本日2022年4月11日、コーラス・ワールドワイドのレーベル“わくわくゲームズ”第2弾タイトル『ケチャップandマヨネーズ』のアーリーアクセスがSteam向けに配信された。価格は800円[税込]。
本作は、仲よしコンビ“ケチャップ”と“マヨネーズ”の行き当たりばったりな冒険が展開するRPG。道中で出会ったユニークな人物たちと協力したり、入手したクセのある武器を活用したりしながら、各地を駆け回ることになる。戦闘はターン制バトルを採用しており、敵の攻撃ひとつひとつがミニゲームのようになっている。襲いかかってくる敵の弾を避けたり、制限時間内に爆弾を止めたり、タイミングよくガードをして攻撃を防いだりと、プレイヤーを飽きさせない多種多様なアクションが用意されている。
本稿では、本作をひとりで制作したタタラバニ氏に、作品に込めた思いや開発秘話を訊いたインタビューをお届けする。
なお、わくわくゲームズとは、“日本で一番敷居の低いパブリッシャー”を目標に、日本の同人ゲームやインディーゲームをメインに取り扱うレーベルとして、2021年9月にコーラス・ワールドワイドにより設立された新ブランドだ。
タタラバニ氏
個人ゲーム制作者、2019年からウルフRPGエディターでゲーム制作をしている。
ゲーム制作においては、任天堂のゲームやインディゲーム、フリーRPG、好きなアニメなどから影響を受けている。
こだわり抜いた世界観と戦闘システム
――本作を開発するにいたったきっかけを教えてください。
タタラバニ小さいころから自分のゲームを作るのが夢で、もし作るならああしたい、こうしたいと言ったことをずっと考えて生きてきました。ウルフRPGエディター(RPG作成フリーソフト)に触れてゲームが作れるようになってから、自分が作りたいと思うものを目一杯詰め込んだゲームを完成させたいと思い、作り始めた次第です。
――開発するにあたってもっとも心掛けたポイントを教えてください。
タタラバニゲームデザインはシンプルかつ奥深いものに。操作は4方向の入力とふたつのボタンだけで完結させ、直感的におもしろいと感じてもらいやすいミニゲームの連続のような戦闘システムを軸に、何が起こるかわからない意外性のあるアクションとゲーム性を結びつけました。とくにキャラクターのデザインは、自分が「これがベストだ」と思えるまで、ひとりひとりこだわって制作しています。もともと自分のためだけのようなゲームでしたが、自己満足にならず、「誰がやってもおもしろい」と言ってもらえるようなゲームになるように心掛けました。
――本作のテーマを教えてください。
タタラバニゲーム的には、ミニゲームアクションとコマンドバトルの融合と敵に会うたびに違った遊びを提供できる拡張的な戦闘です。アーリーアクセス内では、つぎつぎと切り替わって瞬発的に対応していくアクションのおもしろさを体感していただけると思います。
アーリーアクセス後の将来的なゲームデザインでは、それに加えて、一旦手を止めて選択肢を吟味するような奥深い戦略性を実現し、両立できればと思っています。ストーリー的には、今作はあっけらかんとしたギャグ物なので、深く考えず笑っていただければと思いますが、もしとても深いところまで見ていただけるのであれば、このゲームの物語が表しているテーマに気づくことができるかもしれません。
――W主人公にした理由を教えてください。また、ふたりをケチャップとマヨネーズという名前にしたのはなぜなのでしょうか?
タタラバニ最初はマリオとルイージをイメージした構想だったのですが、そこから“戦況に合わせてふたりで役割分担をする”という遊びを取り入れることになりました。名前については、ある程度キャッチーだったので採用しました。本作の制作は、「『ケチャップアンドマヨネーズ』というタイトルのゲームを作ろうかな」という感じで始まったものだったりします。
――個性的なキャラクターを作るにあたって、こだわった点や、苦労したことを教えてください。
タタラバニデザインについては、このキャラクターはどういう人物か、どうデザインをしたら狙った印象をプレイヤーに与えることができるか、そしてこのキャラクターは物語においてどういう役割があるのか、などの観点をまとめて、それらが自分の中の水準を満たすまでこだわって制作しました。時にはうまくいかずボツが重なったり、何度もリテイクしたりと苦労することも多かったです。
性格や口調などのキャラクター像については、とにかく自分の感性を大事にしています。「このキャラクターはこういう奴だからこの場面ではこういうことを考えたり、言ったりするだろうな」といった感じです。一見なんの気なしにしゃべっているようなキャラクターでも、じつはひとりひとり自分の目的があったりすることもあるので、注目してプレイしてみるとまたおもしろいかもしれません。
――本作では、6つの武器のアクションが可能ですが、とくにこだわったポイントを教えてください。
タタラバニ味方側の攻撃アクションは、まず何より“直感的におもしろいと思ってもらう”ところから始めました。なるべく複雑な操作のものは避け、プレイヤーの入力からすぐに反応が返ってきやすいものに絞りました。それと、やはりアニメーションはこだわった部分です。味方側の攻撃アクションではひとつひとつにすべて私が手描きしたアニメーションがあります。しかも技の評価や失敗などでパターンが分かれることもあり、そこもひとつひとつ手描きで制作しました。かわいらしくダイナミックに描くことを心掛けて作ったのでお楽しみいただければ幸いです。
――武器アクション以上に敵の攻撃をよけるアクションも多彩ですが、そこまでこだわった理由を教えてください。
タタラバニとにかく、単調な戦闘を避けたいという思いが強かったためです。新しい敵が登場すれば、そのひとりひとりに新しい遊びのコンセプトがあり、誰ひとりとしてまったく同じこと(戦い)をしていればいいということはありません。つねにプレイヤーに新鮮な体験を提供するための基盤として、さまざまなミニゲームのアクションや敵ごとのリアクションなどの数々を制作しました。
――敵を倒した際、「逃げていった」や「満足して溶けていった」など、直接的な討伐表現が避けられていますが、何か狙いがあるのでしょうか?
タタラバニわかる人はピンとくるかもしれませんが、私の好きなRPGシリーズ『MOTHER』シリーズで同様の表現がなされており、そのリスペクトです。世界観もかわいくて牧歌的ですから、あんまり殺伐とした討伐表現じゃないほうがあっているよね、といった具合のなのですが……もしかしたらそれ以外になにか別の意味もあるかもしれませんね。
――アーリーアクセスが開始されましたが、どんなところを楽しんでほしいですか?
タタラバニアクションマシマシの戦闘、ポップな世界観、トンチンカンなキャラクターの掛け合い、探索要素など、すべての要素をプレイヤーの皆さんに楽しんでいただけるようにがんばって制作しました。かわいい世界観があんまり好きじゃなくてもゲームとしてはおもしろいと思ってもらえたり、ゲームは苦手だけど世界観がかわいいからがんばれる、といった風に、どれかひとつでもこのゲームを好きになってくれる要素として機能してくれたら制作者としてとてもうれしいです。
――アーリーアクセス版で行ける“平原エリア”と“お菓子エリア”の注目ポイントを教えてください。
タタラバニ平原エリアはプレイヤーが第一に飛び込むこのゲームのいちばん最初の舞台です。私は文字を読ませて済ませるゲームのチュートリアルが苦手で、同じ思いをしてもらいたくないという考えから、何度かあるチュートリアルはなるべく文字で伝えるのではなく実際の操作を踏まえ、流れでスッと入ってもらえるように意識しました。
お菓子エリアでは一気に雰囲気がガラッと変わり、敵も少し強くなります。敵の弱点属性を突く重要性が増してちょっとだけ戦略性が加味されます。また、アーリーアクセス中最後の大ボス戦はとにかくプレイヤーの皆さんに驚きを持ってもらえるように演出面をガチガチに強化しました。アーリーアクセス中の内容の総決算的なものに仕上がっているかと思いますので、お楽しみいただければ幸いです。
――最後にユーザーに向けてメッセ―ジをお願いします。
タタラバニファミ通から『ケチャップandマヨネーズ』のことを初めて知って興味を持ってくださった方、ありがとうございます。ポップな世界観のゲームが好きなら、あるいはちょっと変わったRPGが好きなら、あるいはそれらに当てはまらなくても、きっと楽しんでもらえるゲームになったと思います。ぜひ、このゲームの発売日を覚えていただけると幸いです。
もしくは『ケチャップandマヨネーズ』が遊べるのを待ってくださっていた方、たいへん長らくお待たせいたしました。宣言した時期を何度も過ぎ去ってようやく皆さんにお届けできる機会にたどり着くことができました。これもいままで応援してくれた皆さんのおかげです。ぜひお楽しみください。そしてもしこのゲームのことを気に入ってくださったら、皆さんがケチャップとマヨネーズの冒険を応援して下さり、これからもその続きを描くことができるのなら、それが私にとっていちばんの幸せです。どうぞよろしくお願いします!