第二次世界大戦を兵士の視点で戦う基本無料のMMOシューター『ENLISTED』(エンリステッド)。本作は陸海空の搭乗兵器を用いて戦う人気作『War Thunder』で知られるGaijin Entertainmentがパブリッシャーを担当するゲームだ(開発:Darkflow Software)。
日本国内ではDMM GAMES(運営:EXNOA)がサービスを担当。プレイステーション5(PS5)は2021年5月10日にリリース済みで、PC版は7月中旬のサービスインを予定している。
基本無料ってことで、PS5のユーザーであれば、この機会にダウンロードを。PCゲーマーであるならPC版の事前登録サイトで準備を済ませよう。
※【2021/7/19 20:10】一部表現に誤りがあったため修正いたしました。
『ENLISTED』プレイ動画
過酷な戦いがくり広げられるヨーロッパ戦線に挑め!!
本作は米国・ソ連・ドイツが激戦を展開したヨーロッパ戦線が舞台だ。現在遊べるキャンペーンは“モスクワの戦い”、“ノルマンディー侵攻”、“ベルリンの戦い”の3つあり、プレイヤーは事前に参戦するキャンペーンを決めてからマッチングに臨むことになる。
各キャンペーンには複数のマップが用意されており、プレイヤーはさまざまな場所を転戦していくといった感じだ。
こういったゲームで重要となるのが参加人数だ。本作の場合は10対10の合計20人。それぞれが2~9人で文隊を組むため、戦場には最大180人のキャラクターが入り乱れることになる。「そんなに多くの人が居ると大味になるんじゃないの?」と心配に成る人もいると思う。
うん、正直言えば大味な部分は少なからずある。
でも、戦争映画に出てくる激戦区での戦闘場面を遊ぶことができるとなれば気になる程ではない。逆に言えば、映画に迫る勢いでドンパチが楽しめるということでもある。
戦争映画によくある、戦闘中に敵兵士と”ふと目が合ってしまった”ときの妙な緊張感。こういった演出を自分でも味わいたい人はもちろん、ゴリゴリの銃撃戦を楽しみたいゲーマーにも一度は触ってほしいタイトルだ。
また、単に歩兵として戦うのではなく、戦車や航空機といった搭乗兵器に乗り込んで戦うことも可能だ。航空機を操るのはややハードルが高いが、戦車での出撃であれば陣営の勝利にも貢献しやすい。初心者でも安心して楽しめるはず。
遊んでいてわりと感動するのが戦場の空気感だ。ゲーム開始直後はかなり戦場が静かなのだが、ひとたび交戦が始まればマッチ終了までひたすら射撃音や爆発音が鳴り響き続ける激戦に。第二次世界大戦を題材にした映画の激しい戦闘シーンだけを体感し続けているかのような印象を受けた。
そしてマップの出来も上々。筆者はヨーロッパ戦線と聞くと“崩れた建物の瓦礫の山”、“背の高い植物が生えた牧草地”、“ノルマンディー”というイメージがある。本作はそういったお約束的なシチュエーションや舞台をほとんどカバーしているのがなかなかですなぁ。
なお、ゲーム上では“チュニジアの戦い”という北アフリカを舞台にしたキャンペーンが表示されているが、こちらは未実装となっている。ドイツ軍とイギリス軍の戦いが描かれると思われるが詳細は不明だ。いずれ実装されるであろう、焼け付き熱砂の舞う大地での戦いがいまから楽しみでならない。
分隊の指揮官となり敵を撃滅せよ!
本作の大きな特徴のひとつに“分隊”がある。世に出ているFPSの多くは単独行動の兵士を操作するのだが、『ENLISTED』では分隊での行動が基本となる。
この分隊には歩兵連隊、通信大隊、戦車大隊といった異なる兵科をいくつか登録可能だ。ゲーム中はプレイヤーの使用している隊が全滅した場合、別の部隊を投入していく感じとなる。
たとえば、突撃兵で敵の拠点を制圧するも反撃を喰らい取り返されてしまったとしよう。そんなときは再出撃する際に野外通信大隊を選択。スポーン後に即支援砲撃を要請することで敵部隊への仕返しや後続部隊の侵入を防ぐ……といった戦いかたが可能となる。
戦況に応じて適した部隊を投入することが、本作を遊ぶうえでのキモのひとつとなるだろう。
そうそう、ゲーム中はプレイヤーが操作する兵士のほかにAIが操作をしている兵士が随伴してくる。敵との戦闘中に操作している兵士が凶弾に倒れてしまった場合、AI制御下のキャラクターをプレイヤーにバトンタッチして継戦することが可能だ。
ただし、部隊内の兵士が自分以外戦死していると交代できなくなってしまうので、侵攻ルートをよく考えて継戦できるように立ち回れるよう行動しよう。
プレイヤーが使用可能な兵科は全部で12種類あり、ベーシックな歩兵から飛行機を操る航空兵まで陸・空の戦力を扱うことが可能だ。くり返し遊ぶことで少しずつ使える兵科が増えていくシステムとなっており、プレイヤーのモチベーション維持に役立っている。
筆者お気に入り兵科4選
中でも筆者が気に入っている兵科は通信兵・狙撃兵・ボマー・戦車兵の4つ。どういった兵科なのかを簡単に説明しよう。
通信兵
部隊内に砲撃を要請できる通信機を装備した兵士が配属されている。これが通信兵だ。通信兵を使うことで指定した座標に対し、激しい砲弾の雨を降らせることが可能だ。
上手に活用すれば敵の進攻を阻んだり、遠くからチクチクと狙撃してくる敵をまとめて吹き飛ばしたりといった運用を行える。
筆者はゲーム序盤に拠点へと押し寄せてくる敵に対して砲撃を要請。味方が攻め入る時間を作ったり、敵が渋滞しやすい場所を重点的に狙うようにしている。これがけっこう稼げるんですわ。
『ENLISTED』通信兵:プレイ動画
狙撃兵
狙撃兵は言わずもがな。遠距離から攻撃して敵の数を減らすことで貢献する兵科だ。草むらや建物の窓、はたまた屋根といったところから気付かれる前に事を終わらせるストイックさが気に入っている。ただ、同時に敵プレイヤーからのヘイトもすごく集めてしまうため、立ち回りに気をつけなければならない。
というのも、本作は自分を倒した敵の位置がシルエットで表示されるため、同じ場所で狙撃し続けているとマーキングされたり砲撃されたりといったしっぺ返しを喰らいやすい。ちょっと撃ったら位置を変えて……というヒット・アンド・アウェイが大事だ。
『ENLISTED』狙撃兵:プレイ動画
ボマー
ボマーは爆発物を扱うことができる兵科で、対戦車戦で大きなアドバンテージを得ることができる。比較的序盤で入手できるこの兵科は対戦車擲弾発射機を装備していて、兵士にとって悩ましい相手となる戦車に効果的なダメージを与えることが可能だ。
ただ、戦車には装甲が厚い部分などが設定されているため、手痛い一撃を与えるために弱点部分を知っておく必要がある。また、戦車側も弱点はなかなか晒すことがないため、気付かれないように狙い撃てる位置まで移動しなければならない。
やや難度が高い立ち回りが要求されるが、攻撃に成功して敵戦車を撃破したときの爽快感は一度味わってほしい。
『ENLISTED』ボマー:プレイ動画
戦車兵
最後に紹介するのは戦車兵。こちらも文字通り戦車を操縦してフィールドを駆け回る兵科となっていて、圧倒的な武装で敵を蹴散らすことが可能だ。基本的には最前線に出るというよりも、少し引いた場所で歩兵のサポートをする運用が効果的。ただ、上で紹介したボマーや敵航空機からの攻撃に晒されると即大破なんてこともしばしば。
マップによっては地形の凹凸や障害物が邪魔になり操縦しにくいケースがある。そういった場合は車中の指揮官として上部ハッチから身を乗り出し、周囲を確認しながら操縦するといい。ただ、指揮官は車内から身を乗り出した状態となるため敵に攻撃されるリスクを伴う。
なお、乗り物に乗った状態では拠点制圧ができない点には注意が必要だ。
『ENLISTED』戦車兵:プレイ動画
以上が筆者のお気に入り兵科だ。もちろん、これ以外の兵科も使うことがあるのだが、あえてオススメするとしたら火炎放射兵かな? 吐き出される炎が眼前に迫るのは恐怖でしかなく、ダメージもかなり高い。使用できるまで少しかかると思うが、是非とも触ってみてほしい。
兵士を育成して猛者を作り上げよう
戦闘で使用した兵士たちは戦果に応じて経験値を入手することができる。経験値が溜まっていくと、パークを入手でき、兵士のポテンシャルを伸ばせるようになる。スタミナの回復速や武器の切替速度上昇など戦闘で生死を分ける可能性を秘めたものがあるので必ず取得しておこう。
『ENLISTED』分隊のセッティングの様子
ちなみに、兵士だけでなく分隊にもレベルの概念がある。戦闘結果で得られる経験値が貯まり、レベルが上がっていくと分隊ポイントを獲得。このポイントを使用することで分隊の人数を増やしたり、武器のスロットを増やすといったことが可能だ。
最強の分隊への道のりは長く険しい。最強の分隊を作るべく、レベル上げに勤しもう。
兵士だけでなく武器のガチャも存在する。このガチャから入手できる武器は星1から星4までがあり、射撃時における銃身のブレ具合や着弾範囲、リロード速度などの差がある。より強い武器を求めるのであれば、兵士同様に定期的にガチャを回して一喜一憂してみるといいだろう。
そうそう、本作はキャンペーンごとに参戦している部隊が異なる仕様だ。“モスクワの戦い”に参戦している部隊は“ベルリンの戦い”や“ノルマンディー侵攻”といった異なるキャンペーンに参戦することができない。なので、同じドイツ軍といえど兵士が違うので個別に育て上げる必要がある。
育て直し必須ということで、せっかくだから違う方向性で育ててみるのもいいだろう。
あらゆる兵科を使いこなし、戦場で味方を勝利に導け!
といった感じで『ENLISTED』を紹介してきたわけだが、実際に遊んでいるとけっこう忙しいゲームだなという印象だ。というのも、文字通り目まぐるしく変わる戦況に応じて移動したり戦闘したりと、戦いはあまり休む間もなく展開されていく。
マップバランスも良好。ドミネーションでは取っては取り返しが発生しやすく、一方的な展開にはなかなかなりにくい。まぁそれでも差がつくときはあるんだけど。
最初はキャンペーンごとに分隊を育てるというのが少々面倒かなと思ったが、“同じ人間が別の戦線に居るわけない”のは当たり前なので、「そりゃそうだわな」とすんなり納得。まぁ手間なのはたしかなんだけどね。
また、航空機の脅威度が非常に高く、最初は煮え湯を飲まされ萎えてしまうかもしれない。しかし、工兵を使えば対空砲を設置でき、十分対抗することが可能になるので腐らずプレイしてほしい。
長々と書いてきたが、二次大戦を題材にしたゲームは多々あれど、ここまで激しい戦闘を体感できるゲームはあまり多くない。ましてやAIを含めてではあるが味方の兵士が一気にワーッと駆けていく様はたまらないものがある。シューター好きのみならず、戦争を題材にした映画とかを見て琴線に触れたことがある人こそ触ってみてほしい作品だ。
あえて苦言を呈すとAIの動きがややポンコツで、「君どこに立ってんのよ!」って場面があったりするけど、見慣れてくると「これも愛嬌だね」と思えるようになるはず。あ、AIだけあってやたらAIMと反応がいいことがあり、助けられることも少なくない。メリットとデメリットを内包したシステムといったところかな。
これから訪れる暑い夏はオリンピックとかいろいろ目移りしがちだけど、あえて『ENLISTED』の激しい戦闘に身を投じるストイックな夏を過ごしてみてはいかがだろうか? 個人的に北アフリカ戦線も好きなのでチュニジアの戦いにも期待したいところだ。