インディーゲーム大好きクリエイターたちが、古今東西の魅力的なタイトルを紹介。今回は、特質なアイデアと奥深さが魅力のPC向けの話題作『Inscryption』。ホラーで奇怪な人生を歩んでいるというたむ爺がお届けします。
ホラー要素を含んだカードゲーム
配信から約1週間で25万本のセールスを記録した本作は、『Pony Island』や『The Hex』などで、とくに海外で高い人気を誇るインディーゲームクリエイター、ダニエル・マリンズの最新作。カードゲームにしてホラー要素を含んだミステリアスな世界観や、多言語対応&質の高いローカライズなど、完成度の高さを見せる一作だ。独自色の強いゲーム性とストーリーで、全世界から圧倒的高評価を得ている。
気づくとそこは見知らぬ場所 うながされるままカードゲームの世界に
1990年代を彷彿とさせるスタート画面から本作は幕を開ける。プレイヤーはなぜかニューゲームを選べず、コンティニューからゲームを始めることになり、何の記憶も持たない状態で、狭い小屋に放りだされてしまう。そして、暗闇の中から発せられる謎の人物に指示されるままに、盤上にあるカードゲームを行っていくことになる。そのカードゲームを通して、冒険者のストーリーが語られていくのだが……。
ただうながされるままカードゲームに興じるのみ
シンプルながら奥の深いローグライクのカードバトル
本作は、手持ちのデッキを使って、対戦相手の体力を削っていくカードゲーム。ファンタジー世界のような華麗なキャラクターなどは一切登場せず、リスやゴキブリ、狼といった昆虫や動物を戦わせるのが特徴だ。
さらに、場に出したそれらのカードを生贄にして、より強いカードを出していくといった、シュールな弱肉強食の現実世界を表しているのがミソ。やられたら手持ちのカードも変わりスタート地点に戻るというローグライクな作りで、シンプルな構成ながらも、奥の深い、戦略性に富んだプレイが楽しめる。
カードが昆虫や動物なのはこの世界を語るうえでの必然
リスやハチ、狼に始まりクマやサメといった凶暴動物も
カードには特性や強化・補強する要素も
本作には、特殊効果が付与される“印”という要素もある。“印”は、複数方向に攻撃できたり、やられても手元に戻ったりする効果が得られるものなどさまざまで、始めからカードに付いているものもあれば、後で付けられることもある。
また、マップ上では進むルートを任意で選べ、止まった先にあるマークによって、敵と戦ったり、カードを入手・強化したりなどのアクションを実行できる。つまり、どのルート選択するかは、攻略には欠かせないポイントとなるのだ。
アドベンチャーのような謎解き要素も随所に
カードバトルを進めながらも、アドベンチャー要素を強く持っているのも本作の特徴だ。たとえば、本作では小屋の中を歩き回れ、謎解き要素に遭遇することも。その謎を解くことが、ストーリーの解明につながったりする。多くを語るのは控えるが、本作では、随所に散りばめられた謎を解くことで、初めて真のエンディングにたどり着けるようになっているのだ。
謎解きの数、質ともに極上
ゆるところにあり、たとえば始めから親しく話しかけてくる動物もじつは重要な要素で……。
Inscryption
- メーカー:Devolver Digital
- 開発:Daniel Mullins Games
- プラットフォーム:PC
- 配信日:2021年10月20日配信
- 価格:2050円[税込]
- ジャンル:カードゲーム
- CERO:――
- 備考 :ダウンロード専売