発売日が2022年5月24日に決定した、スクウェア・エニックスのプレイステーション5、PC用ソフト『FORSPOKEN(フォースポークン)』。2021年12月上旬にはメディア向けにデジタルプレビューイベントが開催され、本作の舞台となる異世界アーシアや、魔法に特化したバトルなどについての情報が公開された。

Luminous Productionsのデビュー作

 スクウェア・エニックス・グループから、2018年3月に誕生したLuminous Productions。同スタジオは最先端のテクノロジーとアートを融合させ、ゲーム発のエンタテインメント・コンテンツを世界に送り出すことを目的に発足した。

 イベント冒頭ではスクウェア・エニックスの代表取締役社長の松田洋祐氏とLuminous Productionsのスタジオヘッド/『FORSPOKEN』ディレクターの荒牧岳志氏が登場。松田社長は、「魔法、パルクールのアクション、そしてユニークなストーリーを総合したすばらしいゲーム体験をお届けできると信じています」と本作について力強くアピール。続けて、荒牧氏は「アーシアの美しい世界で、主人公フレイの冒険がくり広げられます。この新しいゲーム体験とフレイの物語を皆さんにお届けできるのが本当に楽しみです」と期待に満ちた表情で語った。

 松田氏、荒牧氏の挨拶に続いて登場したのは、クリエイティブプロデューサーの光野雷生氏とCo-ディレクターの寺田武史氏。『FORSPOKEN』は、「アーシアという美しくも残酷な世界で自分の居場所を探そうとする主人公を中心に、感情を揺さぶる物語になっている」と物語の概要を紹介。ここからは後日行われたインタビューも交えながら本作の魅力を紹介していこう。

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光野雷生

クリエイティブプロデューサー

寺田武史氏

Co-ディレクター

『FORSPOKEN』は現代版『不思議の国のアリス』?

 本作の主人公はニューヨークで生活するフレイ・ホーランドという現代の若い女性。彼女は、突如として美しくも残酷な異世界の地“アーシア”に飛ばされてしまう。フレイは魔法の能力を駆使しながら、アーシアという幻想的かつ脅威に満ちた地で生き残らなければならない――。

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
フレイ・ホーランド
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに

 そんな過酷な状況に置かれたフレイを演じるのは、女優のエラ・バリンスカ。オンラインイベントでは、パフォーマンスキャプチャー、およびボイスディレクターのトム・キーガンの指示なくしてはできなかったと紹介され、そのキーガン氏によると、フレイの人物像を作り上げる際には、エラとともにお互いの家族、父親や母親について話し合うなどして、エラのパーソナリティをフレイのキャラクター作りにも役立てたという。

 またキーガン氏は、フレイについて「“アーシア”という異世界の地にたどり着いたフレイは、「私って誰?」という疑問を真正面から突きつけられる。そんなフレイというキャラクターとアーシアとの文化の衝突が、おもしろいポイント」だと本作の魅力を語った。

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
裁判のようなものにかけれるフレイ。いったい何の罪で?
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに

 一方、リードライターのアリソン・ライマー氏とトッド・スタッシュウィック氏は、2018年から長い時間をかけて物語や人物像を練ってきたという。

 そんなふたりはフレイについて、困難な状況においても、ユーモアを忘れずに立ち向かう人物だと紹介。また、フレイはアーシアで特殊な力を得ることにはなるものの、スーパーヒーロー的な人物ではなく、内面には脆さも抱えている。そんな彼女が脆さを抱えつつ、アーシアでどう変化していくのか、というのも物語のテーマといえそうだ。

 さらに、フレイやアーシアなどの詳細は、デジタルイベント後に行われたインタビューでも語られた。

――エラさんをフレイ役に起用した決め手は?

光野フレイは不完全で人間らしい、誰もが共感しやすいキャラクターを表現したいという意向がありました。エラさんはフレイに対する理解が早くて、エラさんによって我々の描きたいキャラクター像の最後のピースがハマった感覚がありました。

――アーシアの文化レベルは?

光野いわゆる中世のファンタジー世界、というのをモチーフにしています。機械化などはまだされていない程度の文化レベルですね。

――フレイやタンタなど、女性キャラクターが多い理由は? 公開済みのキャラクターにインパクトの強い女性が多いだけで、男性キャラクターも数多く登場する?

光野先日公開したトレーラーでも男性キャラクターはチラッと登場していますし、まだまだ公開していない人物もたくさんいます。ただ、今回のプロジェクトは、女性が統治している世界やそこに現代人が行ったらどうなるか、といった二面性を描く作品にしたかったので、女性キャラクターの印象は強いのかと思います。

――フレイやタンタのキャラクターデザインのコンセプトは?

光野フレイは現代人というのがコンセプトとしてあったので、どこまで尖ったデザインにするかというのはアートチームと試行錯誤して決めました。タンタは、ひとりひとりが美徳を象徴していて、そこから連想される色をイメージカラーにしています。

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
タンタ・サイラ
アーシアの統治者であるタンタのひとり。軍を指揮するだけでなく、自らも戦いの最前線に赴き、多くの兵士たちを率いてアーシアに多大なる勝利をもたらした。いまでは邪魔なものは全て排除しようと考える独裁的な暴君として知られている。日本語ボイスは杉本ゆうさん。
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
タンタ・プラーヴ
アーシアの統治者であるタンタのひとり。かつて国の裁判官を務めていた。彼女は、人の嘘を見破り、善悪を見極める力を持っていた。いまでは無実の人々を断罪する冷酷な処刑人になってしまっている。

ポリアンナ・マッキントッシュさん(『The Walking Dead』シリーズ)が演じ、日本語音声は深見梨加さんが演じる。
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに

 本作のキャラクターの中でひときわユニークなのは、アーシアに飛ばされたフレイの腕に巻き付いていた意志を持つブレスレット“カフ”の存在。カフは、フレイに対して歯に衣着せぬ発言をし、コメディーセンスもあり、フレイとカフとのやり取りは本作の見どころのひとつといえそうだ。

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
カフ

瘴気に覆われ、人類存亡の危機にあるアーシア

 今回、異世界アーシアは、“ブレイク”と呼ばれる死に至る瘴気に覆われつつある世界だということが明らかに。その瘴気に生物が触れると、死滅するかモンスターになってしまうが、外の世界からやって来たフレイのみは、瘴気の中でも自由に行動できるという。

 そんなアーシアでまだ瘴気に侵されず、人類最後の砦とも言える場所となっているのがシパールという街。フレイはそのシパールを起点にさまざまな冒険に挑むことになる。

※シュパール⇒シパールに修正しました(14日11:10)

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに

 アーシアは広大なオープンワールドとなっているが、移動は魔法“パルクール”でフィールドを縦横無尽に駆け回れるため、移動も爽快感を感じられるのが本作の大きな魅力。離れた場所に素早く移動できるワイヤーアクション、高所からの落下スピードを下げる、といったことも可能だ。そんな移動アクションを存分に楽しめるよう、「(広さは魔法パルクールが)十分楽しめる広さになっています。小さい、狭いと感じることはまずないと思います」(光野氏)とのこと。また、フィールドにはさまざまなクエストが用意されており、探索する楽しみも。

 ただし、旅の途中で運悪く“ブレイクストーム”に巻き込まれたら覚悟が必要。ここでは瘴気が濃く、強力な敵が出現するため、苦戦を強いられることもあるかもしれない。

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに
『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに

魔法を使ったダイナミックなアクション

 『FORSPOKEN』は魔法に特化したバトルが大きな特徴だ。ちなみに、タイトルの“FORSPOKEN”は“forspeak”という英単語からきており、“forspeak”には“魔法をかける。魅了する”といった意味があるという。「我々が作りたい世界観、語りたいストーリーにマッチしていたので、過去形にして『FORSPOKEN』というタイトルにしました」(光野氏)

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに

 魔法が物語の根幹にある本作だが、バトルではソード型の魔法を使った近距離戦や、弾を連射するような魔法があったりと、当然ながら遠距離から魔法を放つ、という単純なバトルにはならないようだ。さらには設置型のトラップ系の魔法などもあり、バリエーションに富んだ戦いかたが可能で、プレイヤーはそれらを自由に組み合わせて戦うことができる。なお、魔法はバトルなどで稼いだ“マナ”を消費することで強化したり、新しい魔法を覚えることができるとのこと。

――魔法に特化したバトルにしたは理由は?

寺田いままで自分たちがやってきたことっていうのはなんだろうと考えた時、やはりファンタジー、魔法だろう、ということでそこに特化したものを作ろうと考えました。魔法が存在するアーシアの世界を軸にした作品を作りたかったんです。

――魔法の種類はどのくらいあるのでしょう?

寺田すべて揃えるのが難しいのではないか、というくらいたくさんあります。近接魔法、遠距離魔法のほか、トラップのような魔法など、さまざま戦略を立てられるようになっています。

――バトルはフレイひとりで戦うものに?

寺田基本的にはフレイひとりです。といっても、腕輪にはカフというキャラクターがいて、カフと連携するような要素はあります。

――魔法は入手したマナで強化するようですが、魔法パルクールに強化要素は?

寺田魔法と同じように、魔法パルクール自体も徐々に進化していきます。

――フレイの育成に関して、カスタマイズ的な要素はありますか?

寺田オープンワールドを楽しむほど魔法が強化される、というのをゲームの軸にしています。なので、集めたものや強化したものによって自分が使える魔法が違ってきて、プレイスタイルにも差が生まれる、という遊びを目指しました。詳しいシステムについては続報をご期待ください。

――アクションゲームとしての難易度は?

寺田多くの方に楽しんでもらえるゲームにしています。ただ、開発スタッフはコアゲーマーも多いので、歯応えのある要素も入れています。当然、難易度の設定も入れているので、アクションゲームが得意ではない方もご安心ください。

『フォースポークン』デジタルイベントリポート。瘴気に覆われたアーシア、魔法に特化したバトルの一端が明らかに

装備はマント、ネイル、ネックレス。クラフト要素の存在も判明

 アーシアの各所には、セーフハウスとなる場所がある。セーフハウスでは休憩できるほか、収集したアイテムを使って装備をクラフトをしたり、装備品を強化したりできるという。
 フレイの装備品は、マントとネックレス、そしてネイル。各装備のデザインは見た目にもしっかりと反映される。ネイルはその紋様によって魔法を強化する、という効果があるようだ。

――ネイルを変えられるというのは本作ならではの要素ですね。

光野装備なども世界観から紐づくものになっています。アーシアの世界には、文化としてネイルを刻むという伝承がありまして、我々の世界でも古代バビロニアにはネイルに色を塗るという文化がありました。ファンタジー世界、現実の世界、両方に存在するものとしてネイルにたどりつきました。

 発売日が2022年5月24日に決定した『FORSPOKEN』。これまでの開発を振り返って寺田氏は「ついに発売日が発表されたのか、と感慨深いですね。いちばんたいへんだったのが、新規IPを作らなければいけなかったところですね。既存のIPと違って、自分たちが何をやるべきなのか、やりたいのかと考える必要があり、方向性を決めるのに苦労しました」とゼロから生み出す苦労を実感した様子。一方の光野氏は、「(原案を手掛けた)ゲイリー・ウィッタさんと打ち合わせしたのが昨日のことかのように思い出されます。案出しのフェーズから徐々に精度が上がっていって、いまのストーリーに至るまでが一瞬のことのようにも感じられました。あのとき話していたシーンがこうなったかとか、実際にゲームになって見られるのがうれしいといいますか、信じられない気分もあって、あと5ヵ月で遊んでもらえることがうれしいです」と、お二方とも「早く遊んでもらいたい」という気持ちが溢れ出る前のめりなコメント。

 徐々に明らかになってきたアーシアの世界。まだまだ謎が多い異世界だが、続報が届き次第、またリポートするのでお楽しみに。

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