ファミ通.comの編集者&ライターが2022年夏のおすすめゲームを語る連載企画。今回取り扱う作品は、じつにシンプルなクイズゲーム『雑学クイズ大臣』です。

【こういう人におすすめ】

  • クイズの腕に覚えがある
  • 雑学知識は豊富な方だ
  • 家族や親戚と楽しめるゲームを探している

堅田ヒカルのおすすめゲーム

『雑学クイズ大臣』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション4
  • 発売日:2022年6月30日
  • メーカー:グランゼーラ
  • 価格:各440円[税込]
  • 備考:ダウンロード専売
Switch『雑学クイズ大臣』(マイニンテンドーストア) PS4『雑学クイズ大臣』(PS Store)

最近貴重な家庭用クイズゲーム

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 息子がゲームメディアで働いているにも関わらず、僕の両親はいっさいゲームを遊ばない。ゲームハードはずっと家に置いてあったけど、親がコントローラーを握ることはなかった。

 そんな親が、唯一と言っていいほど珍しくプレイしていたのが、温泉のゲームコーナーで遊ぶクイズゲームだった。両親がふたりでアーケードのクイズゲームに楽しそうに興じる風景はいまでも覚えている。正確なタイトルは失念してしまったんだけどクイズに答えながらすごろくのようなステージを進んでいくものだったと思う。

 クイズゲームには、ふだんゲームを遊ばない人でもすぐに楽しめる間口の広さがある。

 けれど、クイズゲームって、家庭用ゲーム機向けには最近はあまり発売されなくなった印象だ(アーケードでは『クイズマジックアカデミー』シリーズが長く続いているけど)。

いやもう、押しても引いてもクイズなのだ

 そんななか2022年6月30日にグランゼーラより配信開始されたのが本作『雑学クイズ大臣』。

 ダウンロード専売で価格は440円[税込]というリーズナブルさ。安い。

 アーケードゲームで考えると5回やればもとが取れるという価格。その気軽さで「30分でも遊べればいいかあ」と買ってみたのだけど、気づけば50回はプレイしていた。1プレイあたり10円以下になる計算だ。安い(2回目)。

 メチャクチャおもしろくて何時間もぶっ続けて没頭しちゃう……というわけではないものの、毎日ちょっとずつ遊んでいる。楽しいか楽しくないかと言えば楽しい。

 ゲームとしてはおもにシンプルな4択問題をくり返して行くというもの。5問正解するとクリアーで、制限時間が終わるとゲームオーバーだ。以上説明終わり。

04_アイテム
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クイズが有利になるアイテムや多答問題といった要素もあるが、ゲーム全体に占めるウエイトは大きくない。

 いやもう本当に、これ以上説明のしようがないほどで、アップデートでオンライン対戦も実装予定とのことなのだけど、2022年8月13日現在は未実装。

 そんなシンプルなゲームだけどなんだかプレイをくり返してしまうのは、そのシンプルさが遊びやすさに直結していたり、クイズのクオリティーが安定している点にある。

 昔のクイズゲームにありがちだった「簡単な問題ばかりでつまらないよ」とか「誰がわかるかこんな問題!」とか、「10年も20年も前の芸能時事ネタなんか覚えてねーよ!(そもそも生まれてねーよ、とかね)」といった理不尽さを感じる問題がない。

 「ああ~これ、なんとなく聞き覚えあるけど、なんだっけなあ~」という絶妙な問題が多くて、クイズとしてきちんと楽しめる。

 難易度のバランスは人によって感じかたが異なるところだろうけど、タイトルに“雑学”と付いているだけあって、「ぜんぜん知らんわ!」という難問でも、その答えが思わず気になるおもしろいトリビア的な問題になっていたりするからそんなに腹も立たない。

06_火の山
ふつうに勉強にもなる。正解は火の山。

 つまり、ルールとUI(ユーザーインターフェース)がこれ以上ないほどシンプルで、その上クイズ自体がていねいに作られているから、くり返しプレイすることにストレスがなく、気づけばハマってしまうというわけだ。

 クイズの完成度が高い理由はおそらく、以前から配信されている本作のiOS/Android版の存在が大きい。そちらは2020年から配信中。2年にわたって運営されているクイズゲームという下地があるからこその安定感なのではないかなと思う。

 ひとりでやるのもいいけど、複数人でいっしょに遊ぶと「これなんだっけ!?」とか「いや~中学校のころ習ったはずなのに!」となったりして盛り上がる。ここでも問題の絶妙さが光っていて、義務教育で習った知識かつ、それを修了してウン十年経つ身には、ちょうど忘れているという問題が多く用意されているのだ(たとえば警察署の地図記号って覚えてる?)。

根元的なクイズのおもしろさがあるよ

 クイズに答えていておもしろいのは、もともと自分が知っていた知識で答えるテスト的な回答よりも、「この問題の直接の答えは知らないんだけど、もともと持っているこの知識とあの知識を組み合わせて推測するとこういう理屈で仮説が立てられるから、答えとしてはこの選択肢が導き出されるのでは?」と考えて(半分勘で)回答してその推理が当たったときだ。

 少ないヒントと手持ちの知識から推理するミステリ的なゾクゾク感と、短い時間制限のなかで瞬発力的に頭を使うスポーツじみた気持ちよさがあって、その解答が正しかったときの爽快感と言ったら!

コロンビア
(画像はイメージです)

 思わず両手を天に掲げるガッツポーズを取ってしまうというもの。コロンビア的な気持ちよさを本作で味わってみては。

 そんなわけで、『雑学クイズ大臣』は安価でシンプルなクイズゲーム。家族や親戚とも安心して楽しめる。お盆だしね!

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オフライン2P対戦モードもあるよ。
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