DMM GAMESより2021年5月13日発売予定のプレイステーション4/Xbox One/PC用のファンタジーRPG『パスファインダー:キングメーカー』。本作の発売に先駆けて、4月某日に試遊会が開催された。ゲームの試遊のほか、ローカライズの裏話が聞けたり、原作のテーブルトークRPG『パスファインダーRPG』をワイワイ遊べたりと、一風変わった趣向で行われた試遊会の模様をリポートする。
※画像は公式サイトより
※4月25日(日)~5月11日(火)の期間は土日祝日のみ営業
『パスファインダー:キングメーカー』とは
『パスファインダー:キングメーカー』は、人気テーブルトークRPG『パスファインダーRPG』をベースにしたファンタジーRPG。原作の重厚な世界観を美麗なグラフィックと魅力的なシステムで再現しており、原作ファンのみならず、幅広いプレイヤーが楽しめる内容となっている。戦略性の高いバトルや、自身の王国の繁栄を目指すシミュレーション要素も本作の特徴のひとつだ。
実際にプレイすると、TRPG感がありながらも思った以上にサクサクとゲームが進行していく。TRPGでは場面場面で行動を宣言したりダイスを振ったりするため時間を要するが、そういった煩わしさ(それが醍醐味なんだけども)はなく、スムーズにシナリオやバトルを楽しめる。
あまりにサクサクなので、盗賊が仲間にいないのに廊下を突っ切ったら罠が発動しまくって大ダメージを受けてしまったことも。ちなみに、感知できるキャラクターがいると罠や鍵に近寄っただけで、その場所がハイライトされる。
ゲームのシステムは完全に原作のルール通りなので、ダイスの出目が悪いときは(実際はCPU側で処理されているので見えないが)、どんな強いキャラクターでもファンブル(失敗)が続くこともあるし、逆に出目が最高によければ、弱いキャラクターでも強敵を真っ二つにできる可能性もなくはない。こういう部分も本作のおもしろいところで、わりと大事な場面でこんなことが起こりやすいと感じるのは、TRPGファンは“あるある”だろう。
独立したファンタジー作品としても遊べるし、原作やTRPGをかじったことのある人なら何倍も楽しめる『パスファインダー:キングメーカー』。本作をプレイして興味を持ったら、原作『パスファインダーRPG』のルールブックを読んでみるのもおもしろいと思う。デカいうえに辞書くらい重いので圧倒されるかもしれないが。
翻訳者が語る『パスファインダー』の魅力
会場にはゲストとして原作『パスファインダーRPG』コア・ルールブック日本語版の翻訳を担当した、チームPRDJの代表・石川雄一郎氏と、オリジナルシナリオライターの銀河アズマ氏が登場。
(右)チームPRDJ代表の石川雄一郎氏
石川氏は『パスファインダー:キングメーカー』の監修も務め、細部までチェックするために350時間以上もプレイ。「原作に忠実で、ゲーム単体としてももう1周遊んでみようと思うほどおもしろい」とお墨付き。ただ、チェックするべきシナリオやセリフの量が膨大すぎて(150万ワード以上に及ぶ)、「分厚いコア・ルールブックでも60万ワードくらい。それの倍以上……」と、尻込みするほどだったという。
銀河氏も原作に造詣が深く、『パスファインダーRPG』の紹介記事やシナリオ制作を手掛けており、ゲーム『パスファインダー:キングメーカー』のパッケージに封入されている特典の『パスファインダーRPG』用のオリジナルシナリオ“世界で一番小さな王国”を執筆している。
石川氏によれば、『パスファインダーRPG』はもともと『ダンジョンズ&ドラゴンズ』から派生したTRPGであり、膨大なルールを1冊にまとめたコア・ルールブックは、「日本でいちばん重いルールブック」だという。プレイヤーやモンスターの能力値や技能などをまとめてあるだけでなく、プレイヤーのさまざまな行動や要求に応えたり補足するための細かな設定やルールも含まれており、これが『パスファインダー:キングメーカー』でも「完全に再現されており、しかも手軽にプレイできるのがすばらしい」とコメント。
銀河氏は『パスファインダーRPG』では“ろくでもない”国や人物が多く、ぶっ飛んでいる設定がおもしろいと語る。オリジナルシナリオを執筆するにあたり、そういったぶっ飛んでいて“ひどい”ところを拾っていこうと心掛けたという。石川氏によれば帝政ロシア時代の地球を舞台にラスプーチンが暴れ回るというシナリオも存在するらしく、『パスファインダーRPG』がいかに“変で、何でもあり”なTRPGかがうかがえる。
原作の『パスファインダーRPG』もプレイした!
原作『パスファインダーRPG』を使って、銀河氏作のシナリオ“世界で一番小さな王国”の一部を実際に遊んでみた。TRPGをプレイするのは約30年振りの筆者は、鉛筆と各種ダイス、キャラクターシートやフィギュアなどが広げられたテーブルの様子を見ただけでワクワク。
今回のシナリオは、酒場で過ごしていた冒険者たちの前に虫のように極小サイズの人型種族が現れ、我々の王国を取り戻してくれと嘆願されるというお話。そのために“黎明を告げる怪鳥の胸の骨で作られた王笏(おうしゃく)”が必要だというが……。
怪鳥の謎を解くために、知力のチェックなどを行うと、パーティーメンバーのひとりが「朝に鳴いて肉屋で売られているあの動物だ」と気がつく。さっそく酒場を出て肉屋へ行くと、樽の中に隠れながら肉を盗むゴブリンに遭遇。パーティー総出でゴブリンを追いかけるが、なかなか逃げ足が早い。
筆者のキャラクターはサポートが得意な“バード”だったので、油をぶっかける呪文や、笑いが止まらなくなる呪文、睡眠呪文など、ありったけを駆使してなんとかゴブリンの足止めに成功。そこをバーバリアンの女戦士に片っ端からぶった斬ってもらい(やたら出目がいい)、肉を奪取することができた。
例の小さな人に骨を渡すと、ゴニョゴニョとなにかを唱えたかと思った途端、その場(酒場のテーブルの上)に小さな人たちの王国が築き上げられた。酒場の主人にとってはいい迷惑かと思ったが、「見世物にしていっちょ稼ぐぞ」とまんざらでもない様子……というところで、報酬として魔法の指輪をもらって、めでたしめでたし(?)。
ちょっとプレイしただけでも、変わった能力や呪文、アクの強い設定や世界観などを体験でき、楽しい時間だった。これらが全部、『パスファインダー:キングメーカー』の中でもそのまま体験できるのだから俄然楽しみだ。
『パスファインダー:キングメーカー』は5月13日発売
会場には海外版のパブリッシャーであるKoch Mediaのカントリーマネージャー、ロベルト・ポントウ氏も駆けつけた。ロベルト氏は、『パスファインダー:キングメーカー』はマニアックなゲームでアジア市場は意識していなかったが、DMM GAMESによる非常に出来がいいローカライズのおかげで日本で発売することができたとコメント。機会があればほかのタイトルでも協力していきたいと、今後の展望を語った。
最後にプロデューサーの岩切氏は、今回の試遊やTRPGの体験で、『パスファインダー:キングメーカー』のおもしろさを少しでも知ってもらえたらうれしいと述べた。たしかに、パッと見は地味めなゲームだが、RPGファンなら実際に短時間プレイすればシステムや世界観、シナリオにおもしろさや奥深さを見い出せる作品だと感じる。かつてTRPGにのめり込んだ方や、西洋ファンタジー作品が好きな方は、プレイしてみてはいかがだろうか。