ゲームファンにはヨコオタロウ氏原作の舞台『ヨルハ』シリーズや『爆剣』シリーズなどの演出で知られる松多壱岱氏が脚本・演出を手掛ける舞台『世界は僕のCUBEで造られる・2022』の公演が2022年3月31日より東池袋にある“あうるすぽっと”にてスタートした。本稿では、同日に行われたゲネプロを観劇してのリポートをお届けする。

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『世界は僕のCUBEで造られる』とは?

 本舞台は松多壱岱氏が脚本・演出を手掛け、2010年の初演からリライトを重ね、2016年の公演ではサンモールスタジオ最優秀団体賞を受賞した舞台でもある。

 『世界は僕のCUBEで造られる・2022』は、そんな『世界は僕のCUBEで造られる』をさらにブラッシュアップし、劇場もパワーアップした公演になっているのだ(2022年4月10日まで。全16ステージ)。

『世界は僕のCUBEで造られる・2022』公式サイト
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ストーリー

“自分の心の中に、会ったこともないもう一人の僕がいる…”

“CUBE”というドラッグを飲んだ主人公“僕”は、自分の心の中に潜ってしまう。
そこには、様々な四角い部屋があり、部屋ごとに“CUBEの住人”という“もう一人の僕”がいた。

愛と平和のCUBE“ラブ&ピース”、堕落のCUBE“怠慢”、孤独のCUBE“ムーンチャイルド”……。彼らは、心の中の“僕”のもうひとつの姿だったのだ。

“僕”は心の中を旅して行き、新たな自分に出会い、自分を発見して行く。
しかし、欲望のCUBEである“彼”は“僕”をつけ狙い、僕自身を乗っ取ろうとしていた……!

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舞台は開場した瞬間から始まっている

 開場して中に入ると、開演前なのに舞台上ではすでに主人公の“僕”がキャンバスに向かって何やら絵を描いている。舞台という異空間に潜る前に、現実と舞台の狭間の世界にいるような感覚。そんな不思議な時間を過ごしながら開演を待つ。そして開演時間になると客電が消えて、そのまま“僕”の物語が始まる。そして観客は“僕”が自分の心の中に潜ってしまうように、一気に舞台の世界へと引きずり込まれるのだ。

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サイケデリックなファンタジー

 舞台は写真をご覧になるとわかるように、サイケデリックでポップな色調のファンタジー。登場人物は“滑稽”や“ラブ&ピース”、“良識”などの穏健派(?)のCUBEに加え、“憎しみ”や“トラウマ”、“怠慢”、そして“僕”を乗っ取ろうとする“欲望”などの過激派も存在。さらには、エンジェルのような“修復”、さらには“理想の彼女”といったCUBEも登場し、舞台は愛憎入り乱れるカオスに。

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全員クセ者

 登場人物はそれぞれの感情が具現化したものであるためピーキーな性格でクセの強いヤツらばかり。そんな濃い登場人物を演じるキャスト陣の熱演も見どころのひとつ。ヨコオ氏原作の舞台を観劇した人なら、見覚えのある役者さんも参加しているはずなので、その舞台の印象とはまた違った一面が見られるだろう。

 個人的にはアフロに見えてじつは剥き出しの脳を持つ大林素子さんのミスブレインが強烈に印象に残った(世代的にも)。

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歌にダンスに殺陣に映像演出も……さまざなエンタメがギュッと

 本舞台では、“欲望”のCUBEを筆頭に“僕”を乗っ取ろうと企てるCUBEたちとの殺陣アクションもキレキレ。映像演出や、キャスト一同によるダンスなど、見どころも盛りだくさんだ。

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笑いあり、涙あり、ロマンスあり……そして結末はSIDE-AとSIDE-Bの2通り

 主人公“僕”が心の中を旅し、己の内に存在するさまざまな感情や想いの“CUBE”たちと出会い、触れ合うことで自分を見つめ直していく物語は、笑いあり、涙あり、そしてロマンスもあり。そして特筆すべきは、結末には“僕”の選択でSIDE-A、SIDE-Bへと結末が変わるダブルエンディングになっているところ。ゲネプロではSIDE-Aが上演されたが、SIDE-Bではまた結末も大きく異なるという。気になる……。

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ストリーミング配信も決定

 明日2022年4月3日(日)の13:30/18:30、4月10日(日)の12:00、16:30にはストリーミング配信も決定(定点配信。アフターイベントのある日はアフターイベントまで配信予定)。もう一方のエンディングが気になるけど都合で行けない、遠方で観に行けないといった人はストリーミング配信でどうぞ。

ストリーミング配信のスケジュールやチケット

人との出会い、別れ、環境も変化しがちなこの時期にこそ観てほしい、自分を見つめ直すキッカケになる舞台

 春は入学、卒業、就職などにより、人との出会いや別れ、引っ越しなど、自分を取り巻く環境も変化しがちな季節。その変化を前に、それまでの自分を振り返る時期でもある。環境の変化を機に、自分の中で変えたいところは変えるのもいいだろうし、欠点も含めてそれが自分だと受け入れる選択もアリだろう。年齢によっても捉えかたも変わりそうな舞台『世界は僕のCUBEで造られる・2022』。“僕”がどんな選択をするのか、ぜひ確認してほしい。

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【出演】
五十嵐啓輔
星守紗凪

小栗諒(ASSH)
西葉瑞希
星璃(劇団Patch)
倉知玲鳳
丸山正吾(bobjack theater/ドガドガプラス)

雛形羽衣(劇団☆ディアステージ )
花岡芽佳(ASSH)
門野翔(@emotion)

図師光博

桜町たろ(劇団☆ディアステージ )
飯原優(ASSH)<Wキャスト>
小田峻平(ASSH)<Wキャスト>

柏木しいな(劇団☆ディアステージ )
長月明日香(劇団☆ディアステージ )
梅田祥平(ASSH)

黒木文貴
佐武宇綺

インコさん(実弾生活)
大林素子

◇Cube pieces
高見彩己子
加納義広
渡井瑠耶