バンダイナムコエンターテインメントより、2021年10月28日発売予定のNintendo Switch、プレイステーション4、PC(Steam)用ソフト『スーパーロボット大戦30』(以下、『スパロボ30』)。 新旧さまざまなアニメなどの作品に登場したロボットたちが、作品の垣根を越えて一堂に会して敵と戦うシミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』(以下、『スパロボ』)シリーズの最新作となる。

 ファミ通.comでは、9月30日から10月3日まで開催された“東京ゲームショウ2021”の会場にて、『スパロボ』シリーズプロデューサーの寺田貴信氏と、『スパロボ30』プロデューサーの最上頌平氏にインタビューを実施。発売まで控えた現在の心境などを語っていただいた。

※本インタビューは9月30日に実施しました。
※本記事の取材に際しては、写真撮影時以外はマスク着用、座席の間隔の確保など、感染症対策を徹底したうえで実施しています。

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『スパロボ30』開発者インタビュー。オリジナル母艦“ドライストレーガー”の狙いや主人公機“ヒュッケバイン30”のデザインなどについて聞いた【TGS2021】

寺田 貴信(てらだ たかのぶ)

『スパロボ』シリーズプロデューサー

最上 頌平(もがみ しょうへい)

『スパロボ30』プロデューサー

新システムでミッションフルコンプリートの難易度、ボリュームがアップ!?

――『スパロボ30』の発売まで1ヵ月を切りましたが、現在の率直なお気持ちをお聞かせください。

最上あっという間に駆け抜けていった感じで、皆様のお手元に届くのが待ち遠しいです。

寺田いまはプロモーションとDLC(ダウンロードコンテンツ)関連の仕事がありますので、終わった感はまったくないですね(笑)。昔は発売日になると、そこでいったん終わりという感じでしたが、いまは発売日が通過点になっているので、まだまだこれからがんばらないといけないなというところです。

――では、まだ完成ではない?

寺田いや、本編は完成しています。DLCの作業が残っているだけで。

――その本編の完成度について、手応えは?

寺田完成度に対する手応えというのは、自分たちよりユーザーさんたちが思うところですから。自分で手応えあったなと思っていても「ない」と言われることがありますし、こればかりは、発売してしばらくユーザーさんたちの反応を見ないとわからないですね。

最上一生懸命作ってはいますが、それを評価されるのはやはりユーザーさんなので。そういう意味では、現在の心境としては戦々恐々としているところではあります(笑)。

――本作では、新たなシステムとして条件によってミッションが開放されますが、全ミッションクリアーを目指すのは、かなりの難易度になっているのでしょうか?

寺田シナリオがルート分岐する従来の『スパロボ』と同様で、1周目のプレイで全てのミッションをクリアすることは不可能です。特定の条件を満たさないと出てこないミッションはあるものの、時間を掛ければ全クリアーは可能です。また、キーミッションをクリアーすればストーリーが進むので、ほかのミッションをスルーすれば終盤まで早めにたどり着けます。

――キーミッションだけ進めた場合、難易度的にはどの程度になっていますか?

最上前作までにあった“SRポイント”(敵を効率よく倒すことで以後の難易度が自動的に難しくなるシステム)が本作にはないので、難易度は最初から自分で選べるようになっています。インターミッションで、ゲーム途中からでも難易度を切り換え可能です。熟練プレイヤーなら最初から難しい難易度を選んでいただいてもいいですし、プレイヤーの事情に応じて、たとえば時間がないからサクサク進めたいという人はビギナーズモードでキーミッションだけ進めていくということもできるようにしています。

寺田ただ、キーミッション以外のミッションをプレイすると資金がより多く得られたりするので、これまで『スパロボ』をプレイしてきたユーザーさんはそうなさるのではないかと思っています。キーミッションだけのプレイでしたら、最近の『スパロボ』よりも若干、話数は少なめですが、全てのミッションをクリアーすると相当なボリュームになります。家庭用の『スパロボ』だと最大級ですね。

ゲームオリジナル母艦“ドライストレーガー”に迫る!

『スパロボ30』開発者インタビュー。オリジナル母艦“ドライストレーガー”の狙いや主人公機“ヒュッケバイン30”のデザインなどについて聞いた【TGS2021】
『スパロボ30』開発者インタビュー。オリジナル母艦“ドライストレーガー”の狙いや主人公機“ヒュッケバイン30”のデザインなどについて聞いた【TGS2021】

――本作で登場の“ドライストレーガー”はシリーズでは珍しいゲームオリジナルの母艦ですが、その狙いは?

最上本作では、新システム“タクティカル・エリア・セレクト”でミッションを選択するという形で、各地に転戦するという展開になっています。ゲームのシステム上、母艦の存在をより明確にした方がわかりやすいということと、ストーリーで自在に動かすにはオリジナルの艦にしたほうがいいということで、ドライストレイガーを登場させました。それとは別に、「もし『スパロボ』に登場する全ての味方ロボットを搭載する母艦となると全長2キロぐらいあるんじゃないか」という理由もあって、超大型艦にしました。

――“ドライストレーガー”そのものの特色などはありますか?

寺田ミッションクリア時に得られるMxP(ミッションエクスペリエンスポイント)を消費して、ドライストレーガーの機能を強化すると、味方ユニットの性能を向上させたり、パイロットの能力を高める効果を得ることも可能です。『スパロボT』のTACマネージメントのような、味方部隊全体に効果を与えるシステムに似ていますね。

ヒュッケバイン30は、“アレ”に似ている!?

『スパロボ30』開発者インタビュー。オリジナル母艦“ドライストレーガー”の狙いや主人公機“ヒュッケバイン30”のデザインなどについて聞いた【TGS2021】

――本作のオリジナル主人公機“ヒュッケバイン30”ですが、『第2次スパロボOG』に登場するオリジナルロボット“アッシュ”に似ているように感じたのですが、意識されたのでしょうか?

寺田『スパロボ30』の開発が始まる前から、メカデザインのカトキハジメさんといっしょに“ヒュッケバイン”の商品化プランを練ってまして。その後、30周年記念作品である『スパロボ30』のオリジナル主人公機を、その原点のひとつと言える“ヒュッケバイン”にしようと思い付き、同時にフィギュアの開発も進めることになりました。ただ、デザインはある程度変えたかったので、カトキさんに相談したところ、“アッシュ”の継ぎ接ぎ装甲や包帯を取り入れることと、“XXX”(30)をモチーフとしたバイザーを付けるというご提案がありました。“ヒュッケバイン30”の雰囲気は“アッシュ”と似ていますが、設定上のつながりはありません。

最上ゲーム開始後に使用できる強めの武器は“リープ・スラッシャー”ですが、ストーリーを進めていくともうひとつ追加されます。

月虹影帥は、サンライズ監修!

『スパロボ30』開発者インタビュー。オリジナル母艦“ドライストレーガー”の狙いや主人公機“ヒュッケバイン30”のデザインなどについて聞いた【TGS2021】
『スパロボ30』開発者インタビュー。オリジナル母艦“ドライストレーガー”の狙いや主人公機“ヒュッケバイン30”のデザインなどについて聞いた【TGS2021】

――本作オリジナル設定機体の“月虹影帥”は、どのような機体でしょうか。

寺田長距離射撃武器を持っていて、MAP兵器もあります。元々は電子戦闘用の機体なので、『スーパーロボット大戦30』でユニット化した際、武装はどうすればいいのかと思ってサンライズさんに相談したところ、武器の設定だけでなく、脚まで付けていただきました。しかも本作で初登場となるので、『スーパーロボット大戦』の歴史の中でも珍しいケースですね。

ユーザーのライフスタイルに合わせるAUTOプレイ

『スパロボ30』開発者インタビュー。オリジナル母艦“ドライストレーガー”の狙いや主人公機“ヒュッケバイン30”のデザインなどについて聞いた【TGS2021】

――『スパロボ30』は、ひとつの到達点となるでしょうか。それとも、これからのシリーズに向けての展望が見える作品になるでしょうか。

寺田基本的なシステムは『スパロボV』から継承しているので、到達点とは思ってないですね。『スパロボX』、『スパロボT』と細かい変更を入れて、さらに“タクティカル・エリア・セレクト”というシステムでプレイスタイルに工夫を加えました。今回が究極の『スパロボ』だとは思っていないですし、大きく変えたいと考えていたところもあります。長く続いているシリーズなので、さじ加減は難しいですね。

最上ただ、意識としては、いまのユーザーさんのプレイスタイル、ライフスタイルが、昔みたいに家に座って3~4時間ぶっ続けでゲームをするという形ばかりではなくなってきていると思っています。スマートフォンで“AUTO”モードを楽しむというスタイルや、他人のゲームプレイを観るという楽しみかたも出てきています。

寺田そういったライフスタイルに合わせる形で、本作には“AUTOバトル”を実装しました。“タクティカル・エリア・セレクト”で難易度の低いミッションを選び、“AUTOバトル”で楽にプレイするということもできます。家庭用の『スパロボ』では初めて実装するシステムなので、ユーザーさんのご感想やご意見を聞きたいですね。

――個人的にAUTOバトルの実装は、わりと英断じゃないかなと思っています。

寺田私は以前から入れたかったんですけどね。じつは、1話まるまるスキップできる代わりにストーリーも見られない、資金や経験値も一定量しか得られないというスキップ機能も入れたいと思っていたぐらいです。ただ、反対意見が多かったですね。まあ、家庭用の『スパロボ』へのスキップ機能実装は、さすがにやり過ぎかと。

最上私も相談されたときに「いいんじゃないですか」と言ったんですけどね。“AUTOバトル”を実装する後押しはさせていただきました。たとえば、自分の手でじっくり楽しみたいという人は“AUTOバトル”を使わないと思います。ただ、そうじゃない人にとっての選択肢としてあってもいいんじゃないのかなと。プレイスタイルに合わせて使ってもいいし、使わなくてもいい。でも、この“AUTO”という言葉が独り歩きして注目され過ぎてしまっているなという気はしています。アプリゲームとかでは、ノーコンティニューでクリアーしたステージを完全にスキップできる機能があったりしますが、そういうものに捉えられてしまったのかなという印象です。

寺田“AUTOバトル”は完全フルオートというわけではなく、思い通りにプレイするにはマニュアルでやったほうがいいです。“AUTOバトル”時に特定の条件が揃えば精神コマンドを使う場合もありますが、そこも自動なので、任意の精神コマンドを使いたいときはマニュアルのほうがいいです。私は、自軍のほうが明らかに強くて「これは放っといてもせん滅できるな」という場合は、“AUTOバトル”にします。そして、強敵が出てきたら、マニュアルに切り替えて精神コマンドを駆使しながら戦うという感じで、使い分けています。ミッション選択画面の推定戦力値で敵のだいたいの強さがわかりますし、マップには敵と味方の戦力差がわかるゲージがあります。それで“AUTOバトル”の使い所を見極めてます。全機体をフル改造し、レベルもとことん上げて“AUTOバトル”で進めていくというやりかたもありますが、ユーザーさんの中にはマニュアルでしかプレイしない人も多いと思います。なので、“AUTOバトル”は必ず使わなければならないものではなく、使えるときに使う、ということでいいと思います。私は、『スパロボ30』で“AUTOバトル”を使うときは、スマホアプリの『スパロボDD』をプレイすることが多いですね(笑)。

最上私は3つのゲームを同時進行しますけどね。

寺田3つは無理だなあ(笑)。

最上そういった楽しみかたもできますし、「自分の力でやりたいんだ」という人は、いままで通りに“AUTOバトル”を使わず楽しんでいただければ。

――なるほど。最後に『スパロボ30』を楽しみにしているユーザーの皆様に、メッセージをお願いします。

最上前作『スパロボT』から2年半と、かなり期間が空いてしまい、たいへんお待たせしてしまいました。本作では“タクティカル・エリア・セレクト”といった新システムの実装など、皆様の『スパロボ』への力の入れかたによってプレイ時間が変わってくる要素を盛り込み、遊びやすくはなっているかなと。しばらくシリーズから離れていた方々も、帰ってきやすいようにはなっていると思いますので、いつもご愛顧いただいている方はもちろん、初めての方もひさしぶりの方にも手に取っていただけるとうれしいです。

寺田先ほども言いましたが、プレイヤーのライフスタイルに合わせられるようなシステムを入れ込みましたので、「『スパロボ』やりたいけど、時間ないし面倒くさいから最近やってないなあ」という方にもプレイしていただけたらうれしいです。“AUTOバトル”がどこまで使われるのかとか、どういう風に『スパロボ30』をプレイされるかというのは、個人的に楽しみでもあります。長く楽しむも、短くプレイするも、プレイヤー次第ですので、ぜひ遊んでいただきたいですね。