『NieR』シリーズ初のスマホタイトルにしてシリーズ完全新作の『NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)』(以下、『リィンカネ』)。3月上旬には1000万ダウンロードを突破し、ますます好調な同作だが、サービス開始前は事前登録キャンペーンの最後のハードルとして、事前登録が100万人を達成すると、100万円相当の“純金ママ”を抽選で1名様にプレゼントするという企画を実施。サービス開始前には無事100万人を達成し、純金ママの制作が決定した。
その純金ママの制作はその後、どうなったのか。プレゼントされる幸運な人はどうやって決めるのか。大きさは? デザインは? っていうか欲しい! というわけで、作成を指揮したリィンラボ(『リィンカネ』のグッズ企画やそれに伴うプロモーションなどを行うデザイナーチーム)の所長、高木正文氏に話を訊いた。
高木正文(たかぎまさふみ)
リィンラボの所長。『リィンカネ』のクリエティブ・プロデューサー。ヨコオタロウ氏がクリエイティブ面を担当した『ドラッグ オン ドラグーン3』の開発にも参加。クリエイティブスタジオ“SSS by applibot”の代表でもある。
純金ママの現在
――『リィンカネ』の事前登録が100万人を達成したら100万円相当の純金ママを制作し、抽選で1名にプレゼントするというキャンペーンでしたが、無事100万人を達成し、制作されることになったわけですが、現在の制作状況は?
高木いろいろありましたが、この度、完成いたしました!
――おお! というか、それを聞きつけて話をうかがいに来たのですが(ビデオ会議ですが)、率直に言って欲しいです。100万円の価値というよりは、ママが好きなんです!
高木申し訳ございませんが、関係者やメディアの方は除外させていただきます。ママがお好きなら銅とかで作りましょうか?
――せめてシルバーで……でもやっぱり金がいいです……しかも純度の高いヤツが……。ちなみに、事前登録が100万人に達成しなかった場合、お蔵入りする予定だったんですか?
高木どうなったかはわかりませんが、たとえば50万人だったらママの下半分をバッサリとカットしたようなモノをプレゼントしたかもしれませんね(笑)。
――それはそれで見てみたかった(笑)。ところで、実物はどこにあるんですか?
高木金は柔らかくてもしものことがあってはならないので、秘密の場所で大切に保管しています。写真でご勘弁ください。
――おお、これが……。
高木はい。
――純金の輝き……。100万円相当というお話でしたけど、公式生放送を経て135万円相当になったんですよね?
高木そうですね。けっきょく、公式生放送の影響で金は135万円分まで増量することになりました(※)。
※ニーア リィンカーネーション 公式生放送#1のシューティングコーナーでスコアに応じて金がプラスアルファされた。
――増量分の調整は難しくなかったですが?
高木いえ、すでに3Dのデザインはできていたので、それほど難しくはなかったようです。
――では実際、どんな工程で純金ママが作られていったのかご説明いただけますか?
売れば500万円⁉ 純金ママができるまで
高木簡単にご説明すると、ママの立体物をデザインした後、金を加工してくださる業者さんを探し、連携を取りながら作っていった感じです。
――業者さんはすぐに見つかったのですか?
高木小さい立体物で、しかも一点モノということで受けてくださるところはすぐには見つかりませんでした。ですが、今回引き受けてくださった業者さんが決まってからは、すぐにママの画像をお送りして造形作業に入っていただきました。こちらがその業者さんが3Dプリンターを使って作った初期のママの形です。
――なんだかグミみたいですね(笑)。
高木まずはだいたいの形を作ってから、徐々に理想に近づけていく感じですね。
――原型を作るのがもっとも重要な工程だと思いますが、高木さんがこだわった部分は?
高木まずは目の位置や形ですね。ママはシンプルなデザインゆえに目の位置が少し変わるだけでも、すごく違和感が出るんです。また、目は窪みで表現しなくてはならなかったので、窪ませかたも重要でした。角のある窪みか丸のある窪みかで、印象が変わってくるんですね。あと、当初は下から生えている足(?)のようなものが、棒のような感じになっていたので、円錐形にしてもらっています。
――この細さは金では難しそうですね。
高木いちばんデリケートな部分ですね。
――ちなみに、自立はしないと思いますが、どうディスプレイするんですか? 木箱に綿を詰めて、そこに入れる感じ?
高木じつは自立するんです。
――なんと!
高木2本の足(?)、そしてヒラヒラした服(?)の後ろがいい感じにママを支えて、3点で支点で自立します。ただ、振動には弱いので、基本的には指輪の入れ物のようなケースに入れて飾る感じになると思います。
――ヒラヒラの部分は躍動感があるというか、ちょっと動きを感じさせる部分ですね。
高木はい。深夜の通販番組みたいにゆっくりと回して見たときに、金がキラキラと光るようにしたかったからです。
――高級感のあるママもいいですね(笑)。業者さんと原型ができるまでのやり取りはどれくらいの回数やったのですか?
高木7、8回くらいでしょうか。やはり100万円以上の金が使われているので慎重になりましたね。原型が決まってからは業者さんが金を流し込む型を取り、鋳造して(金ママ誕生)、研磨(キレイに磨く)といった順に作業が進みました。
――実際に完成した純金ママを手にした感想は?
高木想像以上に重かったことですね。小さいですが、ズッシリときます。
――作った業者さんは、これが何だかわかっていたんでしょうか?(笑)
高木「これ、何ですか? 何に使うんですか?」とおっしゃっていました(笑)。プレゼントすると言ったら驚いてましたね。売り物だと思ってたみたいで。こうした金の加工品……ママに近い例でいうと、金の干支などを作ることがあるらしいのですが、それらは製作費など含めて500万円くらいでお店に並ぶようです。
――金の加工品としての価値は500万円! これをゲットできる人はラッキーですね。気になるのは、この純金ママがどういった流れでプレゼントされるのかということなのですが。
高木4月29日(木)の12:00から5月6日(木) の11:59までの期間、ゴールデンママウィークキャンペーンを実施するのですが、その間、公式Twitterにて毎日景品が当たる抽選を行います。4月29日の12:00から5月5日(水)11:59の期間は“ゴールデンママグッズ”が各50名様に、最終日となる5月5日(水)の12:00から5月6日(木)11:59までの期間で、“純金ママ”が1名様に当たります。なお、純金ママの抽選は最終日となりますが、それ以前の日程の応募回数に応じて、純金ママへの応募口数が増加します。ゴールデンウィーク期間中、応募すればするほど純金ママへの応募口数が増えますので、奮ってご参加いただければ。詳しくはゲーム内のお知らせをご覧ください。
――ゴールデンウィーク。ゴールドだけに。今後も金シリーズは続きますか?
高木機会と予算があれば(笑)、作ってみたいですね。運送屋とか。
改めてリィンラボとは、そして今後の活動予定は?
――純金ママは高木さんを始めとしたリィンラボが制作に大きく関わっていますが、改めてリィンラボについてご説明いただけますか?
高木『リィンカネ』のグッズ企画やそれに伴うプロモーションなどを行うデザイナーチームです。TwitterなどSNSでも活発に情報を発信し、ユーザーの方々にどんなグッズが欲しいかなどの交流もしていければと思っています。
――企画はどれくらい挙がっているのですか?
高木実際に作るかは置いておいて、構想だけなら50種類近く出ています。じつは、1000万ダウンロードを突破した際、Twitterでその記念の【28人のイラストキャンペーン】を実施し、そのイラスト集も制作しましたが、それもリィンラボが企画し、描き手の方々へのアポ取りなどを我々が行いました。
――メンバーは何人いるんでしょうか?
高木12人です(下記参照)。
――すでにTwitterアカウントも取得されていますが、ユーザーさんからのリクエストなど、気になっている意見はありましたか?
高木ゴールデンウィークキャンペーンでもコースターを作ったのですが、「ママや運送屋の形をしたコースターを作ってほしい」という意見はおもしろいと思いました。あと、印象に残っているのはママのタオルで、干すときにつるすと吊るすとてるてる坊主のような感じでママの形になるというもので、「めちゃくちゃいいじゃん!」とリィンラボ内でも話題になりました。
――具体的に、つぎに何を作成するかは決まっているのですか?
高木発売時期は未定ですが、着手するものは決まっています。夏ごろに出せればと思っているのですが、ひとつだけでは寂しいので一度にまとまった数のグッズをリリースできるように動いています。
――楽しみにしています。最後に、今後のリィンラボの目標、野望などあれば教えてください。
高木たくさんあるのですが、グッズ展開はもちろん、イラストの展示会などもやってみたいですね。
――ありがとうございました。
リィンラボメンバー(画像をクリックするとTwitterに飛びます)