2022年4月26日(火)、スパイク・チュンソフトより『リサーチアンドデストロイ』が配信された。

 本作は、Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam/Windows 10)のマルチプラットフォームで配信されるターン制アクションシューティングゲーム。“超自然的モンスター”の驚異によって絶滅寸前に追いやられた人類を救うべく、3人の科学者が“リサーチ(研究)”と“デストロイ(戦闘)”のふたつをくり返して戦うゲームとなっている。

『リサーチアンドデストロイ』クリエイターインタビュー。日本で出会った3人が集まって制作したターン制シューティングの魅力に迫る
『リサーチアンドデストロイ』クリエイターインタビュー。日本で出会った3人が集まって制作したターン制シューティングの魅力に迫る

『リサーチアンドデストロイ』の特徴

 本作は、TPS(3人称視点シューティング)でありながら”ターン制”を採用している。自ターンには、3人のキャラクターをそれぞれ8秒間だけ操作できる。この時間を使って敵に近づいたり、狙いを定めて銃を撃ったりといった行動を取るのだ。

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 3人のキャラクターをすべて操作すれば、自ターンは終了。つぎは敵のターンとなり、敵全員の行動が終了すれば、ふたたびプレイヤーのターンとなる。

 自ターンのあいだは敵が動かないので、制限時間内なら敵を攻撃し放題。しかし反対に敵の攻撃も回避できないため、つぎのターンを考慮してキャラクターを操作する戦略も求められる。

『リサーチアンドデストロイ』クリエイターインタビュー。日本で出会った3人が集まって制作したターン制シューティングの魅力に迫る

 モンスターたちを倒すことで資金が得られたり、彼らへの研究が進んだりする。それらを利用して、多彩な性能を持つ武器と“ガジェット”を開発可能だ。

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開発者インタビュー

 独特なゲームシステムを持つ本作は、ダニエル氏、クリス氏、ケース氏の3人からなるスタジオ"Implausible Industries”が開発を担当。日本に住みながらゲーム開発を行う3人に、本作の魅力について聞いた。

ダニエル・マケーヴィチュ

プログラム担当。出身はカナダ。
好きな日本料理:ラーメン(ベジタリアン)
趣味:ボードゲーム、映画鑑賞、音楽鑑賞

クリス・ウィラシー

アートディレクション、キャラクターデザイン、総合アート担当。出身はオーストラリア。
好きな日本料理:奥さんの手料理、サントリーの響ウイスキー、生チョコ
趣味:音楽鑑賞、作曲、DJ

ケース・ガジェンターン

レベルデザイン、サウンド、エフェクト担当。出身はオランダ。
好きな日本料理:揚げたての天ぷら、コーヒーゼリー
趣味:旅行、博物館巡り、マイタイ作り

ジャパンゲームを愛するクリエイターが立ち上げたImplausible Industries

――本作は皆さん3人で開発されたタイトルと聞いていますが、どういった出会いから会社を設立するに至ったのでしょうか。

ダニエル我々はもともとグラスホッパー・マニファクチュア(※)で働いていました。最初はケースがいて、つぎが僕。そのあとにクリスが入ってきたんだっけ?

※『ノーモア★ヒーローズ』などを手掛けるゲームメーカー。代表取締役は須田剛一氏。

ケースたしかそう。

ダニエル当時はアンリアルエンジン(※)がどんどん使われるようになっていったけど、まだ日本語のサポートが行き届いていない時代だったので、アンリアルエンジンを動かす専門家のように働いていました。

※ゲーム開発が行える“ゲームエンジン”のひとつ。

――皆さんは、どのくらい日本に住まわれているのでしょうか。

ダニエル僕は20年くらいかな?

ケース自分は15年くらい。

クリス10年くらいになるかな?

――かなり長いあいだ、日本で過ごされているんですね。ちなみに、皆さんがお好きな日本のゲームなどは、ありますか?

ダニエルゲームファンの皆さんと同じように、いまは『エルデンリング』にハマっています。あれはヤバいですよ。

ケース昔のゲームだと、ドリームキャストが好き。『ジェット セット ラジオ』とか。

ダニエルドリームキャストはいいよね。ゲームセンターのゲームがそのまま家でできるのがいい。ドリームキャストだと、『エターナルアルカディア』とか『パワーストーン2』とかが好きでした。

クリス自分は『アウトラン』とか、セガのアーケードゲームが好きですね。

ケースあと『Rez』もよかったね。『スペースチャンネル5』も。

――滞在歴が長いから、昔のゲームも挙がりますね(笑)。

ダニエル逆に日本に住んでからは、海外のゲームばっかりやるようになったかも(笑)。

――(笑)。その後、皆さんで独立されて会社を作り、本作の開発をスタートされたと。

ダニエルもともと4人のチームで作った会社だったのですが、ひとり抜けて現在は3人になっています。独立後はいろいろなゲームメーカーさんの仕事を手伝いながら、余暇の時間を利用して少しずつ『リサーチアンドデストロイ』の開発を進めていました。

 そうやって少しずつ作っていく中で予算が得られたので、3年ほど前からは本作の開発に集中しています。

――皆さんのチームでの役割は?

ダニエル私はプログラムで、ケースはアートディレクター、クリスはレベルデザイン、サウンド、エフェクトなど……。でも小さい会社だから、みんななんでもやるっていうスタイルですね。

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『XCOM』にドハマりした3人が作った“自分が遊びたいゲーム”

――本作はターン制のシューティングゲームという一風変わったシステムが特徴ですが、なぜ本作を作ろうと思ったのでしょうか?

ダニエルきっかけは『XCOM』(※)です。僕とクリスがドハマリした時期があって、自分たちもこういった戦略的なシューティングゲームを作りたいとずっと思っていました。

※※人類とエイリアンとの戦いを描いた2Kのストラテジーゲームのシリーズ。

クリス協力プレイができるという要素も、最初に決めたテーマでした。『XCOM』のようなターン制のアクションシューティングゲームで協力プレイができるゲームってないなと思っていたので、自分たちで作ろうと。

ダニエル最初のプロトタイプでは、プレイヤーがキャラクターに命令して戦わせるシステムだったんですけど、それだと協力プレイ時に友だちの操作を待つようになってしまうのでおもしろくありませんでした。だから試しに操作をTPSにしてみたら、かなり手応えがあったんです。そこからは早くて、このプロトタイプを作ってから1週間くらいで現在のようなシステムになりました。

ケースみんな『ギアーズ オブ ウォー』も好きだから、プロトタイプは『ギアーズ』っぽさもあったよね。

クリス『XCOM』だと、敵の目の前でショットガンを撃っても確率によって外れたりするのですが、そこには不満がありました。「なんでだよ!」と思ってしまうんです。でも、TPSなら当たるも外れるも自分の腕次第なので、非常に納得感のあるゲームシステムになっていると思います。

ダニエル最初は1キャラクターにつき5秒間だけ動かせるルールでしたが、短すぎたので8秒になりました。

ケース敵のターンも最初は敵が1体ずつ動いていたんですが、それだと待ち時間が長くなっておもしろくなかったので、敵は一気に動くようになっています。

――カートゥーン調のグラフィックを採用したのには、どのような理由が?

『リサーチアンドデストロイ』クリエイターインタビュー。日本で出会った3人が集まって制作したターン制シューティングの魅力に迫る

ケースバッグス・バニー』とか、『ピンク・パンサー』といったカートゥーンアニメがすごく好きだったというのがひとつ。私たちは過去にいろいろなグラフィックのゲームに携わってきましたが、今回は自分たちの好きなスタイルで開発したいと。あと、カートゥーンだと、エフェクトなどもすごくわかりやすく表現できるから、今回のゲームシステムと相性がいいとも思ったんです。

クリス背景の作り込みの手間が少ないというのも、カートゥーンを採用した理由ですね。僕たちのチームは3人しかいないので(笑)。

ケースあと、カートゥーンなら、Nintendo Switchの携帯モードの小さい画面でもほかのハードの大画面でもグラフィックが見やすいというのも利点ですね。

ダニエル最初の設定は、人間対ロボットみたいな感じだったよね。でも、今回はカートゥーンだから、モンスターを登場させるとおもしろいということになったので、最終的に科学者対モンスターという形に。人間対ロボットの設定のときはボスに巨大ロボットが登場する予定だったんですが、それがボツになったのだけはちょっと惜しいかな(笑)。

――巨大ロボとの戦闘はおもしろそうですね(笑)。小規模なチームだからこその、開発に苦労されたエピソードなどはありますか?

ダニエル少人数だからという苦労はないのですが、それぞれのハードによってオンラインプレイ時のネットワークの仕組みが異なるので、それを調整するのがかなりたいへんでした。その調整をしているときは、シングルプレイのゲームを作ればよかったとちょっと後悔したほどで(笑)。

ケースあと本作はオンラインプレイ以外に、オフラインでも画面を分割してマルチプレイで遊べるのですが、その仕組みを作るのも苦労した記憶があります。

ダニエル最初は4人同時プレイを考えていたんです。でも、ハード性能とかグラフィックのパフォーマンスなどを考えて、最終的にふたりプレイに落ち着きました。ちなみにNintendo Switchなら、ハードを持ち寄ってローカルプレイもできます。

――協力プレイも本作の魅力ですよね。

『リサーチアンドデストロイ』クリエイターインタビュー。日本で出会った3人が集まって制作したターン制シューティングの魅力に迫る

ダニエルふたりプレイをすると、シングルプレイのときよりも敵がちょっとだけ強くなります。でも、戦力は2倍だから、かなり楽になるはずです。ただ、フレンドリーファイアがあるから、気をつけてプレイしないと友だちに「ゴメンナサイ」することになります(笑)。

――フレンドリーファイアもあるんですね。

ダニエルなくすこともできたんですけど、味方が自分の攻撃で吹っ飛ぶようなアクシデントが発生するとすごく楽しかったので、そのままにしようと(笑)。

――わちゃわちゃ感が楽しそうです(笑)。――最後に、本作をプレイしようと思っている人へのゲームのアドバイスをいただけますか?

クリスターンの最初に全体マップを見渡すと、どこに敵がいるか全体を把握できるのでおすすめです。また、武器によってモンスターとの相性みたいなものがあるので、それを把握できるようになると、効率よく戦えると思います。

『リサーチアンドデストロイ』クリエイターインタビュー。日本で出会った3人が集まって制作したターン制シューティングの魅力に迫る

クリスあと、モンスターを背後から攻撃するとクリティカルヒットの確率がアップします。余裕があるなら、モンスターはなるべく背後から攻撃するようにしてください。

ケース物陰に隠れるカバーも重要ですね。受けるダメージが減るほか、射撃時の反動が軽減される効果があります。モンスターが近くにいるなら、なるべくカバーしながら戦うといいと思いますよ。

ダニエルゲームシステムやゲームシステムは、非常にカジュアルな内容になっているので、ターン制のシューティングゲームが好きだと言う人はぜひ遊んでみてください。Xbox Game PassとPC Game Passにも発売初日から対応しますので。

――本日はありがとうございました。ちなみに、プレイヤーキャラクターのゲイリーの中身は、人間なんでしょうか?

ダニエルさぁ? 僕もわかりません。謎ですよ(笑)。

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ゲーム概要

  • タイトル:リサーチアンドデストロイ
  • ハード:Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam / Windows 10)
  • メーカー:スパイク・チュンソフト
  • 発売日:4月26日配信
  • 価格:Nintendo Switch/プレイステーション5/プレイステーション4/Steamは各2178円[税込]、Xbox Series X|S/Xbox One/Windows 10は各2200円[税込]
  • ジャンル:ターン制アクション
  • CERO:15歳以上対象
  • 開発:Implausible Industries