アニプレックスより、2022年6月30日に配信予定のスマートフォン用ゲーム『インフィニティソウルズ』。本作は、人を害する人工知能“亡霊(ホロウ)”が巻き起こす電脳犯罪を解決し、人の命を救うため、仮想世界の中で戦う少女たちの姿を描くRPGだ。

 本作については、じつは2016年の年末にタイトルとストーリー概要が発表されていたのだが、その後長らく続報がない状態だった。それから月日が流れ……ついに今年3月に再始動。ゲームシステムの詳細などが明らかになり、満を持してリリースを迎える予定だ。

 制作開始から今日にいたるまで、いったいどのような試行錯誤があったのか。開発のキーマン3名に、たっぷりとお話をうかがった。

都築真紀氏(つづき まさき)

Seven Arcs シリーズ構成・メインシナリオ

川上修一氏(かわかみ しゅういち)

Seven Arcs アートディレクター

川本浩三氏(かわもと こうぞう)

クローバーラボ 開発ディレクター

発案から約8年紆余曲折を経てリリースへ

――初めに、皆さんが『インフィニティソウルズ』にどのような形で携わっているのかを教えてください。

都築私は脚本とシリーズ構成を担当していまして、まずタイトル全体の世界観やキャラクター設定を設計し、それから物語の部分を作成しています。基本的には、アニメで言うところの原作、脚本といった立ち位置ですね。

川上今回はアートディレクターとして、キャラクター周りではメインでのキャラクターデザインと並行して、参加イラストレータさん方のイラスト監修や進行管理をしています。ゲーム本編の開発に関しては、世界観に合った背景やUIデザインのご提案、クローバーラボさんに作成頂いたグラフィックリソース全般の監修などをさせていただいています。

川本本作の開発、実装はすべてクローバーラボが担当しておりまして、私は開発ディレクターとして企画のまとめや進捗の管理を行いつつ、都築さんから原案のお話を聞きながらゲーム作りを進めています。

――この『インフィニティソウルズ』の企画は、どのようなきっかけでスタートしたのでしょうか。

都築2014年ごろ、当時私が原作として関わっていたアニメのソーシャルゲームがあったのですが、そちらのサービスが「そろそろひと区切りかな」という時期になっていたんです。つぎは何をするかとなったときに、「同じアニメ原作のものではなく新作にしよう」という話が出まして、そこで当時そのアニメで縁があった川上くんに声をかけた、という感じです。

川上僕は当時その作品のコミカライズでお世話になっていたんですけど、新作をやりたいというお話をいただいて、すごく魅力的だなと思いました。漫画家になる前は美少女ゲームのグラフィッカーをしていた時期がありましたので、「一度ゲームの開発や企画に関わりたい」という想いもあったんです。そういうこともあって「ぜひ!」と飛びつかせていただきました。

――川上さんは、アプリゲームの開発は今回が初なのですか?

川上そうですね。皆様から本当にいろいろと訓導をいただいて、日々学びながら業務にあたらせていただいています。皆さんプロフェッショナルなので甘えてしまうところも多いのですが、やはり大きな人数でひとつのものを作るというのが、私としてはすごく新鮮ですね。クローバーラボさんやイラストレーターさんたちと連携する中で、「こんなものが上がってくるんだ」という驚きもあって、苦労よりも楽しさが多いです。

――『インフィニティソウルズ』の存在が発表されたのは2016年の年末と、約5~6年ほど前ですが、開発がスタートしてから苦労は多かったのでしょうか。

都築紆余曲折がありました。企画が動き始めたのは2015年ごろで、企画の核となる部分は変わっていないのですが、当時はソーシャルゲームがいわゆるポチポチゲーからもっとゲーム性の高いものに移っていく過渡期で、我々は後者を作ろうと思っていたんです。そうなると、開発会社さん側としてもゲームの規模感が読みにくいこともあって、なかなかスムーズに進まなかったんです。

――確かに、そのころはアプリ業界に大きな変化が起きていたタイミングでした。

都築それでも、一度は「これで行けるんじゃないか」というところまで進んだので、コミケで発表となりました。当時我々Seven Arcsはコミケで新作を告知するのが恒例になっていたので、ひとまず『インフィニティソウルズ』のクリアファイルを配布したんです。ただ、開発会社さんの事情もあって、その後、一度開発をストップすることになりまして。そこから数年間はほかの作品を進めていたのですが、2020年ごろにアニプレックスさんとご縁があり、ご紹介いただいたクローバーラボさんとなら開発も進められる、ということで再始動して、いまにいたります。

川本当社はもともと関西にある会社でして、以前からアニプレックスさんと取引があったわけではなかったんです。それまではIPものの協業制作やオリジナルアプリの開発を行っていて、今後はIPものに力を入れていこうかな、と思っていたところに、アニプレックスさんから「開発会社を探している」というお話をいただいたんです。

――突然のお話だったんですね。

川本そうなんですよ。田舎者なので、最初は「こんなに大きな会社がウチに声をかけてはこないだろう」と思って半信半疑で東京まで行ったんですけど、住所の場所まで行ったらすごく大きいお洒落なビルだったんですよね。そこで初めて、カフェで打ち合わせをしたんですよ。机の低いカフェで、PCのキーボードが打ちにくいカフェだったんですけど(笑)、いろいろとお話をする中で、クローバーラボであれば、『インフィニティソウルズ』の企画をしっかりと作り上げられるのでは? とご提案いただいたんですね。それが2019年の夏くらいで、2020年1月からプロジェクトに本格的に参加して、開発を行っています。

現実世界とバーチャル世界で人助けのために戦うキャラクターたち

――近未来を舞台に電脳犯罪に立ち向かっていく本作ですが、なぜこのようなテーマを選ばれたのでしょうか。

都築企画を動かし始めたころは異世界ものが流行り始めて、同時にラノベの勢いがすごかった時期でもあるんです。人気作品はバリバリのファンタジー世界を舞台にしているか、現代日本で制服を着た学生たちが超常的なものと出会ったり戦ったりというものが多かったこともあって、そのどちらでもないものを作りたいな、と思ったんです。それで、現代を舞台にした特殊部隊もののような雰囲気がいいなと。ちょっと大人っぽいものを作りたかったんです。

――サイバーな要素もそのころからあったのでしょうか。

都築そうですね。当時はVR機器が一般向けにも発売され出して、同時にネットの危険性みたいなものも取りざたされ始めていたので、そこからネットでの犯罪を追いかける刑事ものを考えていました。ただ、絵面が地味だなと(笑)。その後に、架空の世界に閉じ込められて困っている人がいて、それを助けに行く人たちがいたらおもしろいねとなって。そこから企画の骨子ができていきました。

――登場人物も、刑事ではなく、学生たちの部隊に変化していますね。

都築学校の制服を着た主人公たちが特殊部隊のコートを羽織って、電脳的な仮想空間の中で犯罪行為をしている人間、あるいは異形の存在と戦うというのは、ほどよく地に足がついた感じでおもしろいかな、と思ったんです。そういう風に漠然と形ができてきたころに、川上くんに話をしたんです。

『インフィニティソウルズ』都築真紀氏・川上修一氏・川本浩三氏インタビュー。悩みや過去を抱えた女の子たちが、人を助けるために命をかける、熱いドラマを楽しんでほしい
電脳犯罪に立ち向かう“通信情報防衛機構”、通称“C.I.G(シグ)”のメンバーは、任務遂行時にコートを羽織る。

川上話を聞いてすぐ、おもしろそうだと思いました。そのまま流れでキャラクターを数人作ってしまって、お見せしたらいい反応もいただけたので、そこから企画書としてまとまるようにキャラクターを作っていきました。そのときにできたのが、いまのメインキャラクターの5、6人です。本作のメインイラストに関わっている依河(和希氏。数々のアニメに関わるマンガ家・イラストレーター)さんとはもともと親交があったので、その段階で都築さんに相談して声をかけました。それで僕らふたりで初期メンバーをデザインしまして。何度かマイナーチェンジはありましたけど、そのころのデザインがいまも継続されていますね。

都築そのあたりから世界観も含めて固まっていった感じですね。

――仮想空間に飛び込んで人を助ける、という設定はおもしろいですよね。

都築企画が本格始動する前にも、川上くんや依河さんと集まって、アイデアを話したりはしていたんです。最初は、『セカンドライフ』のようにゲーム内の世界で一生懸命生きている人がいて、その人たちの生きざまを描く、みたいな話をしていたんです。でも依河さんから「ゲームの世界の中だけでお話が完結するのはどうなのかな?」というアドバイスをもらって。ゲームの中だけで人助けをするのではなく、あくまで助けに行くのはゲームの外にいる現実世界の人間で、そのために仮想空間にダイブするほうがいい、というような話からいまの形になったんです。

――なるほど。とはいえ、困っている人を助けに行く、という部分は最初から変わっていないんですね。

都築私はもともと、誰かを助けるために戦う、というテーマをよく書いていまして。災害救助をテーマにして、戦記物の艦隊を指揮する提督だったり、傭兵団の団長のようなイメージで、“救助部隊の司令官が多彩なキャラクターをスカウトして一緒に戦っていく”というのがいいなと思ったんです。当時もネットを通じた犯罪が増え始めていましたが、いまはより身近なものになっていますよね。事件や悲しみに泣いている人を助けに行くお話を、より格好よく、よりゲーム的に描ければ、と思って物語を作っています。

――キャラクターたちは現実世界とバーチャル世界とで見た目が変化していますが、これらの設定などについて聞かせてください。

都築設定としては、まず主人公たちは省庁のもとに作られた半分公的な組織の人間なので、制服というわけではないんですが、そういった組織の人間であることがわかるように部隊のコートを羽織り、武器を具現化しているので、そこは現実と異なる部分ですね。一方、見た目がガラッと変わっている子たちは、その子たちがゲームで使用しているアバターの見た目になっている、という設定です。

――なるほど。アバターだから、現実とは姿が大きく異なると。

都築本作の世界には、ゲームの舞台の中に意識が入り込んで、その舞台をリアルに体感できるようなゲームが存在しているので、救助活動においても、ふだんからゲームで使用しているアバターのほうが使いやすい…というような設定で。そのため、味方の中にはゲームのアバターや趣味で作っていたアバターの姿になる者もいます。戦うときはオシャレにキメないと、という感じで姿を変えている子もいます。

『インフィニティソウルズ』都築真紀氏・川上修一氏・川本浩三氏インタビュー。悩みや過去を抱えた女の子たちが、人を助けるために命をかける、熱いドラマを楽しんでほしい
仮想世界における姿はカスタマイズ可能。魔法少女のような姿で戦うメンバーもいる。

――デザイン面ではどのような部分を意識されましたか?

川上先ほどお話しした通り、まずは“部隊のコートを羽織る”というルールがありますので、その中でもバリエーションが出るよう気を付けています。あとは……本作には人間だけでなく、支援端末のロボットたちや、“電脳警察犬”という本作固有の存在がいまして。そこの差別化でしょうか。人間の髪色などに関しては、髪を染めたりしてできる範疇の変化に収めていたり、逆にロボットや電脳警察犬などの人間以外のキャラクター、あるいはゲームのアバターを使うキャラクターについては、明るめのピンクなど、地毛としては生えてこないような派手な色味を採用して、それぞれに差異が出るよう意識しています。

都築本作の設定にのっとったデザインではあるんですけど、ビジュアルとして華が欲しいという下心もありました(笑)。

――(笑)。敵として登場する“ホロウ”のデザインに関してはいかがでしょうか?

川上ホロウに関してはmatchさんというイラストレーターさんにお願いしています。ホロウはバーチャル世界で敵として登場するのですが、基本的にはサイバーチックな敵というよりも生体寄りで、それでいて現実にはいないようなデザインをお願いしました。相談を重ねる中で、「人体の内面を出すようなデザインにしたい」というお話をいただいて、人体の骨のデザインなどを取り入れたものに仕上げていただいています。色味もモノクロと黄色がベースカラーになっていたり、キャラクターたちとは少し趣が違う形に見えてればよいなと。

キャラクターどうしの関係を膨大なボリュームで描く

――本作のストーリーは、各班の班長たちが中心となって展開されるのでしょうか?

都築本作のストーリー展開として、いわゆるメインストーリーは俯瞰で進む話になっていて、部隊全体でひとつの事件を追いかけていきます。この事件ではこのキャラクターが活躍して、別の事件では別のキャラクターが、という風に焦点の当たりかたが変わっていきます。ただ、ゲームの進行中に入るストーリーは、なるべくコンパクトなものにしています。ゲームを遊んでいるとき、ステージを進めるごとに長々とストーリーを読むのはストレスになったりしますから、ここはシンプルにしました。

――確かに、物語を読むのもいいけれど、ステージ攻略を急ぎたい気持ちになることもありますね。

都築ですので、ちょっとくらいスキップしてもらっても大丈夫な程度にしています。そのぶん、キャラクターの内面を描くドラマについては、好感度を上げたときに見られる“絆ストーリー”に詰め込んでいます。

――絆ストーリーは個々のキャラクターにスポットを当てたものになっていると。

都築そうです。どうしてそのキャラクターが部隊に入ったのか、入隊後にどう変化していったのか、そういった話をプレイヤーである司令と1対1でするようなものになっています。メインストーリーについては強行捜査班、追跡調査班、救助班の班長、副班長たち6名と、司令と近しいキャラクター数名とが中心になりつつ、新たにキャラクターが入る場合はそのキャラクターがピックアップされた物語が出てきます。部隊には元被害者が多いので、助けてあげたら力になってくれる、というイメージですね。

――各キャラクターの絆ストーリーはどの程度のボリュームになっているのでしょうか。

都築プレイアブルのキャラクター全員に絆ストーリーがあって、1キャラクターにつき4話用意しています。好感度で解放されるストーリーとして一般的に連想されるような、「いつもありがとう、大好きだよ」といったメッセージをシンプルに伝えるものも好きなのですが、本作ではもう少し踏み込んでいて、各キャラクターを深掘りしていく描写が見られます。

――全キャラクターに4話ずつとなると、ボリュームがすごそうですね。

都築絆ストーリー以外にも交流という要素があって、そこでは所持しているキャラクターと雑談ができるんです。たとえばキャラクターAがいて、「Bについてどう思う?」、「あの子とは友達だよ」みたいな話をしたりとか。そういったものも含めると、ボリュームはなかなかだと思います。ボイス収録の際にも、一部の声優さんから「ストーリーが長い作品は多いけど、キャラクターとのコミュニケーションでここまで台本が長いのは初めてです」といったコメントをいただいています。自分ではすごく多いという感覚ではなかったのですが……どうなんでしょう?(笑)

――組織もので、しかもほかのキャラクターに言及するような会話もあるとなると、組織内の人間模様も楽しめそうです。

都築そうですね。スマートフォンゲームは、キャラクターの入手がガチャなどによることが多いので、キャラクターどうしの絡みが濃い作品は少ない印象があって。か。でも『インフィニティソウルズ』はそうでなく、親友がいたり、役職が近い者は信頼や反発心があったり……と言う風に、基本的にはふたりひと組で何かしらの関係性を持っています。班長と副班長が代表的ですね。

――組織ならではの関係性が描かれると。

都築はい。トリオになっているようなグループもありますし、ロボットや電脳警察犬であれば同じ型がグループになっていたりもしていますね。横のつながりは強めに意識して、ストーリーにも織り込んでいます。

60人以上のキャラクターの中でとくに思い入れがあるのは?

――たくさんのキャラクターがいる中で選ぶのは難しいと思いますが、とくに印象に残っている、あるいは注目してほしいキャラクターは誰ですか?

都築本作ではプレイヤーは司令という、名前を自由に付けられるキャラクターになるのですが、それとは別に物語の主人公的なポジションで、部隊長の東田花凛という子がいます。この子は物語にも深く関わってきますし、本人にもちょっとしたドラマがあって、ある意味ではプレイヤーの分身にもなる部分も持っているキャラクターです。

『インフィニティソウルズ』都築真紀氏・川上修一氏・川本浩三氏インタビュー。悩みや過去を抱えた女の子たちが、人を助けるために命をかける、熱いドラマを楽しんでほしい
東田花凛(とうだ かりん)は、最初に仲間になるキャラクターでもある。

――ほかのキャラクターとは少し立ち位置が異なるのですね。

都築彼女はいわゆる王道の主人公ではなくて「仲間で力を合わせて、絆の力で勝利だ!」というタイプではあまりないので、彼女の少しふつうと違うところも楽しんでいただけたらと思います。お話を書いていて安心感があるのも彼女ですね。それと、ぜひ詳しくはゲームをプレイして確かめていただきたいのですが、司令と家族のような関係を築いていく子たちもいます。

――家族関係、というのは珍しいですね。

都築実際に血縁なのは工房長でもある妹の恋だけなのですが、ゲームを進める中でキャラクターたちが司令の家族になっていきます。私が家族ものを書くのが好きなので、家族になる子たちの掘り下げなどもしっかりやっていければと思っています。でもやっぱり、書いていると全員に思い入れが出てきますね。たっぷり喋ってしまいましたけど、川上くんはどうですか?

『インフィニティソウルズ』都築真紀氏・川上修一氏・川本浩三氏インタビュー。悩みや過去を抱えた女の子たちが、人を助けるために命をかける、熱いドラマを楽しんでほしい
右にいるのが、プレイヤーの妹である恋(れん)。左にいるのが、C.I.Gの秘書長であり、主人公と恋の世話係でもある人型ロボットの六花(りっか)。ふたりは組織の仲間でもあり、プレイヤーの家族でもある大事な存在だ。物語を進めると、このふたり以外にも家族のような存在が増えていく?

川上やっぱりいちばん記憶に残っているのは、いま都築さんもおっしゃった東田花凛なんですけど、お声がけいただいて最初に描いたのが大垣さつきとシェリス・マクシモヴァのふたりだったので、いろいろと考えながら描いたという意味ではそこも印象に残っていますね。班長や副班長、司令の家族となるキャラクターたちも都築さんとやり取りをしながら作っていったので、思い入れがあります。

――逆に、ビジュアル先行で作られたキャラクターなどはいるのでしょうか?

川上三道あきらと久原エルトというキャラクターはこちらからご提案したキャラクターで、そういう意味ではこの子たちも印象的ですね。やっぱり、どのキャラクターもそれぞれの軸で議論を交わした部分があるので、全体的に思い入れは強いのですが、とくに、というのを挙げるとしたらいまお話ししたようなキャラクターになります。

都築あきらとエルトは私としても非常に書きやすいキャラクターでしたね。

川上本当に、すごく魅力的に書いていただいています。

――開発側の目線で、川本さんの中で印象に残っているキャラクターはいますか?

川本これは開発というより完全に個人的な趣味になるのですが、主人公グループに桜木花乃という女の子がいるんです。この子が、メガネをかけていてですね(笑)。

『インフィニティソウルズ』都築真紀氏・川上修一氏・川本浩三氏インタビュー。悩みや過去を抱えた女の子たちが、人を助けるために命をかける、熱いドラマを楽しんでほしい
桜木花乃(さくらぎ かの)は“救助班”の班長。人を助けることへの想いは強い。

――なるほど(笑)。

川本それに、華奢で幼めな子なんですけど、けっこう大きな武器を使うんですよ。そのアンバランス感は気に入っています。相棒である高島夏海という子もいいですね。彼女は活発さを武器にしていて、拳で戦うんです。銃などの武器がたくさん出てくる中で、ゴリゴリの格闘タイプというのも、映えるものがありますよね。でもやっぱり、おふたりが「全員に思い入れがある」とおっしゃったように、みんな魅力的で、パラメータの強弱を付けるのがすごくむずかしいですね。いいキャラクターばかりで悩むというのも贅沢な話ですけど(笑)。

――魅力的なキャラクターが多いということで、今後、衣装が増えていくのかどうかも気になるところですが、いかがでしょうか?

都築初期実装されているキャラクターは、部隊のコートを羽織るか、そのキャラクターが使用しているアバターになるのが基本ですが、アバターを使う子が上のレアリティになると、コート姿で出てきたりします。それに、やっぱり現代もののスマートフォンゲームで、しかも女の子が多いので、オシャレはさせてあげたいと思っています。夏やクリスマスなど、季節ごとの衣装は実装してあげたいね、という話はしているので、そのあたりもご期待いただけるかと思います。

“地に足をつけたアクション”にこだわったバトルモーション

――ゲームパートについても伺っていきたいと思います。本作のマップバトルについてお聞かせください。

川本基本的には、マスを進みながらマップ上にいる敵を殲滅していくというシステムなのですが、ゲームのコンセプトとして“レスキュー”がありますので、救助活動を行うなど、バトル以外の要素も組み込まれています。また、マップ上は味方だけでなく敵も移動するので、通行止めなどのギミックを使った戦略性も楽しめるかと思います。また、これは見せかたの部分になりますが、マップ上でもキャラクターどうしの掛け合いが発生したり、ストーリーが進行したりするので、そのあたりも注目していただけたらうれしいです。

『インフィニティソウルズ』都築真紀氏・川上修一氏・川本浩三氏インタビュー。悩みや過去を抱えた女の子たちが、人を助けるために命をかける、熱いドラマを楽しんでほしい

――ユニットごとの属性など、編成における組み合わせも攻略のポイントになってくるのでしょうか。

川本そうですね。属性相性やキャラクターの組み合わせによるシナジー要素もあるので、編成の面でも楽しんでいただけると思います。また、オート操作も用意していますが、自分の手でプレイしても楽しめる遊びをしっかりと用意しているので、そのあたりも含めてぜひご期待ください。

――PVで見られるバトルシーンは、かなり力が入っている印象でした。バトルモーションへのこだわりについてお聞かせください。

川本バトルモーションについては、川上さんにご監修いただきつつ、当社の力を結集して作っています。“デフォルメしながらも、頭身は高めにして動きをしっかり見せる”というコンセプトの上で制作していて、川上さんや都築さんの監修のもと、動きのリアルさとデフォルメ感を突き詰めていった結果、いまのようなクオリティーのものが生まれました。

――武器ごとのモーションにもこだわっているのですよね。

川上最初に都築さんから、「キャラクターたちにはその武器を扱う達人でいてほしい」というお言葉をいただいていたんですよ。銃を撃つモーションにしても、デフォルメされているなかでプロが取るような動作を参考にして、キャラクターごとの個性が出るようにしています。また、基礎ルールとしては“極力ジャンプをさせない”というものを設けています。

――アクションで魅せるとなると、ジャンプはむしろ積極的に使われる印象がありますが、そこをあえて抑えているんですね。

川上地に足をつけたアクションをしたい、ということをつねに話していて。重心に力が感じられるようなモーションは、デフォルメされたキャラクターの動きを魅力的に見せるうえでのひとつのポイントかなと思っています。ここについてはクローバーラボさんに毎度細かい調整をしていただいて、本当に申し訳ないぐらいなんですけど。

川本見映えのためにカメラを動かしたくなるんですけど、そうするとジャンプはさせたくなりますね(笑)。

川上ジャンプしたほうがカメラの動きもおいしくなって、すごく派手には見えるんですよね。でも“地に足をつけて、そこから力が感じられるような動きを”という部分にはこだわり続けていただいています。そこにしっかりと応えていただいたおかげで、PVに出ているようなモーションができあがったのかな、と思います。バトルではぜひモーションにも注目していただきたいですね。

『インフィニティソウルズ』都築真紀氏・川上修一氏・川本浩三氏インタビュー。悩みや過去を抱えた女の子たちが、人を助けるために命をかける、熱いドラマを楽しんでほしい

節目節目で大きく盛り上がるドラマを楽しんでもらいたい

――『インフィニティソウルズ』は運営型のゲームですが、物語の最終的な着地点は考えているのでしょうか。

都築事件の最終的な原因となるキャラクターは存在していて、イラストも用意してあります。ただ、週刊漫画の連載と同じで、運営型のスマートフォンゲームは水物ですので、やりたいお話をすべてやり切れるかは、我々のがんばりと皆様の応援次第、という部分もあります。もちろん、人気があれば当初の想定を越えて続けていけるということでもあるので、まったく続きようがないような結末にはしていません。

――では、いま考えているのは“第1部完”といったひとつの区切りのようなものでしょうか。

都築そうですね。サービスイン時点で行けるところまででも、ひとり謎めいたキャラクターがいて、その謎を追及していくところから、盛り上がりをお見せできるような事件を入れています。節目節目でそういった盛り上がりは用意したいと思っているので、ドラマを楽しんでいただけたらと思います。

――では最後に、本作を楽しみにしている読者へのメッセージをお願いします。

都築今回、Twitterなどで告知を出した際に、「これは6年前のコミケで発表されたアレでは」と気づいてくださった方がたくさんいらして、それがすごくうれしかったです。ゆるふわではなく、割と真面目な、組織もののドラマを描いています。ひとりひとり悩みや過去を抱えた女の子たちが、誰かを助ける、救い出すために命をかける、そんなドラマに興味を持っていただけましたら、ぜひ『インフィニティソウルズ』をプレイしてみてください。

川上参加してくださっているイラストレーターの皆さんと、ゲーム開発をされているクローバーラボさんが、本当に魅力的なキャラクターやアートを揃えてくださっています。各種メディアやSNSなどで見かけて気になる子がいたら、ぜひともゲームを触ってみていただければと思います。

川本今回このようなご縁もあって、いろんな方々といっしょにゲームが作れて非常にうれしいです。都築さんや川上さんが生み出すクオリティーの高いシナリオやキャラクターに負けないよう、ゲームの品質も追及しております。皆さんが楽しめるゲーム、そして長く遊べるゲームを作れるようがんばっていきますので、ぜひプレイしてください。