学生たちによる渾身の12作が会場に並んだ
BitSummit THE 8th BIT開催に先がけて開催されたゲーム制作イベント“BitSummit Game Jam”。若手クリエイターの教育支援の一環として、関西を中心としたさまざまな教育機関の学生がオンライン・オフラインにて参加し、最終的に12作品が完成・公開されました。
作品は会場でプレイアプル展示され、学生たちは自身の作品がプレイされる様子を見たり、プレイヤーから直接感想を聞く機会を得られました。一般参加者が入場できなかったことはつくづく残念ですが、ゲーム業界を目指す学生たちには貴重な機会になったのではないでしょうか。
BitSummit THE 8th BITのクロージングセレモニー(2021年9月3日)にて、同ゲームジャム最優秀作品賞はTeam 04制作の『イミュニティ』と発表されましたが、今回は、記者が個人的に惹かれたTeam09制作タイトル『フレキシビリンク!』について紹介します。
液体/個体/気体の切り替えがポイントのアクションパズル
『フレキシビリンク!』は、召喚士“アメリア”と水の使い魔“フルイド”を同時に操作する、ステージクリアー型の2Dパズルアクションゲームです。アメリアができるアクションは、左右移動+ジャンプと、フルイドをいつでもとなりに呼び寄せる召喚魔法。フルイドは、左右移動と、ノーマル時にはスライム状の液体である自身の状態を一定時間変化させる能力を発動できます。氷(個体)に変化させると、アメリアの足場やスイッチ作動用の“おもり”として利用でき、水蒸気(気体)に変化させると、フィールドの空間内をフワフワと漂えます。それぞれの能力をどの場所で・どのタイミングで使うかを試行錯誤することで、ゴール地点までの道のりをふさぐ仕掛けを突破していく……というわけです。今回のゲームジャムのテーマ“Flexibility(柔軟性・適応性)”が、フルイドのカジュアルな状態変化としてシンプルに表現されています。
いざプレイしてみると、テキストを極力排したチュートリアルの内容がスッと入ってこなかったり、フルイドの左右移動が、進みたい方向にマウスを何度もスライドさせる……というやや特殊な仕様だったりと、第一印象はいまひとつ。しかし、基本操作とルールを理解した上でステージ攻略に取り組むと、ふたり(?)のプレイヤーキャラの使いわけというか、役割分担の妙を実感できるステージ構成に感心することしきりでした。
出展バージョンはステージ数が少なく、ギミックもシンプルでしたが、作り込み次第では“アメリアとフルイドのアクションをほんのわずかな時間内に交互に実行”みたいな高難度ギミックを実現できる可能性を感じました。キーボード+マウスという操作系統に関しても「アメリアとフルイドの操作をふたりのプレイヤーで完全分業してワイワイ遊べる“柔軟性”を確保するため……?」と思えるなど、じっくり遊ぶことで、本作がいかにゲームジャムのテーマに則った作りであるかが見えてきました。
“ほぼほぼオンライン”でもゲームは完成させられる!
『フレキシビリンク!』を制作したTeam09のメンバーは、プランナー5人、プログラマーふたり、2Dデザイナーひとりの8人構成。ブースにいたプランナーのひとり・堀川竜聖氏によれば、制作期間は約1ヵ月間。ゲームジャム会場でメンバーと顔を合わせて制作したのは1~2日ほどで、ほぼオンライン上のやりとりによる制作だったとのことです。オンラインを介しての共同作業の感想を尋ねると、スケジュール管理や意思の疎通面に関しても、とくに問題なかったとのこと。堀川氏がゲームジャム初参加だったこともあり「ゲームジャムとはそういうもの」と認識している面もあるでしょうが、今後のゲームジャムはオンライン開催がスタンダードになっていくような気がしました。
今年のBitSummit Game Jamの出展作品は、itch.ioの専用ページで無料でダウンロード・プレイが可能です。気になる方はプレイしてみてはいかがでしょうか。