2022年4月23~24日の2日間、ベルサール秋葉原で開催されたインディ―ゲーム展示イベント“TOKYO SANDBOX 2022”。数ある展示の中から、記者がとくに注目した4タイトルを紹介する。

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やるもやられるも刹那のスワッグ・アクション『SONOKUNI』

 コロナ禍でライブ活動ができなくなった日本のヒップホップグループであるDON YASA CREWが一念発起してゲーム制作。ゲーム制作ツール『GameMaker:Studio2(現・GameMaker)』の使いかたを覚えるところから始めて今回初のイベント出展となったのが『SONOKUNI』だ。

 ゲームジャンルは見下ろし視点の2Dアクション。複数いる敵との位置関係を把握しつつ、特定の攻撃に対応したアクション(受け流し、弾きなど)を正しい順序ですばやく実行しないと即ミス……という、いわゆる“死にゲー”だが、全滅させたときの“してやったり感”はひとしお。スカムなテイストのグラフィックと制作メンバー本領発揮のオリジナルBGMが、刹那的なゲームプレイを盛り上げているのもポイントだ。

 ブースにいた制作メンバーによれば、『ホットラインマイアミ』のフォロワー的ゲームを作っていく中で新たなチャレンジをしたくなったため、『セレステ』のように“フィールドの構成を把握した上でいかに一連のアクションの流れで突破するか”を楽しむゲーム性に方針転換したとのこと。もう少し浮ついたプロジェクトなのかと思いきや(失礼)、詳しく説明を聞くにつれ、ゲームに対する真摯な姿勢がひしひしと伝わってきた。

 現在は音楽活動を完全に停止し、ゲーム制作に専念しているとのこと。年内の完成を目標に鋭意制作中で、今後の動向に注目したい。

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『SONOKUNI』公式Twitter

特定世代を狙い撃つ(?)ツインスティックシューター『Western Dual Wield』

 豊富な業界歴を持つ福岡県在住のベテランゲームクリエイターが、「自分が本当に好きなものを作りたい」と、本業とは完全に切り離した個人プロジェクトとして制作するツインスティックシューティング。ボクセルで表現された西部開拓時代の荒野を舞台に、二丁拳銃持ちのガンマンを操作する。ゆったりとした速度の強制スクロールの中、四方からつぎつぎと現われる敵を左右トリガーのマニュアル連射で倒していく感覚は在りし日のアーケード風。舞台のチョイスも含めて、1980年代のアーケードシーンへの思い入れがある人ほどピンとくる要素が満載だ。

 今回がイベント初出展とのことで、さまざまなプレイヤーのフィードバックが得られて参考になった……と、開発者氏。「トリガー押しっぱなしのオート連射に対応させるなど、若い人向けの調整もして今後のイベントに出展します!」と手ごたえを感じているようだった。

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日本のゲームへの憧れを形にした島探検パズルアクション『Akurra』

 アメリカ出身の個人開発者・Jason Newman氏が手掛けるパズルアドベンチャー。ゲームボーイカラーをイメージしたグラフィックで、ファミコン版『ゼルダの伝説』のパズル要素を発展させたゲームプレイ……という明快なコンセプトを今回の体験版でも味わえた。

 本作のプロジェクトは、数年前、Kickstarterでのクラウドファンディングに成功。現在は活動拠点を日本に移し、制作に専念しているとのこと。自身が好きなものにまっすぐ向き合える姿勢を貫き、環境を整える生きざまはまさに“インディー”……との印象を受けた。

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自分とセカイの関係を揺さぶるマルチプレイ専用ゲーム『違う冬のぼくら』

 『ひとりぼっち惑星』『renal summer』など独自のムードを持ったスマートフォン用ゲームを制作してきた個人ゲーム開発者・ところにょり氏の最新作。今回は、講談社ゲームクリエイターズラボの第一期ラボメンバーの一員として、PC版をプレイアブル出展していた。

 本作は、プレイ中ボイスチャットなりで意思疎通できる“親密な間柄”を想定したという、ふたりプレイ専用のアクションパズルゲーム。各プレイヤーが分業して進路を確保していくゲーム性は、操作キャラクター切り替えタイプのパズルゲームでも見受けられるものだが、本作の真骨頂は、“それぞれのプレイヤーがこの物語世界で何を体験するか”にある。記者は体験版のラストまでプレイしたが、「この衝撃はひとりでも多くのプレイヤーに最善の形で味わってほしい」と思った。

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『違う冬のぼくら』Steamサイト
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