創立10年という若い会社でありながら、数々のヒットゲームをリリースしてきたサイゲームス。東京を本社に、大阪や佐賀、韓国や台湾にも拠点を構え、ワールドワイドなゲーム開発を行っている。

 そのスタッフたちから見て、サイゲームスという会社はどのように映っているのか。現場で働く方たちへのインタビューから、サイゲームスという会社の魅力を紐解いていくこととする。

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変わらないものと変わっていくもの。スタッフが見てきたサイゲームスとは?

ケンスケ

2015年入社。『シャドウバース』、『プリンセスコネクト!Re:Dive』、『シャドウバース チャンピオンズバトル』など、看板タイトルのディレクションや企画を担当。

フジコ

2012年入社。UIデザインチームのマネージャーとして活躍。近年は、デザイナー職向けのインターン体制整備や新卒研修の取りまとめなど若手スタッフの育成を担う。

コウスケ

2019年入社。現在開発中の『Project Awakening』を含む、複数のタイトルの制作マネジメントに携わる。昨年は社内アワードの“最優秀中途新人賞”を受賞した。

変わらないものと変わっていくもの

――ゲーム開発の第一線で活躍される皆さんから見えるサイゲームスというテーマで、インタビューをさせていただこうと思っております。早速ではありますが、皆さんがサイゲームスに入社された経緯からお聞かせいただけますでしょうか。

ケンスケ私は、社長の渡邊が以前開発プロデューサーを担当していた『ブレイブリーデフォルト』のディレクターという立場でお仕事をさせていただいていました。その後、ちょいちょい渡邊と食事をする機会があったのですが、その際にサイゲームスの話をよく聞いていました。当時のサイゲームスはまだ創立5年くらいの若い会社だったため、比較的新しいもの、しかも大作と呼ばれるゲームに匹敵するものを作れますよと渡邊に言われていたんです。それが非常に魅力的に思えて、転職を決意した経緯があります。

――クリエイターにとって、新しいものを作れるというのは非常に魅力的に感じるものなのですね。フジコさんはいかがでしょうか。

フジコ私は、もともとスマホゲームを作るべつの会社に勤めていたのですが、サイゲームスで働いている友人から、いろいろと会社のお話を聞いていたんです。話を聞くとサイゲームスはユーザーのために“最高”を追求したゲームの作りかたをしているようで、率直に「いい会社だな」って思いました。そのころは『神撃のバハムート』が人気を集めている時期でした。ビジュアルもキレイでゲームはおもしろい。こんな魅力的なゲームを作っている会社に誘ってもらえるなら、いっしょにやってみたいなと思いました。

コウスケ私も、サイゲームスで働いている友人がいて、その友人から「会社を覗いていかない?」と誘われたのが始まりでした。そのときはすごくキレイな会社だなと。和気あいあいとした雰囲気で案内してもらいました。

――そこでサイゲームスのことを深く知ったんですね。

コウスケお互いの仕事について意見交換をしたのですが、考えていることが自分とかなり似ているなと思ったんです。もしかしたら、自分のチャレンジしたいことが実現できるかも? と思い、いろいろお話させていただいたら、一気に話が進んでサイゲームスに入社していたという。

――皆さんのお話を聞くと、社内の方と話す中で魅力を感じて、という経緯もあるんですね。

ケンスケそういう人もいますね。

変わらないものと変わっていくもの。スタッフが見てきたサイゲームスとは?

――現在はコロナ禍ということもあり、在宅勤務が主体になっていると思いますが、オフィスの雰囲気はどうでしょうか。

ケンスケ在宅勤務になり文章での伝達が増えましたが、口頭のコミュニケーションも大切にしています。 サイゲームスには“THE PROJECT”という日々実行すべき25の行動規範があり、そのひとつにほかのスタッフに何かをお願いする場合は、“メッセンジャーや社内SNSだけじゃなく、必ずひと声かける”というのが明文化されています。

――一報するだけでもオーケーだと思いますが、「ひと声かける」も重視されている、と。

ケンスケゲームクリエイターって、コミュニケーションが苦手な方もけっこう多いですよね。目の前に座っているのにメッセンジャーだけでやり取りしたりとか。僕はそれがイヤだったので、過去の職場では自分がリーダーをやるときは、メッセンジャーだけじゃなくて直接お願いしにも行きましょうと毎回言っていたものです。サイゲームスではそれが明文化されているので楽ちんでいいなーと思っています(笑)。

フジコサイゲームスでは口頭でのコミュニケーションはかなり大切にされていますよね。すれ違うたびに挨拶をしようとか。

コウスケ当たり前と言えば当たり前なんですけど(笑)。

ケンスケそういうのが決まっているところが楽でいいんですよね。決まっていなかったら、毎回「お疲れさまです」って言うとウザいかなと思う人がいるかもしれませんが、“毎回挨拶しよう”って決まっているから、迷わずに言い合える。それが楽なんです。

フジコちゃんとふだんから会話をしていれば、いざというときにも話しかけやすいですし。何かあるたびに口頭でもフォローしようというのは会社の好きなところです。“チーム・サイゲ―ムス”であることを意識するというか。

――スタッフ全員が、ひとつのチームであるという意識が皆さんにあるのですね。

コウスケ実際に、テキストだけだと意図を勘違いされたりとかもありますが、口頭で話をすれば「これを決めていなかったね」とかメールでのやり取り以上の話ができることもあります。

――では、ご自身の周囲には、どういった雰囲気のスタッフが多いでしょうか?

フジコやっぱりという感じかもしれませんが、ゲームが好きな人が多いですね。

ケンスケ意外と“ウェイ系”がいない(笑)。

フジココウスケ(笑)。

ケンスケサイゲームスはIT系企業の子会社というのもあって、ベンチャー企業の“あるある”じゃないですけど。ITやモバイル系の企業は、なんとなくそんな人が多い印象ですよね。自他ともにゲームオタクという環境で働いてきたのでサイゲームスに入るときに「ついていけるかな」と不安でしたが、ぜんぜんそんなこともなくて安心しました。

コウスケサイゲームスは、すごいクリエイターもたくさん在籍していて、お互いに切磋琢磨しつつも尊敬し合うような、協調性の高い人が多いと感じています。

スタッフファーストでありクオリティーファーストな会社

――サイゲームスはここが働きやすい! と思う部分はありますでしょうか。

フジコサイゲームス全体で“当たり前のことを当たり前にやる”が共通認識になっているので働きやすいと感じています。本当に当たり前レベルなのですが、IDカードをつけたまま外に出ない、会社の外で食事をするときは仕事の話をしない、エレベーターの中ではしゃべらない、単純に遅刻をしないとか。会社の中の“良い、悪い”がわかりやすいため、お互いに意見交換もしやすいと感じています。

変わらないものと変わっていくもの。スタッフが見てきたサイゲームスとは?

――ダメなものはダメと、きちんと線引きがされているわけですね。

コウスケあと、必要なことに関しては否定されないというのも大きいです。ゲームを開発していて問題が起こったときに、解決策としてツールの導入を検討するタイミングがありました。以前は費用対効果や、内部と外部の負荷など検討材料の資料を作成し提案しても、プロジェクトの中腹だからいまはダメとか、さらに詳しい説明を求められなかなか進まないなどありましたが、サイゲームスの場合、じゃあ試しに小規模でやってみようかという話になりやすいんです。挑戦したいことを頭ごなしに否定されないし、スピード感を持って対応してくれるので、それがすごいなと感じています。

ケンスケ否定から入らないというのは、わりと昔から文化になっていて、おもしろそうなものにはみんなで乗っかっていく風潮はあります。

――サイゲームス、またはゲーム業界で働いていてよかったと思うことはありますか?

コウスケ“ゲームクリエイター冥利に尽きる”ってことは多いですね。自分は『パワードギア』というゲームが好きなんですが、そのゲームのドット絵を描いていた人と同じプロジェクトに携われたときは人知れず感動していました。子どものころに憧れていたゲームを作った人と仕事したり、お昼を食べに行ったりできるのはうれしいですね。

フジコゲームをしたり、マンガを読んだりしても怒られないのはいい(笑)。

コウスケインプットは大事ですからね(笑)。行動規範にも“よいアイデアは圧倒的なインプットから生まれる”とありますし。

――社内でいっしょにゲームで遊ぶというようなこともあるのでしょうか?

フジココロナ禍以前に行われていた忘年会などのイベントのときには、集まってゲームしたりすることもありました。

ケンスケ格ゲーをしている人もいますよね。

フジコ サイゲームスにはスタッフが働きやすい職場づくりを行う“バージョンアップ委員会(通称、VUC)”があるんですが、最近はその活動の一環として希望者を募ってオンラインリアル脱出ゲームで遊ぶといったことも行いましたね。ゲームをみんなでやれる環境というのは、やっぱりおもしろいですよね。

――フジコさんは創立間もなくから在籍されていますが、当時の思い出などもお聞かせいただけますか?

フジコ私が入ってきた時期は、まだ各ゲームのプロジェクトが立ち上がるようなタイミングだったので、体制の構築から始めるところでした。UI(ユーザーインターフェース)のデザイナーがオフィスに点在している状態で、それぞれの人に声をかけながら、チームをまとめていったことが印象に残っています。社内クエストって自分では勝手に言っていました(笑)。

――組織を作るところからのスタートだったんですね。いまと昔で、変わっていることや変わっていないことがあれば教えてください。

フジコ“いいものを作りたい”というスタンスは、いまも昔も変わらないですね。変わったことといえば、スタッフの数が急激に増えていったことでしょうか。でも、人が増えてもいいものを作りたい、ユーザーさんに喜んでもらいたいという考えかたは、10年間変わっていないです。

――ケンスケさんは、サイゲームスがヒットを重ねて大きくなるタイミングに入社されたとお聞きしましたが、当時の会社の雰囲気はどうだったと思い返しますか?

ケンスケ当時のサイゲームスは、規模の大きい会社のわりにベンチャー企業みたいな雰囲気がありましたね。若くてフレッシュな人たちが、ガーッと勢いで会社を動かしているような。でも、それだけでうまくいくわけでもなくて、大きく成長しているからこその悩みみたいなものもたくさんあって。それを解消するために人を集めたり、組織をまとめたりという日々でしたね。

――以前の会社では家庭用ゲームをメインに作られていたとお聞きしていますが、それまでのお仕事との違いは感じられましたか?

ケンスケモバイルゲームの開発の場合「後で直せばいいや」と考えてしまうことがけっこうあると思うんです。でもサイゲームスは「第一印象で8割決まるから、ちゃんとしたものを作らないとダメ」という意識が強かったんです。家庭用ゲームもいまでこそバージョンアップができるものの、最初に出したものがきちんとしていないとユーザーさんに呆れられてしまいますよね。だから逆に、“違いがあまり感じられなかった”という印象でしたね。あと、自分が持っていたモバイルゲームメーカーの印象って、日々の売上とにらめっこしているというものでした。でもサイゲームスは、とにかく“ゲームをおもしろくしよう”ということを優先しているんです。数字のことはプロデューサーとかプロジェクトマネージャーが考えるから、現場はとにかくゲームをおもしろくしてと。そういった点も、いままで自分が関わってきた家庭用ゲームっぽいなと思います。

――いい意味で家庭用ゲームメーカーっぽいと思われたわけですね。

ケンスケおかげさまで、いままで培ってきたノウハウを活かすことができていると思います。

――対してコウスケさんはこの3名の中ではいちばん社歴が短いですが、ご自身が持つサイゲームスのイメージをお聞かせいただけますか?

コウスケ自分もケンスケさんと同じような印象でした。モバイルゲームを出しているメーカーって、とにかく数を打って、その中で当たったものを重点的に運営していくイメージを持っていたのですが、サイゲームスは本当にクオリティーファーストなので驚きました。ただ、自分は制作マネジメント側としてスケジュールや予算を管理する仕事をしているので、その影響で困ったりもするのですが(笑)。

変わらないものと変わっていくもの。スタッフが見てきたサイゲームスとは?

――スケジュールを管理している人間からすると、「もういいよね?」と言いたくなるシチュエーションがあるのかもしれませんね(笑)。

コウスケそうなんです(笑)。ただ、できあがったものを見ると、やはりクオリティーが上がってよかったと思うことのほうが多いです。最大限クオリティーアップに注力してもらえるよう、開発スタッフの選択肢を増やしてあげるのも、マネジメント側の仕事だと思ってます。

――いまのクオリティーにつながる話でもあるのですが、長く遊んでもらえるゲームを作るためにご自身が大切にしていることがあれば、教えていただけますでしょうか。

ケンスケ自分は、“触っているだけでも気持ちいい”を大事にしています。RPGやシミュレーションゲームでも、カーソルを移動させるだけでも気持ちいい、メニューを開いたり閉じたりするだけでも気持ちいいっていうことありますよね。そういった部分は家庭用ゲームを作っているときから大事にしていたので、いまのお仕事に活かせているかなと思います。以前関わっていた『シャドウバース』では、フジコさんともいっしょにお仕事させてもらいましたよね。

フジコUIチームのマネージャーとして『シャドウバース』に関わっていたとき、ケンスケさんにはディレクター目線から、いろいろな指摘をもらいUIデザインやビジュアルの調整をしていただきました。モバイルゲームは毎日プレイするものなので、UIをハデにするとインパクトはあるのですが、あまりうるさすぎると逆に食傷気味になってしまいます。長く遊んでいただくための絶妙なラインがどこにあるのか、いつもスタッフどうしで話しています。それとモバイルゲームは、日々のバージョンアップで要素がどんどん増えていきますので、最初からギチギチに要素を詰め込まないで、追加していく余地を残すのは大事なんじゃないかなと思っています。

――今後、こんなコンテンツを作ってみたい! という展望はありますか?

ケンスケ“ワールドワイドでサイゲームスの名を知らしめる”ことですね。国内ではわりと知っていただいている会社だと思いますが、海外でのブランドの認知度はまだまだかなと感じています。ひと言で言えば、世界でバカ売れするゲームを作りたいっていう感じですね(笑)。

コウスケ自分はすごくメカ好きなので、公私混同するなら、ニッチだけどおもしろいメカモノのゲームをグローバル向けに作ってみたいです。小規模でもいいので。少し話がずれますが、業務上、国内外の協力会社様とお仕事をしたり、新規開拓もしたりしているので、既存の制作中タイトルを含め、少しでも会社の認知に貢献できればと考えています。

フジコ自分は新人の育成ですね。いまは会社が大きくなっているので、その中でどうすればひとりひとりがもっと活躍できるようになるのかを考えること、そしてその場を提供することが必要だと思っています。若い人たちにいろいろな経験を積んでもらわないと会社に未来はないので、若手の育成をしっかりとやっていきます。

――今後のサイゲームスでの活躍をお祈りしております。最後に、サイゲームスでの今後の豊富をお聞かせいただけますでしょうか。

フジコ私の場合はサポートに回るような仕事が増えてきたので、これから入ってくる若い人たちや中途で入ってくる人たちが働きやすくなるように、サポート体制を強化していきたいと思っています。

ケンスケさっき言った、ワールドワイドで認められるゲームを作りたいということにつながるのですが、「大ヒットタイトルを作ったぜ!」とチームのみんなが誇れるようなものを作っていきたいと思っています。

コウスケ自分はまだ社歴が短いので、まずは自分がいま関わっているプロジェクトをきっちり仕上げることに全力投球したいです。入社とほぼ同時期に立ち上げた組織もあるので、その成功をもとにいろんなプロジェクトが支援できるように体制強化も図っていきたいです。

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