カプコンから2021年7月9日(金)にNintendo SwitchとPCで発売予定の『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』。2021年6月15日の“Capcom live showcase at E3 2021”では、最新プロモーション映像と体験版の配信、そして第1弾無料アップデートでガルクがオトモンとして登場することが発表された。今回は開発のキーマンである辻本良三氏、大黒健二氏、そして川野隆裕氏に、最新情報で気になったことや体験版プレイにも役立つ情報などにお答えいただいた。
辻本良三氏(つじもとりょうぞう)
『モンスターハンターストーリーズ2 〜破滅の翼〜』プロデューサー
大黒健二氏(おおぐろけんじ)
『モンスターハンターストーリーズ2 〜破滅の翼〜』ディレクター
川野隆裕氏(かわのたかひろ)
『モンスターハンターストーリーズ2 〜破滅の翼〜』アートディレクター
前作の反響を受けて続編の制作に踏み切った
――間もなく発売を迎えますが、まず最初に本作を制作することになった経緯についてお聞かせください。
辻本前作『モンスターハンター ストーリーズ』は、僕と藤岡(※)が2008年、つまり発売の8年ほど前から構想していたタイトルが形になったもので、発売後に続編を望む声をたくさんいただきました。そこで続編を出すとしたら、どのような形でプレイヤーの方たちに届けるのがいいのかを考えました。その結果、ゲーム全体の雰囲気をもう少し大人寄りにすることで幅広い方たちにプレイしていただこうと。ゲーム全体の雰囲気について試行錯誤して「これでいける!」となったところで試作を終了し、本格的な開発に着手しました。
※藤岡要氏。『モンスターハンター』シリーズのディレクター。
――前作に比べるとキャラクターの等身が上がっていますが、これも年齢層を意識してのことでしょうか?
川野前作よりもより幅広い層に楽しんでいただきたいので、等身を上げてリアルに近いキャラクターデザインにしています。
――続編を制作するにあたって、ライダーではなくハンター視点の物語にするという案はなかったのでしょうか?
大黒『モンスターハンター ストーリーズ』はRPGなので、アクションゲームと違い世界観を語りやすくて掘り下げやすいんです。また、ハンター視点の物語として描くと「ハンターはこういうものだよ」とチュートリアルの説明部分で多くの人が知っていることをくり返し説明するのも違和感があるかなと。ですが、ライダー視点でハンターと出会い「ハンターの世界はこういうものだ」という流れになると自然に受け入れられるんですよね。
そして根幹の部分になりますが、このシリーズはモンスターに乗って冒険したいという想いのあるタイトルです。となればハンターよりライダーだよねと。そこから新しい『モンスターハンター』の世界観を描けば、知らない人はもちろん、すでに『モンスターハンター』シリーズを楽しんでいる人も新鮮な気持ちで楽しんでいただけるので、引き続きライダー視点の物語で描くことになりました。
――前作を遊んだプレイヤーから多くのリアクションがあったと思いますが、改善要望を受けて直したところがあれば教えてください。
大黒ものすごくあります(笑)。いちばん多かった要望はバトルシステムに関してですね。アクションの『モンハン』は、モンスターとハンターの駆け引きがものすごくあるんです。「もう少しいける!」と思ったら手痛い反撃を受けるとか。ですが、モンスターの動きを見切れば無傷で立ち回り続けることもできる。それが『モンハン』の魅力のひとつだと思っています。
『モンハンストーリーズ』でも、そのようなバトルにできないかと考えていましたが、RPGのコマンドバトルで一方的に攻撃できてしまうとゲームとして成立しなくなります。そこで前作にはモンスター側の行動にランダム要素を入れたのですが、そこの評判は微妙だったんです。そこで本作ではモンスターの行動にランダム要素を入れていません。モンスターの行動パターンを知れば、一方的に攻撃できるバトルシステムに調整しました。当初は「これだと簡単すぎないか?」と考えていましたが、調整を重ねていくうちに、ほどよい緊張感で爽快感もある、すごく楽しいバトルシステムに仕上がりました。
大黒もうひとつ大きな改善点で言えば、伝承システムですね。実際に前作をプレイした多くの方が、ストーリークリアまでに伝承を行わなかったんです。そのため、本作では遺伝子をどこでもセットできるようにしてとっつきやすくし、明確に強さを実感できるようにしようと。ストーリーを進めながら伝承の儀でオトモンを強くしていく楽しさを味わってほしいですね。ちなみに、クリア後は僕自身もたいへんなほどのやり込み要素があるので、ガッツリプレイしたい方も安心してください。
――リリア、リヴェルトと続き、アユリアの登場に驚きました。彼女の登場は早い段階で決まっていたのでしょうか?
大黒じつは、アユリアはリリアやリヴェルトよりも先に本作で登場することが決まっていました。前作のプレイが前提になることはしたくなかったので、ストーリーの根幹に関しては、この3人は前作との関連性はありません。しかし、前作をプレイした方で次回作を待ち望んでいた方たちに少しでも喜んでもらいたい。本作は“共闘”が大きなテーマとなっているので、前作で人気だったキャラクターたちと共闘できたら前作のファンも喜んでくれるかな、と思い登場にいたりました。
――「前作で人気だった」ということは、この3人が登場したのはキャラクター人気が高かったことも理由のひとつなのでしょうか?
大黒そのとおりです。アユリアは狩猟笛使いでオトモンがベリオロスなど、キャラクターが立っていたので共闘パートナーとしてどうしても欲しいなと。
――デデ爺は、前作に出ていた伝承ジイさんとそっくりですね。竜人は寿命が長いこともあるようなので、もしかして同一人物なのですか?
川野同一人物です。前作のゲーム内では伝承ジイさん、なぞなぞじいさんなどと呼ばれていましたが、じつはアニメ版で“デデ爺”と呼ばれていました。なので本作で“デデ爺”が紹介されたときに同一人物と気づいた人も多いんじゃないでしょうか。
――新キャラクターのオルゴがナビルーと知り合いだと思わせるシーンがPVにありました。以前インタビューでうかがった「本作ならではのナビルーの物語」と関係あるのでしょうか? オルゴも見た目がふつうのアイルーと大きく異なるので、何らかの過去がありそうですが……。
大黒すみません、そこはまだナイショです。
――わかりました。では凶光化モンスターについてお聞きします。これは前作で言う黒の凶気に侵されたモンスターのような存在なのですか? 絆石がレベルアップするなど、黒の凶気と同じような状況も気になります。可能な範囲で教えてください。
大黒主人公が冒険する世界は、謎の大穴が大量に出現して大変なことが起きている状況です。その穴から漏れている光に近づいたモンスターが理性を失い狂暴化するのですが、絆石のレベルアップ含め、黒の凶気と似ているかもしれませんね。こちらも残念ながら詳しくは話せないので、ぜひゲームをプレイしていただけたらと思います。
――無料アップデートでガルクがオトモンとして登場することが発表されました。ガルクはレア度が“★5”ですが、かなり強力なオトモンなのでしょうか? 本作の最高レア度も含めて教えてください。
大黒本作は、ドスランポスでも育てていけばクリアできるように、モンスターの強さ自体に大きな差別化はしていないんです。ですが、ガルクは使いやすいパラメータになっていて、遺伝子もかなり優遇しています。強力、とひと言では言えませんが、育てていけばかなり便利なオトモンになりますよ。じつは開発内部にガルク好きが多く、かなり愛情が込められたオトモンになっているんです。ちなみにレア度の最高は★7ですが、これはどちらかというと対人戦を意識したもので、対戦ルールでクラス分けなどをする場合の条件の意味合いが強いですね。
――ヌア・テ村、そしてその村の長のユム=ラナ、ゼラードなど、本作は竜人が多く登場しているように感じます。竜人は、人間の人口と比べるとどのくらいの規模なのでしょうか? 人間との交流があるのかも気になります。
大黒人口比など細かいところは答えられませんが、平地などには人間やハンターが暮らしていて、竜人は辺境の地など人目のつかない場所で暮らしているのが一般的です。本作ではエナが護りレウスに会うためハコロ島へ渡り主人公たちと出会いましたが、基本的に竜人は人間との交流がありません。
――最後に、実際にゲームをプレイして感じたことをお聞きします。モンスターの巣からタマゴを拾うとき、限界まで拾い直してもモンスターが起きたり巣に戻ってくる状況に遭遇したことがありませんが、確率的には低めになっているのでしょうか?
大黒それは運がよかったんだと思います。眠っているモンスターに関しては、何度かタマゴを拾うと、ほぼ確実に起きます。ですが、モンスターが留守の場合は戻ってくる確率はかなり低めになっていますね。ちなみに、共闘プレイでモンスターのタマゴ取りに向かうと、共闘パートナーがモンスターに襲われたけど自分はタマゴを拾って持ち逃げしちゃう、というシチュエーションも生まれるのでおもしろいですよ(笑)。
――ストーリー序盤では、パワー、テクニック傾向のオトモンは何体かいますが、スピード傾向のオトモンがドスランポスしかいませんでした。これには、なにか理由があるのでしょうか?
大黒序盤で遭遇しやすいモンスターや手に入るタマゴがイャンクックやプケプケなど、イメージ的にテクニック傾向のモンスターが多いのが原因です。バランスを考えてスピードのイメージがあるナルガクルガなどを序盤に出すことも考えましたが、「このモンスターが序盤に出てくるの?」という違和感にもつながってしまいます。どちらか悩んだ結果、ストーリーに沿って出現するモンスターのイメージを重視する方向にしました。
ちなみに、これは偶然ですけど前作でも序盤はスピードタイプがドスランポスしかいなかったんです。でも育てていくうちに愛着が湧いて、ずっと使っちゃうんですよね。先ほども言いましたが、ドスランポスでもしっかり育てていけばクリアできますので、ぜひ本作でもドスランポスを愛でてあげてください。
もっとゲーム内容に踏み込んだお話も聞きたかったが、ここでインタビューは時間切れ。開発陣のお話を聞く限り、『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』は、前作や『モンハン』の予備知識がなくても楽しめる作りになっているようなので、ぜひ皆さんもプレイしてほしい。