2021年6月3日にプレイステーション4、Nintendo Switch、PC(Steam)向けにクラウディッドレパードエンタテインメントより発売される『有翼のフロイライン Wing of Darkness』。本作は、数々のゲームを手掛けてきたプロのゲームクリエイター集団“Production Exabilities”が贈る、ハイスピード3Dシューティングだ。
突如現れた謎の敵と戦うことになったふたりのヒロインたちが織りなすストーリーと、弾薬制限のない中で自由に大空を飛びながら敵を倒していく爽快さが魅力の一作だ。筆者は、2019年に行われたBitSummit 7 Spiritsで見つけて、そのグラフィックのクオリティーの高さにひとめぼれし、リリースを熱望していたタイトルでもある。
今回、発売に先駆けて、試遊する機会をいただいたので、そのプレイレビューをお届けしていこう。
人類のために兵器として未知の敵と戦うヒロインたちの重厚なストーリー
本作の物語は、謎の敵“ブランカー”が突如現れた世界が舞台となっている。この敵に対して、人類が持つ唯一対抗策は適性を持つ一部の少女しか身につけることができないという、対ブランカー用装備“ヘルトシステム”のみ。そんな中で、適性を持っていたがために、みずから“フロイライン”になることを選んだ、クラーラ・エルンストとエーリカ・レールツァーというふたりのキャラクターを中心に物語が展開されていく。
そんなストーリーが描かれるカットシーンパートでは、3Dモデルで表現されたシーンが切り替わりながら、声優陣によるフルボイスによって物語が語られていく。キャラクターの3Dモデルは表情豊かで、声優陣の陰と陽が際立つ演技も相まって、キャラクターの細かい心情なども伝わってきたように感じた。
もちろんストーリー自体も魅力的で、最初は互いに嫌悪感を示していた性格も生まれも違うヒロインたちが、次第に仲間として信頼しあい、絆を深めていく様子には、物語が進むにつれてどんどん引き込まれていった。戦争がテーマというだけあって内容的には重めだが、辛く苦しい戦いの中で生きる彼女たちの姿に胸を打たれるようなストーリーとなっているということだけここではお伝えしておこう。
なお、クラーラ・エルンストは安野希世乃さんが、エーリカ・レールツァーは持田千妃来さんが、それぞれ演じている。
スタイリッシュで爽快に戦える3Dシューティングパート
3Dシューティングパートでは、360度縦横無尽に空を移動しながら、敵と交戦していくことになる。“機械の翼”とも呼ばれる“ヘルトシステム”は身にまとって戦うタイプの兵器のため、空中を自由に移動できるのが特徴。ロボットというわけではないが、それに近い感覚で楽しめるのが、ロボット好きの筆者からしてみたらなじみやすい。
使用できる兵器は、それぞれマシンガンやライフルなどの手持ち武器“プライマリ”、滑空砲など身につけるタイプの“セカンダリ”、敵を注視してロックオンすることで発射できる“ターシャリ”の3種類があり、これらを切り替えながら戦っていくことになる。
兵装は出撃前に編成することができ、全10種類の中から自分好みのカスタマイズで挑むことができる。また、編成時に「どれを使ったらいいかわからない!」という場合は、推奨ロードアウトというオススメ編成も用意されているため、迷った場合は使うのがオススメだ。
編成を終えたら、いよいよ出撃へ。戦闘中はスティック操作で方向転換とカメラ移動をおこない、ボタン操作では上昇・下降や加速機能のドラッグブースト、そして攻撃などをおこなっていく。
上昇・下降にもボタンが振り分けられていたため、最初は「少し操作は難しいのかな」と心配だったが、上下方向にカメラを向けて移動すれば簡単に上昇や下降ができるため、かなり直感的に操作することができた。
操作に慣れてくると、クイックマニューバを使って華麗に敵の弾をかわしながら、攻撃を打ち込むといったスタイリッシュな戦いかたもできるようになってくる。さらに、フォーカスターゲット状態で敵を倒すと、一瞬映像がスローになるといったカッコイイ演出もあり、ふつうに戦っているだけでもかなりスタイリッシュに見えるのがうれしい。
個人的に気に入っているのが、ターシャリによる攻撃。ボタンをホールドすることで、ターシャリが起動し、敵をロックオンしたあとにボタンを離すと、敵に向かって追尾弾が発射される。この兵装を使い、大きな敵に自分の放ったミサイル兵器が一気に着弾するとかなり気持ちいい。また、兵装はオーバーヒートしない限り撃ち続けることができるため、心置きなく乱射できてしまうのも爽快感を感じられたポイントだ。
筆者はアニメが大好きなのだが、アニメで爽快な空戦のシーンなどを見ると、「こんな感じでゲームも遊んでみたいなあ……」と思うこともしばしばある。そんな願いをかなえてくれるのが本作とも言える。
シューティングパートの難易度は4種類が用意されていて、いちばん簡単な“予定調和”からイージー、ノーマル、ハードという順で難しくなる。“予定調和”モードでは、兵装のダメージ強化や敵の攻撃の弱体化、体力回復速度の増加など、かなり遊びやすい調整がされているため、「ストーリーは楽しみたいけどシューティングは苦手」という方にもうってつけだ。”予定調和”というネーミングも秀逸だけれども。逆に腕に自信のあるプレイヤーは、ノーマルよりも敵の攻撃が強くなり、なおかつプレイヤーの回復速度が遅くなるハードモードにチャレンジしてみてもいいだろう。
さらに本作では、パッチによってハードよりもさらに難しい難易度が追加されるという。その名もずばり“パラドックス”。“逆説”という、何とも思わせぶりなネーミングなのは、“『有翼のフロイライン Wing of Darkness』はストレスなく、爽快感を味わいながら遊んでほしいと思って設計した要素すべてをひっくり返すという難易度”という、開発陣の思いから来ているという。シューティングゲーム好きや、やり込みたいという人は挑戦してみるといいだろう。
シューティングが持つ“敵を撃って倒す気持ちよさ”という魅力を存分に味わえる『有翼のフロイライン Wing of Darkness』。シューティングが好きな方はもちろん、アニメのようなストーリーを観てみたいという人など、幅広い方にオススメしたい作品だ。