2021年10月9日(土)より日本テレビほかにて放送がスタートするテレビアニメ『ルパン三世 PART6』。本作の主要キャラクターを演じる声優陣へ、インタビューを行いました。
インタビューを受けてくださったのは、ルパン三世役・栗田貫一さん、銭形警部役・山寺宏一さん、そして本作より小林清志さんから次元大介役を引き継ぐことになった大塚明夫さんの3名。
キャリアも長く、お互いに勝手知ったる仲のいい3人だけに、インタビューはのっけから和気あいあいとした雰囲気で全開の本音トークが展開!
タイミングは違えど名キャラクターを引き継いだ3人が、共通して持ち続けている葛藤とは? それでも演じ続ける理由、そして『PART6』への意気込みなど、笑いも交えつつ、大いに語っていただきましたので、ぜひ最後までご覧ください。
栗田貫一さん(くりた かんいち)
もともとはルパン三世のモノマネなどで一世を風靡し、“ものまね四天王”のひとりと称されたお笑いタレントだった。山田康雄さんからルパン三世役を引き継いで以降、声優としても活躍。『ひょっこりひょうたん島』のドン・ガバチョ(3代目)なども演じている。
山寺宏一さん(やまでら こういち)
声優、タレント。愛称は“やまちゃん”。『ルパン三世』シリーズでは2011年の『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』より銭形警部を演じている。代表作は『エヴァンゲリオン』シリーズの加持リョウジや、『The Last of Us』シリーズのジョエルなど。
大塚明夫さん(おおつか あきお)
声優、ナレーター、俳優。『ルパン三世 PART6』より次元大介役を小林清志さんから引き継いだ。代表作は『攻殻機動隊』シリーズのバトー、『Fate/Zero』のライダー、ゲームでは『メタルギアソリッド』シリーズのスネークなど。海外作品の吹き替えも数多く担当。
次元大介役の発表前、ハラハラドキドキの大塚さん
――『ルパン三世 PART6』の見どころを教えてください。
栗田ルパンが“ある想い”を抱えながら、物語が進んでいくというところかな。それがひとつの謎になっています。
山寺今回、“ミステリー”という言葉がキーワードになっています。だけど、そういう「じつはこれがテーマなんだよ」という部分って、我々も後から聞くんです(笑)。
栗田アフレコに臨むときはまだそういう話は聞かないよね。
山寺ふたを開けてみたらかなりミステリー色が強くて。縦軸になるホームズが登場するお話があるんですけど、メインの物語以外の一話完結のエピソードもすごいんです。ミステリー小説界やアニメ脚本界のすごい方々が脚本を書いてらっしゃって。
大塚いやぁ、びっくりしますよ。僕は『ルパン三世』を50年前の『PART1』から、小学生のときに見始めたわけですけど。そこから続いてきたどのシリーズと比較しても引けを取らないストーリーとアニメーションになっていると思います。
僕自身、放送が始まるのをわくわくしながら待っています。まあ僕の場合は、べつのハラハラドキドキもあるんですけど(※)。
※インタビュー収録当時、まだ次元大介の声優交代は発表されていなかった。
――(笑)
大塚だいたいどうして僕がここにいるかってことだからね。いまから(発表されるのが)怖くて心臓が爆発しそうです。
栗田Yahoo!のトップニュースは間違いないよね。
山寺10年前に僕が感じていたプレッシャーだ(笑)。いや、いまでもプレッシャーは感じているけど。
大塚だけど、そのプレッシャーを3人で分けたんだろ? 君たち(※)は。
※君たち:2011年から主要キャラクターを演じている山寺さん、浪川大輔さん(石川五ェ門)、沢城みゆきさん(峰不二子)のこと。この3名は、同じタイミングでの声優交代となった。
一同 (爆笑)
大塚でもいちばんプレッシャーだったのは、やっぱり主人公のルパンが替わるとなったときの、栗田さんですよね?
栗田いまの時代だったらネットニュースを破壊するくらい炎上してたと思うよ。当時でも叩かれてたので。「モノマネ野郎がルパンを台無しにしやがった」とか言われたりして。明夫ちゃん、もうそれはしかたないんだよ。
大塚いやぁ……もちろん、そういう覚悟も決めてるんですけどね。
栗田沢城みゆきちゃんなんか25歳で峰不二子をやったんだからすごいよね。
山寺明夫さんは還暦をとうに過ぎてるんですから。
大塚とうにって言うほど過ぎてないけどさ(笑)。
栗田このあいだなんか「どうせなら40代くらいの若い人を呼べばいいのに」って明夫ちゃんが自分で言ってたっていうね。
一同 (笑)
山寺僕のときも「声優陣を若返らせるということで交代させるんだったら、新顔は50歳の山ちゃんじゃねぇだろ」って言われたな(笑)。
栗田誰がやっても何かしら言われるんですよ。
山寺でも作品は本当におもしろいので、参加できるっていうのはありがたいことですよね。
栗田『PART6』の次元の声を聞いたら皆さん驚くと思いますよ。違和感ないですから。小林さんが、大塚明夫がという話じゃなくて、新しい次元大介として生まれ変わっていますから。ビックリする、すばらしい次元だと思う。
大塚栗田さんにそう言ってもらえるとホッとします。
栗田誰がなんと言おうとオッケーですよ!
山寺でも清志さんがご卒業なさるなら、次は明夫さんしかいないだろうなって僕はずっと勝手に思っていたんですよ。
大塚そうは言うけど、これからガンガンやっていく人たちがいるじゃん。もう下り坂じゃない、我々は……(愚痴っぽい口調で)。
山寺あの~、明夫さん。3人で飲んでるんじゃないんだから。
一同 (爆笑)
山寺本当に飲み屋の会話みたいになってますけど大丈夫ですか?
――大丈夫です(笑)。
「誰かがやることになるなら、自分が携わりたい」
――改めて、大塚さんの次元を演じる上での意気込みを教えて頂けますか?
大塚なにしろ小林清志さんが50年演じられてますから。芝居も進化していってるじゃないですか。どの清志さんがどうとかじゃなくて、清志さん自身が次元大介なんですよね。だから清志さんの存在はつねに背負って演じなきゃいけないと思っています。
なによりも色気ですよね。次元大介はとにかく色気だと思うんです。そこが演じる上でのテーマだと思っています。
――次元役の話が来た時期や経緯というのは。
大塚それがいつだったのかは思い出せないなぁ……。次元の話が来たとき、清志さんに何かあったのかなって心配になって、「えっ? 清志さんは!?」って聞いたのは憶えています。やっぱりびっくりしましたよね。
――自分にそういった話が来るかもしれないという予感などはありませんでしたか?
大塚清志さんがお元気なことは知っていたので、考えてなかったですね。
――話が来てから、引き受けることは即決で。
大塚うーん、ふだんからいただいた話を断ることはあまりないので。いただいた仕事はやらせていただきます。
――栗田さんと山寺さんはご自身がバトンを受け取ったときの気持ちは憶えていらっしゃいますか?
栗田僕の場合はモノマネをやっていただけで。「山田(康雄)さんが倒れられたので手伝ってほしい」ということを言われて。
『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』という劇場用の作品がまだぜんぜん収録されていないから手伝ってほしいと言われ、「そんなの無理です!」という極限状態から始まりましたから。
少年野球のピッチャーが大リーグのマウンドに立たされたようなものですよ。キャッチャーミットにさえ届かないような球を何球も投げて、1回の表だけで50点くらい先制されたような……。本当にどうもこうもありませんでした。
大塚どうもこうもないっていうのは本当にそうですよね。偉そうに「僕はけっこうです」なんて言えないです。
栗田僕は言いましたよ。「無理です」っていうところから始まったんで。「20秒くらいならなんとかします」とも言いました。モノマネのネタ見せで喋るのなんてそれくらいなんです。それ以上しゃべったらボロが出てくるんだからって(笑)。でも山ちゃんたちもやるにあたってのプレッシャーはたいへんだったよね?
山寺そうですね。僕らはオーディションを受けて、いつ受けたかも思い出せないくらいになってから返事が来て。でもオーディションを受けること自体にも葛藤はありましたね。
だって僕たちにとっても銭形警部は納谷(悟朗)さんのイメージがありますから。でも、「誰かがやることになるなら自分が携わりたい」って気持ちのほうが強かったっていうことですね。
大塚ああ、それはわかるなぁ。まったくその通りだな。
山寺だって大好きな作品ですから。それでも、受かったら受かったで、ビビりましたけどね。
大塚ビビるよね(笑)。
山寺10年経ってもいまだにビビってます!
栗田僕は「次元の声が小林さんから代わるかもしれない」と聞いて、次元の練習をしはじめましたけどね。
一同 (爆笑)
山寺栗田さんは五ェ門の練習もずっとやってますから(笑)。
大塚銭形もやってるんでしょ?
栗田ええ。五ェ門も銭形も、話が来たときのためにずっと練習してます。いや、そんなアホな(笑)。でも僕と山ちゃんでいろんな役をやってみるのもおもしろいかもなって話はしてるんですよ、モノマネでね。
山寺いろんな役と言えばね、『PART6』は出てくる登場人物がみんな魅力的で、やってみたい役がいっぱいあるんですよ! もし銭形をやってなかったらこっちをやりたい、あっちもやりたいって(笑)。
栗田山ちゃんは欲しがり屋だから(笑)。
山寺毎話「いったいこのキャラクターは誰が演じるんだ!?」って。それより自分の心配しろって話なんですけど。とにかくすごいキャラクターがたくさん登場するので、ご期待ください。
90歳になるまでに『ルパン三世』が何本つくれるか?
大塚でも、奇しくも近い年齢の我々が演じることになったのが感慨深いといいますか。我々って小さいころに『ルパン三世』がはじまって、それを夢中になって観てたから、ほかの世代より思い入れが大きいような気がするんですよね。
山寺スタッフの皆さんもいっしょだと思うんですよ。大好きだったルパンに新たに関わるわけじゃないですか。プロデューサーだってスタッフだって、昔の作品に負けない、もっといいものを作るぞって取り組んでいるでしょうから、すごいプレッシャーを感じているはずですよ。
そんな中、ずっとシリーズに携わっている方もいて。この前も演出の方で『PART2』からずっとやっていらっしゃる方にお会いしたんですけど。本当にすごいシリーズだなって思いましたね。ずっとやっている人、新しく関わる人、それから違う世界から来る人。
ふだんアニメの脚本は書いていない作家の方が、『PART6』で「ルパンならば!」って参加してくれたそうです。作家として有名なぶん、脚本の出来はきびしく見られるでしょうし、しかも『ルパン三世』ですから、やっぱりすごいプレッシャーだと思うんですよ。それでも楽しんでもらいたいと作っているんだから、我々もがんばるしかないでしょう!
大塚自分が関わったことによって足を引っ張っちゃったらと思うと、すごい恐怖だよね。
栗田ひとつお伝えしておきたいのが、山田さんが倒れられて、僕がはじめてアオイスタジオ(※)に入ったとき。レギュラー声優の皆さん、いま考えると超レジェンドな方々が僕の横に立っていらっしゃって、その方々と並んで収録したわけですよ。
その人たちが卒業して、いま僕の横にいるのは明夫ちゃん、山寺宏一、浪川大輔、沢城みゆきっていう。また新たな時代の超レジェンドたちに囲まれているわけです。26年前「こんなところに僕がいていいんでしょうか?」と思った気持ちと近い感情がまたときどき湧いてくるんですよ。こんなすごい声優さんたちに僕が囲まれていいのかしら? っていう。
※アオイスタジオ:東京都港区にある老舗のポストプロダクションスタジオ。
山寺いやいや、我々の中でいちばんのベテランになるわけですから(笑)。
大塚26年やってるんですから!
栗田でも本当にそれくらいの気持ちで僕にとってもリスタートができたと思うんですよ。「よく来てくれたね」って。「この新しい家族で、また新しいルパンを作ろうね」と言いたいです。
大塚あとは僕たちが90歳になるまでに何本つくれるかですよね。1本1本大事にしていきたいね。
栗田やらせていただけることに感謝してがんばっていきます。
山寺そうですね。
大塚同じく。
栗田『ルパン三世 PART6』は、『ルパン三世』のアニメ化50周年ということで、スタッフの皆さんが総力を上げて作ってくれている、すごい作品になっています。
大塚その感じが、我々にもすごく伝わってきますよね。
栗田コロナ禍じゃなかったら毎週収録のあと、みんなでへべれけになるまで飲んでるね。「ルパンはこうなんだ!」とか熱弁したりして。
一同 (笑)
栗田はやくそういうことができる世の中になってほしいなぁ。
放送情報
番組名:『ルパン三世 PART6』
放送局:日本テレビ系列
放送日時:2021年10月9日(土)より毎週土曜24時55分放送開始
※放送日時は変更になる可能性がございます
キャスト
- ルパン三世:栗田貫一
- 次元大介:大塚明夫
- 石川五ェ門:浪川大輔
- 峰不二子:沢城みゆき
- 銭形警部:山寺宏一
- 八咫烏五郎:島崎信長(※)
- アルベール・ダンドレジー:津田健次郎
- ホームズ:小原雅人
- リリー:諸星すみれ
スタッフ
- 原作:モンキー・パンチ
- 監督:菅沼栄治
- シリーズ構成:大倉崇裕
- キャラクターデザイン:丸藤広貴
- 美術監督:松宮由美、備前光一郎、小倉宏昌、西澤航、李凡善、竹田悠介
- 色彩設計:宮脇裕美
- 撮影監督:佐々木明美
- 編集:吉武将人
- 音響監督:清水洋史
- 音響効果:倉橋裕宗
- 音楽:大野雄二
- メインテーマ:「THEME FROM LUPIN III 2021」
- 作曲:大野雄二、編曲:大野雄二、演奏:Yuji Ohno & Lupintic Six with Friends
- 制作:トムス・エンタテインメント
- 製作:ルパン三世PART6製作委員会
- 原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
※崎はたつさき。
関連リンク
- アニメ『ルパン三世 PART6』公式サイト
- 公式Twitter @lupin_anime
- ハッシュタグ:#ルパン6