RPG新時代の幕開けとなった作品
2007年（平成19年）7月26日は、日本でXbox 360用ソフト『オブリビオン』が発売された日。本日で発売から15周年を迎えた。
『オブリビオン』は、スパイク（当時）から発売されたオープンワールドのアクションRPG。副題だけで呼ばれることが多いが正式なタイトルは『The Elder Scrolls IV: Oblivion（ジ エルダースクロールズ IV: オブリビオン）』で、『The Elder Scrolls』シリーズの4作目。最近では『TES』シリーズという呼び名のほうもかなり浸透してきた印象だ。発売から10年以上経ったいまでも人気の名作『スカイリム』の前作に当たる。
海外では2006年3月20日発売されているが、日本では約1年4ヵ月遅れて発売。当時は海外作品の移植版は本国と日本とでかなり時差があるケースが多かったので、一日千秋の思いで発売を待っていたユーザーもいたのではないだろうか。そもそも本作は膨大なテキスト量ゆえに採算が取れず移植自体が絶望視されていたと思うが、スパイクの尽力のおかげで移植が実現。感謝してもしきれない思いのユーザーも多かったんじゃないかな。かくいう筆者も、この日本語版が発売されなければXbox 360ユーザーにならず、多くの海外生まれの名作と出会わなかったかもしれないのだから感謝しかない。
『オブリビオン』がすごかったのは、やはり自由度の高さ。オープンワールドゲーム自体も珍しい時代だったが、ここまで自由に生きていけるRPGはほかにはなかった。RPGと言えばやはりストーリー主体になるのが常識だったので、メインのストーリーを放ったらかしで永遠のように遊べてしまうのは衝撃的でしかなかった。数百時間以上遊んだのにけっきょくメインストーリーをクリアーしなかったなんてユーザーも大勢いるはず。
1000人以上のNPCがゲームの世界で規則正しく生活していたのもおもしろい要素。シナリオ通りに動くのではなく、AI制御されたキャラクターたちがそれぞれの役割に従い生活を送っているわけだが、悪人のNPCなどもいてイレギュラーな出来事が起きたりするのがおもしろかった。突然町中で乱闘が始まったときは、何事かとおっかなびっくり眺めていた記憶がある。外を出歩く村人がモンスターに襲われたりするハプニングなんかもあって、探索中にもプレイヤーごとのドラマがあるところがよかった。
そんなNPCたちにプレイヤーが介入できたこともユニークポイントで、最初のうちはおもしろ半分で人のお金やアイテムを奪ったり、ときには殺人を犯してしまったりしたのではないだろうか。しかし当然、犯罪者は追われる身となり逮捕されてしまうので筆者などはすぐにまっとうな人生を送った覚えがある。一方で闇の一党（殺人ギルド）や盗賊ギルドに所属するなどして裏社会に生きる道も用意されていたので、そこはさすがとしか言いようがない。
ビジュアル面は当時としては相当に美しく、広大なフィールドを探索しているだけでも楽しかった。シームレスに景色の変化を感じられるため、どこまでも歩いてみたくなったものだった。フィールドのそこかしこに遺跡やダンジョンを始めとする探索ポイントがあったので、あてもなく彷徨いながら発見した場所を片っ端から冒険するなんて人も多かったはずだ。
2007年9月27日にはプレイステーション3版が発売。さらに多くのシリーズファンを生み出した。2011年12月には早くも続編の『スカイリム』が登場。ここで日本でも『TES』シリーズの人気を不動のものにしたと言っていいだろう。
そして現在、最新作である『The Elder Scrolls VI』が開発中。発売までは相当先になりそうなので気長に待っていきたい。
『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』をAmazonで検索
