乙女たちが戦車に乗って競い合う架空のスポーツ“戦車道”をテーマにしたアニメシリーズ『ガールズ&パンツァー』(『ガルパン』)。本記事では、2021年9月29日に行われた、『ガルパン』とコーヒー店“サザコーヒー”の、コラボ新商品発表会をリポート。発表は、現地とWeb配信で行われ、今回は現地の写真とWeb配信のキャプチャーを交えてお届けする。
サザコーヒー×ガルパン
『ガルパン』は2012年よりテレビアニメシリーズが放映され、2015年には全国の劇場で『ガールズ&パンツァー 劇場版』が公開。さらには2017年よりオリジナルビデオアニメシリーズ『ガールズ&パンツァー 最終章』が劇場公開&ソフト発売され、今年の2021年3月26日には最新話である第3話が公開された。約9年に及ぶシリーズ展開が続き、まだまだ根強い人気を誇るコンテンツだ(第4話の公開時期は未定。いつなんだ~!)。
熱い戦車バトルや女の子たちの日常風景、作り込まれた戦車戦の描写などもさることながら、『ガールズ&パンツァー』の魅力のひとつとなっているのが、物語の舞台が茨城県東茨城郡にある大洗町をモチーフにしていること。劇中には大洗の名産品やスポットなどが登場し、その場に訪れて観光する、いわゆる“聖地巡礼”などもファンのあいだで行われている。
そんな中、『ガールズ&パンツァー 最終章』第2話にて登場したのが“ザザコーヒー”というコーヒー店。これは実際にある、茨城県ひたちなか市に本社を置く、創業50年の老舗コーヒーメーカー・サザコーヒーのカフェ“サザコーヒー 大洗店”モチーフにした、劇中店舗だ。
サザコーヒー 大洗店はもともとファンのあいだでは憩いの場として人気を博していたり、独自に『ガルパン』ファンへのサービス(あんこうさんチームのラテアートなど)をおこなっていたが、劇中に登場するや否や、よりファンの聖地として大人気の存在に。サザコーヒーもより積極的に『ガルパン』とのコラボに取り組み、各学校をテーマにしたコーヒーの販売や、劇中にも登場した“マリー様のモンブランケーキ”などを販売するようになった。
そして今回、新たなコラボ商品を発表することとなったのだ。発表会にはサザコーヒーホールディングス 代表取締役社長の鈴木太郎氏、Oaraiクリエイティブマネジメント 代表取締役の常盤良彦氏が登壇。司会は、ハイド&ルークの廣岡祐次氏が務めた。
コラボの経緯について
いまではすっかり『ガルパン』の大ファンという、鈴木社長。鈴木氏はもともと『ガルパン』と大洗が盛り上がっていることは知っていたが、「じつは最初“ガールとパンツ”だと思って、18禁アニメかと(笑)」と、大きな勘違いをしていたようだ(パンツのアホー!?)。
そんな中、Twitterでファンが『最終章』第2話にサザコーヒーが登場しているとツイートしているのを見て、鈴木氏は「これは見なくてはならない」と、家族を連れて見にいったところ、街並みの描写や戦車戦に、鈴木氏のみならず家族もドハマり。なによりもサザコーヒー改め、ザザコーヒーでコーヒーやスイーツを楽しむ生徒たちの姿を見て、とても感動したそうだ。
そこから鈴木氏は、『ガルパン』とのコラボ商品を発売することを決意。コラボ商品にも鈴木氏のこだわりが詰まっており、中でもコラボコーヒーは劇中に登場する各学校をモチーフにして、味や豆の種類にもこだわっているという。
たとえば、黒森峰女学園のコーヒーは、学校のモチーフがドイツということから、“ジャーマンロースト”という焙煎を採用。また、鈴木氏は「しかもいい豆を使っているんです。黒森峰は強いですから!」と、豆の選びかたにもこだわったようだ。
日本がモチーフである知波単学園のコーヒーは、日本にちなんだ名前の、ゲイシャ種を使用。ゲイシャは世界でも最高級の品種で、鈴木氏いわく、近年登場した品種でありながらもそのおいしさで、コーヒー界の歴史を覆すほどの品種なのだとか。高級コーヒーなので、知波単学園のコーヒーのみ少しだけ値段がお高めだ。ちなみにゲイシャという名前は、発祥であるエチオピアのゲシャ村が由来であり、日本的な“芸者”は関係ない。
それほどまでに鈴木氏は『ガルパン』を愛しているようで、たとえばバンダイスピリッツの“一番くじ”でマリーのフィギュアを引き当てたときには、それを持ってサザコーヒー 大洗店に向かい、ファンと語らったこともあったそうだ。また、廣岡氏も「(鈴木氏と)会うたびに、スマホゲームの話をしています(笑)」と、鈴木氏のファンぶりをアピール(おそらく『ガールズ&パンツァー 戦車道大作戦!』のことだろう)。
最終章な新商品!
そして今回、サザコーヒー×『ガルパン』の新コラボ商品が公開された。公開された商品と販売店は、以下の通り。なお、発売は準備ができ次第、各店舗で2021年9月29日より発売する。
新商品1:継続高校コーヒー
- サザカップオン・ガールズ&パンツァー継続高校コーヒー(5P):1000円[税込]
- ガールズ&パンツァー 継続高校コーヒー(200g):1500円[税込]
新商品2:サンダースのカステラ
- ガールズ&パンツァー サンダースのカステラ:1500円[税込]
新商品3:ドラム缶マグ
- ガールズ&パンツァー ドラム缶マグ:3100円[税込]
新商品4:スペシャルコーヒーセット
- ガールズ&パンツァー スペシャルコーヒーセット:4000円[税込]
- 継続コーヒーのカップオンと豆、サンダースのカステラ、過去に発売されたカップオン商品(大洗女子学園・BC自由学園・知波単学園・黒森峰女学園)がセットに。限定100個
販売店
- サザコーヒー 本店
- サザコーヒー 大洗店
- サザコーヒー 水戸駅店
- サザコーヒー 県庁店
- サザコーヒー 公式通販
- 大洗の通販サイト ARISE GIFT
継続高校コーヒー
ひとつ目は、『最終章』第3話にて、大洗女子学園と対決することになった継続高校をモチーフにした新コラボコーヒー。継続高校はフィンランドがモチーフの高校で、フィンランドでは香りの強いコーヒー好まれているそうだ。
そこから、エチオピアとケニアのコーヒー種を使い、フルーティー×フルーティーな香りがドカンとくるコーヒーを実現しているとのこと。また、フィンランドは雪降る寒い地域ということから、寒い中でもおいしく飲めるようなコーヒーが楽しめるそうだ。
実際に常盤氏が試飲してみたところ、「いま飲んだのはアツアツのコーヒーでしたが、その前に冷めたコーヒーを飲ませていただいたんですよ。僕はそのときのほうが好きなんです」と、冷めているときのほうが香りが長続きしながらも抜けていくような風味が味わえたそうだ。継続高校らしく寒い中でもおいしく飲める、というこだわりが実現できているようだ。
サンダースのカステラ
サンダース大学付属高校をモチーフにしたカステラが新登場。サンダース大学付属高校のモチーフはアメリカなので「なぜカステラ?」と思う人も少なからずいるかもしれないが、サンダース大学付属高校は長崎県の佐世保を母港とする学園だ。長崎といえば、やはりカステラが有名だ。
また、サザコーヒーは以前からも自社でカステラを製造しており、“コーヒーとカステラの相性は最強だ”という信念のもと、有名ブランドを参考にしながらも独自のアレンジを加えて、コーヒーに合うようなカステラを製造していた。そのふたつがマッチして、今回サンダース大学付属高校のカステラが発売されることになったそうだ。
なおパッケージに描かれているケイだが、このイラストが掲載されている部分は外紙で、上にスライドすると綺麗に取り外せるそうだ。綺麗に保存しておきたいファンの方々にはうれしい配慮。
こちらも常盤氏が試食。底面にザラメが散りばめられ、ジャリジャリとした触感が特徴となっているのが、サンダースのカステラ。「歯につくようなジャリジャリ感ではなく、すぐ溶けていくような感覚です。卵の風味も感じられて、コーヒーと合っておいしいです。鈴木さんスゴイ!」とコメントしていた。
ドラム缶マグ
ドラム缶マグは、見た目通りドラム缶のような形をしたマグカップ。ミリタリー調の塗装もさることながら、マグカップの横にはあんこうさんチームマークと、“ZAZA COFFEE”のロゴが。“ZAZA COFFEE”ロゴは決して誤字なのではなく、サザコーヒーがこだわって、劇中に登場するロゴをあえて取り入れたものだ。
ちなみに、じつは『ガルパン』コラボ商品には、これまでもあえて“ZAZA COFFEE”ロゴを採用しており、サザコーヒー 大洗店の紙袋(ショッパー)も、限定で“ZAZA COFFEE”ロゴを採用しているとのことで、鈴木氏のファンに喜んでもらうための仕掛けと、さりげない遊び心が垣間見えた。
鈴木氏のミリタリー的なマグカップを作りたい、という想いから生まれたそうだが「ドラム缶と戦車ってあまり関係ない……ですかね」と、ちょっと不安そうに話すシーンも。おそらく『ガルパン』ファン、ミリタリーファンなら欲しがる人は多いと思われるので、鈴木社長、ご安心を(筆者は某戦車と犬が戦うRPGも思い出したが(笑))。
コラボ商品制作秘話
今回のコラボ商品は、『最終章』第3話に登場したサンダース大学付属高校と、継続高校がメイン。両校が事前に戦うことは知っていたが、その勝敗までは作品が公開されるまで当然知らないので、どちらが勝つのかわからない中、商品開発を続けていたそうだ。劇中ではサンダース大学付属高校が負けてしまったが、鈴木氏はサンダース大学付属高校も大好きとのことで、それでも半ば無理やり商品発売を決めたようだ。
さらに、コラボ商品を作ったもともとの理由は、大洗に来てくれた人たちへのお土産を増やしたいという想いがあったそうだ。大洗は港町なので“あんこう”や“しらす”などの海産物が有名だが、ほかの地方から訪れる人たちにとっては、なかなかお土産としては買いにくい部分も(冷凍郵送するなどの必要がある)。また、大洗には明太子のテーマーパーク“めんたいパーク”があるが、もとは博多由来のものである。
そうなると茨城のお土産といえば、水戸の納豆や、つくばの蓮根などに絞られてしまう。鈴木氏は「ちょっとお土産とはシブすぎますよね」とコメントしつつ、新たなお土産を増やしたいというところから、気軽に持ち帰りやすいコラボコーヒーを制作したそうだ。
ドリップコーヒーってそう飲むの!?
さて、最後に発表会のさりげない一幕ではあったのだが、試飲のために鈴木氏が継続高校のコーヒーを淹れてくれるシーンが、非常に興味深かったのでお伝えしておこう。鈴木氏は、日本スペシャルティコーヒー協会の理事を務めていることからも、コーヒーの淹れ方についてもスペシャリスト。ドリップコーヒーの、よりおいしい淹れ方を披露してくれた。サザコーヒーのYouTubeチャンネルのオフィシャルアカウントでも解説されているので、そちらもご紹介。