ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。ライターのNiSHiがおすすめするタイトルは、Nintendo Switch用ソフト『メトロイド ドレッド』です。
【こういう人におすすめ】
- メトロイドヴァニアが好きな人
- 硬派なアクションゲームが好きな人
- 緊張感のある作品が好きな人
NiSHiのおすすめゲーム
『メトロイド ドレッド』
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- 発売日:2021年10月8日
- 発売元:任天堂
- 価格
- パッケージ版:7678円[税込]
- ダウンロード版:7600円[税込]
メトロイド、オモロイド!
『メトロイド ドレッド』は、探索アクションゲーム『メトロイド』シリーズの最新作。サイドビュー形式で進行する“2Dメトロイド”としては、ゲームボーイアドバンスで発売された『メトロイド フュージョン』以来、約19年ぶりとなる完全新作となっています。
とても歴史の長いシリーズですが、その最新作がNintendo Switchで発売されるということで、シリーズファンのみならず『メトロイド』に触れたことのない方にも非常に注目されたタイトルではないでしょうか。
筆者は、どちらかというと後者に当てはまるタイプ。1992年にゲームボーイで発売された『メトロイドII RETURN OF SAMUS』を幼少期に遊んだ程度で、『メトロイド』シリーズについては、そこまで知識がありませんでした。
そんな筆者ですが、「『メトロイド』はそんなに遊んだことはないけど、最新作が出るなら遊んでみるか」と軽い気持ちでプレイしてみたところ、めちゃくちゃハマり一気にクリアーしてしまいました。ですので、本稿ではシリーズに詳しくないプレイヤーをものめりこませた本作の魅力をご紹介しようと思います。
『メトロイド』シリーズに初めて触れるユーザーも問題なく楽しめる物語
そもそも『メトロイド』シリーズでは、パワードスーツに身を包んだ宇宙最強のバウンティハンターであるサムス・アランが、宇宙各地で発生する危険なミッションに挑む物語が展開されます。
『メトロイド ドレッド』では、サムスにミッションを依頼している宇宙における統治組織“銀河連邦”に、“X”の存在をほのめかす映像が送らせてきたところからスタートします。“X”とは、ほかの生物に寄生し、DNA情報から宿主に擬態するという厄介な性質を持つ寄生擬態生物で、過去作でのサムスの活躍によって全滅していたはずでした。
なぜ全滅したはずの“X”がまだ存在しているのか。その謎を解き明かすため、サムスは映像の発信源である“惑星ZDR”へと向かいます。
“惑星ZDR”に到着したサムスですが、惑星の最深部で謎の鳥人族に襲われ、気を失ってしまいます。そしてサムスが目を覚ますと、パワードスーツの機能が著しく低下した状態になっていることに気が付きます。
完全な状態ではなくなってしまったサムスですが、ひとまず惑星の探索を進めていくことに。しばらく探索を進め、彼女の前に姿を現したのが、惑星外多形態機動調査機(Extraplanetary Multiform Mobile Identifier)、通称“E.M.M.I.”です。
“E.M.M.I.”は、銀河連邦がサムスに調査を依頼する前に“惑星ZDR”に送り込んだ調査ロボットですが、サムスと遭遇した瞬間、命を狙って追いかけてきます。なぜ、敵でもない“E.M.M.I.”が彼女を襲うのか。
本作では、これらの謎を軸とした物語が展開していきます。ゲーム開始冒頭では、上に記載したこれまでのサムスの活躍をおさらいしてくれるので、シリーズをプレイしていなくてもしっかりと本作の物語に没入できました。そうして、『メトロイド』シリーズに初めて触れるユーザーにも丁寧な導入がされたところで進行していくストーリーは、歴史の長い作品だからこそ描ける濃密な物語で、かつハッとさせられるような驚きの展開もあり、シリーズファンの人たちもきっと満足できる内容となっていると思います。
探索を通じて強化され、冒険が拡張していく楽しさ
『メトロイド』シリーズの醍醐味のひとつとして、広大なマップを探索してパワーアップアイテムを発見することで、すでに開かれているマップ内のより深くまで探索できるようになるという、キャラクターの強化やプレイヤーのスキルの向上によって、冒険が拡張されていくおもしろさがあります。
本作でも、そんな『メトロイド』ならではの醍醐味を存分に楽しめるようになっているなと感じました。ゲームをプレイ中、プレイヤーの探索へのモチベーションが保たれるベストな位置にパワーアップアイテムが配置されていて、ずっとゲームに夢中になれるようなゲームデザインとなっていたように思います。
そして、「強化されたサムスなら、あそこのギミックを突破できるんじゃないか?」と、どんどん来た道を引き返して、そこでギミックを解いて、新たなエリアを開拓していくという快感がずっと味わえました。筆者がクリアーまで一気にハマってプレイできたのは、こういったユーザーを掴んで離さない『メトロイド』ならではの魅力があるからだと実感しました。
また、本作でのサムスのアクションひとつひとつがとても手触りがいいので、サムスを動かしてあちこち駆け回るだけで楽しいのも魅力的でした。
基本的にビームを連射しているだけで道中の敵は簡単に倒せますし、耐久力があって硬いなと思う敵もミサイルを使用することで殲滅できます。そして、これらの射撃アクションは“フリーエイム”によって自由に狙いをつけることができるので、直感的に行えるようにもなっているのも楽しいポイントです。
さらに、敵が突進してくるタイミングでボタン入力を行うことで、敵を一時的に行動不能状態にできる“メレーカウンター”を駆使することで、メリハリの付いたアクションも行えるので、プレイヤーを飽きさせない工夫もされています。
ゲーム内に登場するボスは、道中の敵とは違って手ごわく、一筋縄ではいきません。ですが、必ず突破口は用意されています。ボスとの緊迫感のある戦闘の中で、撃破の糸口を見つけて、苦戦しながらもボスを倒せたときの高揚感はたまりません。筆者の場合、いずれのボスも初見で突破することができず、何度か再挑戦を経て倒すことができましたが、そのときの、全身の血液が沸騰するような感覚は忘れられません。歯ごたえのあるボス戦ばかりですが、そこで得られる高揚感、そして達成感は、本作の絶妙なバランス調整のもと成り立っていると思いますので、ぜひ体感してほしいところです。
“E.M.M.I.”とのチェイスは緊迫感満載!
本作の最大の特徴は、“E.M.M.I.”の存在。“E.M.M.I.ゾーン”と呼ばれるエリア内に徘徊している“E.M.M.I.”は、サムスを見つけ次第、執拗に追いかけ回します。そして、サムスを捕まえ次第、一撃で命を奪うという超危険な存在。それゆえ、“E.M.M.I.ゾーン”に入るだけでめちゃくちゃ緊張しますし、筆者は手汗が半端なかったです。
“E.M.M.I.”に捕まると即死ですが、特定のタイミングで“メレーカウンター”が発動でき、“E.M.M.I.”の拘束から逃れることも可能です。ただし、このタイミングがとてもシビア。本編中で“99%の確率で不可能”と説明されているように、狙って“メレーカウンター”を発動させることはかなり難しいと思います。筆者はたまたま1回だけ“メレーカウンター”を成功させることができましたが、それ以外の場面では、そのままゲームオーバーでした。
本編では複数の“E.M.M.I.”が出現するのですが、ゲームの進行度によって、登場する“E.M.M.I.”も強力な個体になっていきます。序盤に登場する個体は、サムスと移動速度が同じぐらいなので、落ち着いていればそこまで苦戦することはないのですが、強力な個体になると移動速度もアップしていますし、中にはこちらの動きを一時的に封じてくる個体もいるので、プレイ中は“E.M.M.I.”への恐怖感がずっと纏わりついてきます。
一方で、探索を通じてサムス自体も強化されていくので、身に着けたアクションやアビリティを駆使しながら、どうやって“E.M.M.I.”に対処していくか。恐怖に支配されながらも、なんとか頭を回転させながらエリア内を駆け回る楽しさは、本作ならでは。『メトロイド』シリーズに慣れ親しんだファンの方にも、新鮮なゲーム体験を与えてくれるはずです。
“2Dメトロイド”としては約19年ぶりの完全新作ですが、シリーズに初めて触れるユーザーにもわかりやすい導入や、プレイヤーのモチベーションを最後まで保ちさせ続けるゲームデザイン、そして歯ごたえのあるボス戦や“E.M.M.I.”との緊張感のあるチェイスによって、シリーズ未プレイの方はもちろん、『メトロイド』ファンの方も存分に楽しめる作品となっていると思います。年末年始のまとまった時間がとれるこの時期に、とことん本作にのめり込んでいただければ幸いです。