レイニーフロッグからNintendo Switch、プレイステーション4で発売中の『ファームトギャザー』は、農作物や家畜を育ててファームを拡大していくという経営要素はもちろん、多彩なオブジェクトで装飾をしてオリジナリティを出す楽しさも味わえる、骨太でありながら手軽に遊べる農場経営シミュレーションゲームだ。
ひと口に農場経営と言っても、本格的なシミュレーターから主人公の成長物語が伴うもの、アプリゲームのように短い時間でサクッと遊べるものなど、いろいろなテイストが存在する。きっと、自分に合ったものを探すのに苦労しているユーザーも多いのではないだろうか。
そんな方のために本作をひと言で例えると、“農場経営に黙々と没頭できる中毒性の高いゲーム”(あくまで筆者の感覚)。プレイヤーをゲームの世界に引き留める楽しい仕掛けが多く、ついつい止めどきを見失ってしまう。というわけで、その仕掛けについて掘り下げていこう。
ファームの作業は“楽しい!”、“嬉しい!”という喜びがいっぱい
本作の目的はファームを大きくすること。農作物や家畜を育てて生産物を出荷すると、経験値、コイン、ダイヤを入手することができる。経験値はファームのレベルアップに繋がり、コインとダイヤは新たな苗や家畜などを購入することが可能。これをくり返すことでファームの経営がどんどん拡大していく。
まずは、ファームでできる作業について紹介しよう。作業のカテゴリは農作物、家畜、養魚池、樹木、花の5種類。それぞれ収穫できるまでの時間が設定されており、農作物と家畜、花の場合は、成長過程で世話をすることがとても大事になってくる。
農作物の世話で重要なのが水やり。もちろん水を与えなくても既定の時間になれば収穫できるが、水を与えることで収穫までの時間をかなり短縮することができるのだ。つまり、短縮できれば稼ぐスピードが上がるので、つい何度も作物の状態を確認してしまう。
また、家畜はエサを与えないと生産がストップしてしまうし、花の場合は途中で水を与えないと出荷額が減ってしまう。世話をしなくても家畜が死んでしまったり花が枯れることはないが、手間をかけることでファームが豊かになると思うと、これまたついつい作業をしてしまう。
ちなみに、養魚池と樹木は一度設置すれば手をかけなくても育つので、基本的にほったらかしで大丈夫。ほかの作業をする合間の好きなタイミングで収穫すればいい。筆者はコインを使い過ぎて作物の苗や家畜のエサを購入できなくなったとき、魚や樹木の実を収穫して細々と食いつないだ……。
ファームを大きくすれば、楽しさがさらにアップ!
さて、ここからは、ファーム経営のノウハウについて紹介していこう。前述したとおり、作業の過程で経験値とコイン、ダイヤを入手できる。経験値が溜まってファームのレベルが上がれば農作物や家畜の種類はもちろん、扱えるアイテムが増え、作業もどんどん充実していく。また、ファームは最初の区画から縦と横に5ブロック分拡張ですることができる。
ファームが大きくなってくると、作業に手が回らなくなってくる。何しろ、身はひとつしかない。そんなときに役立つのがトラクター。一度に3×3マス分の行動が同時に行えるため、作業がとてもラクに。バッシャーンと広範囲に水を撒いたり、ザザッと一度に収穫する様はとても気持ちがいい。
ゲーム内はゆっくりと時間が流れており、17分かけて四季が一周する。農作物の場合は春夏秋冬によって育てられるものが異なるので、四季折々の畑を堪能することができるのだ。天候もランダムで変化し、雨のほかに夏は干ばつ、冬は降雪があり、それぞれ土地に大きな影響を与える。こういったゲーム性はリアルさがあって、とても遊びがいがある。
途中、クエストが舞い込む。指定のものを指定の数だけ用意すればクリアーとなるのだが、期日はないので自分のペースでゆっくりとやることが可能。ファームのレベルが上がるに連れて、“アンコウ20”とか“レタス100”と、どんどん要求が上がってくるのもおもしろい。
さて、以上がファーム経営の基本。文章にすると何やらやることが多そうに感じるかもしれないが、プレイしていくうちにすんなり会得できるし、やることが多くて没頭してしまうので、気づいたら時間を忘れてファームを走り回っていることだろう。
ファームをデコレーションしてオリジナリティを出そう
ファームを飾るデコレーションアイテムが豊富に用意されている点も、本作の魅力のひとつ。アイテムのカテゴリは建築物、装飾品、柵類、道の4種類。手に入れたコインやダイヤ、メダルを消費して引き換えることが可能で、ファームのレベルが上がると使用できるアイテムがアンロックされていく仕組みだ。
建築物のアイテムは、ファームの経営に密接に関わるものばかり。たとえば露店や屋台を設置すると生産物や加工物を出荷できるようになり、ガソリンのスタンドを設置すればトラクターに燃料を補給できるようになる。装飾品、柵類、道は単純な“お飾り”といった感じなので使用しなくも農場経営に支障はないが、配置するとよりファーム感が出て楽しい。
特筆したいのは、建築物の中にある“家”。家を建てると中に入ることができ、ダイニングやリビング、ベッドルームなどの区画に好きな家具を配置することができる。それだけではない。家具の中で大事なのが、“仕事”というカテゴリのアイテム。これを家の中に設置してパーツを選択すると、特定のアクションを実行し、報酬としてチケットを入手できる。チケットは新たな家具を入手するのに必要だ。
オンラインマルチプレイで作業をお手伝い。まさに“トゥギャザー”!
本作は基本的にオンラインマルチプレイとなっており、プレイしているとファームにほかのユーザーが遊びに来ることがある。逆に自分から誰かのファームへ遊びに行くことも可能。
もちろん、訪問を受けたくない場合は公開設定を非公開にすることもできるし、自分のファームに遊びに来た人の権限を“収穫のみ”や“生産と収穫”など、限定することもできるのでご安心を。ちなみに、Nintendo Switch版では最大で8人、プレイステーション4版では最大16人でのオンラインマルチプレイが可能となっている。
ほかのユーザーのファームへ遊びに行くメリットは、じつはとても大きい。収穫や水やりなどを手伝うことで画面左上にあるブーストメーターが増加していくのだが、これが自分のファームに戻った際に大きな効果を発揮する。溜めたメーターがカウントダウンしていき、ゼロになるまでのあいだ収穫作業で倍の経験値を得ることができるのだ。つまり、ファームのレベルを上げる大チャンス!
今回、筆者がお邪魔したファームがいくつかあるが、どれも個性が際立っていた。効率重視でトラクターで作業しやすいように3×3マスの倍数で広大な畑を作っている方、デコレーションパーツを一ヵ所にまとめて配置して街のようにデザインしている方。筆者の場合は“ここはブドウ”、ここは“小麦”といった感じでちまちました畑が点在しているで、来訪した方にとっては作業しにくかったと思われるが、それも、まあ、個性ということで。
作業効率重視派、デザイン重視派、コツコツ遊びたい派など、いろいろなタイプでも楽しめる本作。作業の中毒性の高いので、ぜひプレイしてみてはいかがだろうか。
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