THQ Nordicより、Nintendo Switch版の『デストロイ オール ヒューマンズ!』が2021年8月26日(木)に発売される(※)。

 本作は2000年代に発売されカルト的な人気を誇ったエイリアン侵略アクション・アドベンチャーのリメイク作。

 1950年代のアメリカに降り立った宇宙人として、人間を誘拐したり電波を使って洗脳しようとするなどと、やりたい放題に動き回るコミカルのゲームになっている。

 本稿では、Switch版の『デストロイ オール ヒューマンズ!』を実際に遊んだプレイレビューをお届けしていこう。

※プレイステーション4、Xbox One、PC版は配信中。

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目的は人間の脳みそ!少し抜けてる宇宙人が地球を侵略

 まずは、本作のストーリーを簡単に紹介していこう。

 物語の舞台は、1950年代のアメリカ。基地でいままさにロケットが発射されようというタイミングから、物語はスタートする。

 発射のカウントダウン中、突如現れたUFOはロケットの真上をキープ。その直後、大きな爆発が巻き起こり、ロケットともどもUFOは破壊されて墜落してしまう。

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 この時点で「ちょっとマヌケだな……」と思ってしまうが、まだまだ序の口。壊れたUFOからなんとか脱出した宇宙人だったが、そのまま倒れてしまいアメリカ軍に捕獲される結果となった。

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 宇宙人が捕獲されてからしばらく経った後、地球の上空では一隻の宇宙船が漂っていた。宇宙船の中にいるのは、地球で捕らえられた宇宙人と同型のクリプト-137と、科学者であるオーソポックスというふたりのフロン星人。

 彼らが地球に来た目的は、地球人から脳幹(脳みそ)を集めるためだ。

 フロン星人はクローン技術を活かして生き永らえてきたが、そのDNAは次第に劣化し、最終的にはクローンを作り出せなくなってしまう状態にあるという。そこで、はるか昔に地球人に植え付けた、まだ劣化していないDNAを回収しようというのだ。

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 こうして、自分の前任者であるクリプト-136の救出に燃えるクリプトは地球への侵略を開始。

 しかし、地球に関する情報をほとんど持たない彼らは、降り立った農村地帯にいた牛を地球を支配する生物種だと勘違いしてしまう。

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 クリプトは大まじめに牛たちに演説を聞かせ、これから誘拐し、研究をすることを伝えるが……当然ながら相手は牛。聞く耳を持たず食事を続けるばかりか、クリプトめがけて思いっきり糞を出しまくる。

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 これに激怒したクリプトは牛たちを倒し、騒ぎを聞きつけた人間を殺害し、駆けつけた警察も軍隊も蹴散らしていく。ちょっぴりマヌケで、どこか憎めない宇宙人のクリプトを操作し、人類を倒していく戦いはこうして始まった。

 全体を通して話はユニークかつ、当時の時代の風潮を皮肉ったようなブラックジョークが交えられ、おもしろい内容になっている。

 設定だけ見れば真面目な侵略者のようだが、どうしてもユーモラスな方向性にしか進めないクリプトに愛着を抱けるのが本作のいいところだ。プレイ中は終始、宇宙人が登場するコメディ映画を見ているような感覚で遊ぶことができた。

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サイコキネシスや変装を駆使して愚かな人類を打ち倒す

 本作はステージ攻略式のアクションゲームとなっており、降り立った地域でさまざまなミッションを達成していくことになる。人間と交戦することも多いので、宇宙のテクノロジーを駆使して相手を圧倒していこう。

 代表的なのは、物体を捕まえて投げ飛ばせるサイコキネシス。これは人や動物はもちろん、クルマなどの対象となっており、相手に向けて投げ飛ばしてダメージを与えることも可能だ。

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 そのほか、最初から使える武器が電撃銃の“ザップ・O・マティック”。任意の対象に向けて電撃を放つ銃で、被弾中の相手は骨が透けて見える。

 ミッションを進めるとほかの武器も解放されるのだが、骨だけになるまで分解する銃、頭を吹き飛ばす攻撃などユニークでグロテスクなものが満載。多彩な戦いかたで人類を蹂躙していこう。

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 宇宙のテクノロジーはほかにもあり、一定時間飛行が可能なジェットパックや、ステージによっては宇宙船に乗って周囲一帯を焼き払うことも。

 戦車を引き連れた軍隊を殺人光線でぶっ飛ばし、建物を蹴散らし破壊の限りを尽くしていく。敵から攻撃を受け続けるとこちらも倒されてしまうが、こちらのほうが優位に立てる場面がほとんどだ。

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 目標を破壊したら、宇宙船に帰還してミッションクリアー。クリアー後には新聞の一面が表示されるのだが、宇宙人のことは公表されておらず、他国や特定の組織を攻撃するためのプロパガンダとして利用されている。

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 ミッションを達成したら、手に入れたポイントを使って武器や宇宙船を強化し、つぎのミッションに挑むというのがプレイの流れ。

 やり込み系のミッションも用意されているので、何度もプレイすることで武器をより強力にし、ミッション達成の方法を増やしていける。どのようにミッションを進めるかは自由に決められるので、好戦的に進めたり、隠れながら攻略するなど、自分なりの遊びかたで楽しもう。

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敵のお尻に攻撃をしかける“アナルプローブ”などは、バカゲーの雰囲気を強く感じさせる。
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武器などの強化に加え、スキンもたくさん用意されているので、好みの宇宙人スタイルでストーリーを進めよう。

 銃や宇宙船を使って人間を蹂躙する以外の場面でも、フロン星人のテクノロジーは発揮される。代表的なのは、スキャンした相手の姿に変装するホロボブだ。

 気づかれないように相手をスキャンすれば、人間に紛れて行動できるようになる。お祭りに参加し、誘拐しやすそうな人間を見繕ったり、情報収集をするのにはうってつけのテクノロジーだ。

 ミッションによっては人間に気づかれないことが必須条件になっており、スニーク系の体験も味わえる。電波を送った相手を躍らせて人々の視線を逸らすなど、宇宙人らしいテクニックが満載だ。

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ホロボブは一定時間持続し、ほかの相手をスキャンすることでその効果を維持し続けられる。
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誰にも気づかれないよう対象を連れ帰り、実験対象に。

 ときには、市長の姿に変装して群衆をコントロールすることも、クリプトの役割だ。宇宙人の存在を疑う群衆に向けて、最適な演説をすることで市民を不安を解消し、思い通りにコントロールしていく。

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一瞬で別人とバレそうな発言だが、本作のおバカな雰囲気で乗り切ってしまう。

 演説の場面では選択肢も表示される。ここでうまく群衆をコントロールできれば、ミッションコンプリート。自分が宇宙船で破壊した事件について、共産主義者のせいだと決めつけて市民を焚きつけるなど、好き放題に演説をして乗り切ろう。

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市長の言葉を疑いもせず、ノリノリな市民たち。
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このミッションばかりは、クリプトの言葉に同意してしまった。

 情報を得られるメディアが限られていた時代特有の雰囲気を、宇宙人の目線で体験する『デストロイ オール ヒューマンズ!』は、過去に発売したゲームのリメイク版として色あせない魅力を持っていた。

 頭が吹き飛んだり、骨だけになるなどグロテスクな表現も、アニメ風のビジュアルなので嫌悪感を感じさせない。大笑いしながら楽しむ、アメリカらしさ全開のゲームだ。

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 ゲームとしての自由度の高さや、当時の時代背景が反映された独特の世界観など、見どころも多いので世界観が気になる方はぜひ一度プレイしてみてほしい。

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人間を滅するユニークな武器の数々を紹介!

 最後に、ストーリーを進めるとアンロックされていくユニークな武器の数々と、その被害にあった人間がどうなってしまうのかも紹介していこう。人間を無残に倒すエイリアンが主役のゲームだけあり、武器で倒される人間たちは悲惨な末路を辿るものがほとんど。閲覧には注意してほしい。

 まず、代表的なのが前述した電撃銃の“ザップ・O・マティック”。電撃を食らった人間は昔のアニメ表現の如く、骨がキレイに映し出される。初期武器ということもあり、倒しても肉体が残る良心的な武器だ。

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 続いてアンロックされるのが、相手を分解する銃弾を発射する“分解光線”。見た目はふつうのエネルギー弾のようだが、この武器で倒されてしまった人間は文字通りに分解されて骨しか残らない。自分が倒されてしまったことにすら気づかないのか、骨のまま棒立ちしている姿は壮絶だ。

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 筆者のお気に入り武器である“アナルプローブ”も、ほかのゲームでは中々お目にかかれない攻撃方法を持っている。この武器の攻撃方法は、狙いを定めた相手の“尻”に向かって触手のようなものを送りこむというもの。

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 一度捕まえてしまえば、後はお尻を抑えながら慌てふためく人間を眺めているだけ。触手が奥まで到達すると、標的の頭が弾け飛んでDNAを採取できる。平穏な日常を送っている一般市民が、尻を侵略してきた謎の物体に一瞬で倒されるという中々にえげつない武器だ。

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 最後に開放されるイオンデトネイターは、爆弾を生成する武器。グレネードランチャーのように爆弾を射出すると、一定時間の経過後に周囲の物を消滅させる爆発を起こす。クルマなどの破壊はもちろん、範囲内にいた人間は跡形もなく消滅させてしまう。弾数は少ないが、非常に強力な武器だ。

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 紹介したいずれの武器を使用しても、人間たちはそれぞれ違った反応を見せてくれるので気分によって切り換えて蹂躙を楽しんでもらいたい。ただ、あまりやりすぎると警察をはじめ、最終的には軍隊が駆けつけてくるので、遊び半分で人間の尻を付け狙うときは覚悟が必要だ。

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 また、やり込み要素の一部として、一度クリアーしたステージではチャレンジがアンロックされ、挑戦することでポイントが集められるようになる。

 ストーリーのボリュームもそこそこにあるが、こういったやり込み要素までプレイするとかなりのボリュームだ。

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 クリア済みのステージをオープンワールドのように自由に探索するのも本作の醍醐味。そこでチャレンジミッションに挑戦できる仕組みだ。

 UFOと言えば欠かせないアブダクション系のミッションも用意されており、移動していく宇宙船にポイポイと牛を投げまくって集める内容など、ユニークなものも多い。

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 もちろん、ミッションをしないでひたすら地球人との争いに明け暮れるのもアリだ。UFOのビームで地上に絵を描いたり、戯れに人間を放り投げたりと、好き放題に蹂躙していける。

 ミステリーサークルを作って遊んだり、駆けつけた軍隊を蹴散らしたりと、自由気ままに遊べるのも本作の魅力のひとつと言えよう。テクノロジーや武器を駆使して、さまざまな戦いかたが楽しめる骨太ゲームでもあるので、好きな人はトコトンやり込めるゲームになるはずだ。

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