バンダイナムコエンターテインメントより展開されているホラーアドベンチャーシリーズ『THE DARK PICTURES』。

 その3作目にあたる最新作『THE DARK PICTURES:HOUSE OF ASHES (ハウス・オブ・アッシュ) 』が、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC向けに発売予定だ。

 本作では、トラブルにより地下深くにある神殿に落下してしまった軍人たちが、そこに潜む未知の生物たちと対峙するこれまでとはまた違ったホラー体験を味わえる。今回、冒頭1時間ほどをプレイできるデモ版をプレイする機会を得たので、本稿にて詳しい内容を紹介していこう。

 なお、『THE DARK PICTURES:HOUSE OF ASHES (ハウス・オブ・アッシュ) 』の発売日が2021年10月22日となることが発表された。価格は3520円[税込]でPlayStation Storeを始めとする各種サイトでの予約も解禁となっている。

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『THE DARK PICTURES:HOUSE OF ASHES (ハウス・オブ・アッシュ) 』PS Storeサイト 『THE DARK PICTURES:HOUSE OF ASHES (ハウス・オブ・アッシュ) 』Microsoft Storeサイト 『THE DARK PICTURES:HOUSE OF ASHES (ハウス・オブ・アッシュ) 』Steamサイト

クリーチャーの潜む地下神殿で命がけの脱出を目指す

 本作の舞台となるのは、2003年のイラク。衛星で地下に化学兵器施設があることを突き止めたアメリカは、エリート軍の部隊を派遣して調査をすることになった。

 しかし、目的地にあったのは化学兵器の施設ではなく羊飼いたちの家だけ。困惑する部隊だったが、息をつく間もなく現地の軍人たちの襲撃を受け、その場で戦闘が起きてしまう。その戦いの最中に、突如自身が発生して地面が陥落。イラク軍、アメリカ軍ともに地下深くの神殿に落下をしたところから、恐怖体験が始まっていく。

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 ここまでが冒頭のムービーで語られる話で、そこからはプレイヤー自身がキャラクターを操作し、物語を作っていくことになる。

 まずは軍人のひとりであるニックを操作し、暗い地下神殿の中を孤独に探索していくことに。地下神殿というだけあり、光が差し込む場面はさほど多くなく、基本的にはライトで照らしながら進めていくことになる。

 狭くて不気味な場所でライトで照らした場所しか見えないのは何とも不気味で、本作特有の“何か出てきそう”な雰囲気を序盤から十分に味わえた。

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 期待に応えるかのように、軍人たちを襲うクリーチャーも早々に登場する。ニックは暗闇の中を素早く駆ける何者かを発見するのだが、ここでは襲われることなくすぐに姿を消してしまう。

 本作は『エイリアン』や『プレデター』といった映画からインスパイアを受けたそうだが、クリーチャーの見せかたにはたしかに映画らしさが感じられる。

 クリーチャーがいる場所はわかるが、大抵は光の当たらない暗がりにいるのでシルエットのように映り、全貌が明らかになることがないのだ。大まかな外見とサイズ感は把握できても、それ以外の部分が絶妙に見えなくなっているのが絶妙だ。

 いつまでも敵の正体がハッキリしないので、恐怖感が和らぐことなく断続的に恐ろしい体験を与えてくれる。

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暗がりにわずかに見えるクリーチャーの姿。

 クリーチャーとの遭遇も終わったところで、ニックはようやく仲間の軍人であるジェイソンと合流。ここでシリーズでおなじみの、モラル・コンパスが登場する。

 モラル・コンパスは選択肢が表示される文字盤で、誰かとの会話の中でキャラクターが喋るセリフを選ぶというもの。返答次第で相手の反応が変わるのはもちろんだが、キャラ自身の性格にも影響を及ぼし、その後の行動やセリフが変化していく。

 極限状態で味方を優先するのか、自分自身の感情を剝き出しにするのか。そのキャラの人間性を自分で選ぶことができるのだ。こういった選択の積み重ねで、最終的な結末が大きく変化するのが『THE DARK PICTURES』シリーズを通しての魅力でもある。

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選択肢次第で、キャラがどういった人物なのかも固まっていく。

 また、『THE DARK PICTURES』シリーズは固定カメラのような独特なカメラワークが多かったが、本作からは一新され、自分で視点を動かすタイプに変化している。

 これにより、探索もより味わい深いものになった。ライトを照らしながら自由に周囲を散策し、気になる物を調べながら進む探索パートの自由度は大幅に上がっている。

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 さらに、探索は単にストーリーを進めるためだけでなく、拾ったアイテムによってさまざまな影響を及ぼしていく。

 特定のアイテムを拾うと“予感”がアンロックされることがあり、後々に訪れる出来事の一部を映像として確認できるようになる。プレイ中には、ライオンのような生物が描かれた石板を見つけた際、仲間のひとりが何者かに引きずり込まれる映像が映し出された。

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石板に描かれた絵の通り、人を引きずり回す動物が登場する……?

 これらのアイテムは、探索すればするほど見つかる。見たところ、ストーリーを読み解くためのヒントにもなりそうだった。拾ったアイテムどうしのつながりなども確認できるので、すべてのアイテムを集めることで明らかになる情報もあるだろう。

 見落としてしまいそうなアイテムもあるが、じっくり探索したり、周回プレイをすることで地下神殿の全貌が明らかになるのかもしれない。

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拾ったアイテム同士のつながりを示すような表示も。

 モラル・コンパスによる選択、周囲の探索パートと併せて物語を大きく動かすことになるのが、QTEの存在だ。特定のイベント中、制限時間内に指定されたボタンをクリック、または連打するQTEは本作においても非常に重要な役割を果たす。

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 このQTEでユニークなのが、必ずしも成功=正しいというわけではないという点。

 QTEに成功したことで味方を意図せず殺してしまったり、失敗によって命を落とす場合もある。その場においてどうするのが正解なのか、なにが正しいのかを瞬時に判断するQTEは、キャラクターとプレイヤーの心情がシンクロする瞬間だ。

 正しいと思って成功させたQTEにより味方が命を落とした際には、「そんなつもりじゃなかった」とキャラと同じような言葉を口にしてしまった。善人を突き通そうとしたらあっさりと死んでしまったキャラもいたりと、プレイヤーに選択の重みを十分すぎるほど突き付けてくれる。

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誰を優先する?極限状態における人間ドラマも注目

 地下神殿の探索、モラル・コンパスによる選択、そしてイベント時に発生するQTEを続けながらストーリーは進んでいく。今回プレイした範囲ではおもに3つの視点で展開されるのだが、お互いの事情が複雑に絡み合った人間ドラマでストーリーを盛り上げてくれる。

 最初に操作することになるニックと、合流したジェイソンの物語は、いかにも軍人らしい展開だ。序盤に重傷を負ったマーウィンという軍人を助けるのだが、このマーウィンの存在が話を複雑にしていく。

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 マーウィンは自分では歩けない重症を負っており、モルヒネを撃ってなんとか生き延びている状態。冷酷な言いかたをするなら、クリーチャーの蔓延る地下神殿においては足手まといだ。

 実際にニックとジェイソンの操作パートでは、たびたび彼を見捨てるか、連れていくかの選択肢が現れる。足手まといだと切り捨てるのか、味方を置いていかないと友情や忠義を優先するか。どう対処するかはすべてプレイヤー次第だ。

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 マーウィンに関しては最序盤において、死んでしまう結末も用意されている。個人的な想像だとどうあがいても生存できなさそうなキャラなのだが、守り続けたらどうなるのかも気になるところだ。

 ちなみに、ニックはとあるキャラと深い関係にあり、マーウィンよりもそちらを優先したそうな雰囲気も見せている。ニックとジェイソンでも考えかたに大きな違いがあるので、こういった背景が最後にどのような結末を迎えるのかも注目したい。

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 ふたつ目の視点である、敵軍であるイラクの軍人サリムも操作キャラクターのひとりだ。当然の話だが、敵軍にもそれぞれの事情や生活がある。サリムは地下神殿で目覚めてすぐ、今日は息子の誕生日を祝うはずだったのにとぼやいていた。

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 サリムは早々に銃を落としてしまったり、クリーチャーに襲われたりとやや不憫なキャラにも見て取れる。デモ版では操作する場面が少なかったのだが、ひとり孤独に進みながらも強運でなんとか生き残るようなキャラクターだった。

 QTEの結果次第で手にする装備なども変わるので、彼がアメリカ軍と遭遇した際にどのような立ち位置になるのかも楽しみだ。

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 そして、いちばん複雑な関係にあるのがエリックとレイチェルのペア。物語から推察する限りエリックとレイチェルは元夫婦で、現在は別れている。何やらレイチェルが運転したクルマの事故でエリックが義足になるなど、複雑な事情があるようだ。

 彼らの関係はモラル・コンパスでも大きく変化するので、プレイヤーとしても人間ドラマをコントロールできるユニークなパートになる。

 最初はエリックを操作することになるのだが、レイチェルを気遣うか、苛立ちをぶつけるかによってもセリフや展開が大きく変わっていく。今回デモ版を2周してみたのだが、展開次第では関係の修復も不可能ではなさそうだった。

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やや気まずい雰囲気の中、ふたりで神殿を探索していく。

 エリックは関係を修復したそうだが、対するレイチェルの感情は冷え切っているようにも見え……。ストーリーの中で、今後の展開を大きく分けることになりそうな選択肢も選ぶことができた。

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 デモ版のラストには、崖から落ちそうになっているレイチェルをエリックが助け出そうとする場面が描かれる。

 ここでは落ちていた古いロープでレイチェルを助けようとするのだが、いまにも千切れそうな状態。このままではふたりとも落ちてしまうかもしれない……。そんな状況でエリックがどんな決断をするのか。ふたりの生死をわけるような場面で、それまでの選択の積み重ねが影響してくる。

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 エリックの選択を最後に、デモ版は終了。実際にプレイしてみると、想像以上にあっけなく死んでしまう場面が多く、地下神殿の危険性を物語っていた。

 複雑に絡み合った人間関係、そしてクリーチャーと敵軍の存在が合わさり、絶体絶命の状況にあるキャラクターたちがどのような結末を迎えるのか。グラフィックやシステム周りのクオリティーも上がり、より一層楽しめるようなタイトルになっていたので、シリーズファンは発売を楽しみにしていてほしい。