月額980円で、雑誌やマンガ、書籍が読み放題になるAmazonのサービス“Kindle Unlimited”。本稿では10万件以上に及ぶ対象作品の中から、筆者イチ押しの1冊をご紹介します。

 今回注目したのは、超長寿漫画『かりあげクン』。『コボちゃん』や『フリテンくん』などを生み出した、4コママンガの巨匠・植田まさし先生の傑作作品です。

“Kindle Unlimited”の導入はこちら(Amazon.co.jp)

かりあげクンはイタズラの天才!?

 現在Kindle Unlimitedにて、1~60巻が読み放題の『かりあげクン』。本作は『月刊まんがタウン』で連載中の4コママンガで、2020年には連載40周年の節目を迎えました。

 また1989年10月から約1年に渡ってテレビアニメが放送され、2016年度の第45回日本漫画家協会賞ではカーツーン部門の大賞を受賞。その人気にあやかりたいという想いから、ローソンの“からあげクン”が命名されたともいわれています。つまりは『かりあげクン』なくしては、いまのからあげクンはなかったといっても過言ではない?

 物語の主人公は、“かりあげクン”こと万年ヒラ社員・かりあげ正太。その名に恥じぬかりあげ頭のサラリーマンで、イタズラの天才でもあります。

『かりあげクン(アクションコミックス)Kindle版』1巻(Amazon.co.jp)

 たとえば1巻収録の『クリごはん』という回では、文字通りクリごはんを炊くかりあげクン。彼の性格を知る友人は「まてまて あいつのこった クリごはんたってどんなもんだかわからんぞ」、「コメの1粒くりぬいて“くり”ごはんだなんて言いかねないヤローだからナ」などと疑うものの、かりあげクンいわくクリはちゃんと入っているといいます。

 それを聞いて安心した友人は「よーし じゃあオレにはなるべくたくさんクリ入れてくれなー」と要求しますが、ラストのコマには“イガ”ごと炊かれたクリごはんが……。

漫画『かりあげクン』じつはローソンの“からあげクン”の由来!? イタズラの天才が織り成す不条理ギャグ作品【Kindle Unlimitedおすすめ】
『かりあげクン(アクションコミックス)Kindle版』1巻(植田まさし/双葉社)より

 この予想の斜め上をいく彼のイタズラこそ、本作最大の魅力。しかもかりあげクン本人は表情ひとつ変えずイタズラを仕掛けるため、そのシュールさによりおもしろみを感じるのです。

 また中にはかりあげクンがイタズラを披露しない回もあり、とくに筆者のお気に入りは1巻収録のエピソード『おさえ』。ふつう椅子の上に乗りながら「だれかおさえててくれ」と言われたら、誰だってその人のことを支えるのだと思いますよね? しかし本作の場合は事情が少々違うようです。

 というのも「オーイ だれかおさえててくれー」という呼びかけにふたりの男性が現れるものの、なぜか彼らは声の主を素通り。まるで暗黙の了解と言わんばかりに、側にいたかりあげクンをおさえ始めます。そして最後は「スキ見せると何するかわからんからナ」と呟く姿で幕切れに。かりあげクン、信用なさすぎ(笑)。

漫画『かりあげクン』じつはローソンの“からあげクン”の由来!? イタズラの天才が織り成す不条理ギャグ作品【Kindle Unlimitedおすすめ】
『かりあげクン(アクションコミックス)Kindle版』1巻(植田まさし/双葉社)より

 もちろんいままで紹介したエピソードは氷山の一角にすぎず、どれをとっても「そうきたかー!」と思わせるオチがついています。先述した通りKindle Unlimitedでは60巻まで読み放題ですが、1度そのおもしろさにハマったらあっという間に完遂できるかも。ぜひ『かりあげクン』60巻読破を目指してみませんか?