スクウェア・エニックスより2022年配信予定のスマホ向けアクションRPG『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』の、クローズドβテストが、2021年11月16日~24日の期間中、実施された。

 本記事では『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』のクローズドβテストバージョンを実際に遊んでみた、プレイレビューをお届けしよう。なお、開発中のものをプレイするクローズドβテストのため、もちろん正式配信版とは異なる部分も出てくるだろう。その点を注意のうえ読んでほしい。

『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』クローズドβテストリポート。シリーズのストーリーと歴代キャラの記憶を辿る、スマホ向けアクションRPG

『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』とは?

 本作はスマートフォン向けに制作中の『聖剣伝説』シリーズ最新作。2022年に世界同時配信を予定しており、制作はスクウェア・エニックスと、『消滅都市』などで知られるWright Flyer Studiosのタッグで進められている。

 ゲームはオリジナル主人公(名前、見た目変更可)の視点から語られていき、マナの女神の導きにより、マナの樹に宿る過去の記憶持つ“実”から、さまざまな世界を巡っていく。『聖剣伝説』シリーズの物語を一部体験しつつ、主人公がストーリー展開に介入していく、という感じ。

『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』クローズドβテストリポート。シリーズのストーリーと歴代キャラの記憶を辿る、スマホ向けアクションRPG
『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』を彷彿とさせる主人公選択シーン。
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選択しなかった別の性別の姿は、主人公を見守る存在としても登場するようだ。
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オリジナルキャラクターも何人か登場する。
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さまざまな記憶の世界に介入していく。

 各ステージを攻略しながら、自分のキャラクターを育成していき、さらなるストーリーを楽しむというのは、ほかの一般的なスマートフォン向けゲームと同じ。キャラクターと一部装備(正確に言うとメモリージェム)はガチャから排出される。

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メモジェム

 バトルは『聖剣伝説』シリーズらしくアクション要素の強いバトルシステムを採用。端的に言うと、ベルトスクロールアクションに近いイメージだ。育成したキャラクターを使って、『聖剣伝説』シリーズらしいパーティバトルが味わえる。

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ホーム画面では動き回ることができ、仲間たちなどと会話も楽しめる。

 以上が、『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』のおおまかな概要。続いては、より各要素を深堀りして解説しよう。

美麗かつ滑らかな2Dグラフィック!

 グラフィックは2Dスタイルを採用しており、ドット絵ではなくCGイラストが動くようなイメージ。『聖剣伝説』シリーズはゲームによって頭身がまちまちだが、全体的には『聖剣伝説3』のリメイク版である『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』に全員が揃えられたようなイメージだ。

 いわゆる立ち絵も美麗なグラフィックが用意されているほか、ステージ内では小気味良く動き回るキャラクターたちがとってもキュート。さらに会話シーンでは別のグラフィックでくり広げられ、表情も豊かに変化したりする。ゲーム内で各キャラクターに3種類以上のグラフィックが用意されているのは、なんとも贅沢な仕様だ。

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『聖剣伝説』シリーズのキャラクターが大集合

 主人公と一部オリジナルキャラクターのほか、歴代『聖剣伝説』シリーズのキャラクターたちが集結。初代『聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~』からは主人公であるヒーローのほか、アマンダが、さらに『聖剣伝説2』のランディたちや『聖剣伝説3』のリースたちなどが登場する。

 ほかにも『聖剣伝説4』や『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』、『聖剣伝説DS チルドレン オブ マナ』などももちろん網羅され、プレイアブルキャラクターのほか、メモジェムと呼ばれるカード型の装備アイテムの一種として歴代キャラクターたちが一堂に集結。なお、全仲間キャラクターにはボイスが採用されている。

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 仲間キャラクターはガチャで入手できるほか、ミッションクリアーなどでも手に入る。ガチャからは最大★4のキャラクターが手に入り、これが実質最高レア度に相当。最初のガチャでは★3キャラクターが必ず手に入るガチャを回すことができ、何度も引き直せるので好きなキャラクターで始められるのもうれしいところだった。

 なおキャラクターにはサブタイトルのようなものが付いており、たとえばアンジェラひとり取っても数種類用意されている。『聖剣伝説3』のクラスチェンジの姿などは、また別キャラクターとして区別されて登場するのではないだろうか。

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こちらはクローズドβテストで回せたガチャ。基本的には初代から『聖剣伝説3』までのキャラクターが9割くらいを占めていた。

先の気になるifの物語

 本作は主人公がマナの樹に実る記憶の実から、各世界を旅していくというもの。本作オリジナルの世界のほか、『聖剣伝説』シリーズの各世界が舞台になることも。

 決してゲーム本編のストーリー通りに進むというわけではなく、『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』の主人公が介入したことにより何かしらの別展開を見せるのがポイント。さらには謎の敵たちが介入してきたりと、決して“原作ストーリーをそのまま追体験”のような仕様になっていないのが、筆者としてはうれしい要素だった。

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こちらはゲーム冒頭のストーリー。原作と同じく、牢屋に捕らえられてしまったホークアイ。
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本来ならニキータが助けに来てくれるはずだが……。
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まさかの主人公が登場!? という感じで、ifの物語が語られていく。
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ランディと出会う前に、プリムとポポイと出会ったり‥…。
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フラミーとの出会いも。

ベルトスクロールタイプのアクションバトル!

 バトルはステージ中にいる敵を倒して、エリアを進めながら探索していく。基本はシンプルなステージが多いが、中には分かれ道があるようなダンジョンも用意されている。エリアに宝箱が置かれていることもあったりと、RPG要素も充実。

 パーティはメイン3人、サブ3人の最大6人で出撃。ゲーム中は3人で戦い、操作キャラクターは全キャラクターいつでも切り替えることが可能だ。サブ枠は控えメンバーという感じではあるが交代が可能で、メインが倒されると自動で切り替わる。

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 各キャラクターには通常攻撃といくつかのスキル、そして必殺技を持っている。スキルはMPを消費することで発動でき、必殺技は攻撃などで必殺技ゲージを最大まで溜めるとくり出せる。また、必殺技を使っていくと各精霊を呼び出しての召喚攻撃も可能だ。

 バックステップなどもあり、攻撃アクションは敵の攻撃を避けてのオーソドックスなヒット&アウェイが求められる。ボスの攻撃は攻撃範囲が表示されたりと、『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』に近い要素も。シンプルながらも、それなりに高いアクション性が、戦ってて楽しい要素だった。

 なお、操作は全操作を自分でおこなうマニュアルと、攻撃ボタンなどが敵を自動で追尾してくれるセミオート、完全オートで進行するフルオートの3種類が用意されている。

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必殺技を放つとカットインが入る。
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多岐に渡る豊富な育成要素

 キャラクターにはレベルが存在し、バトルで得る経験値でレベルアップしていく。レベルアップ用アイテムもあるが比較的手に入りにくく、基本的にはステージを周回してレベリングするのが基本だ。そのため、オート周回機能があり、放置しているだけでレベリングができるのは、快適かつ便利なところだった。

 ほかにも成長要素は盛りだくさんで、まずは育成ダンジョンなどを攻略することで手に入るアイテムを使い、キャラクターを成長させていく“マナボード”。各属性ごとのダンジョンを周回して、コツコツ鍛えるようなシステムだ。

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経験値アイテムクエストを周回してレベルアップ……というゲームが昨今多い中、RPGらしい経験値稼ぎがレベルアップのメインとなる。あんたも成長したもんだ(ちなみにヒーローには本当に言ってくれる)。
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マナボード

 マナボードをすべて開放し、さらに規定レベルまで到達すると、同じレアリティを持つキャラクター(または進化用素材)を消費することで、レアリティが上昇し、レベル上限と新たなマナボードが開放される。これでさらに強化が可能になり、くり返せばすべてのキャラクターを★5まで進化できるようだ。同じレアリティであればいいので、ほかのレア度の低いキャラクターを育成し、進化用素材にすることもできる。

 さらに同じ種類のキャラクター、または素材を使うと限界突破が可能。限界突破すると、スキルと必殺技が強化される。さらにさらに、★5まで完全に育成したキャラクターに、覚醒オーブを使うと“覚醒”し、レベル上限が100となって、キャラクターの持つ最大値まで強化できる状態となる。

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 育成要素はそれだけでなく、武器や防具の装備アイテムがあり、レア度やレベルを持つ。装備はかなり強力な効果をもっているため、装備集めや強化も重要になるだろう。

 また、先述している通り“メモジェム”という装備アイテムがある。これは各タイトルの名シーンなどが描かれたイラストカードで、装備すると各メモジェムごとに用意されたステータス強化効果とアシストスキルが付与される。こちらもレベルがある。

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メモジェムはメインストーリー進行でも手に入る。いまは隠れているが……
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進めるたびにイラストの一部が見える仕組みで、全部開けるとメモジェムが手に入る。また、イラストも見どころ。

 キャラクターのレベル、マナボード、限界突破と進化、装備、メモジェムと、育成要素が非常に多く、やり応えはバツグン。ストーリー進行とともに機能が開放されていくとはいえ、やるべきことが最初から本当に多いので、慣れるまでは苦労するだろう。

難易度はなかなか骨太

 さて、遊んでみて思ったのは、最序盤はそうでもないが、進むにつれて難度がなかなかに高いということ。敵の攻撃力は結構高く、ただ突っ込んで攻撃しているだけでは体力はすぐゼロになってしまう。しっかりとヒット&アウェイを心掛けないと、なかなかに攻略しにくいアクションらしい歯応えを味わえた。もちろん育成をしっかりしておけば、基本的にはサクサク進められる。

 難度が高めな理由のもうひとつとして、自分の操作していない仲間キャラクターふたりの存在が挙げられるだろう。仲間ふたりは事前に作戦指示を出すことで「近くの敵を狙う」、「支援特化」などの調整はできるが、基本的には突っ込んで攻撃するだけで、敵の攻撃をほとんど避けようとしてくれない。

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 そのため、“育成は仲間ふたりを優先して、自分で操作するキャラクターは育成を後回し”にしたほうが、比較的安全に立ち回りやすかった。少なくともメイン3キャラクターをしっかり育成しておかないとステージを攻略できないのは、ちょっと面倒に感じる部分でもある。

 もちろん、体験したのはクローズドβテスト時の難易度。序盤から難度が高いので、そこを少~しだけ緩和してほしいなぁ、というのが正直思った感想だ。あとは仲間も全部避けろとは言わないので、ちょくちょくは避け行動をしてほしい。

 なお、近接系のキャラクターはそこそこダメージは出るが、本作は通常攻撃の威力が低めで、スキルか必殺技で敵を倒していくゲームのように感じた。とくに必殺技ゲージは溜まりやすいので、ボンボン必殺技を放つような立ち回りが多かった。

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ちなみに武器の見た目チェンジなども可能だ。

アレンジBGMがイイ!

 音楽は本作オリジナルのもののほか、リメイク版である『聖剣伝説2 シークレット オブ マナ』や『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』などでアレンジされた、『聖剣伝説』シリーズのアレンジ楽曲が使用されており、これがまたイイ。『聖剣伝説2』の『少年は荒野をめざす』や『危機』、『聖剣伝説3』の『Different Road』など、オリジナル版の良さをそのままにアレンジされた懐かしくも新しい楽曲になっているため、リメイク版の楽曲ながら本作にも最適なBGMとして楽しめた。

マルチプレイもあり

 クエストの一部はマルチプレイに対応しており、最大3人でオンライン協力プレイが可能だ。今回は周回系イベントに用意されていることが確認できた。ひとりで周回も可能だが、みんなでワイワイと遊びながら周回をするのもいいだろう。

スマホ系『聖剣伝説』の柱となるか

 現状UI面など気になる部分も多々あったが、もちろん今回のバージョンはクローズドβテストのものである。アンケートの結果などにより、よりブラッシュアップされていくことだろう。今回のテスト版では、育成、バトル、ストーリー、そして『聖剣伝説』キャラクターたちとの触れ合いのおもしろさを、末端ではあるが体験できた。ただ、ミッション報酬を受け取っても全部1度プレゼントボックスに送られてから、ボックス内で再度受け取るなど、前時代的な仕様もあったりするので、そういった部分は改善してほしいところ。

 『聖剣伝説』シリーズはこれまでにもソーシャル系ゲームとして『聖剣伝説 サークル オブ マナ』、『聖剣伝説 ライズ オブ マナ』などが存在していたが、それらもすでにサービスを終了。残念ながら、ファンにゲーム自体が定着しなかったイメージがある。

 たとえばスクウェア・エニックスでいうと、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』は配信されるや否や、『サガ』シリーズファン以外のプレイヤーたちも遊び始めたりと、シリーズの大きな柱となった印象がある。『聖剣伝説 エコーズ オブ マナ』は、それくらいの立ち位置に行きたいという気合を、クローズドβテスト段階でもゲームから感じられたように思う。ファンとしても、シリーズの新たな柱になることを願っている。

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