バンダイナムコエンターテインメントより、2021年10月6日より配信がスタートしたスマートフォン向けアプリ『アイドルマスター SideM GROWING STARS』(以下、『サイスタ』)。本作の配信を記念して、天道輝を演じる仲村宗悟さんにインタビューを実施。輝や『SideM』への想いのほか、『サイスタ』の魅力を語っていただいた。
※本記事は週刊ファミ通2021年11月11日号に掲載したインタビューに加筆、修正を行ったものです。
※本インタビューは10月上旬に実施しました。
仲村 宗悟(なかむら しゅうご)
7月28日生まれ、沖縄県出身。『アイドルマスター SideM』(天道輝役)で声優デビュー。 以降、ゲームやアニメ、ラジオなどでマルチに活躍。2019年からは、Lantisでアーティスト活動を開始した。(文中は、仲村)
輝といっしょに声優人生も本格スタート
――輝との出会いとなったオーディションのことは覚えていますか?
仲村僕の声優人生で初めてのオーディションだったので、強く印象に残っています。オーディションでは、天道輝役と柏木翼役を受けたのですが、じつは当初、柏木翼役のみを受ける予定でした。ですが、ほかのアイドルにもチャレンジしてみたいと思い、「天道輝役も受けたいです」とお願いして、輝のオーディションにも参加させていただきました。
――輝役も志望したのは、 自分に合っていると感じたからですか?
仲村自分に合っているというよりも、当時は声優としてのキャリアをスタートさせたばかりでしたので、役をつかめるチャンスがあるなら、積極的にチャレンジしたいと思ったのがいちばんの大きな理由ですね。そこから彼とともに、本格的な声優人生を歩むこととなりました。
――輝役に決まったことを知ったときは、どのように感じましたか?
仲村オーディションの結果は、マネージャーからの電話で知りました。当時は声優業を始めて間もなくて、マネージャーから電話が掛かってくることも僕にとって珍しいころだったので、着信があった瞬間「なんだろう?」と心配になりました。
――「何かをやらかしてまったかな?」みたいな感じですか?
仲村そうです。オーディションの結果がどれくらいで出るかも把握できていなかったので、着信を見ただけでドキドキしました。そして、恐る恐る電話に出ると、「このあいだの『SideM』のオーディションだけど」と、神妙なマネージャーさんの声が聞こえて……。当時は、オーディションに落ちたときにも連絡が来るのかどうかわからなかったので、雰囲気からして「ダメだったのかな」と思っていたら、「天道輝役で決まりました」と言われて。動揺して、思わず「え、マジで⁉」とため口を使っちゃいました(笑)。
――パニックになってしまったと(笑)。そこから徐々に、輝役に受かったという実感が沸いていったのですか?
仲村合格の連絡があってからしばらくは実感が沸かず、初めての収録のときにやっと自分が輝役なんだと強く認識できました。また、 “アイドルマスター SideM ~理由あって!初ニコ生!~” という生放送に初めて出演させていただきときは、「いよいよ始まるんだ」と、身が引き締まる思いになったことを覚えています。
――では、初めての収録時は、かなり緊張されたのでは?
仲村そうですね。僕は26歳から声優になって、お芝居のおの字も知らない状態で、マイクの前に立つのもオーディションのときぐらいしかなかったんです。それこそ、オーディションのときに3本ぐらいマイクが立っていて、「好きなところにマイク入ってください」と言われたのですが、その意味もわかっていなくて。それぞれマイクの高さが違っていて、「自分のいいところの高さに立ってください」という意味なんですけど。そのくらい右も左もわかっていなかったので、初めての収録は時間も掛かってしまい、1日で収録予定だったのが、結果的に2日間にわけて行うことになりました。
――少しずつ、手探りで収録していったのですね。
仲村音響監督さんと意見を交わしながら輝の演技を見つけていきました。
――そのときのディレクションで、印象に残っていることはありますか?
仲村輝は年齢が28歳なので、明るいアイドルらしくも、あまり少年のような演技になり過ぎないように、ということは指導していただきました。あと、「このセリフはどういう気持ちで言っていると思う?」というように、セリフとの向き合いかたも教えていただきましたね。
――そうして、輝と出会ってから約7年となりますが、輝の印象で変わったところはありますか?
仲村彼と出会ったときは、すごくまっすぐで、少年らしい一面のあるアイドルだなと感じました。ですが、2017年に放送されたアニメでは、周囲への気遣いもできる様子が描かれていて。少年のような心を持っているけど、紳士的な一面もあることに気付いて、すごく深みのある人だなと思いましたし、彼をより好きになりました。
――仲村さんにとって、輝はどのような存在ですか?
仲村僕が輝を通じてお芝居について学んでいるように、輝も物語を通じて一歩ずつ成長をしているので、彼といっしょに歩んでいる感覚が強いです。僕にとって輝は、信頼できるパートナーのような存在かなと思います。
――『SideM』を通じて、輝とともに成長しているからこその関係性なのですね。輝と似ていると感じる部分はありますか?
仲村まわりの人と打ち解けられるように努力をするというところは、もしかしたら僕と輝が似ているところなのかもしれません。同じユニットの(内田)雄馬(桜庭薫役)と(八代)拓(柏木翼役)は、僕より年齢が下なのですが、ふたりのほうが芸歴は上で。そういった年上の後輩というのは自分の感覚的にも「接し辛いだろうな」と思ったので、初めてふたりに会ったときに「これから長い付き合いになるだろうから、ざっくばらんにやっていこうよ。俺のことは、宗悟って呼んでよ」と話したんです。そうしたら、作品のなかでも輝が「俺のことは、輝って呼んでくれよ」というシーンがあったりして。ですので、距離を縮めるために自分からアクションを起こすところは、輝と似ているのかなと思っています。
――なるほど。いま少しお話に挙がりましたが、桜庭薫役の内田雄馬さんと、柏木翼役の八代拓さんの印象について、改めて教えていただけますか?
仲村雄馬とはじつは最初、壁のようなものを感じていました。ですが、ライブの衣装のフィッティングでいっしょになったときに、僕から「このあと時間があるんだったら、ラーメン屋に行かない?」と誘ったんです。そしたら「うん、いいよ!」と笑顔でついてきてくれて。そのときに雄馬の心からの笑顔を見られた気がして、そこで一気に仲よくなりました。拓は共通の知り合いがいて、『SideM』で役が決まる前から(拓の)話は聞いていたのですが、オーディション会場で初めて会いました。そこで「いっしょに受かるといいね」と話をしていたら、本当にふたりとも役が決まって、いっしょのユニットに所属することになり……ある種、運命的な出会いだと思います。ふたりと出会ってから約7年が経ちますが、会わない期間も定期的に近況を報告したりしています。長くいっしょに時を過ごしているせいか、僕にとってふたりは、兄弟のような感覚もありますね。
――おふたりの演じられているアイドルについては、どのような印象を持たれていますか?
仲村桜庭は、ストイックなアイドルですよね。ただ、自分の中で納得できる基準のようなものが高くて、そこに到達するためにがんばりすぎて体調を崩したりするところがあるので、しっかりと見てあげないとな、と思います。翼は柔和でやさしい性格ですが、しっかりと自分の気持ちを吐露できる部分もあって。ふだんは一歩引いてみんなを見守ってくれている彼だけに、本当に伝えないといけない気持ちをちゃんと伝えようとしているのが感じられます。きっと、芯の強い人なんだなと思います。
――ここで少し、『SideM』全体のお話もお聞かせいただければと思います。『SideM』には数多くのアイドルやユニット、楽曲が存在しますが、仲村さんが個人的に好きなアイドルや楽曲を教えてください。
仲村“W(ダブル)”の楽曲は、聴いているとすごく前向きな気持ちになれるパワーがあるのでお気に入りです。
――では、これまで出演されたライブやイベントの中で、印象に残っているものはありますか?
仲村3rdライブツアーの幕張公演(※1)は、『SideM』のキャスト全員が揃ったライブだったので、やはり感慨深いです。
※1 “THE IDOLM@STER SideM 3rdLIVE TOUR ~GLORIOUS ST@GE!~”。幕張、仙台、福岡、静岡の4都市を巡る『SideM』初の周年ライブツアー公演として、2018年2月~4月に開催。その初日の千葉・幕張イベントホール公演では、当時全46名のキャストが一堂に会した。
――全員揃ってのステージはプロデューサーにとっても待望だったと思います。2019年の“バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル”(※2)では、東京ドームという大きなステージにも出演されましたね。
※2 バンダイナムコグループから生まれたアイドルやタイトルのテーマソング・主題歌を担当するアーティストが出演したライブ。2019年10月19日、20日の2日間、東京ドームにて開催。『SideM』は公演1日目に出演した。
仲村僕はMCをやりながらライブにも出演していたので、本当に目まぐるしい1日でしたが、『SideM』のみんなと東京ドームでパフォーマンスできたこと、そして西川貴教さんと『DRAMATIC NONFICTION』を歌えたのは、本当にうれしかったです。
――自分も取材で拝見していたのですが、仲村さんと西川さんがいっしょにステージに立っているのを見た瞬間、思わず「え⁉」声を上げてしまいました。いっしょに歌うと聞いたときの心境はいかがでしたか?
仲村なかなか実感が沸かなかったです。当日は、西川さんにご挨拶に伺ったときに、「本物の西川貴教さんがいる!」とただのファンの感覚になってしまったぐらい緊張してしまって、『SideM』のメンバーに「こんな宗悟見たことない」と笑われました(笑)。本番前は通しのリハーサルを1回くらいしかできなかったので不安でしたが、西川さんの完璧なパフォーマンスもあり、いっしょに盛り上がることができました。あの大舞台で、『SideM』としてのステージはもちろん、西川さんとのステージも無事成功させることができて、本当によかったです。
――すごい歓声でしたね。では、今後の『SideM』の活動において、挑戦してみたいことはありますか?
仲村こういったご時世ではありますが、いつか海外公演をやってみたいです! 日本を飛び出して世界中に『SideM』の魅力を届けたいですし、さまざまな地域のプロデューサーに会いに行きたいです。
――『SideM』には、海外公演をテーマにした『WORLD TRE@SURE』というCDシリーズもありますし、いつか実現できるといいですね。ここからは、『サイスタ』についてもお聞きできればと思います。『サイスタ』を作っているというお話を聞いたときは、どのように感じましたか?
仲村いつかのステージで雄馬も言っていたのですが、『SideM』のホームはゲームなので、そこに新しく舞台を用意していただけることとなったのは、すごくうれしい気持ちになりました。
――内田雄馬さんは桜庭薫役が決まる前からのプロデューサーということで、説得力がありますよね。
仲村あのセリフは、彼が言うからこそすごく真に迫っているというか、意味があると思います。
――つい先日、配信も開始されましたが、プレイはされました?
仲村もちろん、プレイしました。僕はリズムゲームが好きで、これまでもたくさんのリズムゲームを遊んできましたが、そんな僕から見ても本作は神ゲーだと思います!
――どのようなところに惹かれたのですか?
仲村本作はリズムゲームなので、楽曲に合わせてリズムアイコンが流れてくるのですが、 このリズムアイコンの配置感覚がすごく楽曲とリンクしていて。遊んでいてすごく気持ちいいし、楽しいです。楽曲の中には、プロデューサーといっしょに手を振ったりしながら楽しむ振り付けがあるのですが、それがリズムアイコンの配置にも取り入れられていて。たとえば、『W』の楽曲だと指のフリック操作でVサインを作れるようなところがあったり、そのこだわりにとても感激しました
――スタッフの皆さんの愛を感じますね。
仲村もちろん、作中で描かれる『SideM』の新しい物語も魅力的です。本作では、みんながアイドルになる前のエピソードもものすごく丁寧に描かれているので、すでにプロデューサーである方はもちろん、本作から初めて『SideM』に触れる方も楽しんでいただける内容になっていると思います。
――新しいプロデューサーの方の入門編としても最適な内容なのですね。
仲村各アイドルの掘り下げもしっかりと行われているので、すでにシリーズをプレイされているプロデューサーでも楽しめますし、本作で初めてプロデューサーになる方にとっては自分の好きなアイドルが見つけやすいと思います。『サイスタ』を通じて、さらに『SideM』に夢中になってくれるプロデューサーが増えたらサイコーですね!
――プロデューサーの輪が広がっていくのが楽しみです。ちなみにこのインタビューが掲載されている週刊ファミ通では、天道輝とともに天ヶ瀬冬馬、天峰秀が表紙を飾っています。3人の仕事ぶりはいかがですか?
仲村『サイスタ』から新たに加わった“C.FIRST(クラスファースト)”のメンバーが冬馬と輝といっしょにいるということにすごく意味があるなと。「新しく入ったメンバーだよ」ではなく、「あなたはもう315プロのメンバーだよ」という部分がすごく表れていると思います。輝が秀の肩に手を置いているのもいいですね。
――輝のやさしさが出ていますよね。それでは最後に、プロデューサーの皆さんへメッセージをお願いします!
仲村『サイスタ』はリリースして間もないタイトルですが、これからアイドルたちのエピソードはどんどん追加されていくと思います。僕も天道輝として新たなエピソードを演じるのがすごく楽しみですし、プロデューサーの皆さんにも、アイドルの新しい魅力を発見してもらえたらうれしいです。今後とも、『SideM』を含め、『アイマス』シリーズをよろしくお願いします!
週刊ファミ通で『サイスタ』配信記念特集を掲載
10月28日に発売した週刊ファミ通2021年11月11日号にて、本インタビューを含む特集企画を掲載。『サイスタ』に登場する全ユニット&アイドルの紹介や表紙を飾った天ヶ瀬冬馬、天道輝、天峰秀へのインタビューなどを24ページにわたる特集となっている。
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