アクションRPGの始祖とも言える作品

 いまから38年前の1984年(昭和59年)7月20日は、アーケード版『ドルアーガの塔』が稼動を開始した日。

 『ドルアーガの塔』は、ナムコ(当時)から発売されたアクションRPG。『ゼビウス』などで知られるゲームクリエイター、遠藤雅伸氏が手掛けたことでも有名な作品だ。経験値の概念がないため日本では諸説あるが、アクションRPGの草分け的存在で同ジャンルの歴史を語るうえで外すことのできない一作であるのは間違いないだろう。後続の作品にも多大な影響を与えたはずだ。

AC版『ドルアーガの塔』が稼動を開始した日。元祖アクションRPGとしてゲーム史に名を残す名作。宝箱を見つけるため、アーケードゲーマーたちが日々熱中【今日は何の日?】
ファミリーコンピュータ版『ドルアーガの塔』

 プレイヤーの目的は主人公ギルとなり、塔の最上階に囚われている恋人カイを助けること。そのためには迷路のような60階建ての塔を昇っていきながら、最後に待ち受けている悪魔ドルアーガを討たなければならない。塔の各フロアには鍵が落ちており、それを拾ってから扉へ向かうことで1フロアクリアーとなる。

 本作がユニークなのは、フロアに隠されたアイテムの入手によってギルの能力がどんどん成長していくところ。ソードなら特定の敵に特効が得られ、ブーツなら歩く速度がスピードアップ、アーマーを取ればHPが上昇する(ゲーム内でHPは表示はされず、データとして存在)といった具合だ。マトックを手に入れれば壁の破壊だって可能になる。

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プレイステーション・ポータブル版

 このころのアクションゲームにはキャラクターの成長要素みたいなものはなかったので『ドルアーガの塔』は非常に革新的だった。もっとも、当時のゲーマーたちが夢中になったのは成長自体ではなく、アイテム探しのほうだった気がする。

 各フロアには宝箱がひとつ隠されているのだが、宝箱は特定の条件を達成しなければ出現すらしない。当然ながらノーヒントだったので、本作を遊び始めたばかりの筆者などは成長する機会を逸したまま、ただただ塔を昇っていくだけだったのだから悲しみである。

 条件にもいろいろあって、ただ敵を倒せばいいようなものから「わかるかーい!」と叫びたくなるレベルのものまで多種多様。ぶっちゃけイジワルで相当な難度だったと言っても過言ではない。しかしながらそれがゲーマーたちを燃えさせた。

AC版『ドルアーガの塔』が稼動を開始した日。元祖アクションRPGとしてゲーム史に名を残す名作。宝箱を見つけるため、アーケードゲーマーたちが日々熱中【今日は何の日?】
Wii U版

 筆者が当時通っていたゲームコーナーでは大きなお兄さんたちが集まって必死になって攻略していたのを覚えている。

 ノートにびっしりと攻略情報を書き込みながらプレイしていたり、置いてあった交流ノートで情報交換をしたり、ゲーセンの顔見知りどうしで話し合ったりと、とにかくコミュニティーは活気にあふれていた。筆者などはゲームセンターで配布されていたナムコの小冊子“NG”に答えが載っているのでは……? と考えて、もらうために駆けずり回った記憶がある。

 ネットのない時代であるがゆえの盛り上がりだったかもしれないが、なかなかにおもしろい体験だった。

 そんな経緯もあって本作は絶大な人気を獲得。ファミコンやゲームボーイ、PCエンジン、パソコンなどさまざまなハードで『ドルアーガの塔』移植版が発売。カイとともに今度は塔からの脱出をはかる続編『イシターの復活』も登場した。そのほか、ゲームブックやボードゲームも作られたし、2008年にはGONZO制作でアニメーションも放送されてしまったのだから驚くしかなかった。

 そしてタイミングのいいことに、2022年6月2日には『アーケードアーカイブス ドルアーガの塔』がNintendo Switchとプレイステーション4で発売された。遊びたくなったのであればこちらでプレイするのがいいだろう。

AC版『ドルアーガの塔』が稼動を開始した日。元祖アクションRPGとしてゲーム史に名を残す名作。宝箱を見つけるため、アーケードゲーマーたちが日々熱中【今日は何の日?】
『アーケードアーカイブス』版。
『アーケードアーカイブス ドルアーガの塔』ニンテンドーeショップサイト 『アーケードアーカイブス ドルアーガの塔』PS Storeサイト
これまでの今日は何の日?