1981年(昭和56年)7月30日は、カセットビジョンが発売された日。本日(2021年7月30日)でなんと発売から40周年という大きな節目を迎えた。

 カセットビジョンは、エポック社から発売された据え置き型ゲーム機。エポック社と言えば、シルバニアファミリーやボードゲーム、バーコードバトラーなどで知られる玩具メーカー。筆者のようなおじさん世代では、大ブームだった野球盤のメーカーとしてかなり有名な会社だ。国産第一号のテレビゲーム“テレビテニス”を発売しているので、日本の家庭用ゲームの歴史はエポック社から始まったという見方もできるだろう。

 当時の日本のゲーム機は海外生まれのハードが主流だったようだが、カセットビジョンはハード&ソフトともに日本で開発されている。公式サイトで確認が取れなかったので断言はできないが、もしかすると日本初のことだったかもしれない。

カセットビジョンが発売40周年。LSIゲーム全盛の時代に登場し、驚異の低価格を実現したマシン。ハード&ソフトが日本開発なのも珍しい時代だった【今日は何の日?】

 カセット交換式というのも珍しかったが何より低価格だったことが本機の持ち味で、輸入モノの高価なゲーム機が並ぶ市場で13500円(本体が12000円でACアダプターが1500円)というユーザーにやさしい価格設定を実現。ファミコンをはじめとする家庭用ゲーム機がラッシュで発売される1983年までは、本機が覇権を握っていたと言っても過言ではない。

 コントローラーが存在しないため現代人はわりと違和感を覚えるかもしれないが、当時としてはわりとオーソドックスなスタイル。本体に設置されたスティックやボタンなどを使って操作していくことになるのだが、左右対称の配置になっていて2プレイヤー側は右手でスティック操作しなければならなかったのがおもしろい。いま思うとなかなか理不尽ではあるけど、右手でスティック操作というのはわりとあった時代なので致し方なしかな。

 ツマミのついた4つの黒丸の部分は左右にクルクル回すことが可能。要するにパドルコントローラーの役割を果たす部分で、『ブロックくずし』のようなゲームでパドルをアナログ的に動かせたと思われる。

 カセットビジョンの代表作は『きこりの与作』。『ギャラクシアン』や『パクパクモンスター』といった作品も筆者の友人周りでは流行していたが、時代のせいかどこかで見たような作品が数多くあったのも印象深い。

 1983年7月19日には、本機の廉価版に相当するカセットビジョンJr.が発売。価格は5000円と非常に安価で本体もかなりコンパクトになった。相変わらずコントローラーは付いていなかったので、筆者はそのまま本体を持ち上げて操作した思い出がある。さらに翌年にあたる1984年7月17日には、次世代機であるスーパーカセットビジョンが発売。ここでついにコントローラー付属となった。

 カセットビジョンは日本のゲーム史を語るうえで外すことのできない重要な存在。残念ながらスーパーカセットビジョン以降に同シリーズのハードは発売されていないが、当時のゲーム業界を大いに賑わせてくれたマシンとしてゲームファンのみんなには覚えておいてもらいたいところだ。

これまでの今日は何の日?