになり、URAが提案したウイニングライブの誕生によって表舞台から姿を消しました。もし再び実現するようなら、夢のようなライブといえそうですが、はたして……。

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 グランドライブ編のシナリオは、ウマ娘“スマートファルコン”がライブのバックダンサーとしての練習にやる気を見せないウマ娘とぶつかるところからスタートします。

 スマートファルコンは、バックダンサーという責務に対しても全力で臨むべきだと主張しますが、相手は「センターにならなければファンへの感謝の気持ちを伝えられないし、バックダンサーというポジションに慣れるのはいやだから全力でやりたくない」と主張。会話は平行線をたどるばかりです。

 もともとスマートファルコンは、ウマ娘たちの中でも異彩を放つ自称ウマドル(※ウマ娘のアイドル)。みんながみんな、彼女のようにウイニングライブやファンサービスに積極的なわけではありません。たしかに臥薪嘗胆の末に栄冠をつかんだウマ娘たちの姿を見てきたトレーナーであれば、“ファンへの感謝を歌うこと”よりも“1着を取ってセンターになること”が先に浮かぶウマ娘の気持ちもわかるというか……。いずれにしても、ウイニングライブに対してはウマ娘たちのあいだでもさまざまに捉えられているようです。

 想いが伝わらずにすっかり意気消沈してしまったスマートファルコン。そこに話しかけてきたのがプロデューサーを名乗る謎のウマ娘“ライトハロー”でした。彼女は“ウマ娘たちが素直に純粋にファンへの感謝を伝えられる場所”を作るためにグランドライブを再建する協力をしてほしいと、スマートファルコンを勧誘します。スマートファルコンはこれを快諾。トレーナー(プレイヤー)も巻き込んで、まずはグランドライブを周知させるための“告知ライブ”を行うことに!

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 以上がグランドライブ編の冒頭のあらすじです。ストーリーのあちこちでスマートファルコンの「全速!前進!ウマドルパワー☆」をベースにしたBGMが流れたりと冒頭からスマートファルコンが大活躍する本シナリオですが、もちろん彼女はシナリオリンクキャラクターに対応。ほかにはミホノブルボン、サイレンススズカ、アグネスタキオン、ライトハロー(友人キャラクター)がシナリオリンクキャラクターになっています。

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トレーニングで獲得できるパフォーマンスがカギに

 さて、気になる育成の流れですが、当面の目標となる告知ライブはジュニア級12月後半の直後に開催される1stライブを皮切りに、クラシック級6月後半の直後の2ndライブ、クラシック級12月後半の直後の3rdライブ、シニア級6月後半直後の4thライブといった形で半年おきに開催されます。そして、シニア級12月後半の直後には本番であるグランドライブが待ちかまえています。

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 ライブでは“楽曲”を多く習得すればするほど“ライブ期待度”が上がり、ライブが大成功するとウマ娘がより大きく成長。また、ライブが終わるとその時点で習得している楽曲にちなんだ“ライブボーナス”が発動し、以降の育成時に有利に働くように! ライブボーナスが永続という点も見逃せません。

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 楽曲の習得には全5種類の“パフォーマンス”が必要になります。グランドライブ編では、トレーニングをすることでどれか1種類のパフォーマンスが手に入る構造になっており、“レッスン”でこれらのパフォーマンスを消費すると、楽曲や“ライブテクニック”を入手できます。

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 レッスンはターンを消費することなく任意のタイミングで行なえるので、“Make a new track!! ~クライマックス開幕~”のショップに近いものだと考えるとしっくりくるかも。ショップとの大きな違いは、レッスンでは常時3種類のラインアップが習得できる一方で、どれかひとつを習得した時点でほかのふたつも更新されてしまうため、全部まとめて入手するようなことはできないという点。ラインアップはある程度更新されれば楽曲が出るようになっているので、いつまで経っても楽曲が出てこないという心配はなさそうです。

 なお、欲しい楽曲やライブテクニックがあり、なおかつパフォーマンスが足りない場合は、“予約”することで必要な残りパフォーマンスを表示させることもできるので活用していきましょう。

 ちなみに、ライブテクニックによって手に入る習得ボーナス(パラメーターの上昇など)はレッスンで入手した時点から効果が発動しますが、楽曲のライブボーナスは、つぎのライブが終わらないと発動しない点も注意が必要です。

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 このように楽曲の入手がキモになるグランドライブ編では、楽曲をたくさん入手するためにも効率的なパフォーマンスの獲得が求められます。獲得できるパフォーマンス量は、トレーニングLvやトレーニングに参加するウマ娘の人数に応じて変化。また友情トレーニングが発生した際には、1種類ではなく2種類のパフォーマンスが入手できるので大幅に効率がアップします。この点を考えると“得意率”の高いサポートウマ娘には追い風な育成シナリオといえそうです。

 また、体力を消費しない“賢さトレーニング”はこの育成シナリオにおいてもかなり重宝しそう。

 トレーニングをしないことにはパフォーマンスも貯まらないわけですが、注意が必要なのはライブの準備は各ウマ娘のトゥインクル・シリーズ(メインシナリオ)と並行して行われるということ。育成の状況次第ではグランドライブの告知期間中であっても育成終了となってしまうので、そちらにも気を配らなければなりません。

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 今回、筆者は推しウマ娘の“ナリタタイシン”を育成ウマ娘に選んで先行体験をさせていただきましたが、彼女はメインシナリオに“やる気が低下かつ練習ベタ”になるイベントがあるため、こちらのフォローには四苦八苦することになりました。効率的なトレーニングによるパフォーマンスの獲得が大事な育成シナリオでは、調子のケアがとにかく大事なので、ウマ娘ごとにメインシナリオで起こるイベントとの兼ね合いには気を配る必要がありそうです。

※ゲームバランスに関しては調整中とのことでしたので、上記の意見はあくまで参考ということでご承知ください。

ライブが持つ意味とは? 答えを見つけていくシナリオ

 新鮮な要素が盛りだくさんの育成に期待が集まるグランドライブ編。シナリオもまだまだ見どころが満載! ということで、ここからは筆者の感想を交えつつ、以降の展開も紹介させていただければと思います。

※ここから先の記事には育成シナリオ中盤までのネタバレがあります。

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 グランドライブを成功させようと奔走するスマートファルコンとライトハローですが、なかなか芳しい結果は得られません。しかし、その地道な努力が少しずつ実を結び始めます。最初にライブに興味を持ったのがアグネスタキオンでした。彼女はサイレンススズカを強引に誘って、グランドライブに協力することになります。

 スマートファルコンにアグネスタキオンにサイレンススズカ。いやー、なんというか、メンツからしておもしろいんですよね! ウイニングライブとは違う“ライブの可能性”に興味を持ったのが、学園でも変わり者として知られるアグネスタキオンということも、また彼女が「ライブには君の求めている答えが眠っている」と意味深な発言でサイレンススズカを誘ったという点にも、自然と興味をそそられます。どこまでアグネスタキオンは見通しているんだろうと……(この時点でサイレンススズカはまったくピンと来ていない様子ですが)。

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 その後もスマートファルコンは草の根での宣伝活動を続けていきます。彼女はときにグランドライブの魅力を熱く説きますが、改めてすごいのは現行のウイニングライブのシステムを否定しないところ。センターとしていつかファンの前で披露するために歌やダンスに研鑽する尊さや、センターというポジションを通じて夢を見せてくれるものだとウイニングライブを肯定したうえで、それとは別に「全員がファンに感謝を伝えるライブイベントがあってもいい」と語るわけです。

 その熱は、サイボーグと呼ばれるミホノブルボンにも届きました。ダンスレッスンの要素以外でライブを見ることがないという彼女は、自身にも理解不能なエラーを検知してスマートファルコンのもとへ……。スマートファルコンは「歌を通して力いっぱい誰かに気持ちを届けたくなったんじゃないか」と彼女の心情を察します。

 ミホノブルボンは表情の変化に乏しくサイボーグとも呼ばれますが、心の内側では情緒豊かで乙女チックな面を持っているということはこれまで幾度となく描かれてきました。だからこそ、彼女がこの場に惹かれてくるのは納得といいますか……。なによりこうやって“逃げ切りシスターズ”のメンバーが揃っていくのはほほえましいものがありますよね。

 活動は順風満帆に見えるものの、すべてのウマ娘に想いが届いたかというと決してそうではありません。ついには「みんなで歌っていいなんて違う! 私たちのがんばりを否定しないでください!」と声を荒げるウマ娘も出てきます。ファンのためだと言い訳をして勝てないことから逃げてはいけないという別視点からの正論に“ファンに感謝の想いを伝える機会がみんなに必要”という一心で頑張ってきたライトハローはすっかり怯んでしまいました。

 しかし、ここで声を上げたのがミホノブルボンとサイレンススズカ。彼女たちは活動の中で“ウマ娘がファンの声に応える”というものとは違った“ライブの意味”をそれぞれ見つけて、そのためにグランドライブを成功させたいと語ります。こちらの内容については詳しく語ると台無しになってしまうので伏せますが、このシナリオで語られる彼女たちにとってのライブの意味は非常にまぶしいもの。とりわけサイレンススズカの見出した答えは彼女が言ったからこそより深い意味を持ちますし、ライブが“そういう意味”を持つものだと捉えるとグッと来るものがあります。

 ミホノブルボンやサイレンススズカの言葉に、いよいよライトハローも自分の中で“ライブの持つ意味とは何か”という命題に向き合うことになります。そこで大きなカギとなるのがライブにおけるファンの視点でした。

 やがて、それぞれが答えを見つけたことでグランドライブの方向性も変わっていくことに……。詳しいネタバレは控えますが、グランドライブの演出は感涙必至。フィナーレにふさわしい楽曲とパフォーマンスはまさに圧巻というほかありませんでした。

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『ウマ娘』新育成シナリオ“つなげ、照らせ、ひかれ。私たちのグランドライブ”先行レビュー。センターに立てないウマ娘はどんな想いでライブに臨むのか? 新要素満載の育成も見逃せない!

 シナリオを最後まで追いかけて気になった点をあげるならば、スマートファルコンたちの活躍が目立つために、育成しているウマ娘がどこか浮いた存在のように感じた部分でしょうか。とりわけ育成していたのが人見知りで不愛想な(そこがいい)ナリタタイシンということもあって、あまりグランドライブに前向きという印象は感じず。ただ、終盤にはしっかりとフォローが入っていてピンポイントだったからこそ素敵だったという印象もあります。

 グランドライブ編は、育成において新たな要素を組み込みつつ、シナリオでも『ウマ娘』をライブというこれまでにない角度から掘り下げています。

 ライブといえば2022年11月5日と6日にベルーナドームで開催される『ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! EXTRA STAGE』も控えていますが、もしかすると今回のシナリオは、こういったライブやイベントに参加するうえでの見えかたや楽しみかたに影響を与えてくれる部分もあるかもしれません。

 グランドライブ編は2022年8月24日の追加を予定。ぜひとも一度プレイしてみてください。