2021年11月25日(木)、カリプソメディアジャパンから発売されるプレイステーション5、プレイステーション4、PC用ダークファンタジー×タクティカルRPG『ディサイプルズ リベレーション』。

 今回、筆者はこちらの作品をひと足さきに遊ばせていただいた。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG

 筆者はシミュレーションRPG、タクティカルRPGなどと呼ばれるジャンルのゲームも、和洋や時代を問わず好んで遊んできた。その中でも強く記憶に残っているのは、『ファイナルファンタジータクティクス』(スクウェア/1997)などの名作たちだ。

 これらのゲームでとくに忘れがたいのが、手塩にかけて育ててきたユニットがやられてしまうと、戦闘中に蘇生してあげないと戦闘終了後にロストしてしまうという恐るべき緊張感だ。リセットできるとわかっているはずなのに、内臓が縮み上がるような悪寒、喪失感を覚える。

 そんな筆者から、まずお伝えしたい。『ディサイプルズ リベレーション』は、まさにそのタクティカルRPGの系譜にある作品だと思う。通常の敵の攻撃なのにやたらと高いダメージを受けたり、死亡したユニットは戦闘後にロストしたりといった部分に、かつての記憶が揺さぶられる。

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「やり直せる」とわかっていても、愛着のあるキャラがやられるとトラウマレベルの衝撃を受ける。これもまた、タクティカルRPGならではの演出の妙だ。
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本作でも戦闘終了時に死亡したままだったユニットは、戦闘終了とともに失われてしまう。蘇生の手段が中盤以降までないため、筆者は何度もリセットに頼った。

 本作は上質な“ダークファンタジー”であり、その大きな魅力は“選択”にあると思うと、以前に別の記事でお伝えした。筆者としては本作の、一本道で他人ごとのように勝手に進むストーリーではなく、プレイヤー(主人公)自身がしっかりと選択し、それが招いた重々しい結果が物語や歴史になっていくという展開が気に入っている。

 物語と戦闘、どちらにおいてもずしりとした重みがある本作。今回はその両方の魅力を、実際のプレイフィールを踏まえてお伝えしていこう。

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ヘクスマップやコスト制の部隊編成システムなど、シミュレーションRPGならではのシステムやおもしろさも満載。じっくり濃厚に楽しめる骨太作品に飢えているプレイヤーにも、ぜひ注目してほしいタイトルだ。
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隠された歴史の真実に触れていく、壮大な旅

 まずは本作のストーリー面や、選択によって変化していく“勢力”との関係のおもしろさについて解説していこう。

 本作の物語の主軸は、ただの傭兵であったはずの主人公・アヴィアンナが、その背負った運命から再誕の混沌のただなかにある世界がどう動くのか、その流れを決める重要な立場に立たされるというところにある。

 最初はお尋ね者にされた状況をどうにかするために協力者を求めるという程度の話だったはずが、物語が進むにつれて、世界を4分する大勢力のいずれに近付くかという重大な話になっていく。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
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4大勢力が支配する各地域で、つぎつぎと突きつけられる選択。このひとつひとつが積み重なり、アヴィアンナたちがどの勢力と手を組むか、この世界がどのように変化していくかが決まる。
  • 人間が築き、いまや大宗教に実権を握られた“帝国”
  • 古い歴史を持ちつつも、動乱のなかにある“エルフ同盟”
  • アンデッドたちとそれを支配する主人たちの勢力“不死者の群れ”
  • 力ある者を好み、戦いなどの刹那的な享楽に酔い続ける“悪魔の軍団”
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各勢力との関係性は、受けたクエストの結果やストーリー内での選択肢で変化していく。

 人間の帝国やエルフの同盟などは、ファンタジー作品でおなじみの勢力ではある。注目してほしいのは、不死者(アンデッド)や悪魔とも手を組めるという点だ。

 ふつうのファンタジーRPGなどでは、主人公とはつねに敵対するモンスター側の立場になりがちな不死者と悪魔。本作ではそのような人間とは相いれない部分もしっかりと残しつつも、利害のために手を組める勢力として描かれている。

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享楽に生きる悪魔たちや、冒涜的な死者の群れと手を組んだら、どんな物語が待っているのだろうか。ダークファンタジーの面目躍如といったところだ。

 ちなみにこの勢力の要素は、戦闘面にも影響する。各勢力の強力なユニットはその勢力の親密度が高くないと仲間に加えることが難しく、さらに親密な勢力に所属するユニットは戦闘中の“士気”が高まり、より能力を発揮しやすくなるのだ。

 ちなみに筆者がプレイした場合、なぜか不死者と悪魔の勢力との仲が深まり、ついついアンデッドや悪魔だらけの部隊を編成してしまう。これもまた選択の積み重ねの結果なのだが、結果だけ見るとなかなか尖ったことになっている気がする。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
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このようなおぞましい出自の存在であっても、勢力との関係次第では非常に頼もしい味方となる。なお、本作ではどの勢力のユニットも同じ部隊に制限なく編成可能だ。

 こうしたダークファンタジーならではの冒涜的な選択の幅に加え、本作のメインストーリーやサブクエストを進めていくと、神々が不都合に感じて隠蔽した“真の歴史”についても触れる機会が出てくる。本作の物語は単なる現世界の勢力争いに留まらず、展開次第では特定の神の怒りを買うような、人智を超えた事態にまで発展する。

 神々もまた人間のように野心に溢れており、欺瞞に満ちているという部分もまた、ダークファンタジーならではの設定だ。神話のようなスケールになる壮大な世界観、そしてその中でも選択を迫られるという重さが、物語をさらに重厚にしてくれる。筆者は「人間ひとりにこんな選択肢を突き付けてくるの!?」と、思わずのけぞった。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
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一部のクエストなどで、この世界の宗教や神話が隠蔽してきた本当の歴史が垣間見えていく。世界の真実に迫っていくこの壮大な展開は、まさにファンタジーの王道。

 ここまで壮大な話になると他人事のように感じられてしまいそうにも見えるが、そんなことは一切ない。本作ではプレイヤーがつねにアヴィアンナの視点に立つようになっており、彼女の周りで起こるさまざまな事件やその結果が、とても他人事とは思えない生々しさでのしかかってくる。

 さきほど触れた神話の部分についても、神々が勝手に話を進めたりするわけではなく、プレイヤーはアヴィアンナの視点からそれらの真実を見て、どう感じたのかを素直に選択肢に乗せていくことができる。

 共感できるなら肯定すればいいし、胸糞悪く感じたなら否定すればいい。それらの表現に十分かつ多彩な選択肢と、それに伴う結果が用意されているため、本作の壮大な物語はどこまで広がったとしても他人事にはならないわけだ。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
どんなにスケールが大きくなろうとも、本作の物語はあくまでプレイヤー自身の“選択”をもとに描かれていく形になっている。筆者としては、この点こそが本作の物語におけるもっとも大きな魅力だと思えた。

部隊と主人公の豊富な編成を楽しむ!

 物語に続いて、本作の戦闘、ならびに戦略面でのおもしろさにも触れていくうえで、まずは本作のバトル面のシステムを解説していこう。

 本作は記事冒頭で触れたとおり、タクティカル(シミュレーション)RPGの系譜にある作品で、そのシステムもこれらの作品としてはオーソドックスでわかりやすいものとなっている。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
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各地域の敵シンボルに触れると、戦闘に突入する。レベルが低めの相手に対しては“自動勝利”で即座に戦闘を終わらせられるため、ゲーム中盤以降になるとエンカウントは増えるものの、さほど煩わしくは感じなかった。

 本作のバトルは、1ターン内で敵味方問わず行動順が早いユニットから順番に1回ずつ行動し、全員が行動し終えたらつぎのターンに移行するという、わかりやすいターン制だ。敵味方ともにそれぞれの部隊は、実際に戦場で戦う“前衛”と、前衛を戦場の後方から支援する“後衛”に分かれる。

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前衛に配置できるユニット数は10体まで。また、各ユニットには“指導力コスト”が決まっており、このコストの総計がアヴィアンナの“指導力”の数値をオーバーするような編成はできない。指導力はアヴィアンナがレベルアップすると増えていく。

 戦闘は敵味方どちらかの陣営の、前衛が全滅した時点で終了する。前衛がやられると後衛が代わりに前に出る、などということはなく、後衛のユニットは後衛時専用の能力を自動で使い続ける以外の行動は取れない。その分後衛の編成での制限は緩く、指導力コストに関係なく自由に3体まで配置できる。

 なお、物語の中で陣営に加わる“仲間”カテゴリの重要人物たちは、指導力コストがゼロで能力も高いという強力なユニットだが、前衛・後衛の両方を含めて2体までしか配置できない。ちなみに仲間も戦闘中に倒れ、蘇生せずに戦闘終了となれば、通常のユニット同様にロストしてしまい、物語の展開にも影響が及ぶ。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
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仲間は通常のユニットよりも能力が高めで、戦いかたそのものを変えうる能力や、マップ上の特定のオブジェクトを破壊するなど、さまざまな固有スキルを持っている。編成時には2体しか選べないというのが、とてつもなく悩ましい。

 編成の制限は、上記くらいのもの。あとは勢力などを問わず、自由な編成が可能ということだ。その編成できるユニットの種類も、相当に多彩だ。

 各ユニットは毎ターン使用できる基本攻撃となるアビリティと、数ターンの再使用可能になるまでのリキャストタイムを持つものの、範囲攻撃であったり回復技であったりと、特徴的かつ強力なアビリティという、2種類のアビリティを持つ。これに加えて「地面の罠の影響を受けない」「HPが減ると強化状態になる」などといった固有の“特殊能力”と、後衛時専用の行動を持っている。

 これらのアビリティや能力だけでも豊富に取り揃えられており、どのユニットを使ってみるかと選ぶのが楽しい。物語が進むと部隊に雇用できるユニットの種類もどんどん増えていくので、選択の幅はどこまでも広がっていく。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
敵が特定の状態異常に陥っていることが、発動や追加効果発生の条件になっているアビリティや呪文もある。それらを軸に、シナジーや組み合わせを考え抜くのも楽しい!

 また、各ユニットは“AP”という戦闘時の行動に使用するポイントを持っているが、このAPには移動にしか使えない“青”、アビリティの使用にしか使えない“赤”、移動とアビリティの好きなほうに使用できる“オレンジ”の3種類があり、どの色のAPをいくつ有しているかはユニットごとに異なる。

 たとえば青と赤のふたつのAPを持つユニットは、自分の行動時に1回の移動と、1回のアビリティ使用はできるものの、移動せずにその場で2回アビリティを使ったり、2回移動したりすることはできない。反面、オレンジと赤のAPを持つユニットなら、移動と攻撃、2回の攻撃と、APをより汎用的に使える。コストの高さやアビリティの威力だけでなく、持っているAPの色が強みになるユニットもいるわけだ。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
仲間はたいていがオレンジのAPをふたつ持っており、2回移動、攻撃と移動、2回攻撃と、多彩な行動が取れる。

 本作のユニットはこのように、これらのわかりやすいシステムの組み合わせで成り立っており、戦闘のシステム自体も難しい要素などはなくじつにシンプルだ。味方のユニットで相手を挟み込んだ状態で攻撃するとダメージボーナスが乗る“挟撃”が発生するが、特殊なボーナスやシステムはそれくらいのものだ。

 また、こちらのユニットが移動距離の関係で敵に攻撃しに行けない場合などは、ユニットの行動を“待機”でターンの最後まで遅らせて、距離を詰めてきた敵ユニットに対して攻撃しに行く、といったプレイも序盤から終盤まで有効だ。挟撃と待機、このふたつくらいを覚えておけば、戦闘の基本はマスターしたも同然だ。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
特殊なリソースやシステムがなく、すっきりとしたわかりやすい戦闘システムとなっている。そのうえで挟撃がかなり強力なので、こちらが挟撃を決め、敵からの挟撃を避けていくという戦略要素もしっかり生きている。

 それならわりと部隊編成の選択肢なども、一定の強い編成に固まっていって幅が出ないのでは? と思われるかも知れない。そこを変えてくれるのが、主人公・アヴィアンナという特殊すぎるユニットの存在だ。

 アヴィアンナはアビリティや特殊能力とは別に、“呪文”を使用できる。この呪文にはアビリティとは違ってリキャストタイムがなく、毎ターンごとに回復する“マナ”というリソースさえあれば1ターンにつき1回(アヴィアンナの能力次第では1ターンに2回)、好きなものを使用できる。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
攻撃や回復、敵の拘束や味方の強化など、各ユニットのアビリティと同等か、それ以上に豊富な種類の呪文が用意されている。新たな呪文は、ストーリーやサブクエストを進めると手に入る“巻物”を使って習得可能だ。

 戦闘中に使える呪文は、戦闘時以外にメニュー画面から“呪文書”に登録した8つのものだけだ。アヴィアンナが成長しないと使用できないような高等呪文にはそれひとつで戦局を動かしうる力があり、どの呪文を戦闘に持ち込むかで、部隊全体の戦いかた自体が変わりうる。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
呪文の割り当ては、ある意味部隊編成よりも悩ましい。

 さらにアヴィアンナは本作で唯一、レベルが上がるたびに得られるポイントを“スキルツリー”に割り振ることで性能が大きく変化し、なおかつストーリーが進むと“クラス”を選択することで、その能力を大きく変えられるようになる。クラスをおおまかに説明すると、

  • 敵の攻撃を引き受ける堅牢な戦士“ウォーロード”
  • 剣技や毒でダメージディーラーを担う剣士“ヘクスブレード”
  • 攻撃も回復も可能なバランス型の術者“ヴォルヴァ”
  • 打たれ弱いが強烈な攻撃を放てる魔法使い“ウィッチ”

 以上の4つがあり、さらにストーリーを進めるとそれぞれのクラスの上位クラスが解放され、アヴィアンナの特殊性はより高まっていく。特定のクラスで、なおかつスキルツリーの特定項目にポイントを振っていないと使えない高等呪文もあるため、呪文の選択肢にも大きく影響する。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
拠点となる都市“イリアン”に戻れば、スキルポイントの振り直しやクラスの選択し直しが可能だ。呪文、スキルツリー、クラスの3つの組み合わせで、アヴィアンナの能力は多種多様に変化する。

 また、アヴィアンナは武器に加え、頭、胴体、腰、足の4ヵ所の防具と、装備者に能力ボーナスを与える“情念の欠片”という、6種類もの装備を付け替えることができる。武器と防具にはランダムで能力ボーナスがつくため、装備を集めるハクスラ的な楽しみもあったりする。

 なお、仲間は武器と情念の欠片を、通常のユニットは情念の欠片のみを装備可能だ。この点からも、アヴィアンナがどれだけ特殊でいじりがいがあるユニットかわかってもらえるかと思う。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
装備はクエストの報酬でもらえたり、フィールドに落ちている宝箱から回収できたりするほか、イリアンの“市場”でもランダムで能力がついたものを購入可能だ。

戦闘は単純明快ながら、挑みがいがある!

 本作の編成と戦闘のシステムは、先述のとおりわかりやすいものとなっている。だが本作は記事冒頭でも触れたとおり、往年のタクティカルRPGを思い出させるなかなかシビアな戦闘バランスを持っており、ヒリついたバトルが楽しめるようにもなっている。

 とくにレベル差によるダメージの増減が大きいようで、こちらの部隊と同等かそれ以下のユニットが集まった敵部隊との戦闘と、1レベルでもこちらよりレベルが高いユニットが集まった相手部隊との戦闘では、受けるダメージ量が明らかに異なる。2レベルくらい上を行く相手の場合、一手を間違えて3体くらいの敵ユニットから集中攻撃を受けたりしたら、強力な仲間ユニットでさえも瞬殺される。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
敵シンボルにカーソルを合わせると、敵ユニットのレベルが確認できる。普通は格上の相手には、その時点では戦いを挑むべきではない。

 だが、あえてそのレベルの壁に挑んでみるのもまた、本作の楽しみかたのひとつだ。

 正直、ストーリーを進めていくだけならそんな無茶な敵部隊はそうそう出てこないが、あちこちに点在している出会った時点では格上の敵部隊や、いかにも強そうな隠しボス的な敵部隊に挑戦してみると、これが楽しいのだ。負けては「いまのはあそこでああするべきだったなぁ」などと言いつつリセットして再挑戦、そんなくり返しが懐かしくもおもしろい。

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相手の方が格上だと、文字通りの死闘となることが多い。通常ユニットは再雇用も可能なので、リセットに頼らないなら、通常ユニットを何体か犠牲にするくらいの覚悟をもって挑もう。
『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
敵は1体、だが10レベル以上の格上なんてこともある。何度か挑んでみたところ、びっくりするくらいにボコボコにされた。

 本作には高低差や遮蔽といった地形の特徴はなく、細い通路上になった地形でもない限り、敵の目を逃れるには透明化するアビリティや呪文を使うくらいしか方法がない。そして本作の敵ユニットは挟撃や、脆いユニットへの攻撃といったチャンスを逃さず的確に突いてくる。タクティカルRPG作品ではときどき見られる、地形などを利用した絡め手はほぼ使えないわけだ。

 そうした絡め手がない分、本作では強敵に打ち勝つにはとことん編成を考え抜き、アヴィアンナをどんなユニットに仕上げるかも吟味する必要が出てくる。本作で考え抜いた編成と戦略で強敵を倒す緊張感と達成感は、オマケ的な要素ではあるもののぜひ味わってみてほしいものだ。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
ストーリーを順当に進めていくだけでも多彩なステージやシチュエーションが用意されており、しっかり歯ごたえが楽しめる。さらなる歯ごたえを求めるかどうかは、プレイヤーの自由だ。

 また、本作では「キャラクターのレベルアップなどに育成に時間がかかるのでは?」「一回ロストしたユニットを再雇用したら、再育成に手間がかかるのでは?」などといった心配も無用だ。各勢力との関係にもよるが、イリアンでは各ユニットのレベルを資源を使って簡単に上げられるので、レベル1の新規参入ユニットもすぐさま即戦力にできる。

 また、味方ユニットのレベル上限はアヴィアンナの現在のレベルと同値になるので、過剰なレベリングなども必要ない。その分、編成や戦闘時の選択にこそ、じっくりと時間をかけて楽しんでみてほしい。

『ディサイプルズ リベレーション』の魅力を発売直前にとことんレビュー。物語と戦略の、選択肢の多さに引き込まれるタクティカルRPG
レベルアップや呪文の習得に必要な各資源は、フィールドのあちこちにある資源採掘施設を戦闘で奪い取れば、一定時間ごとに自動で溜まっていく。育成や呪文習得にはさほどの量は要求されないので、気軽に使ってしまおう。

 このように本作『ディサイプルズ リベレーション』は、わかりやすくも一手の選択が重要な戦闘と、選択が世界の行く末を決めていく重厚で壮大な物語という、両方の要素が同時に楽しめる作品となっている。それでいてシステム面はわかりやすくまとまっており、時間がない人やシミュレーションゲームに不慣れな人でも、しっかりと骨太なRPGとして楽しめるようになっているのが好印象だった。

 物語のボリュームも、選択による結末すべてを含めていくとかなりのもので、筆者にもまだまだ見ていない展開や結末が残されている。改めて、じっくりと腰を据えて楽しむRPGタイトルを求めているプレイヤー諸兄にぜひオススメしたいタイトルだ。

◆製品概要

  • タイトル:ディサイプルズ リベレーション
  • 対応機種:プレイステーション5、プレイステーション4、PC
  • 発売日:2021年11月25日発売予定
  • 発売元:カリプソメディアジャパン
  • 価格:プレイステーション5版、プレイステーション4版/7678円[税込]、PC版/4398円[税込]
    • ※PC版は2021年11月25日より日本語対応開始
  • ジャンル:RPG
  • プレイ人数:オフライン1人 /オンライン1~2人
  • CERO:17歳以上対象