日本にロールプレイングゲームを広めた作品

 いまから35年前の1986年(昭和61年)5月27日は、ファミコン用ソフトの初代『ドラゴンクエスト』が発売された日。本日で35周年を迎えました。なお、5月27日は“ドラゴンクエストの日”として日本記念日協会にも認定されています。

『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】

 『ドラゴンクエスト』は、エニックス(当時)から発売されたRPGで、平和な世界に現れた竜王を倒すというストーリー。日本でのロールプレイングゲームの知名度を高めた作品だけあり、分かりやすい物語やシステムが特徴です。ただ、一方でこれまでのファンタジー作品がお姫様を救うのが最終目標であることが多いのに対して、『ドラゴンクエスト』は中盤にこの救出イベントが用意されていたりと、王道のストーリーとは違う、ひとひねりも加えられていました。

 姫を救出すると、グラフィックの主人公が姫をお姫様だっこしたポーズに変化しますが、この状態で宿屋に泊まると宿屋の主人に「ゆうべはおたのしみでしたね」という意味深なセリフを投げかけられます。当時のちびっこは意味がわからず、親に聞いて困らせたのでは?(笑)

 また、クライマックスで竜王に「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを ○○○○に やろう。」と言われて、「はい」を選ぶとその後の展開が変わるという仕掛けも。

 この誰もが楽しめる作品でありながら、王道から外れた驚かされる展開があったり、独特なユーモアがあるところが「ドラゴンクエスト」シリーズの魅力ではないかと。プレイしていると、いろいろなところで本作のゲームデザインを手掛けた堀井雄二さんの遊び心を感じることができるんですよね。

『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】

 後のナンバリングタイトルのストーリーも、驚かされることが多かったです。直近の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』でも、勇者である主人公が“悪魔の子”として国から追われるなど意外なストーリーで引き込まれました。期待には応えて、予想は裏切る。決してマンネリ化せず、新しい刺激を与えてくれる素晴らしいシリーズだと思います。

 システムも『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』ではモンスターが仲間にできたり、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』ではほかのプレイヤーに地図を配ったりと、新システムにワクワクさせられます。『ドラゴンクエストXI』にはスキルパネルがありましたが、このスキルパネルがストーリーとうまく絡み合っていて驚きました。まさかスキルパネルの画面で泣くとは思いませんでした……。

 一方で、シリーズならではのフォーマットは毎回しっかりと守られており、プレイしていて安心します。すぎやまこういちさんの手掛けた“序曲”ではじまるタイトル画面を見ていたり、フィールドに出てスライムとの戦闘をくり広げたりしていると、「『ドラゴンクエスト』をプレイしているなぁ~」とうれしい気持ちになってきます。

『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】

 なお、『序曲』については、作曲家のすぎやまこういちさんが『題名のない音楽会』に出演されたときに5分で書き上げたと話しました。ただ、すぎやまさんは、それまでの人生があってこそ生まれた曲であり、『序曲』ができあがるまでには“5分+55年”がかかったと言えるとも語っています。まさに、すぎやまさんの人生そのものが詰まった曲なのですね。

 また、同じようにシリーズおなじみのモンスター“スライム”についても驚いたことがあります。いまから10年前の25周年のとき、六本木ヒルズで資料の展覧会があり、自分はシリーズのファンとして観に行きました。そこで堀井雄二さんの描いたスライムの設定のラフ画を観て驚愕。スライムが完全にゲル状の物体で現在のデザインとはぜんぜん違ったのです。あのラフ画から現在の愛くるしいスライムをデザインした鳥山明さんはすごいなと思いましたね。

『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】

 さて、シリーズ最新作を遊びやすく進化させた『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』がマルチプラットフォームで2020年の12月に発売されたり、メディアミックス作品『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の2度目のアニメ版が放送中だったりと多彩な展開で、いまも大きく盛り上がっている「ドラゴンクエスト」ですが、本日の生放送でシリーズ最新作が発表されるとのこと。これはワクワクしないほうが無理ですね!

特別付録:「ドラゴンクエスト」シリーズ歴代本編作品パッケージ画像

『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエスト』
ファミコン/1986年5月27日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』
ファミコン/1987年1月26日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』
ファミコン/1988年2月10日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』
ファミコン/1990年2月11日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』
スーパーファミコン/1992年9月27日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストVI 幻の大地』
スーパーファミコン/1995年12月9日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』
プレイステーション/2000年8月26日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』
プレイステーション2/2004年11月27日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』
ニンテンドーDS/2009年7月11日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』
Wii/2012年8月2日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』
プレイステーション4/2017年7月29日発売
『ドラゴンクエスト』35周年。誰もが楽しめる王道を歩みつつも、新たなチャレンジを続ける偉大なシリーズはここからはじまった【今日は何の日?】
『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』
ニンテンドー3DS/2017年7月29日発売
これまでの今日は何の日?